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ゆたか×みなみ

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 ――いきなりですが話は夏休み明けになります。
「――っていう事があったんだ」
 ゆたか、みなみ、ひより。いつもの三人が集まって話しているのは夏休みの報告。
 と言えば義務的にも聞こえるが要は思い出について話しているだけ。
 ゆたかが今話したのはこなた達先輩方、みなみ、ゆたかで言った夏祭りの事。
 ゆたかが体調を崩し、みなみに膝枕をして貰いながら花火を見たという話だった。
「へ~、そんな事が……」
 笑顔で相槌を打つひよりだが、その裏ではまた妄想癖があらぬことを思い描いていた――。


「綺麗だね……」
 ゆたかの声に、みなみが無言で頷く。言葉なくとも体の揺れからみなみが頷いたのがゆたかにも伝わる。
 二人を照らすのは夜空を彩る煌びやかな花火。美しい光の奔流が頭上から降り注いでいた。
「……大丈夫?」
 みなみがゆたかを心配そうに見つめる。手は労るようにゆたかの頭を撫でる。
「大丈夫……」
 瞼を閉じ、噛み締めるようにゆたかは呟いた。そこには確かな安堵がある。
「みなみちゃんの膝あったかいね」
 不意にゆたかが言った。
「そうかな?」
「うん、あったかい。みなみちゃんの体温が伝わってくるよ」
 ゆたかが体勢を崩し、腰に抱きつくように腕を回し、一層の密着を図る。
 きゅっ、と腰を締め付けるゆたかに、みなみは不思議な愛しさを感じた。
 まるで妹の様に甘えるゆたかにみなみは頭を撫でていた手を頬をやる。
「……ん」
 頬を優しくさする手に、ゆたかがくすぐったそうに目を細めた。微かに漏れた声に合わせ、唇も僅かに開かれている。
 何故か、みなみはそこに自分の唇を重ねたいと思った。
 そう思った時にはゆたかを抱き起こし、唇を重ねていた。
「んん……?」
 突然の事にゆたかの理解が追いつかない内に、みなみは唇を割開き舌を差し込んだ。
 自分でも何故そうしたのか分からない。したいと思ったから。或いは、しなければならない気がしたから。
「……ふぁ」
 糸を引かせながら唇を放した所で、ようやくゆたかが、キスを――それも深いキスをされた事を認識した。
「みなみ……ちゃん?」
 顔を真っ赤にしながら、どちらのものともしれない唾液で濡れた唇を手で抑える。
 拭うことはしないままに。
「あ……」
 みなみは自分のした事に気付き、ゆたか同様顔を朱に染める。
「……ごめん」
 呟く声は謝罪の言葉。
「いや! その、嫌じゃ……なかったよ?」

「え……?」
「びっくりはしたけど……みなみちゃんのキス、イヤじゃなかったよ?」
 ゆたかが、受け入れてくれた。自分の行為を。
 みなみは胸が昂まるのを感じた。一度受け入れられた行為。その先を無意識のままに想ってしまう。
「もう一回、していい?」
 思わず言ってしまう。勢いに任せた言葉は、ゆたかの頷きが返事となり応えた。
 互いの顔が、唇が近付く。それぞれの息が掛かる距離。みなみにとって、その息すら甘い香りを持って自分を誘うものに思えた。
「ん……」
 唇が触れる。優しく、本当に唇を触れさせるだけのキス。
 しかし、物足りないとみなみは思った。思ってしまった。
 より深く、先よりももっと。
 ゆたかと繋がりたくて、舌をちろりと出す。軽く唇を舐めたそれに、ゆたかは意を汲み取り自らの唇を開く。
「ふ……ん」
 みなみの舌と、ゆたかの舌が交差し絡み合う。
 絡み合ったそれは、互いの深い部分を目指すかのようにうねり、奥へと差し込まれる。
 くちゅ、と音がした。それはどちらだったか。それとも同時にか。
 絡み合う舌は水音を立て、二人の接触を鮮明に伝える。
 みなみは不思議だった。何故こんなにもゆたかの舌は柔らかいのか。ゆたかの口内が暖かいのか。唾液が甘いのか。
 分からない。分からないが、ただ一心にそれらを感じたくて舌を動かす。
 舌を絡め、口内を舐め、唾液を味わう。
 その度にくちゅくちゅと唾液の混ざり合う音がして、みなみはまた、互いの接触を意識する。
「ふ……んん、ちゅっ……ふはっ」
 時折、息継ぎに漏れる吐息すら、顔を甘美にくすぐりみなみを昂ぶらせる。
「んん……ちゅ、……っは」
 ようやくみなみとゆたかが唇を離す。唇と唇を繋ぐ互いの唾液が混ざったそれが、花火に照らされ虹色に輝く。
 綺麗だと思った。
 それが絶えるのを惜しみながら、唇は離れていく。
 ぷつん、と糸が切れた瞬間になんとも言えない寂しさがみなみを襲った。
 それを消し去りたくて、ゆたかを抱き寄せる。
「みなみ……ちゃん」
 ぎゅっと、抱き締める。そうしていて気付いた。
 自分はゆたかと繋がっていたいのだと。どこかで触れ合っていたいのだと。
 心の何処かで、体の何処かで。
 それはきっと恋をするということ。
 同性だからとか関係ない。
 それほどに岩崎みなみは小早川ゆたかを好きなのだ。
 そう、気付いた。

「好き」
 想いは、自然と口をついて出た。
 言ってしまったと思った。言ってしまって嬉しかった。
「私は、ゆたかが好き」
 もう一度、確かめるように。
 想いを伝えるのが嬉しい。例え、断られても。
 それで十分だった。
 それで十分だったのに――。
「……私もだよ。みなみちゃん」
 そう、笑顔で応えてくれた。
 自分の好きな人が、自分もそうだ、と。
「……ゆたか」
 抱き締め、キスをする。
 この想いは口に出来ないと思った。元から言葉にするのは得意ではない。
 だから、行為で示そう。
 想いよ伝われ。願い唇を重ねる。
 深くはない。それでも、心の一番奥で繋がっている。そんなキス。
 互いを感じるためのキス。
 それが、そっと離される。
 見つめ合い、もう一度だけ、軽いキス。
「……お姉ちゃん達、来ちゃうね」
「……うん」
 こんなにも時を惜しいと思うのは初めてだった。
 それでも。時に止まって欲しいとは思わなかった。
 何故なら、ゆたかとのこれからを想うと胸が高鳴ったから。
「――い……。お~い」
「あ、お姉ちゃん達だ」
 気が付けば花火は終わっていて、遠くからは自分より幼い見た目の先輩が手を振りながら来ていた。
 隣のゆたかを見る。まだ顔が少し赤いけど、いつもの顔だ。
「行こう?」
「……うん」
 祭りという特別な今日が終わって。また日常が始まる。
 それはだけど、昨日とは違う日常。隣に、心の中に、一緒にゆたかが居る。
 それを想うとみなみは嬉しかった。

 ――夏の夜。それはみなみとゆたかにとって一番の思い出になった夜になった。

「――ちゃん。ひよりちゃん?」
「はうっ!」
 ――もしかしてまた意識飛んでた!?
 気が付くとひよりはみなみとゆたかに心配そうな目で見られていた。
「どうしたの? 急に考え込む素振り見せたかと思ったら返事しなくなるんだもん」
「え? あ~……いやはは……」
 笑って誤魔化す。まさか脳内で二人の純愛百合を妄想していたなど言えない。
「それにしてもびっくりしたよ……お祭りの話の途中でいきなりだもん。なにか触れてはいけないトラウマに触れたのかと……」
「いや! 大丈夫、大丈夫だから!」
 まあ、ネタに使えるのは確か。うん、家に帰ったら描いておこう。

 そう誓うひよりだったが、その間に。
「ふう……ひよりちゃんが急に黙り込むからあの夜にキスした事を推理して気付いたのかと」
「それは大丈夫のはず。ヒントはなかった。」
「うん、気付いたとしたらそれはもう妄想の域だよね……」

 ひよりは知らない。自分の妄想が的外れではないことを。

 ゆたかとみなみは知らない。あの夜の事を、ひよりが本当に妄想で当てていた事を。

 それでも今日も、表向きは変わらぬ日々。世は平和こともなし。
 教室も、変わらぬ景色を繰り返していた――。

 ほんの少し、見つめ合う事が増えた二人を除いて。

fin.



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コメント:
  • 流石っひよりん!GJだぜ!!
    そして みなみは俺の嫁だ。(-ω-.) -- 名無しさん (2013-05-07 18:28:00)
  • さすがひよりんはクオリティが高いねぇ~(ムフン -- konakona (2011-04-10 06:54:49)
  • おまえら・・・この話読んだ後で嫁宣言とか・・・ -- 名無しさん (2010-12-26 17:39:01)
  • みなみちゃん激萌えなのだよ〜(≡ω≡.) -- konakona (2010-04-04 00:50:05)
  • は? みなみなら俺の隣で寝てるぞ? -- 名無しさん (2010-03-13 22:42:15)
  • いや、ほら、みなみは俺の嫁だしさ -- 名無しさん (2010-03-11 16:28:15)
  • みなみには興味がないのか?


    -- 名無しさん (2010-03-10 22:14:56)
  • ひよりGjw -- 名無しさん (2010-03-07 15:22:23)
  • ゆーちゃぁぁぁぁぁぁん!!!! -- 名無しさん (2010-01-18 01:07:46)
  • ゆーちゃんかわええええええぇぇ! -- 名無しさん (2010-01-16 13:19:22)
  • ひよりマジプリティ -- 名無しさん (2009-12-03 17:12:28)
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