kairakunoza @ ウィキ

チョコレートトラップ!

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
「みゆきさん、お皿はこれでいい?」
「はい。ありがとうございます、こなたさん。」
「みゆきー。このお鍋はもういいのかしら~?」
「えっ?あ、お母さん。それはまだ……」
「ゆかりさん、わたしがやりますよ。それよりこっちの方お願いできます?」
「は~い。わかったわ、こなたちゃん。」

 今日は3月14日。俗に言うホワイトデーという奴だ。
 以前の私ならバレンタインと併せて素材チョコの安売りで喜んでいたところだけど、今はまぁ……好きな人と大手を振っていちゃいちゃする口実に使えて楽しみだったりする。
 ……こんな口実がなくても普通に付き合ってるけどさ。
 で、今日はバレンタインの時に忙しくてあまり時間が取れなかったから、その振り替えって感じでみゆきさん家にお邪魔してる訳。
 さすがの私でも受験で忙しいみゆきさんを引っ張りまわすなんてしないよ。
 私はと言えばバイト先での受けがいいらしく、コスプレ喫茶でチーフに昇格する事が決定済み。責任は増えるけど、やり甲斐があっていいかな、と思ってる。
 まぁそんなこんなで、2人とも卒業後の進路に何の心配もなく今日を迎える事が出来たのだ。
 ちなみにみゆきさんのお父さんは仕事で忙しいのか不在で、私のお父さんは取材で旅行中。ゆーちゃんはテスト休みを使ってみなみちゃん家にお泊りだ。
 という感じで今ここ――高良家の台所――には私とみゆきさん、ゆかりさんの3人がお喋りをしながら料理をしてる訳。
 で、さっきの会話に戻るんだけど。ゆかりさんが「いつもみゆきがお世話になってるから、たまにはご馳走しちゃいましょう。」なんて言ってくれたけど、どうも待ってるだけってのが落ち着かなくて手伝っちゃったってのが今の状況だね。
 私達の仲はゆかりさん公認で、何度かみゆきさん家に遊びに来ると、ゆかりさんを「おばさん」と呼ぶとぷくーっとほっぺを膨らませて、
「おばさんじゃなくて『ゆかりさん』って呼んでね?」
なんて拗ねるので、今じゃこの呼び方がすっかり定着してる。さすがに
「『お義母さん』って呼んでもいいのよ♪」
と楽しそうに言われた時には、みゆきさんと2人して真っ赤になってしまったけど。

 一通り準備や料理が終わると、女3人でのお食事会のスタート。
 みゆきさんの子供の頃の話や普段の家での様子を話すゆかりさんは本当に楽しそうで。それを必死に止めようとするみゆきさんが可愛くて。やっぱり皆でする食事っていいよね、なんて思いながら気づけば私自身も色んな事を話していた。

 食事が済むと、みゆきさんが席を立ってどこかへ行っちゃったので……って言っても多分自分の部屋かトイレだろうけど……ゆかりさんとお喋りでも、と思ったらゆかりさんも
「いいもの取ってくるから待っててね~。」
と言い残していなくなっちゃった。
 食卓に1人ぽつんと残された私は、2人が戻るのを待ってるしかなくて。こんな広い家に2人で住んでるなんて寂しくないかな?なんて思ってしまう。
 しばらくして先にみゆきさんが戻ってくると、手にはお菓子らしきものを載せたお皿を持っていた。
「ホワイトデーですから、こんなものを作ってみたんですよ。」
 そう言ってお皿に載ってるものを見ると、沢山の小さなドーナツだった……チョココロネ型の。
「こなたさんがいつも食べていらっしゃったので、形を真似してみたんですけど。いかがでしょう?」
「面白いね、こういうの。中は……色んなクリームが入ってる?」
「はい、食べてからのお楽しみです。お母さんが戻ってきたら食べましょう。」
 そう言ってみゆきさんが席に着くと、ちょうどゆかりさんも戻ってきた。
「お待たせ~。ゆかりさん特製チョコレートドリンクよ~~♪」
 と、グラス3つと幾つかのビンをお盆に載せてウェイトレスみたいに私達にグラスを配ってくれた。
「みゆきのお菓子もおいしそうねぇ。」
 子供のように指をくわえてドーナツを見てるので、グラスを持ち上げて
「それじゃあ乾杯しましょー。みんなの健康と、いつまでも仲良く過せますように……」
「「「かんぱーい!」」」

 チンッ、というグラスの触れ合う小気味いい音は、パーティーの第2幕の始まりの鐘の音だ。
「一口サイズで食べやすいねー。そんなにしつこくないから、いくらでも食べれるよ。みゆきさん。」
「ありがとうございます。お母さんの飲み物も美味しいですね。」
「んふふ~、そうでしょー。今日の日の為に教えてきてもらったのよ~。お代わりもあるから言ってね。」
「あ、じゃあお願いします。」
「はいはーい。みゆきはどう?」
「それでは私もいただきます。」
 ゆかりさんは慣れた手つきで大きなグラスにチョコレート色の液体とミルクを注いで、スプーンでくるくるとかき混ぜたものを私達のグラスに注いでくれる。
「それ、ドリンクの元なんですか?」
「そうよ。ミルクや生クリームと混ぜるだけで美味しく出来るの。」
 そう言ってビンを見せてくれるゆかりさん。金のラベルの可愛らしい青いボトルには「GODIVA」と書いてあった。
「へー、ゴディバってこんなのも出してるんですね。」
 なんて言いながらお代わりを口にする。ミルクが1杯目より控えめのようで、チョコの風味と舌を刺激する独特の感じが強いけど、これはこれで美味しいと思う。
「あ、そだ。2人にプレゼントがあるんですよ。」
 リビングにバッグを取りに行く時にふとさっきの刺激が気になった。どっかで味わった気がするんだけど……まぁ美味しいからいいや。
 湧き上がった疑問を放り投げて、用意しておいた包みを取り出して2人に手渡す。
「開けてみていいかしら?」
「うん、いいですよ。」
 2人に贈ったのは、それぞれの星座マークのペンダント。
「いつもお世話になってるお礼を込めてです。3人のお揃いですよ。」
 そう言って私も服の下から自分のペンダントを取り出して2人に見せる。
「あら、私までいいの?2人の記念品じゃなくて?」
「はい。みゆきさんの大切なお母さんですから。受け取ってくれないと寂しいです。」
「あらあら。じゃあもらわない訳にはいかないわね。ありがとう、こなたちゃん。」
 嬉しそうに身に着けてくれるゆかりさんの顔を見ると、こっちまで楽しい気分になってくる。
 みゆきさんは、と見ると……あれ、いない?
「こーなーたさん♪」
 後頭部にぎゅっと柔らかいものが押し当てられた。
「え?え?みゆきさん?どしたの、急に?」
「ありがとうございます。一生の宝物にしますね~~……んん。」
「ちょ、んっ……んぅ……」
 顔を後ろに向けられたと思うと、唇を重ねられた。そのまま舌が入ってきて、みゆきさんの唾液とチョコの味が口の中に広がっていく。心なしかさっきの刺激が強く感じられ、体も火照っていくのがわかる。これって、まさか!
「あらあら。やっと効いてきたみたいねぇ。」
「んっ。ぷはっ!ちょ、ゆかりさん?!まさかさっきのって!」
「ええ、チョコのお酒よ~。みゆきはお酒に弱いからすぐ回ると思ったのに。最初のはミルクを入れ過ぎたみたいね~。」
 みゆきさんのグラスを見ると、ミルクを混ぜてない、チョコそのものの色をしたのが入っていた。ゆかりさんはイタズラが成功した子供のように、心底楽しそうに笑っていて。みゆきさんは離れてもすぐ唇を奪いにきて……嬉しいんだけど!その前に!
「こなたちゃんが荷物を取りに行ってる間にストレートで飲ませてみたの♪」
「『飲ませてみたの♪』じゃないですよ!」
「だーいじょ~ぶよぅ。それほど強いお酒じゃないから~。」
 ケラケラ笑いながらいつの間にか持って来たカーディガンを羽織ったゆかりさんが続けてこんな爆弾発言をした。
「これからみなみちゃん家に遊びに行ってくるわね~。明日の夕方くらいまで戻らないから、ごゆっくり~~♪」
「ちょっと!ゆかりさんってば何言ってるんですか?!」
「えー、私と2人っきりじゃ嫌なんですか~~?」
「そんな事はっ、ひゃん!み、みゆきさん、首筋舐めちゃダメだってば!」
「今夜はゆたかちゃんもいるのよねー。みなみちゃんの可愛いところがいっぱい見れそう♪」

 と足取りも軽く部屋を出て行くゆかりさんを
 みゆきさんにがっちりとホールドされた私は見送ることしか出来なくて
 バタン、という扉の閉まる音がすると
 ひょいっとみゆきさんにお姫様抱っこされて
 私はみゆきさんの部屋で一晩中啼かされ続けた訳で……

 翌朝、顔を真っ赤にしたみゆきさんが甲斐甲斐しく私の世話をしてくれた。どうやら記憶はしっかりと残っていたらしい
 ……いやまぁ私も嫌じゃなかったから良かったけど、お昼過ぎまで起き上がれなかったのはどーかと思う。
 夕方にゆーちゃんとみなみちゃんがこっちに来たけど、顔を真っ赤にしていたよ。理由は聞かないでいてあげた方がいいね、多分。
 ただ1人、昨日以上に上機嫌なゆかりさんが全てを物語っていたのは勘違いじゃないはずだ。
 最後に、昨日の事はゆかりさんの単独犯だと言う事を、みゆきさんの名誉の為に言っておく。


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コメント:
  • エッチシーンの描写がないのが少し残念… -- 名無しさん (2008-10-19 18:36:18)
  • ゆかりさんは最強だなw -- 名無しさん (2008-07-10 10:23:18)
  • みな×ゆた(ゆた×みな?)編も是非ともお願いしますm(_ _)m -- 名無しさん (2008-03-14 13:49:07)
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