法と権利の本質

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|COLOR(WHITE):BGCOLOR(OLIVE):CENTER: |COLOR(WHITE):BGCOLOR(OLIVE):CENTER:歴史主義・伝統主義 (英米法)|COLOR(WHITE):BGCOLOR(OLIVE):CENTER:反歴史主義・リセット主義 (大陸法)| |BGCOLOR(#CCCC99):権利の本質|BGCOLOR(white):人間は長い歴史を通じて、社会の中で試行錯誤を繰り返しながら、社会的叡智の結晶として&color(crimson){歴史的権利}を「慣習」という形で個別に見出してきた、とする立場|BGCOLOR(white):人間は自然状態において、生来的に&color(crimson){自然権}(natural right)を有していたが、&color(crimson){社会契約}(social contract)を結んで自然権を放棄し、&color(crimson){人定法}(&color(crimson){実定法}:positive law)を定めた、とする立場| |BGCOLOR(#CCCC99):法の本質|BGCOLOR(white):法は特定の共同体の中で人々の社会的ルールとして自生した(特定の意図によらずに次第に生成された)(&color(crimson){法=社会的ルール説})(★注3)|BGCOLOR(white):法はそれを作成した主権者の意思であり命令である(&color(crimson){法=主権者意思[命令]説})(★注1、★注2)| |BGCOLOR(#CCCC99):誰が法を作るのか|BGCOLOR(white):法は幾世代にも渡る無数の人々の叡智が積み重ねられて自生的に発展したもの(&color(crimson){経験主義、批判的合理主義})&br()⇒「法は“発見”するもの」⇒&color(crimson){制憲権(憲法制定権力)}を&color(crimson){否認}(特定時点の世代の人々が制定できるのは原則として「憲法典(形式憲法)」迄であって、「国制(実質憲法)」は世代を重ねて徐々に確立されていくものに過ぎない)|BGCOLOR(white):法は主権者の委任を受けた立法者(エリート)が合理的に設計するもの(&color(crimson){設計主義的合理主義})&br()⇒「法は“主権者”が作るもの」⇒&color(crimson){制憲権(憲法制定権力)}を&color(crimson){肯定}(特定時点の世代の人々は「憲法典(形式憲法)」のみならず「国制(実質憲法)」をも意図的に確立することが可能である)| |BGCOLOR(#CCCC99):補足|BGCOLOR(white):共同体毎に個別的、&color(crimson){価値多元的}・相対主義的、帰納的、&color(crimson){保守主義・自由主義・非形而上学的な分析哲学}と親和的、&color(crimson){法の支配}ないし&color(crimson){立憲主義}|BGCOLOR(white):全人類に普遍的、絶対主義的(但し&color(crimson){価値一元的}な傾向と&color(crimson){価値相対主義的}な傾向との両面がある)、演繹的、急進主義・&color(crimson){全体主義・形而上学的な観念論哲学}と親和的、&color(crimson){法治主義}| |BGCOLOR(#CCCC99):実例|BGCOLOR(white):英国の不文憲法が典型例。またアメリカ憲法は意外にも独立宣言にあった社会契約説的な色彩を極力消した形で制定され歴史主義の立場に基づいて運用されてきた。&br()明治憲法も日本の歴史的伝統を重んじる形で熟慮を重ねて制定された|BGCOLOR(white):フランスの数々の憲法、ドイツのワイマール憲法が典型例。&br()日本国憲法は前文で「国政は、国民の厳粛な信託によるもの」とロックの社会契約説的な制定理由を明記しており、残念ながら形式上この範疇に入る(GHQ草案翻訳憲法)| |BGCOLOR(#CCCC99):主な提唱者|BGCOLOR(white):コーク、ブラックストーン、バーク、ハミルトン&br()なお第二次大戦後の代表的論者は、ハイエク、ポパー、ハート|BGCOLOR(white):ホッブズ、ロック、ルソー&br()なお第二次大戦後の代表的論者は、ロールズ、ノージック| (★注1)「&color(crimson){法=主権者意思[命令]説}」は、主権者を誰と見なすかによって以下に分類される。 |BGCOLOR(yellow):①|BGCOLOR(yellow):君主主権|BGCOLOR(white):君主一人が主権者。(1)社会契約説以前の王権神授説や、(2)ホッブズの社会契約説が代表例。| |BGCOLOR(yellow):②|BGCOLOR(yellow):人民主権|BGCOLOR(white):君主以外の人民 people が主権者であり人民は各々主権を分有し人民自らがそれを行使する(=&color(crimson){プープル主権説})。ルソーの社会契約説が代表例。| |BGCOLOR(yellow):③|BGCOLOR(yellow):国民主権|BGCOLOR(white):君主を含めて国民全員が主権者(但し左翼の多い日本の憲法学者には「君主は国民に含めない」として、実質的に人民主権と同一と見なす者が多い)。&br()なお国民主権の具体的意味については、(1)&color(crimson){最高機関意思説}と、(2)&color(crimson){制憲権(憲法制定権力)説}が対立しており、&br()さらに(2)は、<1>ナシオン主権説と<2>プープル主権説に分かれる(プープル主権説は実質的に②人民主権説)。&br()一般的に国民主権という場合は、<1>&color(crimson){ナシオン主権説}(観念的統一体としての国民が制憲権を保有するとする説)を指す。| |BGCOLOR(yellow):④|BGCOLOR(yellow):議会主権|BGCOLOR(white):英国の憲法学者A.V.ダイシーの用語で、正確には「議会における女王(the queen in parliament)」を主権者とする。君主主権や国民主権の語を避けるために考え出された理論| |BGCOLOR(yellow):⑤|BGCOLOR(yellow):国家主権|BGCOLOR(white):帝政時代のドイツで、君主を含む「国家」を主権者であるとして君主主権や国民主権の語を避けた理論。戦前の日本の美濃部達吉(憲法学者)の天皇機関説もこの説の一種である| |>|>|⇒教科書は、戦後の日本は「国民主権」だが、戦前の日本は「君主主権」の絶対主義国家だった、とする刷り込みを行っている。しかし実の所は、&br()&color(crimson){明治憲法}は制定時において明確に&color(crimson){歴史主義}の立場を取っており、そもそも「xx主権」という立場(法=主権者命令説)ではなかった。強いて言えば| |BGCOLOR(yellow):⑥|BGCOLOR(yellow):“法”主権|BGCOLOR(white):つまり「&color(crimson){法の支配}」・・・&color(crimson){歴史的に形成された統治に関する慣習法(=国体法 constitutional law)及びそれを可能な範囲で実定化した憲法典(constitutional code)が天皇をも含めた国家の全構成員を拘束する}| という立場だった。 また大正デモクラシー以降は、美濃部達吉の「天皇機関説」(⑤国家主権説の一種)が通説となっており、それが天皇機関説事件により、いわゆる①君主主権説に転換するのは昭和10年(1935)以降の僅か10年間である。 (★注2)「&color(crimson){法=主権者意思[命令]説}」は、法を特定の立法者/思想家の価値観(例:カントやヘーゲルのドイツ観念論的法思想や自然法論・人権論)・政治イデオロギー(例:マルクス主義法思想やナチス期ドイツの法思想)に還元してしまう危険が高く、全体主義への接近を許してしまう。 (※以下は代表的な「法=主権者意思[命令]説」の法体系モデル。) |&ref(http://www35.atwiki.jp/kolia/?cmd=upload&act=open&page=%E8%8A%A6%E9%83%A8%E4%BF%A1%E5%96%9C%E3%80%8E%E6%86%B2%E6%B3%95%E3%80%80%E7%AC%AC%E4%BA%94%E7%89%88%E3%80%8F%E6%8A%9C%E7%B2%8B&file=%E6%B3%95%E6%AE%B5%E9%9A%8E%E8%AA%AC%EF%BC%88%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%82%BC%E3%83%B3%26%E8%87%AA%E7%84%B6%E6%B3%95%E8%AB%96%E8%80%85%EF%BC%89.png)|BGCOLOR(lavender):※①宮澤俊義(ケルゼン主義者)・②芦部信喜(修正自然法論者)に代表される&color(crimson){戦後日本の左翼的憲法学は「実定法を根拠づける“根本規範”あるいは“自然法”」を仮設ないし想定するところからその理論の総てが始まる}が、そのような&color(green){ア・プリオリ(先験的)な前提から始まる論説は、20世紀後半以降に英米圏で主流となった分析哲学(反形而上学的哲学)を反映した法理学/法哲学(基礎法学)分野では、とっくの昔に排撃されており}、日本でも“自然法”を想定する法理学者/法哲学者は最早、笹倉秀夫(丸山眞男門下)など一部の化石化した確信的左翼しか残っていない。&br()このように&color(navy){基礎法学(理論法学)分野でほぼ一層された論説を、応用法学(実定法学)分野である憲法学で未だに前提として理論を展開し続けるのはナンセンスであるばかりか知的誠実さを疑われても仕方がない}行いであり、日本の憲法学の早急な正常化が待たれる。| (★注3)「&color(crimson){法=社会的ルール説}」は20世紀初頭に英米圏で発展した分析哲学の成果を受けて、1960年以降にイギリスの法理学者H. L. A. ハートによって提唱され、現在では&color(crimson){英米圏の法理論の圧倒的なパラダイム}となっている法の捉え方である。 (※以下のモデル図参照。また阪本昌成『憲法理論Ⅰ』[[第二章 国制と法の理論]]も参照) &ref(http://www35.atwiki.jp/kolia?cmd=upload&act=open&pageid=611&file=%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%AE%E6%B3%95%E4%BD%93%E7%B3%BB%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%89.png) &ref(http://cdn35.atwikiimg.com/kolia/?cmd=upload&act=open&page=%E6%B3%95%E5%AD%A6%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E7%9F%A5%E8%AD%98&file=%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%AE%E6%B3%95%E4%BD%93%E7%B3%BB2.png) ※上記のように、&color(crimson){ハート}の&color(crimson){法=社会的ルール説}は、&color(crimson){現実の法現象について詳細で明晰な分析モデルを提供}しており、&color(crimson){特定の価値観・政治的イデオロギーに基づく概念ピラミッド}に過ぎない&color(crimson){法=主権者意思[命令]説}の法体系モデルを、&color(crimson){その説得力において大幅に凌駕}している。 ※なお、自由を巡る西洋思想の二つの潮流について詳しくは ⇒ [[国家解体思想の正体]] 参照
|COLOR(WHITE):BGCOLOR(OLIVE):CENTER: |COLOR(WHITE):BGCOLOR(OLIVE):CENTER:歴史主義・伝統主義 (英米法)|COLOR(WHITE):BGCOLOR(OLIVE):CENTER:反歴史主義・リセット主義 (大陸法)| |BGCOLOR(#CCCC99):権利の本質|BGCOLOR(white):人間は長い歴史を通じて、社会の中で試行錯誤を繰り返しながら、社会的叡智の結晶として&color(crimson){歴史的権利}を「&color(crimson){慣習}」という形で個別に見出してきた、とする立場|BGCOLOR(white):人間は自然状態において、生来的に&color(crimson){自然権}(natural right)を有していたが、&color(crimson){社会契約}(social contract)を結んで自然権を放棄し、&color(crimson){人定法}(&color(crimson){実定法}:positive law)を定めた、とする立場| |BGCOLOR(#CCCC99):法の本質|BGCOLOR(white):法は特定の共同体の中で人々の社会的ルールとして自生した(特定の意図によらずに次第に生成された)(&color(crimson){法=社会的ルール説})(★注3)|BGCOLOR(white):法はそれを作成した主権者の意思であり命令である(&color(crimson){法=主権者意思[命令]説})(★注1、★注2)| |BGCOLOR(#CCCC99):誰が法を作るのか|BGCOLOR(white):法は幾世代にも渡る無数の人々の叡智が積み重ねられて自生的に発展したもの(&color(crimson){経験主義、批判的合理主義})&br()⇒「法は“発見”するもの」⇒&color(crimson){制憲権(憲法制定権力)}を&color(crimson){否認}(特定時点の世代の人々が制定できるのは原則として「憲法典(形式憲法)」迄であって、「国制(実質憲法)」は世代を重ねて徐々に確立されていくものに過ぎない)|BGCOLOR(white):法は主権者の委任を受けた立法者(エリート)が合理的に設計するもの(&color(crimson){設計主義的合理主義})&br()⇒「法は“主権者”が作るもの」⇒&color(crimson){制憲権(憲法制定権力)}を&color(crimson){肯定}(特定時点の世代の人々は「憲法典(形式憲法)」のみならず「国制(実質憲法)」をも意図的に確立することが可能である)| |BGCOLOR(#CCCC99):補足|BGCOLOR(white):共同体毎に個別的、&color(crimson){価値多元的}・相対主義的、帰納的、&color(crimson){保守主義・自由主義・非形而上学的な分析哲学}と親和的、&color(crimson){法の支配}ないし&color(crimson){立憲主義}|BGCOLOR(white):全人類に普遍的、絶対主義的(但し&color(crimson){価値一元的}な傾向と&color(crimson){価値相対主義的}な傾向との両面がある)、演繹的、急進主義・&color(crimson){全体主義・形而上学的な観念論哲学}と親和的、&color(crimson){法治主義}| |BGCOLOR(#CCCC99):実例|BGCOLOR(white):英国の不文憲法が典型例。またアメリカ憲法は意外にも独立宣言にあった社会契約説的な色彩を極力消した形で制定され歴史主義の立場に基づいて運用されてきた。&br()明治憲法も日本の歴史的伝統を重んじる形で熟慮を重ねて制定された|BGCOLOR(white):フランスの数々の憲法、ドイツのワイマール憲法が典型例。&br()日本国憲法は前文で「国政は、国民の厳粛な信託によるもの」とロックの社会契約説的な制定理由を明記しており、残念ながら形式上この範疇に入る(GHQ草案翻訳憲法)| |BGCOLOR(#CCCC99):主な提唱者|BGCOLOR(white):コーク、ブラックストーン、バーク、ハミルトン&br()なお第二次大戦後の代表的論者は、ハイエク、ハート|BGCOLOR(white):ホッブズ、ロック、ルソー&br()なお第二次大戦後の代表的論者は、ロールズ、ノージック| (★注1)「&color(crimson){法=主権者意思[命令]説}」は、主権者を誰と見なすかによって以下に分類される。 |BGCOLOR(yellow):①|BGCOLOR(yellow):君主主権|BGCOLOR(white):君主一人が主権者。(1)社会契約説以前の王権神授説や、(2)ホッブズの社会契約説が代表例。| |BGCOLOR(yellow):②|BGCOLOR(yellow):人民主権|BGCOLOR(white):君主以外の人民 people が主権者であり人民は各々主権を分有し人民自らがそれを行使する(=&color(crimson){プープル主権説})。ルソーの社会契約説が代表例。| |BGCOLOR(yellow):③|BGCOLOR(yellow):国民主権|BGCOLOR(white):君主を含めて国民全員が主権者(但し左翼の多い日本の憲法学者には「君主は国民に含めない」として、実質的に人民主権と同一と見なす者が多い)。&br()なお国民主権の具体的意味については、(1)&color(crimson){最高機関意思説}と、(2)&color(crimson){制憲権(憲法制定権力)説}が対立しており、&br()さらに(2)は、<1>ナシオン主権説と<2>プープル主権説に分かれる(プープル主権説は実質的に②人民主権説)。&br()一般的に国民主権という場合は、<1>&color(crimson){ナシオン主権説}(観念的統一体としての国民が制憲権を保有するとする説)を指す。| |BGCOLOR(yellow):④|BGCOLOR(yellow):議会主権|BGCOLOR(white):英国の憲法学者A.V.ダイシーの用語で、正確には「議会における女王(the queen in parliament)」を主権者とする。君主主権や国民主権の語を避けるために考え出された理論| |BGCOLOR(yellow):⑤|BGCOLOR(yellow):国家主権|BGCOLOR(white):帝政時代のドイツで、君主を含む「国家」を主権者であるとして君主主権や国民主権の語を避けた理論。戦前の日本の美濃部達吉(憲法学者)の天皇機関説もこの説の一種である| |>|>|⇒教科書は、戦後の日本は「国民主権」だが、戦前の日本は「君主主権」の絶対主義国家だった、とする刷り込みを行っている。しかし実の所は、&br()&color(crimson){明治憲法}は制定時において明確に&color(crimson){歴史主義}の立場を取っており、そもそも「xx主権」という立場(法=主権者命令説)ではなかった。強いて言えば| |BGCOLOR(yellow):⑥|BGCOLOR(yellow):“法”主権|BGCOLOR(white):つまり「&color(crimson){法の支配}」・・・&color(crimson){歴史的に形成された統治に関する慣習法(=国体法 constitutional law)及びそれを可能な範囲で実定化した憲法典(constitutional code)が天皇をも含めた国家の全構成員を拘束する}| という立場だった。 また大正デモクラシー以降は、美濃部達吉の「天皇機関説」(⑤国家主権説の一種)が通説となっており、それが天皇機関説事件により、いわゆる①君主主権説に転換するのは昭和10年(1935)以降の僅か10年間である。 (★注2)「&color(crimson){法=主権者意思[命令]説}」は、法を特定の立法者/思想家の価値観(例:カントやヘーゲルのドイツ観念論的法思想や自然法論・人権論)・政治イデオロギー(例:マルクス主義法思想やナチス期ドイツの法思想)に還元してしまう危険が高く、全体主義への接近を許してしまう。 (※以下は代表的な「法=主権者意思[命令]説」の法体系モデル。) |&ref(http://www35.atwiki.jp/kolia/?cmd=upload&act=open&page=%E8%8A%A6%E9%83%A8%E4%BF%A1%E5%96%9C%E3%80%8E%E6%86%B2%E6%B3%95%E3%80%80%E7%AC%AC%E4%BA%94%E7%89%88%E3%80%8F%E6%8A%9C%E7%B2%8B&file=%E6%B3%95%E6%AE%B5%E9%9A%8E%E8%AA%AC%EF%BC%88%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%82%BC%E3%83%B3%26%E8%87%AA%E7%84%B6%E6%B3%95%E8%AB%96%E8%80%85%EF%BC%89.png)|BGCOLOR(lavender):※①宮澤俊義(ケルゼン主義者)・②芦部信喜(修正自然法論者)に代表される&color(crimson){戦後日本の左翼的憲法学は「実定法を根拠づける“根本規範”あるいは“自然法”」を仮設ないし想定するところからその理論の総てが始まる}が、そのような&color(green){ア・プリオリ(先験的)な前提から始まる論説は、20世紀後半以降に英米圏で主流となった分析哲学(反形而上学的哲学)を反映した法理学/法哲学(基礎法学)分野では、とっくの昔に排撃されており}、日本でも“自然法”を想定する法理学者/法哲学者は最早、笹倉秀夫(丸山眞男門下)など一部の化石化した確信的左翼しか残っていない。&br()このように&color(navy){基礎法学(理論法学)分野でほぼ一層された論説を、応用法学(実定法学)分野である憲法学で未だに前提として理論を展開し続けるのはナンセンスであるばかりか知的誠実さを疑われても仕方がない}行いであり、日本の憲法学の早急な正常化が待たれる。&br()(※なお、近年の左翼憲法論をリードしている[[長谷部恭男>よくわかる左翼憲法論2~長谷部恭男・追討編]]は、芦部門下ではあるが、ハートの法概念論を正当と認めて、芦部説にある自然法・根本規範・制憲権といった超越的概念を否定している。)| (★注3)「&color(crimson){法=社会的ルール説}」は20世紀初頭に英米圏で発展した分析哲学の成果を受けて、1960年以降にイギリスの法理学者H. L. A. ハートによって提唱され、現在では&color(crimson){英米圏の法理論の圧倒的なパラダイム}となっている法の捉え方である。 (※以下のモデル図参照。また阪本昌成『憲法理論Ⅰ』[[第二章 国制と法の理論]]も参照) &ref(http://www35.atwiki.jp/kolia?cmd=upload&act=open&pageid=1768&file=%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%AE%E6%B3%95%E4%BD%93%E7%B3%BB1.png) &ref(http://cdn35.atwikiimg.com/kolia/?cmd=upload&act=open&page=%E6%B3%95%E5%AD%A6%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E7%9F%A5%E8%AD%98&file=%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%AE%E6%B3%95%E4%BD%93%E7%B3%BB2.png) ※上記のように、&color(crimson){ハート}の&color(crimson){法=社会的ルール説}は、&color(crimson){現実の法現象について詳細で明晰な分析モデルを提供}しており、&color(crimson){特定の価値観・政治的イデオロギーに基づく概念ピラミッド}に過ぎない&color(crimson){法=主権者意思[命令]説}の法体系モデルを、&color(crimson){その説得力において大幅に凌駕}している。 ※なお、自由を巡る西洋思想の二つの潮流について詳しくは ⇒ [[国家解体思想の正体]] 参照

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