kairakunoza @ ウィキ

実力行使

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匿名ユーザー

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「ちょっとまつり、いくらなんでも謝った方がいいんじゃない?」
諭すようないのりの声。長女らしいしっかりした容姿を持つ彼女は、外見のイメージ通り何らかの諍いが起こったときはフォローを入れるのが役目のようである。
「えー?なんで私が謝るのよ?明らかにかがみが悪いんじゃん!私の事馬鹿にしてっ!」
対してこちらは、明らかに意固地になっている口調の次女、まつり。
基本的に「年上だから」という意識を持たない彼女は、普段は親しみやすい分、喧嘩の際も年下の妹と同レベルなようだ。
別に精神年齢が低いという訳ではないのだが、平等意識がこの場合悪い方に出ている。
「かがみもそんなつもりは無かったと思うわよ?それに、馬鹿にしてるって言うならまつりの方もだと思うけど……。」
「だ、だってぇ……。」
図星だったようで多少勢いを減じさせながらも、それでも不満そうに口を尖らせるまつり。
自分だって悪かったと自覚はしているのだが、だからといってすんなりと和解できるほどまつりは人格者ではない。
はぁ、という溜め息が部屋の空気と混じって溶けていった。

柊家、次女のまつりの部屋。
普段はまつり一人しか居ないこの部屋だが、今はそのまつりの他にもう一人、長女のいのりが居る。
それほど広くない部屋ではあるが、二人での雑談に不自由がない程度の広さはある。
しかしその雑談の内容はとても和やかと言える物ではなく、部屋にはあまり良くない空気が流れている。
どうもその原因は、柊家でしばしば起こる、三女かがみと次女まつりの喧嘩にあるようだ。
では、少しだけその喧嘩の様子を見てみよう。


「ねぇねぇ、ちょっといい?」
「んー?どうかした?かがみ。」
「あのさ、ちょっとこの漢字分かんないんだけど……読める?」
「ん…毎日予習してえらいなァ それは…バティストゥータって読むんだ」
「……ちょっと……。私、真面目に聞いてるんだけど?」
「えー?私は真面目だよ?ほらほら、さっさと部屋戻って勉強の続きしてきなって。」
「馬鹿にしないでよっ!そんな変な読みする漢字あるわけないでしょ!」
「あんたに分かんないもんが私に分かるわけないでしょうが!!」
「うわっ、信じらんない!逆ギレ!?年上としてどうなのよソレ!」
「年上だからって、あんたみたいなガリ勉ちゃんと一緒にしないでよね!」



……という感じで。
まさしく売り言葉に買い言葉、段々言い争いはエスカレートして行き、結果としてお互いが自分の部屋に引きこもる現在の状況があるという訳だ。
ちなみに、まつりにはいのりが、かがみにはつかさがそれぞれフォローに回っている。

客観的に見るとまつりが一方的に悪い気もするが、それでも本人にしては馬鹿にされてる気がしたのだから仕方ない。
そもそも、過去にも同じような事は何度かあったのだから、かがみもそろそろ「勉強の事はまつりに聞いてはいけない」と学習するべきだっただろう。
何度も同じ恥をかかされて、例え僅かでも存在する姉としてのプライドを傷付けられては、まつりが怒るのも無理はない。
年上としては、いくら聡明でも年下の質問に答えられないのは気分の良いものではないのだ。
ただ、かがみにとってはそれこそ取るに足らないただの質問だった訳で、その程度で逆ギレされてはたまらない。
妹が分からない事を姉に聞いて何が悪い。かがみにだって言い分はあるだろう。
どちらかが悪い訳ではなく、どちらも悪い。喧嘩とは得てしてそういうモノである。



「かがみだって、そろそろ分かってくれてもいいと思うんだけどなぁ……。
 あの子の勉強量、明らかに私の数倍は行ってるっての……。」
「まぁ、人間には向き、不向きがあるからね。まつりだって、料理とかはあの子より上手いじゃない?この間のパエリア、とっても美味しかったわよ?」
「そりゃ、姉さんから見たらそれ程度のもんだろうけどさ。こっちからしたら、結構重大な問題なのよ……。」
先程と同じ溜め息をもう一度つくまつり。
自分にも悪い所があったから謝る。そんな簡単な事が、簡単に出来れば苦労はない。ましてや相手が妹なら尚更、である。
「うん、まぁ、私だってバティストゥータはやりすぎだったかもって思うけど……でも、やっぱりあっちから謝るのがスジでしょ!あっちが事の発端なんだから!」
「……もう、まつりはすぐにそうやって意地になるんだから……。」
そう言って、あっさりと言葉での説得を放棄するいのり。
もう二十年近い付き合いだ。いのりだっていい加減、妹の扱いは熟知している。
こういう時のまつりはかなり頭が固いので、必死で説得したところで余計意固地になりこちらが疲れるだけだ。
放っておいたらその内勝手に和解するのだろうが、しかしそれでは和解するまでは家中の居心地が悪くなってしまう。
食事の時などに微妙な空気が流れるのは、誰だって非常に嫌なものだ。出来れば避けたい。
だが、言葉では説得できないとなれば……
いのりはしばらく考え込み、やがて結論に辿り着いた。

言葉で説得できないなら、体で説得すればいい。

冷静に考えたらブッ飛んだ発想なのだが、とりあえずあの二人が仲直り出来れば何でも良いといのりは自分に言い聞かせた。
素直に謝られても許さないほど、かがみも頑固ではない。
つかさのフォローも入っている事だし、今ではかがみも謝ろうか否か揺れている所だろう。
ならば、まつりを籠絡して謝らせてしまえば一件落着だ。
そこまで考えたいのりに躊躇は無く、次の瞬間にはベッドの上で口を尖らせているまつりに抱きついて押し倒していた。恐るべき早業である。
いきなりのいのりの暴挙にまつりは完全に混乱し、狼狽しきった声を上げて抵抗した。
「ちょ、ちょっといきなり何すんの姉さん!?」
しかし、激しく間違った結論を既に可決してしまっているいのりは揺るがない。
詳しく描写するのは避けるが、ありとあらゆる手を使って服を脱がせにかかったいのりの手にかかればまつりの抵抗など本当に些細なものに過ぎず、数秒後には生まれたままの姿になったまつりがベッドの上で押さえつけられていた。
ちなみに、自分の服もちゃっかり脱ぎ捨てているいのりである。抵抗されながらも服を剥ぎ取り、更には自分の服まで脱いでいるとは何とも手馴れた事だ。まさしく神業である。
何故手馴れているのか。それは誰も知らない。知ってはいけない。



ともかく、現在ベッドの上には裸の姉妹が抱き合って(実際には片方がもう片方を抑え込んでいるだけなのだが)いる、そのスジの人にとっては何ともテンションの上がる光景が広がっていた。
まつりが抵抗している間に一気に体温が上がったためか、二人の白磁のような綺麗な肌には、うっすらと汗も浮かんでいる。
それは部屋の明かりを反射してきらきらと輝き、ただでさえ美しい二人の肌を一層魅力的に見せていた。
「ちょちょちょちょっとぉ!?ほ、ホントに何してんのよ姉さんっ!?」
完全に冷静さを失っている妹に、姉は優しく告げる。
「いや、まつりは今ちょっと素直になれないみたいだから、私が素直にしてあげようかなと思って、ね?」
「何よそれ!?いや、ま、マジでやめひゃうっ!?」
まつりの再三の抗議の声は、しかし途中のアクシデントによって遮られた。
まつりにとって、片手で数えるほどの男にしか触れられた事がない胸の突起を、急に口に含まれたのだ。
「ちょ、姉さん、ほんと、シャレになんないってば……!」
しかしいのりは応えず、執拗にそこを舐め回すばかりだ。
やがて、まつりの息が少しだけ荒くなり始めた。それは間違いなく、いのりの行為と無関係ではないだろう。
「ね、姉さん……!なんか、むちゃくちゃ上手いんだけど……?」
何故上手いのか。それもやはり聞いてはいけない。
「ほ、ほんとにそろそろやめ……。変な、気分に、なっちゃうから……。」
真っ赤に染まった顔で、いのりに懇願するまつり。
しかしいのりはいたずらっぽく微笑んで、
「まつりが素直にならないからよ?まつりが頑固なままなら、これからもっと凄い事を……」
「分かった!分かったから!素直になる!悪かったってちゃんとかがみにも謝るから~!」
本当にこれ以上されたら止めて欲しくなくなりそうなまつりは、必死でそう叫んだ。
さすがに姉とそういう関係になるのは非常によろしくない。
というかこの姉、やけに上手すぎる。ヘタに意地を張って続けられたら、それこそ夢中になってしまうかもしれない。
そう危惧しての降参だったが、それに対していのりは
「え……なるの?素直に?」
きょとんとして、まつりに聞いた。まるで、その答えが想定外だったかのように。
「なるよ~!ちゃんと謝るって!」
これ以上されたらたまらないまつりは、何とか止めて貰おうと無条件降伏の白旗を揚げた。
「そっか、降参するんだ……。」
微妙に不満そうにそう呟くいのり。
本当はこれから先のプランもきちんと練っていて、それこそ三日間は口答えすら出来ないように徹底的に嬲って喘がせて調教する予定だったのだが。
脳内のエロ妄想も、先に降伏されてしまえば実行に移すわけには行かない。
いや、元々は二人に仲直りさせるのが目的なのだから問題はないのだが、それでも少し残念ないのりだった。
何となくお預けを喰らった気分で、いのりは服を着ながらまつりに言った。
「じゃあ、ちゃんとすぐに謝りに行くのよ?かがみだってきっと、謝りたくても謝れないっていう微妙な状況でしょうし。」
「わ、分かった……。だから、服着ていい……?」
服を着るのにもいのりの許可を得ようとするほど、まつりの中でいのりは恐るべき対象となっていた。
これから先、何があってもいのりにだけは逆らうまいと強く誓うまつりだった。


――余談だが。
これからすぐにまつりとかがみは仲直りして柊家の平和は戻ってきたのだが、微妙に不完全燃焼ないのりはどこかに電話をかけていた。
三回ほどのコール音の後、その相手は丁重な挨拶を返してきた。
その挨拶を聞いたいのりは少し頬を緩めて、電話に向けて弾んだ口調で言った。
「もしもし、こんにちはこなたちゃん。ええ、私よ。今、大丈夫? 良かったら、今から会えないかしら?いつも通り、駅前で待ち合わせで、それから――」
それに対する電話の向こうの少女の声は、これから起こることに対する期待と不安、それと羞恥に彩られていた。















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  • いつの間に いのりこなたが成立していたのか…俺得でしょ
    そういえば、小ネタで いのりまつり書くよって言ってた人の作品なのかな? -- 名無しさん (2011-04-15 23:40:33)
  • なんぞこれwww -- 名無しさん (2009-02-17 17:21:23)
  • オチwww -- 名無しさん (2008-08-11 20:41:32)
  • な、なんかすげぇ、
    俺もこんな姉さんはほしかt(自重 -- taihoo (2008-08-09 23:52:11)
  • 名無しさん (2007-08-14 03:08:53)
    のせいで全米が泣いた -- 名無し (2007-11-23 17:29:15)
  • いのりがなりきるのは無理がありすぎだろ -- 名無しさん (2007-08-14 03:08:53)

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