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泉こなたの人生が変わる瞬間 プロローグ

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hakureikehihi

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「あ~、ヒマ……」

とある夏の日の夜。
インストールしたギャルゲーはあらかたやりつくした。
お気に入りのネトゲーはお馴染みの臨時メンテ中。
要するに、やることが見当たらない。

「しょ~がない。テレビでも見るか………」

誰に言うでもなく、スマートビジョンを立ち上げる。
居間に行けば簡単にテレビは見れるけど、居間に行くまでがめんどくさい。
う~ん、こりゃそうとう末期だね。

「あ………」

そういや、今日だったっけ?
夏休み恒例のやつ。
24時間ぶっ通しで放送し続けて、日本全国から募金を集めるアレ。

モニターの中には、チャリティーマラソンで走り続ける人の姿があった。
日本を代表するお笑いの大御所。
一般文化に疎い私でも名前くらいは知っていた。
確か、番号史上最高齢ランナーってことで騒がれてたっけ?

「あと5kmかぁ……」

ゴールの日本武道館まではあと約5km。
放送時間はあと1時間半ほど。

足にサポーターを巻いて、足の痛みに耐えながら走る姿に私は感動を覚えた。
いや、お世辞にも『走っている』とは言えないか。
1日以上走り続けて、体はすでに満身創痍。
足を引き摺って『歩く』のが精一杯といった感じだ。

そして、時間は無情にも過ぎていく。
放送はあと5分で終わる。
でも、ゴールまではまだ1km弱あった。

(これは、放送時間内のゴールは無理だね……)

おそらく、日本中でテレビを見ている誰もがそう思っただろう。
それでも、私は応援することをやめられなかった。
いや、やめなかった。
きっと走ってる本人も、その事は知っているだろう。
じゃあ、何故走るのを止めないのか?


午後8時53分。
放送が終わった。
それでも、気になるのはゴールの行方。
きっと、日本中がやきもきしているだろう。
私だってその一人だ。

そして、時刻は午後9時。
後番組の中で続きが放送された。
まだ武道館の入口辺りを歩いていた。
声援を送る沿道の人達一人一人に応えるかのように、ゆっくりとした足取りで。
ゴールまでは、あと数十メートル。
武道館の中は、拍手と声援で埋め尽くされていた。
そして、ようやく念願の時。
手作りのゴールテープが切られ、24時間に収まらなかったストーリーは終演を迎えた。

「ありがとう。みんな、ありがとね」

完走後のインタビューで言った言葉が印象的だった。
テレビを切った後も、しばらくは顔がニコニコしてるのが分かった。

「いやぁ、感動的だったね」

70kmという膨大な距離とは言え、走ってきただけでこんなにも感動を与えられたのだ。
これなら、私にも何か出来るんじゃないか。
そう考えた瞬間、頭の中で何かがはじけた。

「そうかっ! これだよ!!」

考えついてからは早かった。
携帯電話をひっぱりだして、見慣れた番号を呼び出して。
明日の朝、学校で待ち合わせする約束を取りつけた。

(これは忙しくなるよ~)

早速準備に取り掛かる。
夢中になりすぎで、臨時メンテが終わったことには全く気付かなかった。

















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