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あなたを・もっと・知りたくて

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匿名ユーザー

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 お風呂上がり、ジュースを飲む。お風呂上がりには水分補給が必要だよね。
 でも、ちょっとカロリーが気になるかな。……また今度考えとこうそうしよう。そんな時だった。
 携帯の着メロが聞こえる。この曲は、確か日下部のだっけ。何の用かな。
「はい、もしもし」
 私はジュースの瓶を置き、携帯を手に取った。
『よっ、こんばんは、柊』
 スピーカーからは、脳天気そうな日下部の声が聞こえる。こいつはいつも元気だな。
「今日は何の用?」
 まずは用件を聞いておかないとね。そうしないと――
『んーと……みぎゃっ!?』
 携帯の向こうからガタゴトと音が聞こえた。こけたな、あいつ。電話しながら歩くな、って言ってるのにコレだ。
「おーい。大丈夫かー」
 微かに『痛ー』だの、『電話どこだ?』だのと聞こえる。
 しばらくして携帯を見つけたのか、『あったー』と喜びの声がした。
『いやー、ごめんごめん。捜し物してたら、置いてあった新聞の束に足引っかけてさ』
「いつも言ってるでしょ? 何かをしながら電話をするなって」
『うあー。柊が冷たいー』
「それで、何の用だったの?」
 何かもう手遅れな気がするけど、もう一度聞き直した。
『え……っと。何だっけ?』
「やっぱりかよ」
 思わず突っ込んだ。日下部はよく用件を忘れる方で、時間が経ってしまうとよりその傾向が強いと思う。
 そうは思うんだけどさ、『大事な用件』やら、『聞きたかった事』やらを忘れるなよ。気になるじゃないか。
 だから今日こそ、と思って、一番に聞いたんだけどなあ。
『いやー、ゴメン。そのうち思い出すよ』
「たまには覚えておけ。ってか忘れるなよ」
 間に合わなかったよ。成実さんじゃ無いけど、びっくりだ。
「何か日下部って、私と電話する時、忘れ事多くないか」
『それは、相手が柊だからだよ』
「私のせいかよっ」
『うん』
 うわ、否定しろよ。
『何て言うのかな、柊の声を聞くだけで満足するんだよなー』
「満足するのは、用件を終わらせてからにしてくれ……」
 何だか恥ずかしい事を言われた気もするけど、それ以上に何か疲れる。
『えー。柊って、用件が終わったらサヨナラって感じだろ?』
「しねーよ」
 何だその私のイメージは。さすがに酷いぞ。
『そうかな』
「そうなの。大事な用件終わらせて、ゆっくり話せばいいじゃない」
 その方が落ち着くと思うんだけどなあ。食事の時も食べながら話してるから、あいつはそういう性格なんだろうな。
 アレかな。好きな食べ物を最初に食べるか、最後まで取っておくかの様なもんなのかな。
『そっか』
 日下部も納得したのか、向こうで頷いているようだった。
「で、そろそろ用件思い出した?」
『……』
「……」
 ダメだったようだ。こうなったら、
「思い出すまでつきあってあげるから、覚悟してよね」
 とことんやるしかないよね。
『よっしゃ、受けてたつぜ』
「いやいや、勝負じゃないから」
 はぁ、今夜の電話は長くなりそうね。















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  • このタイトル、薬師丸ひろ子? -- 名無しさん (2008-12-21 00:22:50)
  • ニヤニヤする -- 名無しさん (2008-12-16 15:27:41)

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