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らき☆すた三国志~桃園の誓い~

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匿名ユーザー

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 今より千八百年の昔のこと。
 乱世の種子を今まさに芽吹かせようとしている中国大陸。黄河にほど近い平原より、この物語は始まる……。


 晴れ渡った秋の空。清々しい風の吹き渡る平原を、一人の旅人が歩いている。地に届くほど長く伸びた髪と頭上に立ったアホ毛が特徴的な、いささか短躯の少女だった。
 身なりは粗末ながらも、その顔立ちにはどこか飄々とした気品がある。腰帯に二振りの剣を差し、布で包まれた荷物を背に負っていた。
「あー、お腹減ったなぁ……」
 呟いた少女は、歩きながら周囲を見渡した。民家でもあれば何か食べ物を分けて貰うよう交渉したいが、あいにく人っ子一人見えない。
 ――と、
「ん?」
 砂煙が上がっているのが見えた。複数の騎馬がこちらへ走ってくる。それに跨る男達は、いずれも黄色い頭巾を被っていた。
「あちゃー、黄巾の連中だ」
 厄介なのに見つかったと思い、少女は頭をかいた。
 黄色の頭巾を目印とする黄巾族は、この地方で恐ろしい略奪を行っている悪名高い集団だ。
 さすがに相手が騎馬では逃げられない。たちまち剣や槍を引っ提げた男達が少女を取り囲んだ。
「おいガキ。その背の荷を渡してもらおうか」
「ついでにその腰の剣もな」
「大人しく渡すなら命だけは助けてやる」
 口々に喚く男達を前に、少女はため息をついた。無論、どちらも渡せるはずがない。
「やだね」
 少女は周囲の男達を睨め付け、言い放った。
「いきがるな、ガキめがっ!」
 男の一人が馬に乗ったまま槍を振り上げ、少女目掛けて打ち下ろした。が、穂先は虚しく地面を叩いていた。
 猿の如く跳躍した少女は、槍を振るった男の頭に、華麗な跳び蹴りを見舞った。たちまち男は鼻血を出して馬から転げ落ちる。
 地面に降り立った少女は、既に腰間の秋水を二つ、両手に抜きはなっていた。多勢に無勢なれど、目には微塵の恐怖も無い。
「さあ悪党ども。この泉こなたの剣を恐れぬのならば、かかってこい!」
 かなり芝居がかった口調でそう言うや、こなたは男達に自分から飛びかかっていった。
 こなたが剣を振るうたび、血煙が上がり、屈強な賊どもが悲鳴を上げる。水際だった剣腕だ。
「何を浮き足立ってやがる! 数で囲んで、なますにしちまえ!」
 リーダー格らしき男が大声を上げる。それに呼応し、男達が円を描いてこなたを取り囲もうとした。
 その時である。突如として一つの影がその場に躍り出た。こちらも少女である。こなたより背丈は高く、二つに結った長い髪が美しく躍動している。
「だ、誰だてめえはっ!?」
「悪党に名乗る謂われは無いわ」
 新たに現れた少女はたちまち賊の一人から槍を奪い取り、結集しようとしていた男達を蹴散らし始めた。
 二人の少女に散々斬り立てられた黄巾族の男達は、とても敵わぬと見るや這々の体で逃げ出していった。
「フン……所詮は弱い物いじめしか出来ない連中ね」
 使い物にならなくなった槍を投げ捨て、後から来た少女は嘯いた。
「いやぁ、助かったよ謎のヒーロー」
「は?」
 こなたからいきなりわけの分からない呼称をされて、少女の目が点になる。
「何よその謎のヒーローって」
「だって主人公のピンチに颯爽と現れて助けるなんて、ポジション的にまさにそれじゃん? あとは名乗りもせずに立ち去れば完璧だったけど」
「何で私がそんなことしなくちゃいけないの。名乗るわよ。私は柊かがみ。流浪の旅をしてるわ。ていうかあんた、助けて貰ったって自覚あるなら他に言うことあるんじゃないの?」
「うん、そうだね。本当にありがとうございました」
 一転してこなたが真面目にお礼を言うや、かがみは急に照れくさくなったのかそっぽを向く。
「べ、別に最初からあんたを助けようと思ったわけじゃないからね。私はただ黄巾の奴らを懲らしめようと思っただけで、あんたを助けたのは、その、ついでよ!」
(何というツンデレ……柊かがみ、ただ者ではない)
 そんな所に一番感心するこなただった。
「……ところであんたの名前は? こちらは名乗ったんだけど」
「おっとこりゃ失礼。私は泉こなた。ただの農民だよ」
「農民ねぇ……それにしては見事な剣捌きだったけど」
「まあ、武術に関しては昔からお父さんにみっちりやらされてたから」
「それにその二振りの剣。よほどの名刀と見たわ。ひょっとしてあんたの家、元は貴族か何かだったんじゃない?」
「さー? お父さん、昔のことはあんまり話してくれないから」
「ふぅん……」
 どちらにせよ、今ここで論じてどうなる問題ではない。
「あんた、家に帰る途中?」
「うん。洛陽船からお茶っ葉を買った帰りだよ」
「じゃあその背の荷物は茶壺か。どうりで黄巾族が狙うはずね」
 この時代のお茶というのはとても高価な物で、病人に与える薬ともされており、身分の低い人間は滅多に手にすることすら出来なかった。
「多分、船から買う所を奴らに見られてたんだろうね」
「用心しなさいよ、まったく」
「うん。今度から気を付けるよ」
「私はもう行くわ。この先の道中も気を付けなさいよ」
「あ、ちょっと待ってかがみ」
「もう呼び捨てか」
「まだちゃんとお礼をしてないんだけど」
「別にいいわよ。そんなの」
「それじゃあこっちの気が済まないからさ。良かったら、これ持って行ってよ」
 そう言ってこなたは腰に差していた二本の剣をかがみに差し出した。
「ちょっ、それ大事な物でしょ!? 貰えないわよ」
「遠慮しないで。こういうレア度の高い武器は、しがない農民の私より、かがみみたいに義心ある武人が持つべきなんだよ」
「レア度って何よレア度って……」
「気にしない気にしない。ほら、受け取ってよ。その方がこの剣も喜ぶだろうから」
「でも……」
 素直に言えばその剣を受け取ることに心惹かれながらも、やはりかがみは慎み深く辞退を繰り返した。が、こなたの方も頑固に譲ろうとし、結局かがみが押し切られてしまった。
「……それじゃあこの剣、大事に使わせてもらうわね」
「うん。これからも頑張ってね。かがみっていわゆる在野の人でしょ? 良い所に就職できるように応援してるよ」
「仕えるに足りる人を見つけられればの話だけどね……あ、そうだ」
 ふと思い出して、かがみは手を叩いた。
「あんた、女の子を見なかった? 私と同い年の……ていうか、双子の妹なんだけど」
「ううん、見てないけど」
「そっか……」
「探してるの?」
「まあね。少し前にはぐれちゃって。多分、それほど遠くには行ってないと思うんだけど」
「そっか。もし見かけたらかがみのこと伝えとくよ」
「頼むわね」
 そう言って、かがみは悠々とその場を去っていった。平原を歩いていくその背中に、こなたが声をかける。
「出世したら私をお嫁に迎えに来てねー」
「行かねーよ! 何でそこまで話が飛んでんだ! つーか私もあんたも女だろーが!」
 全力で突っ込み、今度こそその場を去っていくかがみであった。
「ふーむ……ああいうツンデレ属性な突っ込み役が、私の身近にも欲しいもんだなぁ」
 そんなことを呟きながら、こなたもまた平原を歩いていった。

 かがみと別れて数日の後、こなたは父の待つ我が家に帰ってきた。
「ただいまー」
 こなたが元気良く帰宅を告げると、父そうじろうは待ちかねていた様子で玄関まで出迎えに来た。
「おー、おかえりこなた。道中何事もなかったか?」
「何事かはあったけど、別に無事だったよ」
「そうかそうか」
 最近、年のせいか体が弱りはじめた父のため、わざわざ遠方に茶を買いに行ったこなたである。
「積もる話もあるだろうが、まずは……ん? おいこなた。剣はどうした?」
 こなたの腰帯から剣が消えてるのに気付いたそうじろうは、不安そうに尋ねる。
「ま、まさかお金が足りなくて売っちゃったとか……」
「ううん。そうじゃなくてね――」
 こなたは帰り道で黄巾族に襲われた所をかがみに助太刀してもらったこと、そのお礼に剣を譲ったことなどをかいつまんでそうじろうに説明した。
「ば、馬鹿者っ!!」
 剣を人に譲ったと聞くや、そうじろうはこなたを怒鳴りつけた。
「こなた! ちょっとそこに座りなさい!」
 玄関先だというのに、そうじろうはその場に腰を据えた。
「な、何お父さん? あの剣あげたの、そんなにまずかった?」
「まずいどころじゃない。とにかく座りなさい」
 珍しく険しい顔つきのそうじろうの前に、こなたは大人しく座った。
 そうじろうは何度かため息を繰り返した後、おもむろに語り始めた。
「いつかは言おうと思っていたことだがな……私の妻、お前のお母さんの泉かなたは、今でこそ農家に身を落としていたが……実はこの国の皇室の血筋なのだ」
「それってつまり、お母さんのご先祖様が皇帝だったってこと?」
「そうだ。それはつまり、こなた。お前の体にも皇帝の血が流れているということなのだ」
「……」
「あの雌雄一対の剣は、お前に流れる皇帝の血を唯一証明してくれる品物だったのだ。それをお前は……何と浅はかな真似をしてくれたのだ」
「でもお父さん。血を引いてたって今の私はただの農民なんだし――」
「大馬鹿者っ!! お前は本気でこの片田舎で畑を耕して生涯を終えるつもりなのか!?」
 そうじろうの目は、怒りとも哀しみともつかぬ烈しい感情に染まっていた。こなたは身の縮む思いがした。
「いずれお前が世に出る時のために、あの剣は必要な物だった……かなたから託された大切な物だった。それだというのに……決して手放してはならぬと言い含めていたのに、お前という奴は……」
 そうじろうはもはや怒る気力すら無くしたか、ただただ肩を落とすばかりだった。
 今さらながら、こなたは慚愧の念に耐えなかった。父の思いと、母の残してくれた血と剣を無下にした自分が情けなく、悄然と地に手を突き涙を零した。
「ごめんなさい……お父さん、お母さん……」
 一言謝罪の言葉を呟くと、こなたは立ち上がった。
「こなた、どうする気だ?」
「……良いきっかけだと思う。世に出てみるよ。剣は無くしたけど、私の体からお母さんの血が無くなったわけじゃないから……それから――」
 こなたは小さくため息をついた。
「出来ればかがみに会って剣を返してもらいたいけど……それって気まずいなぁ」
「あ、あのー」
「「?」」
 不意に聞こえた声にこなたとそうじろうが振り向くと、玄関から一人の少女が顔を覗かせていた。
「あ、急にごめんなさい。立ち聞きするつもりはなかったんですけど、声が聞こえちゃって……」
 短い髪に色紐を結んだ少女は、柊つかさと名乗った。
「柊? ひょっとしてかがみの妹?」
「あ、やっぱりお姉ちゃんのことなんですね。さっきかがみって名前が聞こえたから」
 話を聞くと、数日前にはぐれてから、方々を転々としながらかがみを探していたらしい。つまり姉と同じことをしていたわけだ。
 それにしても彷徨い続けた揚げ句、こなたのいるこの村に辿り着くとは、偶然というのはあるものだ。
「なるほど。そういうことなら私と一緒に来る? 私もかがみには会わないと行けないし――」
「私ならここにいるわよ」
 狙ったようなタイミングでつかさの背後からその場に現れたかがみだった。
「お姉ちゃん! どうしてここに?」
「あなたを追いかけてきたのよ」
 かがみはつかさではなく、こなたを見てそう言った。
「私を? 何で?」
「それは――」
「まあまあ待ちなさい」
 話を急ごうとするこなたをそうじろうが止めた。
「玄関で立ち話も何だ。買いたての茶葉があるから、話は裏の桃園でどうだろう。こなた、ひとっ走り谷まで行って湧き水を汲んできなさい」

 泉家の裏にある広い土地には、一面に桃の木が植えてあった。今は秋で葉も落ちているが、春の花盛りの時期には、それはそれは美しい光景を見ることが出来る。
 その桃園の一角をそうじろうが箒ではいて落ち葉を除き、蓆を敷いて茶壺と茶碗と湯を沸かす炉を運ぶ。
「あの、本当にそこまで構って貰わなくても良いのですが……」
 繰り返すが、当時お茶というのはとても高価な品だった。いそいそと準備をするそうじろうを前に、かがみとつかさが遠慮しようとしたのも無理はない。
「お客様をもてなさないわけにはいかないよ。それに、こなたが危ない所を救ってもらったらしいからね」
「いえ、私はそんな大したことはしていません」
「いやいや、乱れに乱れたこの国で、かがみさんのような人に会えたこなたは幸運さ」
「それはこちらも同じです」
 そう言うと、かがみは腰に差していた二振りの剣を鞘ごと抜いた。こなたから譲られた雌雄一対の剣である。
「この剣はこなたに返そうと思っていました。そのために私は彼女を追いかけて来たのです」
「剣を……それはどうしてだい?」
「声を聞いたからです」
「声……」
「はい。この剣の声を聞きました」
 世迷い言を言う目ではなかった。
 かがみは黙って雌雄のうち片方の鞘を払い、天へかざすように振った。秋風を裂き、剣は啾々と鳴った。
「泣いています」
 かがみは剣を鞘に収めた。
「この剣は私が持つべき物ではありません。これは、天下を治める皇帝ただ一人が持つべき剣……まあ、正直言うとあのこなたが皇帝になれるのかちょっと疑問ですけど」
「うーん……それは俺もちょっと思っちゃうなぁ」
 かがみとそうじろうが揃ってため息をつき、つかさはその様子に首を傾げていた。
「何にせよ、かがみさんは徳のある良き武人のようだ」
 お茶の下準備を終えたそうじろうは、おもむろに天を見上げた。高く澄んだ秋の空はどこまでも青く、雲の一つも留めてない。木々の梢からは秋の鳥達が様々な音色を響かせている。
 しばらくしてそうじろうは、かがみとつかさに視線を向けた。
「かがみさん、つかささん。あなた達さえよければ、これからこなたの力になって貰えないだろうか?」
「それは――」
 かがみが答えようとした時、新鮮な湧き水入りの桶を提げたこなたが、桃園に姿を現した。
「お水汲んできたよー」
「おー、ご苦労こなた。それじゃ、早速お茶にしよう」
 さっきまでの話は一旦脇に置いて、早速支度に取り掛かるそうじろうだった。

 四人は蓆の上で、そうじろうの点てた茶を頂く。何とも良い香りがした。
 茶を飲み終えてから、かがみはこなたに剣を返した。どう言って返して貰おうか色々思いめぐらしていたこなたは、目を丸くした。
「いいの?」
「いいの。その剣はやっぱりあんたが持つべき物なのよ」
「かがみ……」
「な、何よ?」
「その台詞はもうちょっとツンデレを意識してほしかったなぁ」
「はぁ?」
 相変わらずわけの分からないことを言う。本当にこいつが皇帝の器なのか、かがみは頭を抱えたくなった。
 何はともあれ、まずは向こうの意志を確かめなければならない。
「こなた。これからどうするつもりなの?」
「どうって?」
「だからこの先よ。まさかこのまま農民をやってるつもりじゃないでしょう」
「うん。ついさっき、旅立とうと思ってた所だよ」
「それじゃあ、まずはどうするつもりだったの? どこかに仕官するのか、それとも――」
「うーん……実を言うと私、あんまり世情に詳しくないんだよねぇ。何か、皇帝やら諸侯やら色々大変なことになってるのは分かるんだけど」
「……こなた。一つ聞くけど、今の皇帝の名前は?」
「フリードリヒ四世?」
「真面目に答えなさいよっ!」
「いやごめん。ホントに知らない」
「あんたねぇ……」
 湧き起こる頭痛に頭を抱えるかがみ。
「あの、お姉ちゃん……」
「何?」
「実は私も知らないんだけど……皇帝の名前」
「ブルータス、お前もか……」
 さらに頭痛が上乗せされるかがみだった。
「あのねこなた。ハッキリ聞くわよ。あんたは乱れきったこの国のために、何かをする意志はあるの?」
 回りくどいことはやめにして、真正面からの質問だった。かがみの強烈な視線に見据えられたこなたは、
「あるよ」
 至極あっさり答えた。かがみは拍子抜けしたように肩を落とす。
「もうちょい威厳っていうか、言葉に重みを込めなさいよ」
「作った威厳なんてのは飾りだよ。偉い人にはそれが分からんのです」
「ああそう。まあ、嘘は言ってないみたいだし、信用するわ。……で、具体的なプランは?」
「んー、まずはやっぱり人集めかな。決起するにしても、兵士だけじゃなくて頼りになる武将がいなきゃ話にならないし」
「ふぅん……」
「とりあえず都会の方に行ってみよっかな。人がいっぱいいそうだし。強い人が見つかればいいけど――」
「コホン……」
 少々わざとらしく、かがみが咳払いする。
「どったのかがみ? 風邪?」
「ち、違うわよ。別に何でもない」
 ふいと視線を背けるかがみ。その傍へ寄り、つかさが小声で話しかける。
「お姉ちゃん。そんな風に待たなくても、素直に仲間にしてって言えばいいんじゃ……」
「だ、誰がそんなこと言ったのよ」
「だってお姉ちゃん、さっきそうじろうさんが言ってた頼み、引き受けるつもりだったでしょ?」
「そ、それは……そうだけど……」
「だったらそのまま伝えればいいじゃない」
「……分かったわよ。ところで、つかさも一緒でいいのね?」
「もちろん」
 かがみは深呼吸一つして、こなたに向き直った。
「こなた、あの――」
「物は相談なんだけどさ、かがみ達も良かったら私の仲間になってくれない?」
「あ……」
 かがみが申し出ようとした矢先に、こなたがその話を切り出した。狙っているのか天然なのか、抜群のタイミングだった(攻略的な意味で)。
 かがみはふっと柔らかい表情になり、うなずいた。
「こちらからもお願いするわ」
「ホントに?」
「ええ。昔、私とつかさの先祖は皇室にお仕えしていたのよ。つかさがこの村にたどり着いたことといい、この出会いは多分、運命だと思う」
「運命だなんてそんな、私とのフラグ立てる気満々だねぇかがみ」
「真面目に聞け!」
「お、お姉ちゃん押さえて押さえて」
 早くも自分の選択を後悔しそうなかがみだったが、何はともあれ武人・柊かがみとその妹つかさは皇孫・泉こなたの元で戦うことに相成った。
「うむ。旅立ちを決意した今日という日に、頼もしい仲間二人を迎えられるとは、こなたはやはり天運に恵まれているな」
 端から三人のやり取りを眺めていたそうじろうは、満足げに頷いた。
「俺もあと十年若ければ一緒に旅立ちたいものだが……」
「無理しないでよ。ただでさえ体弱ってるんだし。気持ちだけで十分だよ」
「うーん、実に惜しい……」
 本当に残念そうに首を振るそうじろう。
(もし仲間に入れたら女三人に男一人の構成だもんねぇ……お父さん的にはそりゃ惜しいだろうねぇ……でも何か厄介事を起こされても困るしねぇ)
 とりあえずそういうことは口に出さず胸に納めておくこなただった。
「こなた。とりあえずあんたが私達の君主ってことになるわけだけど――」
「あ、ちょっと待った」
 かがみの言葉をこなたが止める。
「私はまだ君主って柄じゃないし、出来たら二人とは上下関係じゃなくて対等な間柄でいたいんだよね。だから、三人で義兄弟ってことにしない?」
「私達の場合、それを言うなら義姉妹じゃないの?」
「ああ、そだね」
「私は構わないわよ。つかさは?」
「うん、いいよ」
「よし決まり」
 さっきまでお茶を飲んでいた碗を代用して、三人は義兄弟ならぬ義姉妹の盃を交わす。
「うむうむ。本当に今日はめでたい日だ。どうせだから近所の人も呼んで、パーッと祝いの宴会にするか!」
「おーいいね! やろうやろう!」
 ノリノリの泉親子と、呆れながらも付き合う柊姉妹。付近の農民達を招いての宴会は、その日の夜遅くまで続いていった。

 何はともあれ、この桃園の誓いの日より、三人の長き戦いが始まった。
 待ち受ける艱難辛苦を乗り越え、こなたは皇帝の座を手にすることが出来るのか……それはまた別の話である。


らき☆すた三国志~桃園の誓い~ 了



CAST
泉こなた:泉こなた
柊かがみ:柊かがみ
柊つかさ:柊つかさ
泉そうじろう:泉そうじろう
黄巾族A:立木文彦
黄巾族B:立木文彦
黄巾族C:立木文彦
黄巾族D:立木文彦
黄巾族E:立木文彦




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  • そーじろーへのお土産はお茶より 大量の新作エロゲとかにしてほしかった…
    で、ゲームソフトを買うために20年前のセ●ラさんガレキを手放したことを父が嘆く。
    ソフトを川に投げ捨てようとするんだけど、手が固まってできない父。
    そのやり取りを見て「どっちが大事かどーでもいいわ」と引くかがみ。 -- 名無しさん (2011-04-13 08:46:10)
  • なるほど、諸葛亮みゆきが死ぬところまでやるのですね?(ムチャブリ!
    因みに曹操はみさおがいいと思います。
    で、かがみが こなたの所に帰った後、
    「柊には私の愛が通じないんだ~~」と泣くと。 -- 名無しさん (2011-04-13 08:27:22)
  • んー、かがみのツンが足りないような・・・w
    「どうしてもって言うなら、仲間になってあげる」
    とか言って欲しかったw -- 名無しさん (2010-10-04 17:37:23)
  • ↓ 本人乙wwきもぃしwwwwww -- 名無しさん (2010-09-10 20:29:57)
  • ↓かわいいねえ//君!ちょっと、僕の所で働かない?
    1回2万ほどだよお! -- 名無しさん (2010-09-10 20:29:23)
  • 恋姫無奴っぽい???? -- 名無しさん (2010-08-26 18:31:28)
  • opは「風の会話」で -- 名無しさん (2010-08-18 20:06:15)
  • 山田アアァァァァァー!!! -- 名無しさん (2010-07-11 18:50:25)
  • 趙雲は誰がやんの?ネタで銀さんあたり出したら?
    -- 名無しさん (2010-07-11 18:48:54)
  • 酒をかっ食らいながら、麻酔なしで手術するハメになるのはかがみかつかさか……(汗 -- 名無しさん (2010-07-09 22:30:28)
  • 「「「我ら天に誓うたとえ生まれた時は違えど死する時は同じ日同じ時を願わん!」」」 -- 名無しさん (2010-07-08 20:45:20)
  • 馬超は誰?まさかのやまとか!? -- 名無しさん (2010-07-08 20:36:59)
  • 続き、希望! できれば赤壁の戦いまで!! -- 名無しさん (2010-07-08 20:30:49)
  • なかなかよかった。
    自分的には他のキャストは
    曹操=黒井ななこ
    呂布=岩崎みなみ
    呂布の妻(名前わすれた)=小早川ゆたか
    孔明=みゆきさん
    この辺は鉄板。 -- 名有りさん (2009-07-20 19:40:08)
  • これいいwwwwwwwwww
    呂布はだれになるのかな?? -- 名無しさん (2008-10-31 07:34:29)
  • キャストがwww
    でも個人的にはCかDをみのるにしてほしかったw
    続きを待ってますよ~ -- 名無しさん (2008-10-30 10:29:48)
  • 続き期待してます!
    -- 名無しさん (2008-03-26 09:47:24)
  • うはwwwちょwww立木wwwうぇwww -- 名無しさん (2007-11-26 02:41:05)
  • 横光版三国志ベースですね
    横光版は好きなので面白かったです
    キャストがwwww -- 名無しさん (2007-08-19 19:30:21)
  • ちょwキャストww -- 名無しさん (2007-07-18 22:44:54)

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