<1> | まず、基礎法学(理論法学)と実用法学(応用法学)を区別して、憲法問題の位置づけを明確にし、 |
<2> | 次に、基礎法学の主要3分野(①法概念論・②法価値論・③法学的方法論)各々について、実用法学の一分野である憲法学(憲法論)の課題を対応させた問題状況整理表を作成し、 |
<3> | そして、上流から順に(つまり①法概念論→②法価値論→③法学的方法論の順に)これらの課題を一つづつ分析し整理していく。 |
きそほうがく 【基礎法学】 ※日本語版ブリタニカ百科事典より |
実用法学に対して、少なくとも直接的には法的な諸事象の純粋に理論的な認識・解明を目的とする法学。 理論法学ともいう。 基礎医学という用語にならって第二次世界大戦後の日本で使われるようになった。 法社会学、法史学、比較法学、法哲学がこれに属する。 | |||
じつようほうがく 【実用法学】 ※日本語版ブリタニカ百科事典より |
司法、行政、立法などの実用目的に奉仕する法学。 法解釈学と立法学がこれに属する。 基礎法学と対置されるが、現代の実用法学は基礎法学の成果を積極的に活用して法の合目的的な形成と運用を図る応用科学としての性格を強めつつある。 | |||
ほうかいしゃくがく 【法解釈学】 Rechtsdogmatik ※日本語版ブリタニカ百科事典より |
解釈法学ともいう。 実定法の規範的意味内容を体系的・合理的に解明し、裁判における法の適用に影響を与えることを目的とする実用法学。 実定法を構成する文字および文章の多義的な規範的意味内容を明確かつ一義的に確定していく作業が法の解釈であるが、この作業には、①文理解釈、②論理解釈、③縮小解釈、④目的論的解釈、⑤反対解釈、⑥勿論解釈、⑦類推解釈などと呼ばれるものがある。 法解釈学は古代ローマで成立して以来、現代まで法学の中心的位置を占めているが、時代の変遷によって力点の変化がみられる。 自由法論以後の法解釈学は人間や社会に関する経験科学的認識を取り入れた応用科学としての性格を強めている。 第二次世界大戦後の日本の法学界における「法解釈学論争」では、法解釈学の実践的性格が強調された。 法解釈学は、その対象となる実定法の分野によって、憲法学、行政法学、刑法学、民法学、商法学、労働法学、国際法学、国際私法学などに分れる。 | |||
けんぽうがく 【憲法学】 ※広辞苑より |
法学の一部門。 憲法および憲法上の諸現象を研究の対象とする学問。国法学。 |
基礎法学(理論法学)の主要3分野 | 憲法学(憲法論)の課題 | ||||
(1) | 法概念論 (法とは何か) |
<1> | 憲法とは何か (憲法の定義) |
⇒(a)実質憲法(国制)と、(b)形式憲法(憲法典)、の区別が重要。 | |
<2> | 法体系の中での憲法の位置づけ | ⇒①法段階説(主権者意思[命令]説・・・ケルゼン及び修正自然法論者の法理解)と、②社会的ルール説(ハートの法理解であり、ハイエクの自生的秩序論と親和的)、の区別・評価が重要 | |||
(2) | 法価値論 (法の保障すべき価値は何か) ※法理論論、法目的論ともいう |
<1> | 主権論 (憲法は特定の主権者を規定すべきか) |
※法価値論は、専ら、(a)実質憲法(国制)の在り方に関する分野である。 ⇒①左翼的・全体主義的価値観と、②保守的・自由主義的価値観、の区別・評価が重要。 ※主権論について詳細ページ⇒政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 ※人権論について詳細ページ⇒「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために | |
<2> | 人権論 (憲法の基礎的な保護領域は何か) |
||||
<3> | 平和論 (奴隷の平和か正戦を肯定するか) |
||||
(3) | 法学的方法論 (法価値を如何に実現するか) |
<1> | 憲法典(形式憲法)の解釈論 | ※法学的方法論は、専ら、(b)形式憲法(憲法典)の解釈・運用に関わる分野であり、具体的な条規について(2)法価値論の<1>~<3>の課題に対応した法解釈の対立が見られる。 ⇒①左翼的・全体主義的解釈と、②保守的・自由主義的解釈、の区別・評価が重要。 | |
<2> | 憲法典(形式憲法)の改廃論 | ⇒①護憲論、②改憲論、および③破棄論、の比較・評価が重要。 | |||
<3> | 憲法典(形式憲法)案の内容評価 | ⇒各々の草案について、(2)法価値論の<1>~<3>の課題への対応方針に留意しながら個別に評価していくことが重要。 |
けんぽう 【憲法】 constitution ※日本語版ブリタニカ百科事典より |
憲法の語には、(1)およそ法ないし掟の意味と、(2)国の根本秩序に関する法規範の意味、の2義があり、 聖徳太子の「十七条憲法」は(1)前者の例であるが、今日一般には(2)後者の意味で用いられる。 | |||
(2)後者の意味での憲法は、凡そ国家のあるところに存在するが(実質憲法)、 近代国家の登場とともにかかる法規範を1つの法典(憲法典)として制定することが一般的となり(形式憲法)、 しかもフランス人権宣言16条に謳われているように、①国民の権利を保障し、②権力分立制を定める憲法のみを憲法と観念する傾向が生まれた(近代的意味の憲法)。 | ||||
<1> | 17世紀以降この近代的憲法原理の確立過程は政治闘争の歴史であった。 憲法の制定・変革という重大な憲法現象が政治そのものである。 比較的安定した憲法体制にあっても、①社会的諸勢力の利害や、②階級の対立は、 [1]重大な憲法解釈の対立とともに、[2]政治的・イデオロギー的対立を必然的に伴っている。 | |||
従って、 | (a) | 憲法は政治の基本的ルールを定めるものであるとともに、 | ||
(b) | 社会的諸勢力の経済的・政治的・イデオロギー的闘争によって維持・発展・変革されていく、 ・・・という二重の構造を持っている。 | |||
<2> | 憲法の改正が、通常の立法手続でできるか否かにより、軟性憲法と硬性憲法との区別が生まれるが、今日ではほとんどが硬性憲法である。 | |||
近代的意味での成文の硬性憲法は、 | ① | 国の法規範創設の最終的源である(授権規範性)とともに、 | ||
② | 法規範創設を内容的に枠づける(制限規範性)という特性を持ち、かつ | |||
③ | 一国の法規範秩序の中で最高の形式的効力を持つ(最高法規性)。 | |||
日本国憲法98条1項は、憲法の③最高法規性を明記するが、日本国憲法が硬性憲法である(96条参照)以上当然の帰結である。 今日、③最高法規性を確保するため、何らかの形で違憲審査制を導入する国が増えてきている。 | ||||
なお、憲法は、 ①制定の権威の所在如何により、欽定・民定・協約・条約(国約)憲法の区別が、 ②歴史的内容により、ブルジョア憲法と社会主義憲法、あるいは、近代憲法(自由権中心の憲法)と現代憲法(社会権を導入するに至った憲法)といった区別がなされる。 | ||||
なお、下位規範による憲法規範の簒奪を防止し、憲法の最高法規性を確保することを、憲法の保障という。 | ||||
(⇒憲法の変動、⇒成文憲法、⇒不文憲法) |
① | 実質的意味の憲法 | (=国制 constititional law) | と、 |
② | 形式的意味の憲法 | (=憲法典 constitutional code) | の2つのレベルがあり、 |
① | 実質的意味の憲法論 | (法価値論=憲法の保障すべき価値は何かを考察する価値論であり、それを具体化すると立法論になる) | と、 |
② | 形式的意味の憲法論 | (法解釈論=既に成文化された憲法典の解釈論) | の2つの段階があり、 |
★補足説明:「実質的意味の憲法」「国体法」「国制」 |
たとえば「民法」という概念には、①実質的意味の民法(=民法典に限らず「総体としての民法 civil law」を指す)と、②形式的意味の民法(=民法典 civil code という具体的な法律)の二つの意味があり、また「刑法」という概念にも同じく、①実質的意味の刑法(criminal law)と、②形式的意味の刑法(=刑法典 criminal code という具体的な法律)の二つの意味がある。 これらから類推されるように、当然「憲法」という概念にも、①実質的意味の憲法(constitutional law)と、②形式的意味の憲法(=憲法典 constitutional code という具体的な法律)の二つの意味があり、これらは確りと区別されて論じられるべきであるが、明治期に constitution(英語)ないし Verfassung(ドイツ語)という概念を日本に導入する際に、専ら②形式的意味の憲法(憲法典)という意味で「憲法」という言葉が用いられてしまったために、現在の日本では、憲法とは専ら②憲法典である、とする理解(すなわち、①の意味を見落とした状態での理解)が一般的となってしまっている。 |
これに関しては、戦前の日本では、①実質的意味の憲法(国制)を意味する言葉として、明治以前から「国体」という用語が普及していたという裏の事情がある。 この「国体」という用語は、昭和初期に濫用されて右翼的イデオロギーの色彩を強く帯びてしまったことから、戦後はこの用語の使用自体がタブー視される状態となってしまい、なおさら現在の日本人が、①実質的意味の憲法、を考えることを困難にしている。 この①実質的意味の憲法 constitutional law を素直に翻訳すれば「国体法」となるが、ここでは主に、よりイデオロギー色の薄い「国制」という訳語を用いることとする。(※なお、アリストテレス著として伝わる『アテナイ人の国制』の英語版書名は 『The Athenian Constitution』であり、①の意味での constitution の訳語として「国制」が現時点ではやはり一番適切である。) |
(1) | 憲法とは、政治権力者を拘束し国民を守るための法規範であり、それに反するものは憲法ではない。(主に左派から) |
(2) | 憲法とは、国の歴史を踏まえた国体を成文化した法規範であり、それに反するものは憲法ではない。(主に右派から) |
※図が見づらい場合⇒こちら を参照 |
※①宮澤俊義(ケルゼン主義者)・②芦部信喜(修正自然法論者)に代表される戦後日本の左翼的憲法学は「実定法を根拠づける“根本規範”あるいは“自然法”」を仮設ないし想定するところからその理論の総てが始まるが、そのようなア・プリオリ(先験的)な前提から始まる論説は、20世紀後半以降に英米圏で主流となった分析哲学(反形而上学的哲学)を反映した法理学/法哲学(基礎法学)分野では、とっくの昔に排撃されており、日本でも“自然法”を想定する法理学者/法哲学者は最早、笹倉秀夫(丸山眞男門下)など一部の化石化した確信的左翼しか残っていない。 このように基礎法学(理論法学)分野でほぼ一層された論説を、応用法学(実定法学)分野である憲法学で未だに前提として理論を展開し続けるのはナンセンスであるばかりか知的誠実さを疑われても仕方がない行いであり、日本の憲法学の早急な正常化が待たれる。 (※なお、近年の左翼憲法論をリードし「護憲派最終防御ライン」と呼ばれている長谷部恭男は、芦部門下であるが、ハートの法概念論 を正当と認めて、芦部説にある自然法・根本規範・制憲権といった超越的概念を明確に否定するに至っている。) |
ほうかちろん【法価値論】 legal axiology ※日本語版ブリタニカ百科事典より |
法的な価値について考察する研究分野。 法的な価値は正義という言葉で表現されることが多いから、正議論といってもよい。 古代ギリシア以来、法哲学の主要分野をなしてきたが、最近は、①規範的倫理学と、②分析的倫理学の区別に対応して、①規範的法価値論と②分析的法価値論(メタ法価値論)とが明確に区別されるようになった。 |
法価値論(正義論)まとめページ | 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 |
「法の支配」と国民主権の関係 | 「法の支配(rule of law)」とは何か |
国民の権利・自由と人権の関係 | 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために |
芦部信喜・佐藤幸治・阪本昌成・中川八洋etc.の「国民主権論」比較と評価 | 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 |
関連用語集 | 【用語集】主権論・国民主権等 |
政治的スタンス | 代表的論者 | ベースとなる思想家/思想 | 補足説明 | 詳細内容 | |
(1) | 極左 | 伊藤真など護憲論者 | J.-J.ルソーの社会契約論からさらに、アトム的個人主義と集産主義の結合形態(=左翼的全体主義)※説明に接近 | 「人権」「平和」を過度に強調し絶対視する共産党・社民党・民主党左派系の法曹に多い憲法論でありイデオロギー色が濃く法理論というよりは左翼思想のプロパガンダである(左の全体主義) | |
(2) | 左翼 | 芦部信喜 高橋和之 |
修正自然法論(法=主権者意思[命令]説に自然法を折衷)+J.-J.ルソーの社会契約論 | 宮沢俊義→芦部信喜と続く戦後日本の憲法学の最有力説であり通説 ※宮沢は有名なケルゼニアン(ケルゼン主義者)。芦部は自然法論者だが人権保障をア・プリオリ(先験的)な「根本規範」と位置づけており、その表面的な米国判例理論の紹介はポーズに過ぎず、実際には依然ケルゼン/ラートブルフ等ドイツ系法学の影響が強い |
よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) |
(3) | リベラル左派 | 長谷部恭男 | H.L.A.ハートの法概念論(法=社会的ルール説)を一部独自解釈 ※なお長谷部は社会契約論に依拠しているのか曖昧でハートの法概念論と辻褄が合うはずのハイエクの自由論は故意に無視している |
近年の左派系憲法論(護憲論)をリードしている長谷部は芦部門下であるが、師のようなドイツ系法学パラダイムはもはや世界の憲法学の潮流からは通用しないことを認識しており、師の憲法論の中核である、①根本規範を頂点とした法段階説+②制憲権(憲法制定権力)説、を明確に否定して、英米系法学パラダイムへの接近を図っている。(※但しハートまでは受容しながらもハイエクを拒否している長谷部の憲法論は中途半端の誹りを免れず、これを一通り学んだ後は、より整合性のとれた阪本昌成の憲法論へと進むべきである) | よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) |
(4) | 中間 | 佐藤幸治 | 人格的自律権に限定して自然法を認める独自説+J.ロックの社会契約論 | 芦部説の次に有力な憲法論であり、芦部説よりも現実妥当性が高いので重宝されるが(佐藤は佐々木惣一から大石義雄へと続く京都学派憲法学の系統)、法理論としては妥協的でチグハグと呼ばざるを得ない | 佐藤幸治『憲法 第三版』抜粋 |
(5) | リベラル右派 | 阪本昌成、※ | H.L.A.ハートの法概念論(法=社会的ルール説)+F.A.ハイエクの自由論 | 20世紀後半以降の分析哲学の発展を反映した英米法理論に基礎を置く憲法論であり、法理論としての完成度/説得力が最も高いが、日本では残念ながら非常に少数派 | 阪本昌成『憲法1 国制クラシック』 |
(6) | 保守主義 | 中川八洋 日本会議 |
E.コークの「法の支配」論+E.バークの国体論 | 日本会議・チャンネル桜系の憲法論も基本的にこちらに該当する。法理論というより「国民の常識」論であり、心情面からの説得力が高いが、(5)の法理論を一通り押えた上でこの立場を取らないと、いつの間にか(7)に堕する危険があるので注意。 | 中川八洋『国民の憲法改正』抜粋 |
(7) | 右翼・極右 | いわゆる無効論者 | ヘーゲルの法概念論・共同体論およびそれに類似した全体主義的論調 | 「伝統」「国体」などを過度に強調し絶対視して「右の全体主義」化した憲法論(左翼憲法論の裏返しであり、左翼からの転向者が嵌り易い。法理論というより右翼イデオロギーのプロパガンダ色が濃い) |
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政治的スタンス毎の憲法論の違いは、①「人権」と②「国民主権」の捉え方に顕著に現れる。 このうち、①「人権」に関しては、「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のためにを参照。 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価では、(2)~(6)の各々の政治的スタンスの代表的な②「国民主権」論を列記したのち、総括する。 |
憲法典の改廃論 | 内容 | 参考ページ | |||
(1) | 改憲論 | ① | 保守的改憲論 | 保守主義的・自由主義的な法価値(理念/目的)の、より確実な実現を目指す改憲論 | 中川八洋『国民の憲法改正』抜粋 |
② | 左翼的改憲論 | 左翼的・全体主義的な法価値(理念/目的)の、より確実な実現を目指す改憲論 | |||
③ | 中間的改憲論 | それほど明確なポリシーがあるわけではない(=保守主義的とも左翼的とも言い難い)が、一応は憲法9条の改正など最低限の提言内容は持つ改憲論 | |||
(2) | 護憲論 | ① | 左翼的護憲論1 (芦部信喜説準拠) |
「人権」「平和」理念を絶対視して、彼らがその理念を体現すると考える現行の憲法典の絶対的維持を訴える論。しかし、■2.で説明したように、芦部説などのベースとなっている法概念理解は実際には単なる左翼イデオロギーの刷り込みでしかなく「自由で寛容な価値多元的な社会を支える憲法構想」としては完全に破綻している。 | よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) |
② | 左翼的護憲論2 (長谷部恭男説準拠) |
自衛隊の存在などは「憲法の変遷」があった(=条文の変化はないが、その解釈が変化したことにより合憲となった)として現状追認する一方で、現行憲法典の条文自体には「世界平和の希求」「人権価値実現の目標プログラム」など将来に向けての積極的価値を認めて、改憲に反対する論 | よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) | ||
③ | いわゆる真正護憲論 (新無効論) |
この論の当否についてはネットなどで各自チェックするのが望ましい。一つ指摘事項を書くとすれば、この論のベースとなる法概念理解は、実は芦部信喜に代表される①左翼的護憲論1の法段階説(根本規範・自然法論などを強調するドイツ法学系の法概念理解)と同じ(=左翼的護憲論が「人権」「平和」を絶対視するところを、この論では彼らの考える「国体」を絶対視している、という違いがあるだけ)であり、①左翼的護憲論1と同じく、現代の法学パラダイムから全く落伍した時代遅れの論である、ということである。 そのほか、この論には法的議論として様々な無理があり、一定の法学知識のある層からは全く相手にされていない が、一般向けのプロパガンダとしては中々人気のある論となっている。 |
国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) | ||
(3) | 破棄論 | ① | 占領憲法失効・破棄論 (菅原裕説が代表的) |
主権回復(1952.4.28)直後には一定の説得力と賛同者をもっていた論であったが、現在では最早現実妥当性がない無責任な論である。 1950年代前半迄であれば、現行憲法を破棄・失効させ明治憲法を復活させてそのまま運用することは何とかギリギリで可能だったかも知れないが、戦後日本社会の様相を反映した複雑・多様な法制度が整備された現在では、代替案も示せずに「現行憲法を破棄・失効せよ」とだけ強弁するだけでは済まされない。 |
① | 中川八洋草案 | 保守的改憲案の代表例 |
② | 日本会議の提言 | 保守的改憲案の代表例 |
③ | 産経新聞案(2013年) | 「国民の憲法」要綱 |
④ | 読売新聞案(2004年) | 読売新聞社・憲法改正2004年試案 |
⑤ | 自民党案(2012年) | 現行憲法・自民党改憲案(対照表) |
⑥ | 国立国会図書館編・改憲案一覧(2005年) | 主な日本国憲法改正試案及び提言 |
憲法典の構成 | 保守的スタンスから見た改正の要否、改正内容 | ||||||
前文 | 抜本的な書換が必要 | 自虐的文言・空想的国際協調主義などの全面的排除 | 憲法の基本理念や解釈基準を明記する部分だが、現状は占領軍のポジション・トークに過ぎない部分が目立ち、抜本的な書換が必要である。 | ||||
本文 | (1) | 固有規定1 | <1> | 第一章(天皇) | 要検討 | 具体的な改正内容は慎重な検討を要する | 国の在り方や国政の基本方針を明記する部分だが、文理解釈のままでは実質憲法(国制)とズレが生じるために、現状では相当に苦しい目的論的解釈が必要となっている箇所が多く、大幅な書換が必要である。 |
<2> | 第ニ章(戦争の放棄) | 抜本的な書換が必要 | 正当な戦力の保持・行使の明記etc. | ||||
(2) | 権利章典 | <1> | 第三章(国民の権利及び義務) | 小規模な修正 | 普遍的人権ではなく国民の自由・権利の保障etc. | 規定内容は実はかなり優秀であり、現在の基本線を外した修正は不要と思われる。 | |
(3) | 統治機構 | <1> | 第四章(国会) | 小規模な修正 | 参議院の在り方etc. | 規定内容は実はかなり優秀であり、現在の基本線を外した修正は不要と思われる。 | |
<2> | 第五章(内閣) | 内閣権限の強化、国家安全保障の不備対応etc. | |||||
<3> | 第六章(司法) | 国民審査制度の不備対応etc. | |||||
<4> | 第七章(財政) | ||||||
<5> | 第八章(地方自治) | ||||||
(4) | 固有規定2 | <1> | 第九章(改正) | 要検討 | 96条の2/3条項については賛否両論あり | 要検討。 | |
<2> | 第十章(最高法規) | 中規模の修正 | 人権の過度の強調の排除、最高法規性の定義再検討etc. | ||||
(5) | 経過規定 | <1> | 第十一章(補則) | - | 新たな経過規定が必要 | 本文ではなく附則とするのが合理的である。 |
+ | ... |