よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) 

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<目次>
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*■1.「護憲派最終防衛ライン」長谷部恭男
戦後左翼の言論支配は、様々な分野に及んでいるが、憲法学の分野では、宮沢峻義→芦部信喜と続くラインがその中心となっており、歴史学・政治思想・宗教史など他分野に比較しても、その勢力はなお強力である。

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しかし、宮沢峻義の後継者であった芦部信喜の憲法論は、確かに現代でも日本の憲法学の通説的地位を占めているものの、その論説の基礎となっている法概念理解は、20世紀初頭以降の分析哲学の発展を反映して世界標準となった英米圏の法概念理解([[ハートの法=社会的ルール説>法と権利の本質]]をベースとする理解)と完全にズレて時代遅れとなった、謂わば「日本ローカル(ないし半世紀前のドイツ法学準拠)」の代物でしかないことが明白であって、芦部の門下であり近年の護憲派憲法論のエース格となった長谷部恭男からさえ、はっきりと否定されざるを得ない状況となっている([[よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編)]]参照)。

このページでは理論的にはとっくに破たんしている芦部憲法論に代わって、[[護憲派最終防衛ライン>http://www.mars.dti.ne.jp/~saitota/2009/bookhasebe.htm]]の呼び声高い長谷部恭男教授の憲法論を紹介するとともに、その問題点・矛盾点を指摘して、こうした論説に依拠する“護憲派左翼”残党の掃討を画す。

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*■2.長谷部恭男『憲法 第5版』紹介と抜粋(内容チェック)
|&ref(http://www35.atwiki.jp/kolia?cmd=upload&act=open&pageid=1784&file=hasebe.jpg)|[[『憲法 第5版』>http://www.amazon.co.jp/dp/4883841685]] (長谷部恭男:著 (2011年))|
|~|[[長谷部恭男>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E8%B0%B7%E9%83%A8%E6%81%AD%E7%94%B7]]は、故・芦部信喜(東大憲法学の代表的学者)門下の現代左翼を代表する憲法学者である。&br()しかし師・芦部の憲法論が基本的には観念論的な大陸法学を引きずったままの修正自然法論・制憲件論に依っているのに対して、長谷部は英米系の法理論(ハートの社会的ルール説etc.)が世界的なスタンダードになって久しい状況に適応すべく、こうした師の修正自然法論・制憲件論を明確に否定する立場を鮮明にしつつ、なおかつ英米圏の法理論を憲法9条の改憲阻止を眼目とした護憲論に結びつける論説を近年盛んに発表しており、芦部に代わって左翼憲法論の新たなリーダーとなりつつある。(※参考ページ:[[政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価]])。&br()&br()長谷部の憲法論は、このように憲法の概念論(=憲法とは何であるか、という理解)としては芦部説より遥かにマシではあるが、そのもつ国家観・歴史観が結局のところ、ひと昔前の[[丸山眞男「日本ファシズム論」(戦前の日本は暗黒のファシズム国家であったとする戦後左翼が盛んに流布させた論説)>http://www35.atwiki.jp/kolia/pages/1658.html]]に依拠したままであるために、憲法の理念論(=憲法はどうあるべきか、という理解)、ことに日本の憲法典はどうあるべきか、という理解において、左翼的な歪みから脱却できていない。|

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**▼1. 憲法とは何か
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&include_cache(よくわかる左翼憲法論1(憲法とは何か))
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**▼2. 日本憲法史
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**▼3. 平和主義
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*■3.長谷部憲法論の問題点・矛盾点

**▼1.国家観・歴史観が丸山眞男・日本ファシズム論に依拠していること

まず第一に、長谷部教授の国家観・歴史観が、旧来の丸山テーゼに依拠したままであることが挙げられる。
以下、参考図表。
丸山テーゼ(日本ファシズム論)の検証について、詳細は&size(20){&bold(){[[村上重良「国家神道論」、丸山眞男「天皇制ファシズム論」の検証]]}}へ。

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**▼2.ハイエクに代表されるリベラル右派の論説への言及を故意に避けていること

次に、長谷部教授の論説は、ハートの法概念論までは肯定しても、それと密接に結びついたハイエクの法理解(ノモス概念論や「法の支配」論、自生的秩序論etc.)への言及は故意に避けている疑いが強いこと。
[[ハイエクの自由論>http://www35.atwiki.jp/kolia/pages/1608.html]]に到達されると、左翼側は最早全く反論できなくなってしまう危険が高いため、一般に左翼論者はハイエクへの言及を一切忌避する傾向が強い。
⇒もしハートの法概念論に依拠するならば、[[阪本昌成教授>阪本昌成『憲法1 国制クラシック 全訂第三版』(2011年刊)]]のように併せてハイエクの論説にも依拠していなければ理論として一貫しない筈である。

以下、参考図表。
&ref(http://www35.atwiki.jp/kolia?cmd=upload&act=open&pageid=1702&file=%E3%80%8C%E6%B3%95%E3%81%AE%E6%94%AF%E9%85%8D%E3%80%8D%E6%95%B4%E7%90%86%E8%A1%A8.GIF,with,height=500)
※サイズが画面に合わない場合は[[こちら>http://www35.atwiki.jp/kolia?cmd=upload&act=open&pageid=1702&file=%E3%80%8C%E6%B3%95%E3%81%AE%E6%94%AF%E9%85%8D%E3%80%8D%E6%95%B4%E7%90%86%E8%A1%A8.GIF]]をクリック願います。

なお、ハイエク「自生的秩序論」とハート「社会的ルール説」の密接な関係については、[[落合仁司『保守主義の社会理論』内容紹介]]参照。
阪本昌成教授の憲法論については、[[阪本昌成『憲法理論Ⅰ 第三版』(1999年刊)]] および [[阪本昌成『憲法1 国制クラシック 全訂第三版』(2011年刊)]]参照。

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*■4.ご意見、情報提供
- 「護憲派最終防衛ライン」長谷部恭男 http://www.mars.dti.ne.jp/~saitota/2009/bookhasebe.htm  -- 名無しさん  (2013-06-10 17:37:22)
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