保守主義とは何か

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#LEFT(){&italic(){&sizex(4){自ら『保守主義者』を名乗っているアメリカ人は、事実は自由主義者である。}}} #RIGHT(){&SIZE(15){&BOLD(){~ B.クリック(英国の政治学者)『アメリカ保守主義の奇妙な探求』(1955年)}}} ---- #center{&size(14.5){&bold(){様々な概念と混同されやすい保守主義(conservatism)について、考えていくページ}}} ---- <目次> #contents() *■1.初めに 全く正反対の政治的信条を持つ「リバタリアン(自由至上主義者)」と「コミュニタリアン(共同体主義者)」が共に「保守主義者」と誤認されたり、「ナショナリズム(国民主義・民族主義など様々に定義され得る思想)」が「保守主義」と混同されています。 しかし、その思想の内実や沿革を調べれば、「保守主義」は「自由主義(19世紀末~20世紀初めに歪曲されて“マイルドな社会主義”を意味するようになった所謂リベラリズム(ニュー・リベラリズム)ではなくて、18世紀イギリスで確立された古典的自由主義と、20世紀半ば以降におけるその再興であるネオ(=再興)リベラリズム)」に相当する思想であることは明らかです。 このページでは、そうした他の概念と混同され易い保守主義についてまとめます。 *■2.保守主義とは何か **◆辞書による説明 |BGCOLOR(olive):COLOR(white):(1)|>|>|>|>|BGCOLOR(olive):COLOR(white):ブリタニカ・コンサイス百科事典(conservatismの項)より全文翻訳| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):歴史的に発展し、それゆえに継続性と安定性の明証である制度(institutions)と慣行(practices)への愛好を表す政治的態度またはイデオロギー| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):保守主義は近代においてフランス革命に対するリアクションとしてエドマンド・バークの著作を通じて最初に表明された。バークはフランス革命は、その理想が、その行き過ぎによって汚された(tarnished)と信じていた。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):保守主義者は、変化の遂行は最小限(minimal)で漸進的(gradual)であるべきだと信じている。彼らは歴史を愛好し、理想的(idealistic)であるよりは現実的(realistic)である。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):著名な保守主義政党として、英国の保守党、ドイツのキリスト教民主同盟、アメリカの共和党、日本の自由民主党がある。| |BGCOLOR(olive):COLOR(white):(2)|>|>|>|>|BGCOLOR(olive):COLOR(white):オックスフォード英語事典(conservativeの項)より抜粋翻訳| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):(政治的文脈において)自由企業・私的所有・社会に関する保守的な理念を愛好すること| |BGCOLOR(olive):COLOR(white):(3)|>|>|>|>|BGCOLOR(olive):COLOR(white):コウビルド英語事典(conservatismの項)より全文翻訳| ||BGCOLOR(pink):<1>|>|>|>|BGCOLOR(white):保守主義とは、変化が社会にとって為されることが必要とされる場合において、それは漸進的(gradual)に為されるべきだと信じる政治的哲学である。| ||BGCOLOR(pink):<2>|>|>|>|BGCOLOR(white):保守主義とは、変化や新しいアイディアを受け入れることを嫌がることである。| **◆自由主義思想家による説明 |BGCOLOR(orange):(1)|>|>|>|BGCOLOR(orange):D.ヒューム(スコットランド出身の英国外交官・道徳/政治哲学者、歴史家)『道徳・政治・文学に関する随想』(1742)| ||>|>|>|BGCOLOR(white):「英国においては到底存在する見込みはないと思われる一政体について、これ以上論議を重ねる必要はありません。我々の間ではどの党派もそれを目的としてはいないように見えます。出来るだけ我が国の古来の政体を育て発展させるようにしましょう。大変危険な新型の諸政体に対する情熱を掻き立てないようにして。」| |BGCOLOR(orange):(2)|>|>|>|BGCOLOR(orange):E.バーク(アイルランド出身の英国下院議員・思想家)『フランス革命の省察』(1790)| ||>|>|>|BGCOLOR(white):「思慮深い警戒心、綿密周到さ、気質的というよりはむしろ善悪判断から来る小心さ、これらが最も断固たる行為をする際に我々の父祖が拠り所とした指導原理の中にありました。彼らは、あの光-つまりフランス人の紳士諸君が自分たちはそれに大いに与っていると吹聴するあの光-に照らされてはいなかったために、人間とは無知で誤りやすいものである、ということを肝に銘じて行動したのでした。」| ||>|>|>|BGCOLOR(white):「国家と法を聖別するにあたって、まず第一に則るべき最も重要な原理の一つは、それら国家や法を一時的に、あるいは終身で保有している人々が祖先から受け取ったものや本来子孫に属するものを忘れて、あたかも自分だけが完全な主人であるかのように行為する、といったことがあってはならない、ということです。&BR()即ち、自らの社会の根源的な構造を勝手に破壊し、それによって限嗣相続の制限を解除したり相続財産を浪費したりしても、それは自分たちの権利のうちなのだ、などと思ってはならない、ということです。&BR()もしもそうしたことが行われれば、彼らは後から来る者に対して、住むべき家の代わりに廃墟を残すことになるでしょうし、彼らが自らの祖先の諸制度を殆ど尊重しなかったのだから、彼らが考え出したものもやはりそんなに尊重するには及ばないのだ、と教えるようなものでしょう。」| *■3.保守主義の特色・特質 **◆1.バーク的保守主義の特色 |BGCOLOR(pink):(1)|>|BGCOLOR(white):(保守主義とは)常に「現状(status quo)」の中に、①「守る(conserve)べきもの」と、②「改善(improve)すべきもの」を弁別し| ||BGCOLOR(aqua):<1>|BGCOLOR(white):「絶対的破壊(absolute destruction)」の「軽率さ(levity)」と| ||BGCOLOR(aqua):<2>|BGCOLOR(white):「一切の改善を拒絶する頑迷(the obstinacy that rejects all improvement)」| ||BGCOLOR(white):|BGCOLOR(white):を共に排除しようとするもの、であり| |BGCOLOR(pink):(2)|>|BGCOLOR(white):そのような「保守(preserve)」と「改革(reform)」とにあたっては| ||BGCOLOR(aqua):<1>|BGCOLOR(white):古い制度の有益な部分が維持され| ||BGCOLOR(aqua):<2>|BGCOLOR(white):「改革」によって「新しく付け加えられた」部分は、これに「適合するようにされるべきであり」| ||BGCOLOR(aqua):<3>|BGCOLOR(white):全体としては「遅くはあるが、しかし申し分なく持続的な進歩(a slow but well-sustained progress)」が保たれることを政治の眼目とする| ||BGCOLOR(white):|BGCOLOR(white):という所に、その顕著な特色がある。| つまり ||BGCOLOR(#CCCC99):<1>|BGCOLOR(white):「現状(status quo)」の中に常に「守る(conserve)べきもの」を見出すことを起点として政治的思惟が進行する、という思考形式と、| ||BGCOLOR(#CCCC99):<2>|BGCOLOR(white):「遅くはあるが、しかし申し分なく持続的な進歩(a slow but well-sustained progress)」への政治的志向| の2つが、E.バークに代表される保守主義の核心的特色である。 |BGCOLOR(white):この様な保守主義的政治態度は、政治情勢により「右」へ振れる場合にも、あるいは「左」に振れる場合にも、その振幅を有限化するばかりでなく比較的にいって僅少なものにする。| |BGCOLOR(white):なぜなら、いずれの方向にせよ、過度の振れは「守るべきもの」を放棄することを意味し、また「左」へ振れすぎるときには、進歩の連続性が切れてしまうからである。| 従って、バークの保守主義の哲学は、一言にして尽くせば、文字通りの「政治的安定性(political stability)」の哲学、「政治的力学」の哲学、高度の政治的「復元力(stability)」を持つ哲学に他ならない。 **◆2.保守主義の一般的特質 |BGCOLOR(#CCCC99):(1)|BGCOLOR(#CCCC99):思想形成の反定立(antithesis)性|BGCOLOR(white):保守主義は既に定立(thesis)された思想の衝撃を待って初めて、その対立者として自己の思想形成を開始する。| |BGCOLOR(#CCCC99):(2)|BGCOLOR(#CCCC99):思想内容の他者被規定性|BGCOLOR(white):保守主義は、思想内容が他者によって(つまり定立された別の思想によって)方向づけられ限定される。&br()即ちバークにおいては「アンチ・フランス啓蒙思想」「アンチ・デカルト流理性主義」であり、ハイエクやポパーにおいては「アンチ・社会主義/共産主義その他の全体主義」「アンチ・リベラリズム/福祉国家」である。| |BGCOLOR(#CCCC99):(3)|BGCOLOR(#CCCC99):高度の状況的機動性(状況適応性)|BGCOLOR(white):保守主義は、それが置かれた具体的状況に密着した思考形式と実現手段を提供する。&br()つまり保守主義は、その対抗思想のように理論が先行した思考様式ではなく、常に「現状(status quo)」を前提として歴史的継続性の中で、その内容と対応策を見出す。&br()「イギリス人は新事態が起こるたびごとにそれを如何に利用するかを心得ている」(A.ヒットラー)&BR()即ち保守主義は、①反省的判断力による個性的状況の敏速な把握と、②政治的実践へのその巧みな活用、を本領とする。| |BGCOLOR(#CCCC99):(4)|BGCOLOR(#CCCC99):無原則的状況主義(opportunism)との区別|BGCOLOR(white):保守主義は、一般に「中道(mid-roader)」あるいは「中間(centrist)」と呼ばれる「無原則主義(opportunism、便宜主義・日和見主義)」と違って一定の政治的原則/政治的価値を保持する。| |BGCOLOR(#CCCC99):(5)|BGCOLOR(#CCCC99):貴族政治的(aristocratic)志向性|BGCOLOR(white):保守主義は、民衆政治(democracy)を衆愚政治(mobocracy)に陥り易いものとして警戒し敬遠する傾向がある。 ※関連ページ [[デモクラシーの真実]]| **◆3.保守主義の実質 |BGCOLOR(#CCCC99):(1)|BGCOLOR(#CCCC99):「現状(status quo)」における「保守(conserve)すべき」内容の発見可能性の肯定| |BGCOLOR(#CCCC99):|BGCOLOR(white):保守主義は一定形態の歴史意識(但しマルクス主義的な歴史発展法則を肯定するものではなく「過去」と「現在」との継続性という意味での歴史意識)と、そうした歴史を把握する人間の能力(つまりデカルト的な普遍的理性ではなく、歴史的に形成され、個別的に存在する広義の理性)を肯定している。&br()なぜなら保守主義は「現状(status quo)」の中に一定の「保守すべき」(即ち一定の積極的に望ましいと評価し得る)内容を見出す思想であり、それは従って人間は歴史的な経緯のうちに「保守すべき」価値内容を弁別する能力を保有することを肯定しているからである。| |BGCOLOR(#CCCC99):(2)|BGCOLOR(#CCCC99):政治目的およびその実現手段の「既存性(existence)」の肯定| |BGCOLOR(#CCCC99):|BGCOLOR(white):一般に政治的思惟は、①政治的目標の設定に始まり、②その適合的な実現手段を発見し、③その手段の効果的適用による目標実現によって完了する。&br()しかし保守主義は、①この政治的思惟の起点を「現状(status quo)」における「保守すべき」内容の発見に求め、かつ、②その実現手段をも「現状」に求めている。&br()「真の政治家というものは、常に、どうすれば自国の現存の諸材料を、最大限度に利用することになるかということを考慮するものである」(E.バーク)| |BGCOLOR(#CCCC99):(3)|BGCOLOR(#CCCC99):「申し分なく継続的な進歩(well-sustained progress)」の肯定| |BGCOLOR(#CCCC99):|BGCOLOR(white):保守主義は「歴史の流れに順行した」政治、言い換えると慣例を活かし「現状(status quo)」を絶えず制度的ないし観念的に過去に連結していくような政治を理想とする。&br()政治における新奇な、あるいは革新的な企図は、保守主義の歴史意識にとっては歴史の継続性に対する撹乱要因に過ぎない。| |BGCOLOR(#CCCC99):(4)|BGCOLOR(#CCCC99):「自然的」人間性に対する「歴史的」ないし「社会的」人間性の優位| |BGCOLOR(#CCCC99):(5)|BGCOLOR(#CCCC99):「自然的」理性に対する「歴史的」理性の優位| |BGCOLOR(#CCCC99):(6)|BGCOLOR(#CCCC99):「抽象的悟性(abstractive understanding)」に対する「歴史的悟性(historical understanding)」の優位| |BGCOLOR(#CCCC99):|BGCOLOR(white):「旧い先入見prejudice」と「理由のない慣習」の尊重| *■4.保守主義と自由主義の関係 リベラリズムについては [[ハイエクと自由主義]] [[リベラリズムの真実]] を参照のこと。 要約すると、リベラリズムには歴史的に以下の4段階があり、このうち日本語の語感で「自由主義」に相当するのは<1>と<3>である。 |BGCOLOR(teal):COLOR(white):|BGCOLOR(teal):COLOR(white):リベラリズムの段階・種類・区分|BGCOLOR(teal):COLOR(white):時期|BGCOLOR(teal):COLOR(white):意味内容| |BGCOLOR(#CCCC99):<1>|BGCOLOR(#CCCC99):古典的リベラリズム(classical liberalism)|16世紀~19世紀|①個人の権利・自由の確保、②政府権力の制限、③自由市場を選好…消極国家(夜警国家)| |BGCOLOR(#CCCC99):<2>|BGCOLOR(#CCCC99):ニュー・リベラリズム(new liberalism)|19世紀末~20世紀|経済的不平等・社会問題を緩和するため市場への政府介入を容認→次第に積極的介入へ(積極国家・福祉国家・管理された資本主義)&br()社会主義に接近しているので社会自由主義(social liberalism)と呼ばれ、自由社会主義(liberal socialism)とも呼ばれた。| |BGCOLOR(#CCCC99):<3>|BGCOLOR(#CCCC99):再興リベラリズム(neo-liberalism)|1970年代~|スタグフレーション解決のため自由市場を再度選好。&br()<2>を個人主義から集産主義への妥協と批判し、個人の自由を取り戻すことを重視| |BGCOLOR(#CCCC99):<4>|BGCOLOR(#CCCC99):現代リベラリズム(contemorary liberalism)|現代|①不平等の緩和、②個人の権利の拡張、を含む社会改革を志向&br()1970年代以降にJ.ロールズ『正義論』を中心にアメリカで始まったリベラリズムの基礎的原理の定式化を目指す思想潮流で、①ロールズ的な平等主義的・契約論的正義論を「(狭義の)リベラリズム」と呼び、②それに対抗したR.ノージックなど個人の自由の至上性を説く流れを「リバタリアニズム(自由至上主義)」(但し契約論的な構成をとる所はロールズと共通)、③また個人ではなく共同体の価値の重要性を説くM.サンデルらの流れを「コミュニタリアニズム(共同体主義)」という。| |BGCOLOR(#CCCC99):|BGCOLOR(#CCCC99):補足説明|>|<2>ニュー・リベラリズム(new liberalism)と<4>再興リベラリズム(neo-liberalism)は共に「新自由主義」と訳されるので注意。&br()もともと<1>古典的リベラリズムに対して修正を加えた新しいリベラリズム、という意味で、<2>ニュー・リベラリズム(訳すと「新自由主義」)が生まれたのだが、世界恐慌から第二次世界大戦の前後の時期に、経済政策においてケインズ主義が西側各国に大々的に採用された結果、<1>に代わって<2>がリベラリズムの代表的内容と見なされるようになり、<2>からnewの頭文字が落ちて、単に「リベラリズム」というと<2>ニュー・リベラリズムを指すようになった。&br()ところが、1970年代に入るとインフレが昂進してケインズ主義に基づく経済政策が不況脱出の方途として効かなくなってしまい、市場の自律調整機能を重視する<1>の理念の復興を唱える<3>ネオ(=再興)・リベラリズムに基づく政策が1980年前後からイギリス・アメリカで採用されるようになった。そのため今度は、<3>を「新自由主義」と訳すようになった。| 保守主義は、 |BGCOLOR(#CCCC99):①|BGCOLOR(#CCCC99):18世紀末のE.バークの時代においては、実質的に「保守すべき」内容として、<1>古典的自由主義を意味し、|BGCOLOR(white):対抗思想|BGCOLOR(white):フランス啓蒙思想(特にルソーの思想)、デカルト流理性主義| |BGCOLOR(#CCCC99):②|BGCOLOR(#CCCC99):20世紀半ば以降のF.A.ハイエクやK.R.ポパーの時代においては、実質的に「保守すべき」内容として、<3>再興(=ネオ)自由主義を意味した。|BGCOLOR(white):対抗思想|BGCOLOR(white):社会主義・共産主義その他の全体主義、<2>ニュー・リベラリズム(所謂リベラリズム…福祉国家など大きな政府による実質的な個人の自由の剥奪)| ⇒「保守主義の他者被規定性」の項目参照。 *■5.保守主義とナショナリズムの区別 ナショナリズムについては [[ナショナリズムとは何か]] を参照のこと。 ※保守・右翼・極右をどう区別するかは定義の仕方次第だが、一応の目安として以下の基準有効と思う。 |BGCOLOR(olive):CENTER:|BGCOLOR(olive):COLOR(white):CENTER:内容|BGCOLOR(olive):COLOR(white):CENTER:関連ページ| |BGCOLOR(#CCCC99):CENTER:保守|BGCOLOR(white):国内外の&color(crimson){&bold(){全体主義}}(共産主義・社会主義・リベラリズムなどの[[集産主義>「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引き]])の脅威から自由を守る(=&color(crimson){&bold(){自由主義}})|BGCOLOR(white):[[保守主義とは何か]]&br()[[ハイエクと自由主義]] [[リベラリズムの真実]]| |BGCOLOR(#CCCC99):CENTER:右翼|BGCOLOR(white):他国・他国民の&color(crimson){&bold(){侵略的ナショナリズム}}の脅威から自国・自国民を守る(=&color(crimson){&bold(){解放的ナショナリズム}})|BGCOLOR(white):[[右翼・左翼の歴史]]| |BGCOLOR(#CCCC99):CENTER:極右|BGCOLOR(white):他国・他国民に対して&color(crimson){&bold(){侵略的ナショナリズム}}を発動している段階。&br()なお極右と極左は紙一重の双生児であり、極左も当然&color(crimson){&bold(){侵略的ナショナリズム}}を発動している段階である。|BGCOLOR(white):| &ref(http://www35.atwiki.jp/kolia?cmd=upload&act=open&pageid=350&file=stance.bmp) &size(11.5){※政治的スタンス5分類・8分類について詳しくは [[政治の基礎知識]] 参照。} ---- ※以下、作成中 *■6.保守主義と自由至上主義の区別 **◆自由至上主義(libertarianism)の辞書による説明 |BGCOLOR(olive):COLOR(white):(1)|>|>|>|>|BGCOLOR(olive):COLOR(white):ブリタニカ・コンサイス百科事典(libertarianismの項)より全文翻訳| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):個人の自由を強調する政治思想。自由至上主義者は、各個人は、自己の行動が他人の自由を侵害しない限り、完全な行動の自由を保持すべきだと信じている。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):自由至上主義者の政府に対する不信は、19世紀の無政府主義(anarchism)に起源を持つ。典型的な自由至上主義者は、所得税やその他の政府の課税ばかりでなく、社会保障(social security)や郵便サービスのような他の多くの人々が有益だと思っているプログラムにも反対する。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):アメリカでは彼らの見解はしばしば伝統的な政党間の境界を横断する(例えば、自由至上主義者はほとんどの共和党支持者と同じ様に銃規制に反対するが、ほとんどの民主党支持者と同じ様に禁止薬物の合法化を支持する)。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):自由至上主義者の間で愛好されている人物はヘンリー・デビット・ソローとアイン・ランドである。| |BGCOLOR(olive):COLOR(white):(2)|>|>|>|>|BGCOLOR(olive):COLOR(white):オックスフォード英語事典(libertarianismの項)より抜粋翻訳| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):市民生活に対する政府の介入を最小限のもののみとすることを唱導する極端な自由放任の政治思想。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):その支持者は個人の道徳は政府の扱う事柄ではなく、それゆえ麻薬使用や売春のような異論もあるところではあるが参加者以外の誰も害さない活動は不法とされるべきではないと信じている。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):自由至上主義者は無政府主義者と主張内容を共有しているが、但し自由至上主義者は一般には、より一層政治的権利と関連付けられる(主としてアメリカ)。自由至上主義は伝統的な自由を社会的正義に結びつける配慮が欠落している。| |BGCOLOR(olive):COLOR(white):(3)|>|>|>|>|BGCOLOR(olive):COLOR(white):コウビルド英語事典(libertarianの項)より全文翻訳| ||BGCOLOR(pink):<1>|>|>|>|BGCOLOR(white):リバタリアンであったり、またリバタリアン的な態度の人とは、人々は自分が望むままのやり方で考えたり振る舞う自由を持つべきだという理念を信じ、また支持している人である。(= リベラル)| ||BGCOLOR(pink):<2>|>|>|>|BGCOLOR(white):自由至上主義者とは自由至上主義の見識を持つ人である。(= リベラル)| *■7.保守主義と共同体主義の区別 **◆共同体主義(communitarianism)の辞書による説明 |BGCOLOR(olive):COLOR(white):(1)|>|>|>|>|BGCOLOR(olive):COLOR(white):ブリタニカ・コンサイス百科事典(communitarianismの項)より全文翻訳| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):①政治生活の実行、②政治制度の分析・評価、③人間のアイディンティティと安寧幸福の理解、に関する共同体(community)の重要性を強調する政治・社会思想。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):共同体主義は1980-90年代に、ジョン・ロールズ等の思想家による理論的リベラリズムに対する明白な反対思想として興起した。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):共同体主義者によれば、リベラリズムは非現実的なほどに原子化した抽象的個人という概念に寄りかかっており、また自由と自律といった個人的価値に余りにも重要性を置き過ぎている。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):共同体主義の主要な代表者には、アミタイ・エツィオーニ、マイケル・サンデル、チャールズ・ティーラーが含まれる。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):なお、集産主義を参照のこと。| |BGCOLOR(olive):COLOR(white):(2)|>|>|>|>|BGCOLOR(olive):COLOR(white):オックスフォード英語事典(communitarianismの項)より抜粋翻訳| ||BGCOLOR(pink):<1>|>|>|>|BGCOLOR(white):小規模な自治的共同体に基礎を置く、社会組織に関する理論または制度。| ||BGCOLOR(pink):<2>|>|>|>|BGCOLOR(white):共同体に対する個人の責任と、家族という単位の社会的な重要性を強調するイデオロギー・| ※コリンズ-コウビルド英語辞典には項目なし。 *■8.参考図書 |&ref(http://www35.atwiki.jp/kolia?cmd=upload&act=open&pageid=1078&file=nakagawa.gif)|[[『保守主義の哲学―知の巨星たちは何を語ったか (単行本)』(中川八洋:著)>http://www.amazon.co.jp/dp/4569633943/]]&br()ハイエクの思想を機軸に西欧哲学の正統保守主義(真正自由主義)の系譜と、それに対立する邪悪な全体主義思想の系譜を峻別して分かり易く解説。&br()エドマンド・バークを初めとする西欧の正統保守思想の概略をこの一冊でマスター可能。&br()後は本書で紹介されている興味の湧く各思想家の書に挑戦しましょう。| ---- 【関連】 [[デモクラシーの真実]] [[リベラリズムの真実]] [[ハイエクと自由主義]] ---- *■9.ご意見、情報提供 - どなたが編集なされたのかは存じ上げませんが、驚くほど大変よくできた解説で、円環図による思想分類には感激させられました。ありがとうございます。 -- ななし (2010-12-17 10:28:24) - すばらしい!!みんなで日本を護るために『保守主義』を学習しよう -- 名無しさん (2010-12-18 15:26:59) - エドマンド・バーク保守主義 - エドマンド・バーク リバイバルも参考になる。→  http://www.geocities.jp/burke_revival/ -- 名無しさん (2011-01-08 12:01:55) #comment #include_cache(政治理論・共通)
#LEFT(){&italic(){&sizex(4){自ら『保守主義者』を名乗っているアメリカ人は、事実は自由主義者である。}}} #RIGHT(){&SIZE(15){&BOLD(){~ B.クリック(英国の政治学者)『アメリカ保守主義の奇妙な探求』(1955年)}}} ---- #center{&size(14.5){&bold(){様々な概念と混同されやすい保守主義(conservatism)について、考えていくページ}}} ---- <目次> #contents() *■1.初めに 全く正反対の政治的信条を持つ「リバタリアン(自由至上主義者)」と「コミュニタリアン(共同体主義者)」が共に「保守主義者」と誤認されたり、「ナショナリズム(国民主義・民族主義など様々に定義され得る思想)」が「保守主義」と混同されています。 しかし、その思想の内実や沿革を調べれば、「保守主義」は「自由主義(19世紀末~20世紀初めに歪曲されて“マイルドな社会主義”を意味するようになった所謂リベラリズム(ニュー・リベラリズム)ではなくて、18世紀イギリスで確立された古典的自由主義と、20世紀半ば以降におけるその再興であるネオ(=再興)リベラリズム)」に相当する思想であることは明らかです。 このページでは、そうした他の概念と混同され易い保守主義についてまとめます。 *■2.保守主義とは何か **◆辞書による説明 |BGCOLOR(olive):COLOR(white):(1)|>|>|>|>|BGCOLOR(olive):COLOR(white):ブリタニカ・コンサイス百科事典(conservatismの項)より全文翻訳| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):歴史的に発展し、それゆえに継続性と安定性の明証である制度(institutions)と慣行(practices)への愛好を表す政治的態度またはイデオロギー| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):保守主義は近代においてフランス革命に対するリアクションとしてエドマンド・バークの著作を通じて最初に表明された。バークはフランス革命は、その理想が、その行き過ぎによって汚された(tarnished)と信じていた。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):保守主義者は、変化の遂行は最小限(minimal)で漸進的(gradual)であるべきだと信じている。彼らは歴史を愛好し、理想的(idealistic)であるよりは現実的(realistic)である。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):著名な保守主義政党として、英国の保守党、ドイツのキリスト教民主同盟、アメリカの共和党、日本の自由民主党がある。| |BGCOLOR(olive):COLOR(white):(2)|>|>|>|>|BGCOLOR(olive):COLOR(white):オックスフォード英語事典(conservativeの項)より抜粋翻訳| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):(政治的文脈において)自由企業・私的所有・社会に関する保守的な理念を愛好すること| |BGCOLOR(olive):COLOR(white):(3)|>|>|>|>|BGCOLOR(olive):COLOR(white):コウビルド英語事典(conservatismの項)より全文翻訳| ||BGCOLOR(pink):<1>|>|>|>|BGCOLOR(white):保守主義とは、変化が社会にとって為されることが必要とされる場合において、それは漸進的(gradual)に為されるべきだと信じる政治的哲学である。| ||BGCOLOR(pink):<2>|>|>|>|BGCOLOR(white):保守主義とは、変化や新しいアイディアを受け入れることを嫌がることである。| **◆自由主義思想家による説明 |BGCOLOR(orange):(1)|>|>|>|BGCOLOR(orange):D.ヒューム(スコットランド出身の英国外交官・道徳/政治哲学者、歴史家)『道徳・政治・文学に関する随想』(1742)| ||>|>|>|BGCOLOR(white):「英国においては到底存在する見込みはないと思われる一政体について、これ以上論議を重ねる必要はありません。我々の間ではどの党派もそれを目的としてはいないように見えます。出来るだけ我が国の古来の政体を育て発展させるようにしましょう。大変危険な新型の諸政体に対する情熱を掻き立てないようにして。」| |BGCOLOR(orange):(2)|>|>|>|BGCOLOR(orange):E.バーク(アイルランド出身の英国下院議員・思想家)『フランス革命の省察』(1790)| ||>|>|>|BGCOLOR(white):「思慮深い警戒心、綿密周到さ、気質的というよりはむしろ善悪判断から来る小心さ、これらが最も断固たる行為をする際に我々の父祖が拠り所とした指導原理の中にありました。彼らは、あの光-つまりフランス人の紳士諸君が自分たちはそれに大いに与っていると吹聴するあの光-に照らされてはいなかったために、人間とは無知で誤りやすいものである、ということを肝に銘じて行動したのでした。」| ||>|>|>|BGCOLOR(white):「国家と法を聖別するにあたって、まず第一に則るべき最も重要な原理の一つは、それら国家や法を一時的に、あるいは終身で保有している人々が祖先から受け取ったものや本来子孫に属するものを忘れて、あたかも自分だけが完全な主人であるかのように行為する、といったことがあってはならない、ということです。&BR()即ち、自らの社会の根源的な構造を勝手に破壊し、それによって限嗣相続の制限を解除したり相続財産を浪費したりしても、それは自分たちの権利のうちなのだ、などと思ってはならない、ということです。&BR()もしもそうしたことが行われれば、彼らは後から来る者に対して、住むべき家の代わりに廃墟を残すことになるでしょうし、彼らが自らの祖先の諸制度を殆ど尊重しなかったのだから、彼らが考え出したものもやはりそんなに尊重するには及ばないのだ、と教えるようなものでしょう。」| *■3.保守主義の特色・特質 **◆1.バーク的保守主義の特色 |BGCOLOR(pink):(1)|>|BGCOLOR(white):(保守主義とは)常に「現状(status quo)」の中に、①「守る(conserve)べきもの」と、②「改善(improve)すべきもの」を弁別し| ||BGCOLOR(aqua):<1>|BGCOLOR(white):「絶対的破壊(absolute destruction)」の「軽率さ(levity)」と| ||BGCOLOR(aqua):<2>|BGCOLOR(white):「一切の改善を拒絶する頑迷(the obstinacy that rejects all improvement)」| ||BGCOLOR(white):|BGCOLOR(white):を共に排除しようとするもの、であり| |BGCOLOR(pink):(2)|>|BGCOLOR(white):そのような「保守(preserve)」と「改革(reform)」とにあたっては| ||BGCOLOR(aqua):<1>|BGCOLOR(white):古い制度の有益な部分が維持され| ||BGCOLOR(aqua):<2>|BGCOLOR(white):「改革」によって「新しく付け加えられた」部分は、これに「適合するようにされるべきであり」| ||BGCOLOR(aqua):<3>|BGCOLOR(white):全体としては「遅くはあるが、しかし申し分なく持続的な進歩(a slow but well-sustained progress)」が保たれることを政治の眼目とする| ||BGCOLOR(white):|BGCOLOR(white):という所に、その顕著な特色がある。| つまり ||BGCOLOR(#CCCC99):<1>|BGCOLOR(white):「現状(status quo)」の中に常に「守る(conserve)べきもの」を見出すことを起点として政治的思惟が進行する、という思考形式と、| ||BGCOLOR(#CCCC99):<2>|BGCOLOR(white):「遅くはあるが、しかし申し分なく持続的な進歩(a slow but well-sustained progress)」への政治的志向| の2つが、E.バークに代表される保守主義の核心的特色である。 |BGCOLOR(white):この様な保守主義的政治態度は、政治情勢により「右」へ振れる場合にも、あるいは「左」に振れる場合にも、その振幅を有限化するばかりでなく比較的にいって僅少なものにする。| |BGCOLOR(white):なぜなら、いずれの方向にせよ、過度の振れは「守るべきもの」を放棄することを意味し、また「左」へ振れすぎるときには、進歩の連続性が切れてしまうからである。| 従って、バークの保守主義の哲学は、一言にして尽くせば、文字通りの「政治的安定性(political stability)」の哲学、「政治的力学」の哲学、高度の政治的「復元力(stability)」を持つ哲学に他ならない。 **◆2.保守主義の一般的特質 |BGCOLOR(#CCCC99):(1)|BGCOLOR(#CCCC99):思想形成の反定立(antithesis)性|BGCOLOR(white):保守主義は既に定立(thesis)された思想の衝撃を待って初めて、その対立者として自己の思想形成を開始する。| |BGCOLOR(#CCCC99):(2)|BGCOLOR(#CCCC99):思想内容の他者被規定性|BGCOLOR(white):保守主義は、思想内容が他者によって(つまり定立された別の思想によって)方向づけられ限定される。&br()即ちバークにおいては「アンチ・フランス啓蒙思想」「アンチ・デカルト流理性主義」であり、ハイエクやポパーにおいては「アンチ・社会主義/共産主義その他の全体主義」「アンチ・リベラリズム/福祉国家」である。| |BGCOLOR(#CCCC99):(3)|BGCOLOR(#CCCC99):高度の状況的機動性(状況適応性)|BGCOLOR(white):保守主義は、それが置かれた具体的状況に密着した思考形式と実現手段を提供する。&br()つまり保守主義は、その対抗思想のように理論が先行した思考様式ではなく、常に「現状(status quo)」を前提として歴史的継続性の中で、その内容と対応策を見出す。&br()「イギリス人は新事態が起こるたびごとにそれを如何に利用するかを心得ている」(A.ヒットラー)&BR()即ち保守主義は、①反省的判断力による個性的状況の敏速な把握と、②政治的実践へのその巧みな活用、を本領とする。| |BGCOLOR(#CCCC99):(4)|BGCOLOR(#CCCC99):無原則的状況主義(opportunism)との区別|BGCOLOR(white):保守主義は、一般に「中道(mid-roader)」あるいは「中間(centrist)」と呼ばれる「無原則主義(opportunism、便宜主義・日和見主義)」と違って一定の政治的原則/政治的価値を保持する。| |BGCOLOR(#CCCC99):(5)|BGCOLOR(#CCCC99):貴族政治的(aristocratic)志向性|BGCOLOR(white):保守主義は、民衆政治(democracy)を衆愚政治(mobocracy)に陥り易いものとして警戒し敬遠する傾向がある。 ※関連ページ [[デモクラシーの真実]]| **◆3.保守主義の実質 |BGCOLOR(#CCCC99):(1)|BGCOLOR(#CCCC99):「現状(status quo)」における「保守(conserve)すべき」内容の発見可能性の肯定| |BGCOLOR(#CCCC99):|BGCOLOR(white):保守主義は一定形態の歴史意識(但しマルクス主義的な歴史発展法則を肯定するものではなく「過去」と「現在」との継続性という意味での歴史意識)と、そうした歴史を把握する人間の能力(つまりデカルト的な普遍的理性ではなく、歴史的に形成され、個別的に存在する広義の理性)を肯定している。&br()なぜなら保守主義は「現状(status quo)」の中に一定の「保守すべき」(即ち一定の積極的に望ましいと評価し得る)内容を見出す思想であり、それは従って人間は歴史的な経緯のうちに「保守すべき」価値内容を弁別する能力を保有することを肯定しているからである。| |BGCOLOR(#CCCC99):(2)|BGCOLOR(#CCCC99):政治目的およびその実現手段の「既存性(existence)」の肯定| |BGCOLOR(#CCCC99):|BGCOLOR(white):一般に政治的思惟は、①政治的目標の設定に始まり、②その適合的な実現手段を発見し、③その手段の効果的適用による目標実現によって完了する。&br()しかし保守主義は、①この政治的思惟の起点を「現状(status quo)」における「保守すべき」内容の発見に求め、かつ、②その実現手段をも「現状」に求めている。&br()「真の政治家というものは、常に、どうすれば自国の現存の諸材料を、最大限度に利用することになるかということを考慮するものである」(E.バーク)| |BGCOLOR(#CCCC99):(3)|BGCOLOR(#CCCC99):「申し分なく継続的な進歩(well-sustained progress)」の肯定| |BGCOLOR(#CCCC99):|BGCOLOR(white):保守主義は「歴史の流れに順行した」政治、言い換えると慣例を活かし「現状(status quo)」を絶えず制度的ないし観念的に過去に連結していくような政治を理想とする。&br()政治における新奇な、あるいは革新的な企図は、保守主義の歴史意識にとっては歴史の継続性に対する撹乱要因に過ぎない。| |BGCOLOR(#CCCC99):(4)|BGCOLOR(#CCCC99):「自然的」人間性に対する「歴史的」ないし「社会的」人間性の優位| |BGCOLOR(#CCCC99):(5)|BGCOLOR(#CCCC99):「自然的」理性に対する「歴史的」理性の優位| |BGCOLOR(#CCCC99):(6)|BGCOLOR(#CCCC99):「抽象的悟性(abstractive understanding)」に対する「歴史的悟性(historical understanding)」の優位| |BGCOLOR(#CCCC99):|BGCOLOR(white):「旧い先入見prejudice」と「理由のない慣習」の尊重| *■4.保守主義と自由主義の関係 リベラリズムについては [[ハイエクと自由主義]] [[リベラリズムの真実]] を参照のこと。 要約すると、リベラリズムには歴史的に以下の4段階があり、このうち日本語の語感で「自由主義」に相当するのは<1>と<3>である。 |BGCOLOR(teal):COLOR(white):|BGCOLOR(teal):COLOR(white):リベラリズムの段階・種類・区分|BGCOLOR(teal):COLOR(white):時期|BGCOLOR(teal):COLOR(white):意味内容| |BGCOLOR(#CCCC99):<1>|BGCOLOR(#CCCC99):古典的リベラリズム(classical liberalism)|16世紀~19世紀|①個人の権利・自由の確保、②政府権力の制限、③自由市場を選好…消極国家(夜警国家)| |BGCOLOR(#CCCC99):<2>|BGCOLOR(#CCCC99):ニュー・リベラリズム(new liberalism)|19世紀末~20世紀|経済的不平等・社会問題を緩和するため市場への政府介入を容認→次第に積極的介入へ(積極国家・福祉国家・管理された資本主義)&br()社会主義に接近しているので社会自由主義(social liberalism)と呼ばれ、自由社会主義(liberal socialism)とも呼ばれた。| |BGCOLOR(#CCCC99):<3>|BGCOLOR(#CCCC99):再興リベラリズム(neo-liberalism)|1970年代~|スタグフレーション解決のため自由市場を再度選好。&br()<2>を個人主義から集産主義への妥協と批判し、個人の自由を取り戻すことを重視| |BGCOLOR(#CCCC99):<4>|BGCOLOR(#CCCC99):現代リベラリズム(contemorary liberalism)|現代|①不平等の緩和、②個人の権利の拡張、を含む社会改革を志向&br()1970年代以降にJ.ロールズ『正義論』を中心にアメリカで始まったリベラリズムの基礎的原理の定式化を目指す思想潮流で、①ロールズ的な平等主義的・契約論的正義論を「(狭義の)リベラリズム」と呼び、②それに対抗したR.ノージックなど個人の自由の至上性を説く流れを「リバタリアニズム(自由至上主義)」(但し契約論的な構成をとる所はロールズと共通)、③また個人ではなく共同体の価値の重要性を説くM.サンデルらの流れを「コミュニタリアニズム(共同体主義)」という。| |BGCOLOR(#CCCC99):|BGCOLOR(#CCCC99):補足説明|>|<2>ニュー・リベラリズム(new liberalism)と<4>再興リベラリズム(neo-liberalism)は共に「新自由主義」と訳されるので注意。&br()もともと<1>古典的リベラリズムに対して修正を加えた新しいリベラリズム、という意味で、<2>ニュー・リベラリズム(訳すと「新自由主義」)が生まれたのだが、世界恐慌から第二次世界大戦の前後の時期に、経済政策においてケインズ主義が西側各国に大々的に採用された結果、<1>に代わって<2>がリベラリズムの代表的内容と見なされるようになり、<2>からnewの頭文字が落ちて、単に「リベラリズム」というと<2>ニュー・リベラリズムを指すようになった。&br()ところが、1970年代に入るとインフレが昂進してケインズ主義に基づく経済政策が不況脱出の方途として効かなくなってしまい、市場の自律調整機能を重視する<1>の理念の復興を唱える<3>ネオ(=再興)・リベラリズムに基づく政策が1980年前後からイギリス・アメリカで採用されるようになった。そのため今度は、<3>を「新自由主義」と訳すようになった。| 保守主義は、 |BGCOLOR(#CCCC99):①|BGCOLOR(#CCCC99):18世紀末のE.バークの時代においては、実質的に「保守すべき」内容として、<1>古典的自由主義を意味し、|BGCOLOR(white):対抗思想|BGCOLOR(white):フランス啓蒙思想(特にルソーの思想)、デカルト流理性主義| |BGCOLOR(#CCCC99):②|BGCOLOR(#CCCC99):20世紀半ば以降のF.A.ハイエクやK.R.ポパーの時代においては、実質的に「保守すべき」内容として、<3>再興(=ネオ)自由主義を意味した。|BGCOLOR(white):対抗思想|BGCOLOR(white):社会主義・共産主義その他の全体主義、<2>ニュー・リベラリズム(所謂リベラリズム…福祉国家など大きな政府による実質的な個人の自由の剥奪)| ⇒「保守主義の他者被規定性」の項目参照。 *■5.保守主義とナショナリズムの区別 ナショナリズムについては [[ナショナリズムとは何か]] を参照のこと。 ※保守・右翼・極右をどう区別するかは定義の仕方次第だが、一応の目安として以下の基準有効と思う。 |BGCOLOR(olive):CENTER:|BGCOLOR(olive):COLOR(white):CENTER:内容|BGCOLOR(olive):COLOR(white):CENTER:関連ページ| |BGCOLOR(#CCCC99):CENTER:保守|BGCOLOR(white):国内外の&color(crimson){&bold(){全体主義}}(共産主義・社会主義・リベラリズムなどの[[集産主義>「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引き]])の脅威から自由を守る(=&color(crimson){&bold(){自由主義}})|BGCOLOR(white):[[保守主義とは何か]]&br()[[ハイエクと自由主義]] [[リベラリズムの真実]]| |BGCOLOR(#CCCC99):CENTER:右翼|BGCOLOR(white):他国・他国民の&color(crimson){&bold(){侵略的ナショナリズム}}の脅威から自国・自国民を守る(=&color(crimson){&bold(){解放的ナショナリズム}})|BGCOLOR(white):[[右翼・左翼の歴史]]| |BGCOLOR(#CCCC99):CENTER:極右|BGCOLOR(white):他国・他国民に対して&color(crimson){&bold(){侵略的ナショナリズム}}を発動している段階。&br()なお極右と極左は紙一重の双生児であり、極左も当然&color(crimson){&bold(){侵略的ナショナリズム}}を発動している段階である。|BGCOLOR(white):| &ref(http://www35.atwiki.jp/kolia?cmd=upload&act=open&pageid=350&file=stance.bmp) &size(11.5){※政治的スタンス5分類・8分類について詳しくは [[政治の基礎知識]] 参照。} ---- ※以下、作成中 *■6.保守主義と自由至上主義の区別 **◆自由至上主義(libertarianism)の辞書による説明 |BGCOLOR(olive):COLOR(white):(1)|>|>|>|>|BGCOLOR(olive):COLOR(white):ブリタニカ・コンサイス百科事典(libertarianismの項)より全文翻訳| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):個人の自由を強調する政治思想。自由至上主義者は、各個人は、自己の行動が他人の自由を侵害しない限り、完全な行動の自由を保持すべきだと信じている。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):自由至上主義者の政府に対する不信は、19世紀の無政府主義(anarchism)に起源を持つ。典型的な自由至上主義者は、所得税やその他の政府の課税ばかりでなく、社会保障(social security)や郵便サービスのような他の多くの人々が有益だと思っているプログラムにも反対する。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):アメリカでは彼らの見解はしばしば伝統的な政党間の境界を横断する(例えば、自由至上主義者はほとんどの共和党支持者と同じ様に銃規制に反対するが、ほとんどの民主党支持者と同じ様に禁止薬物の合法化を支持する)。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):自由至上主義者の間で愛好されている人物はヘンリー・デビット・ソローとアイン・ランドである。| |BGCOLOR(olive):COLOR(white):(2)|>|>|>|>|BGCOLOR(olive):COLOR(white):オックスフォード英語事典(libertarianismの項)より抜粋翻訳| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):市民生活に対する政府の介入を最小限のもののみとすることを唱導する極端な自由放任の政治思想。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):その支持者は個人の道徳は政府の扱う事柄ではなく、それゆえ麻薬使用や売春のような異論もあるところではあるが参加者以外の誰も害さない活動は不法とされるべきではないと信じている。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):自由至上主義者は無政府主義者と主張内容を共有しているが、但し自由至上主義者は一般には、より一層政治的権利と関連付けられる(主としてアメリカ)。自由至上主義は伝統的な自由を社会的正義に結びつける配慮が欠落している。| |BGCOLOR(olive):COLOR(white):(3)|>|>|>|>|BGCOLOR(olive):COLOR(white):コウビルド英語事典(libertarianの項)より全文翻訳| ||BGCOLOR(pink):<1>|>|>|>|BGCOLOR(white):リバタリアンであったり、またリバタリアン的な態度の人とは、人々は自分が望むままのやり方で考えたり振る舞う自由を持つべきだという理念を信じ、また支持している人である。(= リベラル)| ||BGCOLOR(pink):<2>|>|>|>|BGCOLOR(white):自由至上主義者とは自由至上主義の見識を持つ人である。(= リベラル)| *■7.保守主義と共同体主義の区別 **◆共同体主義(communitarianism)の辞書による説明 |BGCOLOR(olive):COLOR(white):(1)|>|>|>|>|BGCOLOR(olive):COLOR(white):ブリタニカ・コンサイス百科事典(communitarianismの項)より全文翻訳| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):①政治生活の実行、②政治制度の分析・評価、③人間のアイディンティティと安寧幸福の理解、に関する共同体(community)の重要性を強調する政治・社会思想。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):共同体主義は1980-90年代に、ジョン・ロールズ等の思想家による理論的リベラリズムに対する明白な反対思想として興起した。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):共同体主義者によれば、リベラリズムは非現実的なほどに原子化した抽象的個人という概念に寄りかかっており、また自由と自律といった個人的価値に余りにも重要性を置き過ぎている。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):共同体主義の主要な代表者には、アミタイ・エツィオーニ、マイケル・サンデル、チャールズ・ティーラーが含まれる。| ||>|>|>|>|BGCOLOR(white):なお、集産主義を参照のこと。| |BGCOLOR(olive):COLOR(white):(2)|>|>|>|>|BGCOLOR(olive):COLOR(white):オックスフォード英語事典(communitarianismの項)より抜粋翻訳| ||BGCOLOR(pink):<1>|>|>|>|BGCOLOR(white):小規模な自治的共同体に基礎を置く、社会組織に関する理論または制度。| ||BGCOLOR(pink):<2>|>|>|>|BGCOLOR(white):共同体に対する個人の責任と、家族という単位の社会的な重要性を強調するイデオロギー・| ※コリンズ-コウビルド英語辞典には項目なし。 *■8.参考図書 |&ref(http://www35.atwiki.jp/kolia?cmd=upload&act=open&pageid=1078&file=nakagawa.gif)|[[『保守主義の哲学―知の巨星たちは何を語ったか (単行本)』(中川八洋:著)>http://www.amazon.co.jp/dp/4569633943/]]&br()ハイエクの思想を機軸に西欧哲学の正統保守主義(真正自由主義)の系譜と、それに対立する邪悪な全体主義思想の系譜を峻別して分かり易く解説。&br()エドマンド・バークを初めとする西欧の正統保守思想の概略をこの一冊でマスター可能。&br()後は本書で紹介されている興味の湧く各思想家の書に挑戦しましょう。| ---- 【関連】 [[デモクラシーの真実]] [[リベラリズムの真実]] [[ハイエクと自由主義]] ---- *■9.ご意見、情報提供 - どなたが編集なされたのかは存じ上げませんが、驚くほど大変よくできた解説で、円環図による思想分類には感激させられました。ありがとうございます。 -- ななし (2010-12-17 10:28:24) - すばらしい!!みんなで日本を護るために『保守主義』を学習しよう -- 名無しさん (2010-12-18 15:26:59) - エドマンド・バーク保守主義 - エドマンド・バーク リバイバルも参考になる。→  http://www.geocities.jp/burke_revival/ -- 名無しさん (2011-01-08 12:01:55) - ↑のサイトだけではという人は 保守 - Wikipediaを参照すべき  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E5%AE%88 -- 名無しさん (2011-01-08 12:07:42) #comment #include_cache(政治理論・共通)

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