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聖夜の約束

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
 駆ける、駆ける。
「はあっ、はあっ」
 とにかく、前へ。
 あの人が待つ、私たちの場所に。
 見慣れた街並みの、もっと見慣れた場所に入って、

 ぱたんっ!

 私たちの家のドアを、力いっぱい開けた。
「おかえり、ゆい」
 そこには、世界でいちばんいとしい人の姿があって……
「……おかえり。
 おかえりっ、きよたかさんっ!」
 私は、きよたかさんの胸に思いっきり飛び込んだ。

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 聖夜の約束
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 思いっきり、きよたかさんの胸に顔をうずめる。
 ああっ、きよたかさんのにおいだ。
 私が、世界でいちばん大好きなひとのにおいだ。
「あははっ、甘えん坊だな、ゆいは」
「だって、だって、きよたかさんが、きよたかさんがー」
 さっきまでお酒に酔っていたのに、今はきれいさっぱりさめている。
 そのかわり、きよたかさんのぬくもりに酔っちゃいそうだー……
「きよたかさんパワー充電ー」
「んじゃ、僕もゆいパワーを充電っと」
 そう言って、きよたかさんも私のことを抱きしめてくれる。
 うー、ぬくぬくだよー……

 ずっと、単身赴任で遠くにいるきよたかさん。
 とてもさみしいけど、こうやって時々帰ってくるたび、優しく包み込んでくれるのが嬉しい。
 毎日メールするし、電話もするし、お互いの写真も持ってる。
 でも、直接ふれあうのが、やっぱり一番だ。

「きよたかさん……大丈夫なの? お仕事」
 顔を上げて、私はきよたかさんに気になっていたことをたずねてみる。
「明日の夕方には戻らないといけないけど、もうすぐ年末だから大みそかと三が日は一緒にいられるよ」
 そう言って、きよたかさんはにこっと笑ってくれた。
「4日間……4日間も一緒にいられるんだー」
 人が聞いたら「たった4日間」って言うかもしれない。
 でも、私にとっては大事な4日間。1年間の中で、一緒にいられる数少ない時間だから。
「ごめんね、本当はもうちょっといてあげたいんだけど」
「ううん、大丈夫。4日間もきよたかさんパワーを充電できるんだし、それに……」
 また、私はきよたかさんの胸にぽふっと顔を埋める。
「今日、こうやって帰ってきてくれたんだもん」
「……そっか」
 きよたかさんも、私のことをぎゅっと抱きしめてくれた。

 ねえ、きよたかさん。
 私はね……この世で何より、あなたのぬくもりを感じてるのがいちばん幸せなんだよ。

   *  *  *  *  *

 しばらく二人でパワーを充電しあった後は、きよたかさんが買ってきてくれたチキンと
ケーキでちょっとしたパーティー。
 その後は、久しぶりに二人で、あの、その、お風呂にはいったりして。
 ああ、もうっ、きよたかさんってばたくましすぎだよ。びっくりだ。

 そして、そして……

「ぬふふー」
「あははー」
 日付が変わる頃、私たちはふたりしてベッドの上でじゃれ合っていた。
 きよたかさんは私の髪をもてあそんだり、私はぎゅーぎゅー抱きついたり。
 結婚して、初めてのクリスマス。最初は寂しいと思ったけど、こうやってきよたかさんが
帰ってきてくれて、とっても幸せ。
 私にとっての、クリスマスプレゼントだよ……って、ちょっと待った。
「ご、ごめん、きよたかさん」
「うん?」
 きよたかさんが、私の髪をくるくるいじっていた手を止める。
「あの、その、クリスマスプレゼント、買ってくるの忘れちゃった」
「あっ。じ、実は僕も。急いで帰って来ちゃったから」
「な、なーんだ」
 そう言って、二人してあははと笑う。ううっ、二人してドジなんだから。
 それじゃあ……ちょっと恥ずかしいけど、言っちゃおうかな。
「じゃあ、あの、きよたかさん。欲しいプレゼントがあるんだけど」
「うん? 何だい、欲しいものって」
 にっこりと笑うきよたかさんだったけど、私はというと、顔がすっかり熱くなって、

「あの、その……きよたかさんとの、こども……ほしいなって……」

 そう、つぶやくことしかできなかった。
 聞こえるのは、私たちの息遣いだけ。
 きよたかさんは、きょとんと私を見たまま固まっていた。
 ううっ……えっちな女だって思われちゃったかな。
「ゆい」
「えっ?」
 私が顔を上げると、きよたかさんは私のあごに手を添えて、
「んむっ?!」
「…………」
 そっと、くちづけをしてくれた。
 ゆるく閉じられた、きよたかさんの瞳。
 すぐ間近に感じられる息遣い。
 そして、くちびるから伝わってくるほんわかとしたぬくもり。
 どうしよう……
 これだけで、私はとろけそうになってる……

「ふうっ……」
「ん……」
 1分ぐらい経って、きよたかさんがゆっくりくちびるを離す。
 なんか、名残惜しいとゆーか……もっと、してたいのに……
「僕も」
「え?」

「僕も、ゆいとの子供……欲しい……」
「ほ、ほんと?」
「うん。そうしたら、ゆいもさみしくないだろうし……僕も、がんばれるから」
 その言葉にたまらなくなった私は、
「……きよたかさんっ」
「わっ」
 きよたかさんの胸に飛び込んで……
「んっ」
「んむっ……」
 そのまま、きよたかさんに口づけした。

 くちゅっ、くちゅっ

「んっ……ふぅっ……」
 きよたかさんの舌が、私のくちびるに割って入ってくる。
 あたたかいきよたかさんの舌に、私も舌をからめた。
「んんっ、ふぁっ……」
 とろとろした感覚で、あたままでとろけちゃいそう……
 私をなでるきよたかさんの手も、あたまから首筋、首筋から肩って下がっていって、
「き、きよたかふぁん……?」
 ぼうっとした目を開けると、その手はパジャマのボタンにかかっていた。
 恥ずかしげに、私を見つめるきよたかさん。
 私も、とってもはずかしかったけど……
「うん……」
 小さくうなずいて、もう一度きよたかさんにくちづけをした。

 次々と、ボタンが外れて脱がされていくパジャマ。
 冬の夜で寒いはずなのに、私の肌はもうすっかりぽっかぽかになっている。
「ぷはっ……」
 絡まっていた舌がゆっくり外れて、きよたかさんの顔が離れた。
「あっ」
 一瞬、さみしさが頭をよぎった。けど……
「んっ?! き、きよたかさん?」
 その顔が私の左胸に近づくと、

 ちゅっ

「んっ……!!」
 私の小さな乳首に吸い付いて、からだに電気が走る。
「やっ、やぁっ」
 軽く頭を押しても、離れてくれない。それどころか、
「んふぁっ……」
 右胸を、きよたかさんの手が包んで……優しく、もみはじめた。
「だめっ、んぁ、だめだってばぁ……!」
 とってもはずかしいけど……きもちよくて、体に力がはいらない。
 ずっと離れていたぶん、甘えたくなったのかな……
「もうっ、んっ……きよたかさんったら……」
 胸を吸い続けるきよたかさんの頭を、私はぎゅっと抱きしめた。
「んっ、やぁ……ふぁ……」
 あたまをやさしくなでると、子供のようにすいつくきよたかさん。
 本当に、今ここにいてくれるんだ……
「っ?!」
 ぼうっとしていた頭に、また電気が走る。
 かりっと乳首を噛んだみたいで……からだから、力が抜ける。
「はあっ、はあっ……はあっ」
 崩れ落ちそうな体を、きよたかさんにあずける。
「きよたかさんっ……」
「……うん?」
 私は、紅くなった顔を上げたきよたかさんの胸に抱きついて、
「だいすきっ……!」
「うぁっ」
 パジャマを脱がせながら、首筋にゆっくり吸いついた。
「んっ、ふぁ……」
「ゆい、そこ、いいよ……」
 きよたかさんの首や、うなじや、鎖骨をついばんでいく。
 色白いけどたくましい体に、ひとつひとつ、痕をつけるようにして。
 そして、胸やおなかにもキスしていった私は、きよたかさんを上目遣いで見上げると……
「あの、その……きよたかさん……」
 ううっ、恥ずかしいけど……
「……脱がしっこ、かい?」
「……うんっ」
 たぶん、トマトみたいに真っ赤になってるはずの顔で、小さくうなずいた。

「んぁ……」
 きよたかさんの手が、私の下着をパジャマごと下ろしていく。
 指が肌に触れるだけで、とっても気持ちいい……
「ゆい……濡れてる……?」
「ばっ……ばかぁ」
 さっきからされるがままで、たしかにそうなってるかもしれないけど……なにも、今言わなくても……
「ありがと、気持ちよくなってくれて」
 ……でも、だめだ。
 どうしても、この笑顔で全部許せちゃう。
「ちょ、んっ……き、きよたかさん……」
 そのまま、きよたかさんの指が私のそこをいじめだす。
 ぴりっ、ぴりっとして、きもちいいけど……
「やぁっ、だめっ、きよたかさん、まだっ……」
 私はあわてて手をのばして、きよたかさんのパジャマに下着ごと手をかけて、そっと……下ろした。
「……きよたかさんも」
「うん……?」
「きよたかさんも……気持ちよくなってくれたんだ」
 そこは、もうすっかり元気で……
 ほんと、びっくりだ。
「ゆい……一緒に、きもちよくなろ?」
「……うんっ」
 私のそこに、きよたかさんの手がふれて、
「んぅっ……」
 私も、きよたかさんの元気なそこをそっとにぎって、
「んっ……」
 お互いの顔を見合って、なぜだか照れ笑い。
「あんっ、き、きよたかさん……」
「ゆい……っ」
 きよたかさんの指が、私の中をくりくりっとかきまぜる。
 深くないけど、入り口のあたりがぴりぴりして……いい……
「うんっ……そう……」
 私も手を止めないようにして、きよたかさんのそこを上に、下にとこする。
 元気なそこの先っぽは、少しずつきらっと光っていた。
「んぁっ、あはっ……きよたかさんも、濡れてる……」
「ゆいも、いっぱい濡れてる……」
「うんっ……」
 ももにまでこぼれるなんて、自分でもわかるほど濡れてるみたい……
 そして、からだの奥のほうからぴりっとしびれてくる……
「……ゆい?」
「はあっ、はいっ……うん?」
 きよたかさんは私の肩に手を置くと、そっとベッドに押し倒した。
「そろそろ、いいかな……?」
 うるんでいて、だけど、私をまっすぐ見つめる瞳。
 大好きなその瞳に、私はうなずいて……
「んっ……いいよっ……」
 両腕を、大きく広げた。

 ちゅくっ……

「んっ……」
「うっ……」
 きよたかさんの先っぽが私のそこにふれると、背中に何かが走って小さく震える。
 まるで電気みたいに、気持ちよくて……
「ゆい……大丈夫?」
「た、たぶん……大丈夫」
 ここ最近はブルーになってて、一人ですることも少なかったけど……多分。
 私の返事を聞いて、きよたかさんは右手をそえて私のそこに狙いをさだめると……

 ずちゅっ!

「うっ……!」
 ……っ、だ、だめ……
 きよたかさんのがはいっただけで……なにも、かんがえられない……
「だ、大丈夫……?」
 きよたかさんがそうきいてくるけど、ただくびをふるしかない。

 ぎゅっ

「ふぁぁぁぁぁっ?!」
 そして、きよたかさんがわたしをだきしめたしゅんかん……

 びくんっ、びくんっ、びくんっ

 わたしのからだに、いっぱいでんきが……
「ゆ、ゆい……イッちゃった」
 ああ、いっちゃったのかな……
 そうかもと思って、くびをこくんとさせて……あ、きよたかさん、だきしめてくれてる……
「しばらく、こうしてよっか」
「で、でも……」
 きよたかさんがきもちよくないと……
「次に気持ちよくなるときは、いっしょだよ」
 ああ……
 だから、きよたかさんがだいすきだ……

 しばらく二人で抱き合っているうちに、意識が少しはっきりしてきた。
 私の中にきよたかさんがいて……とくん、とくんっていってて。
 そこを中心に、体がふわふわした気分になっていた。
「きよたかさん……そろそろ、いいよ」
「大丈夫?」
「うんっ。いっしょに……いこ?」
 私の言葉にうなずくと、きよたかさんは少し体を起こして、

 ずんっ

「ふぁっ?!」
 私の中を、ゆっくり動きはじめた。

 ぐちゅっ、ずちゅっ……ずにゅっ

「んっ、ふぅっ……んんっ」
 いっかいうごくだけでもからだがびりっとするのに……
 なんども、なんどもからだがしびれていく。
「んぅっ、き、きよたかさん……
 も、もっと、つよくして……いいよ……」
 わたしのことばにしんぱいそうだったけど、
「だ、だいじょーぶ……んぁぁぁっ!」
 おおきくうなずくと、きよたかさんはちからづよくうごきだした。

 ずむっ、ずにゅっ、ぐちゅ……

「ふぁっ! ああっ、んぅっ」
 あたまのなかは、ぼうっと……
 でも、からだはびりっと……
 まるで、じぶんものじゃないみたいだけど、
「きよたかさんっ! ああっ……いいよぉっ!」
 だいすきなひとが、わたしのなかにいるってわかるの。
「僕も……んんっ、気持ち、いいよっ!」
 そのことばをきくだけで、からだのなかが……おなかのなかが、きゅんとなるの。
 だけど、それでもものたりなくて
「きよたかさんっ……!」
「んむっ……」
 かおをよせて……きよたかさんにくちづけをした。

 ぐちゅっ、ずちゅっ、ぶちゅっ

「すきっ、すきっ……んっ……だいすきっ」
 きよたかさんがわたしのなかでうごくたび、わたしのなかのきもちがあふれていく。

 ずりゅっ、ぶちゅっ、ぐしゅっ

「僕もっ、好きだっ……んっ……ゆいっ!」
 そして、きよたかさんのきもちもあふれてくる。

 わたしは、しあわせなんだ。
 こんなわたしを、あいしてくれるひとがいて。

「ゆいっ……僕、そろそろっ……」
「きよたかさんっ、いいよっ……きてぇっ!」
 きよたかさんのうごきが、どんどんはやくなっていく。
 わたしのせなかも、あたまも、でんきがあばれだす。
「うぁっ、きよたかさん……きよたかさん……っ!」
 わたしはきよたかさんのこしに、あしをからめて……
「ゆいっ……ゆいっ!」
 きよたかさんは、わたしのからだをだきしめて……

 どくんっ!

「ふぁっ?!」
「んっ!」

 どくんっ、どくんっ、びゅるっ、ずにゅっ……どくんっ、びゅるっ……

 わたしのなかに……いっぱいの"きもち"があふれて……

「あぁぁぁぁぁぁぁっ!! ああっ……んあっ……」

 わたしのあたまのなかが……まっしろに、とけていった……


「はあっ、はあっ……はあっ……」
 ぼんやりした意識が、また戻ってくる……
「んっ……ふぁっ……はあっ……」
 きよたかさんは、私の上で全力疾走したみたいにぐったりしていて……
「ゆ、ゆい……」
「きよたかさん……きよたかさん……」
 私は抱きつきながら……まだ私の中にいるきよたかさんを感じていた。
「ゆいっ……」
「んっ……」
 また、やさしいきよたかさんのキス。
 何度してもあきないし、いくらでもほしいキス……

 ぎゅっ

「んっ……」
 抱きつかれるだけで、体がふるえる。
 まだ、きもちいい電気があばれまわってるみたい……
 ここちよく、そう思ってたときだった。

 こぽっ

「えっ……?」
 私ときよたかさんのすきまから、きよたかさんがくれた"きもち"が流れていく。
「やっ、やだ……」
 それが、なんかとってもさみしくて……
「でていかないでよぅ……」
 とってもいやで……涙が出そうになる……
「ゆい」
「えっ?」
 流れそうになった涙を、きよたかさんがすくった。
「大丈夫だよ」
「……きよたかさん?」
「今日は……ゆいの中を、僕でいっぱいにしてあげるから」
 ……ううっ。
 ずるい、ずるいよぅ……
 私の気持ち、全部わかっちゃうなんて……

「もうちょっと、あっちで仕事があると思う」
「……うん」
「しばらくは……こんな生活も続くと思う」
「……うん」
「まだ……ゆいを、寂しくさせちゃうかもしれない」
「ううん」
 その言葉だけには、私は首を振る。
「大丈夫だよ……遠くにいても、きよたかさんがいてくれるってわかるから……」
「ウソが下手だな、ゆいは」
「えっ?」
「涙、すくってもすくっても出てくるじゃないか」
 だめだ。
 私のココロ、すっかりきよたかさんに正直になってる……
「寂しかったら、電話してきてもいい。メールでもいい。会いにくるのは……ちょっと難しいか。
 でも……やっぱり、僕もゆいにいてほしいんだよ」
「きよたかさん……」
「子供が出来たら……ううん、その前にでも仕事を終わらせないとね」
 その、優しいきよたかさんの決意に……
「だから、ゆい。
 もうちょっと……待っててくれるかな」
「はいっ!」
 涙を流したまま、私ははっきりとうなずいてみせた。


「だめだよ、泣いちゃ……寂しくなくさせてあげるから」
「あ、んっ……もうっ、きよたかさんったら……」
「もっと、気持ちよくさせてあげる」
「……うんっ」


 そして、次の日の朝……
 私は結婚後、初めて欠勤届を提出した。

「荷物、全部大丈夫だよね?」
「うん、ちゃんと持ってるよ」
 夕方になって、私はきよたかさんを送りに駅へ来ていた。
「あっちについたら、ちゃんと連絡するんだよー?」
「大丈夫だよ。途中メールもするし、あっちでも電話するから」
 優しい眼差しで、そう約束してくれるきよたかさん。
 少しの間見られないけど、また大みそかには帰ってきてくれるし、きよたかさんパワーも十分充電した。
 今は、ちゃんと送ってあげないと!
「それじゃあ、そろそろ……」
「あ、きよたかさん」
「うん?」
 私は、後ろ手に隠していた紙袋をきよたかさんに手渡した。
「これは……あ、もしかして」
「くふふっ、なにかなー?」
「ゆい特製のお弁当でしょ」
「ぴんぽーんっ!」
 お昼ごはんといっしょに、こっそり夕ごはん用のおかずも作っておいた私は、出掛ける前に
おにぎりを作って、お弁当に仕立ててみたのさ。
「きよたかさんの大好きなハンバーグも入ってるし、野菜炒めもたっぷり入ってるよ」
「なら、じっくり頂かないとね」
 ああっ、大事そうに抱きしめてくれて……嬉しいよー!
 うきうきしながら、構内にある時計を見る。
「それじゃあ……そろそろ、時間かな」
「あっ、うん。大みそかの夕方頃には帰ってくるから」
「うんっ。また、大みそかに」
 私はにっこり笑って、職場でやるように小さく敬礼した。
 笑いながら、きよたかさんも敬礼してくれる。
「じゃあ、いってきます」
「いってらっしゃーい!」
 改札のほうに歩いていくきよたかさんに、大きく手を振る。
 きよたかさんも大きく手を振って……そして、人混みの中に消えていった。
 寂しくないって言ったら、それはウソ。
 きよたかさんにとなりにいてほしいのは、当たり前のこと。
 でも、約束してくれたから。
 約束して……いっぱい、きもちをくれたから。

「もー、ちゃんと生まれてくるんだぞー?」
 車のドアを閉めながら、あの人のきもちでいっぱいになったおなかをさすった。
「生まれてこなくても、生まれてくるまでいっぱいきもちをもらっちゃうんだからね」
 まだ、きよたかさんのきもちがいっぱいみたいで……
 ココロも、カラダも、いっぱいぽっかぽかだった。

「んじゃ、ゆたかとこなたに会いに行きますかねー」
 私はキーをまわして、ナビを立ち上げた。

 さーてとっ!
 明日からも、がんばりますかっ!



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  • いいね、ゆいさん可愛い。 -- 湾岸の新人 (2009-07-15 07:23:25)


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