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Princesses

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匿名ユーザー

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「ねえ。かがみってさ、白馬の王子様に憧れたことってある?」
 お昼休み。こなたが唐突にそんなことを言い出した。
「また何かアニメの話?」
「ううん。よく女の子の憧れの定番みたく言うけど、実際どんなもんなのかなーって、ふと思ってさ」
「ふーん。よく分かんないけど、そういうのに憧れる子もいるにはいるんじゃない? 私達ぐらいの年じゃさすがに稀少っていうか、痛いと思うけど」
「つかさはどう?」
「うーん……小さい頃はシンデレラや白雪姫に出てくる王子様にちょっと憧れたりしたかな」
「なるほどー」
「そういうあんたはどうなのよ?」
「私の場合は別のものに憧れてたよ。世界を救う勇者に選ばれるとか、突然異世界に召喚されるとか、スタンドや念能力にも憧れたなぁ……」
「それって白馬の王子様より痛々しいんじゃ……」
「ムーの読者投稿欄で前世の仲間捜しとかはしてないから安心してよ」
「何それ?」
「夢を見すぎた少女達のお話さ。……まあそういうわけで、私はどっちかというと、王子様に迎えに来て貰うより、捕らわれのお姫様を助ける方がいいね。二つの意味でもえる展開だし」
「ああそう……」
 さして興味も無さそうにかがみが相づちを打つ。そこで話が途切れた。
「あ」
 またこなたが唐突に声を上げた。
「お姫様といえば、お姫様抱っこってしてもらったことある?」
「横抱きのこと? 無いわね。実際にああいう抱き方されるのって、遭難して救助された時とかじゃないの」
「あー……まあ、そうだけどさ。かがみは夢が無いというか……ロマンが分からないというか」
「何だと?」
 かがみが目を三角にして睨み付けるが、こなたは華麗にスルー。
「つかさはどう?」
「私は、されたことないけど……どんなのかちょっと興味はあるかも」
「ほほう」
 キラリ、とこなたが目を光らせる。
「じゃあちょっとやってあげよっか?」
「え、こなちゃんが? できるの?」
「つかさぐらいなら抱っこできるよ。こう見えても体力に自信はあるしね。ささ、姫様、遠慮無くどうぞ」
 椅子から立ったこなたが両手を広げる。つかさは少し逡巡してから、傍へ寄っていった。
「つかさ、首に腕回して」
「う、うん」
 こなたはつかさの背中と足に腕を回し、
「よいしょっ、と」
 一息に持ち上げた。
「わ……!」
 軽々と持ち上げられたつかさ。抱く側と抱かれる側、身長差の割にはなかなか様になっていた。
「すごーい! こなちゃん、力持ちなんだ」
「ま、ね。どう? 初お姫様抱っこの感想は?」
「うん……何か、ふわふわして不思議な感じがする」
「ふむふむ……確かに、抱っこしてるこっちも何となく新鮮な気分だね」
 そのまま数秒、お姫様抱っこの姿勢を続ける二人。
「ちょっとこなた。いい加減にしなさいよ。つかさが周りから変に見られるでしょう」
 かがみから注意されて、こなたは渋々つかさを降ろした。
「ありがとう、こなちゃん」
「どういたしまして。ところでかがみはどう?」
「な、何がよ?」
「お姫様抱っこ。されてみない?」
「私はいい」
「ホントに?」
「いいって言ってるでしょうが。あんたに抱っこされて何が楽しいか」
「……そう」
 心なしか残念そうに俯くこなた。かがみは少し言い過ぎたかと思い、声を掛けようとしたが、
「よしっ。みゆきさんいってみよう」
 こなたはとっとと席を離れてみゆきの所へ向かっていった。

「え。お姫様抱っこですか?」
「そうそう。ちょっとやってみない?」
 いきなりそんなことを言われて戸惑っていたみゆきだが、ほとんどこなたの勢いに流されるようにして、お姫様抱っこされるのを了承してしまった。
「では、失礼。……よいしょっ」
 太っているという意味ではなく、つかさより体型がいいみゆきのこと。予想通りに重量があったが、それでも持ち上げるのに苦は無かった。むしろ持ち上げられているみゆきの方が不安そうだ。
「あ、あの、大丈夫ですか?」
「うん、全然平気。むしろ心地良い重みと感触が」
「最後のはセクハラだぞ……」
 横からその様子を眺めていたかがみが突っ込むが、こなたは意に介さずみゆきの抱き心地を満喫している。
「どう、みゆきさん? 感想は」
「ええと……何だか、変な感じですね。こそばゆいというか……」
「あー、分かるよゆきちゃん。何かちょっともやもやした感じするよね」
 十数秒して、こなたはみゆきを降ろした。
「どうも、貴重な体験をありがとうございました」
「いやいやこちらこそ」
 こうして、つかさ・みゆきと二人がこなたにお姫様抱っこしてもらったわけだが……
「……(ジー)」
「な、何よ? 何見てんのよ?」
「かがみ、お姫様抱っこ……やってみたくない?」
「ない!」
 かがみはこなたの問い掛けを一言で切って捨てると、口を引き結んでそっぽを向く。
「……それじゃあさ、かがみ」
「何よ?」
「お姫様抱っこ、させてくれないかな?」
「っ!」
 押してダメなら引いてみろ、引いてダメなら押してみろ。誘うのではなく、頼み込む作戦にシフトしたこなた。その瞳は真っ直ぐかがみを見つめている。
「な、何でそんなことしなきゃいけないのよ。つかさやみゆきで十分――」
「いやいや。事ここに至って、かがみをお姫様抱っこしていないというのは、まさに画竜点睛を欠くというもの。この機を逃せば末代まで悔いることに――」
「大げさすぎるだろ表現が」
「じゃあ簡単に。お姫様抱っこさせて。かがみをしたいから」
 かがみ、しばし沈黙。やがて、大きくため息をついた。
「……分かったわよ。断ってもあんたのことだから、しつこく頼んできそうだしね」
「うん。きっとしつこく頼むよ」
 こなたはにんまり笑ってうなずく。
 そんなわけで、かがみもお姫様抱っこされることになった。
「じゃあかがみ、首に腕回して」
「気を付けてよね」
「大丈夫だよ。任せたまへー」
「……」
 抱っこされる直前のかがみは、つかさやみゆきよりよほど緊張した様子だった。
「それじゃあ、いくよ」
「え、あ、ちょっ、待っ――」
 心の準備がまだだったか、慌てて声を上げるかがみ。だが、こなたは既に持ち上げる体勢に入っていた。
「よいしょっ」
 ぐいっと持ち上げるこなた。ストップさせようと不自然な体勢になっていたかがみ。結果――
 ゴン
 鈍い音が鳴った。例えるなら、お姫様抱っこされようとした人間が、うっかりバランスを崩して後頭部を傍の机の角にぶつけたような。
「いや、それ例えじゃなくてそのまんまだから」
 誰にともなく突っ込むこなたはさておいて。
 かがみは両手で後頭部を押さえている。かなり痛そうだ。
「あ、あの、かがみ……」
 恐る恐るこなたが声を掛ける。
「……こぉ~なぁ~たぁ~……」
 地に響くような低い声。心配そうに傍へ寄っていたつかさとみゆきも、ただならぬ殺気を感じて身を引いた。
「そこへ直れーっ!!」
「はいぃっ」
 怒鳴りつけられ、萎縮するこなた。バランスを崩した主な原因はかがみにあると思うのだが、それは口に出さない。
 お姫様というのは、何においても守るもの。それがこなたの義務だったのだから。







この際だから他の人達もお姫様抱っこしてみよう。


  • みさお
「わっ!? いきなり何だよ?」
「お姫様抱っこだよ。どう?」
「どうもこうもあるかっ! 恥ずかしいから――」
「でもみさちゃん、ちょっと嬉しそうじゃない?」
「そ、そんなわけないだろ! はーなーせーっ!」


  • ななこ先生
「うわわ!? 何や泉!?」
「いえいえ。ちょっとお姫様抱っこ行脚をしておりまして」
「わけの分からんこと言うな! 恥ずいからはよおろさんかい!」
「おー、先生が顔真っ赤にしてるの初めて見た。結構可愛い……」
「なっ……ええ加減にせいっ!」


  • ゆたか
「ダメっスよ先輩!」
「おわっ、どしたのひよりん?」
「小早川さんには既に岩崎さんという伴侶がいるっス! 一つのカップリングに固執するのは本意ではないっスが、小早川さんのお姫様抱っこの権利は岩崎さんにあると主張するっス!」
「うーん、それもそうか……分かった。ここはひよりんの意見を尊重しよう」
「分かってもらえて嬉しいっス!」
「んじゃ、代わりにひよりんをお姫様抱っこね」
「え? ……ひああっ!? は、恥ずかしいっスよ~!」


おわり



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  • ひよりん、ナイス☆ -- 名無しさん (2011-04-12 04:22:37)
  • おまけもいいねえ -- 名無しさん (2010-02-20 14:05:02)

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