橋下徹氏は嫌いだ。政治思想?どうもファッシズムの臭気を感じる、私とは相容れない。人間性も首を傾げることが多々ある。
嘘や誤魔化しを強く感じる。
  にしても、今回の週刊朝日10月26日号「ハシシタ 奴の本性」については、彼の考え方と姿勢を支持する。
  さて、今回の差別記事については、株式会社朝日新聞社の100%子会社であり、元来が2008年に同新聞社の出版本部であった、
株式会社朝日新聞出版が発行する「週刊朝日」自体についてはもとより、朝日新聞社の報道姿勢、特に2点の背信行為について論及し
ていくことにする。
  一点目は、「購読者に対する説明、報道責任の欠如」だ。

【購読者に対する説明、報道責任の欠如。】

  この問題に対する朝日の読者への初報は平成24年10月18日大阪版朝刊である。

   

   そしてこの日の橋下市長による記者会見では、朝日新聞記者2名が市長から84分間の糾弾を受けることとなった。
  これについては、サンケイ新聞は以下の様に報じ、

        産経新聞ネット版
       橋下氏「不法団体と一緒だ」と朝日を批判 記者は「(出版は)別会社」繰り返す
       2012.10.18 15:46
     日本維新の会代表で大阪市長の橋下徹氏の出自を朝日新聞出版発行の「週刊朝日」が報じたことを巡り、橋下氏は18日、
    同市役所での定例会見で、親会社の朝日新聞社の記者に対して公式見解を求めた。記者側は「朝日新聞と朝日新聞出版とは
    別会社で編集には関与していない」との回答を繰り返したが、橋下氏は「トンネル会社を作って、なんでもかんでもやる不
    法団体と一緒だ」と批判した。
     週刊朝日は10月26日号(16日発売)の誌面からノンフィクション作家の佐野眞一氏と同誌取材班(今西憲之氏、村
    岡正浩氏)による緊急連載「ハシシタ 奴の本性」を開始。「本性をあぶり出す」として、橋下氏の実父が被差別部落出身
    であるとし、実父の遠戚という男性の証言をもとに「(実父が)暴力団の若い衆で、自殺した」「(実父方のいとこが)殺
    人事件を起こした」などと掲載した。
     橋下氏は会見で「朝日新聞は人権を大切にしようと言ってきた言論機関。その100%子会社に株主としてどういう姿勢
    で臨んでいくのか」と朝日新聞の記者に質問。「別会社」との回答を繰り返す記者に対して、橋下氏は「そんな理屈は通ら
    ない。出資を引きあげることもできるでしょう」と批判した。
     橋下氏はさらに「個人の意見を聞きたい」とたたみかけ、記者は言葉を詰まらせながら「個人的にそういうことを肯定し
    ていることは僕自身はありません」と答えた。

  実際のやり取りの、ほぼその一問一答をサンケイ新聞ネット版に掲載している。

           【橋下氏VS朝日】
       会見詳報(1)「週刊朝日、無知の集団だと思っている」
        2012.10.18 17:26

     日本維新の会代表で大阪市長の橋下徹(はしもと・とおる)氏は18日の定例会見で、自身の出自に関する週刊朝日の報
    道をめぐり、約15分にわたって同誌の記事についての思いを語った。

   「先祖や実父の調査、問題視」

    橋下氏   ぼくは公人なので、両親、先祖について必要に応じて報じられるのも仕方ない。虚偽の事実でない限りは名誉
          毀損にならないと、法律家なので知っています。それが真実であれば報じられることも当然と思う。
          今回問題視しているのは、自分のルーツ、育てられた記憶もない実父の生き様、当該地域が被差別部落という
          話について、それがぼくの人格を否定する根拠として、先祖、実父を徹底的に調査するという考え方を問題視
          している。
          ぼくの許されない人格が何なのかといえば、血脈、DNA、先祖、実父という発想のもとで、どんどんぼくと
          は無関係の過去を無制限に暴き出していくということは、公人であったとしても、認めることができないし、
          違うと思う。
          また、どの地域が被差別部落かどうかを明らかにするということは、今の日本の社会においては認められては
          いないと思っている。
          言論の自由は憲法上の権利であり、最大限保障されるのは間違いない。でも言論として言葉に出すには一定の
          制約がある。
          報道機関が民主国家において重要な役割を担う機関であり、権力チェックは、報道機関によってしかできない
          という状況を前提としたとしても、こういう調査のあり方、公にするやり方は日本社会においては許されない。

   「便所の落書きとは違う」

          ぼく自身が生まれてから、両親の育て方はどうだったか、友人関係、学校生活、テレビメディアに出演していた
          時代、知事時代、市長時代がどうだったか丸裸にされても仕方ない。そこから入らずに、いきなりDNA論。
          ぼくの人格は許されないという表現も自由だが、ぼくの自由が許されないのは『ハシシタ』の血脈、DNAとい
          う前提のもとに、被差別部落問題のルール無視して、徹底的に暴いていくと。
          取材記者がどこに取材したかリサーチをしたら、この人が、どこまでうちの実父や祖父のことを知っているのか
          大変怪しい人だけに話を聞いている。話を聞いたことをそのまま出すのは報道ではない。
          週刊朝日の編集長、編集者に問いたいのは、ここまでやってもいいのかという姿勢がなかったのかと。被差別部
          落についてどこまで勉強したのか、はっきりいって無知の集団だと思っている。
          同時にそうはいっても朝日新聞という天下の大新聞の100%子会社だ。インターネットで流れるとか便所の落
          書きとはわけが違う。朝日新聞という日本の中においても個人を大切にしていこうと言ってきた言論機関の100
          %子会社が今回のような報道をすることについて、それを認めていたのか、どうなのか。100%株主として、
          今後どういう姿勢で、週刊朝日に臨むのか、そのあたりの考えをお聞きしない限りは、血脈主義、部落差別を認
          める一定の団体だと、そう認識せざるをえず、質問には答えない。

   「朝日放送は無関係」

          ABC(朝日放送)は、週刊朝日と朝日新聞についての位置づけを考えたら無関係なので取材は受けたい。朝日
          新聞はすでに『子会社で社が違うから関係ない』という発表があったので、それ以上に見解がなければ、ぼく自
          身は朝日新聞が血脈主義、部落差別を肯定すると認定した上で、対応したいと思っている。

   《橋下氏はこの後、朝日新聞記者に社としての対応を求めた》

       会見詳報(2)「子会社にやらせたい放題ではないか」
    2012.10.18 18:24

    橋下徹(はしもと・とおる)氏の18日の定例会見での主なやりとりは次の通り。
   ◇
   「やりたい放題ですよ」

    朝日新聞記者 社としての見解を私が言うことはありません。

《記者は一言だけ述べた。橋下氏は改めて朝日新聞社の取材は受けないと明言し、他社の記者からの意見、質問を求める》

    民放記者   (週刊朝日の記事が)名誉毀損にあたるとは考えていないのか。
    橋下氏    虚偽の事実でなければ基本的には名誉毀損にならない。覚醒剤をやっていたということも書いているが確認
             しようがない。やりたい放題ですよ。

   《何問かやりとりが続いた後、朝日新聞記者が意見を述べる》

    朝日新聞記者 ご承知の上だと思うが、週刊朝日を発行しているのは朝日新聞出版。弊社の子会社だが、編集権は別であり
           ます。記事の内容をわれわれがチェックすることもできない。朝日新聞自体が部落差別とか血脈主義を肯定
           する立場とは私は思っていない。
    橋下氏    じゃあ子会社にやらせたい放題ではないか。100%子会社ですから、朝日新聞の記者も週刊朝日にいって
           いる。
           週刊朝日に株主としてどういう態度をとるのか。考え方が違うなら、出資を引き上げたらいいだけの話。う
           ちは関係ないと言い切ったらいい。やらないのは週刊朝日の今回の記事を肯定したととらざるをえない。
    朝日新聞記者 市長がおっしゃっていることと怒りの中身は分かったが、社を代表する立場ではない。ここで市長がおっしゃ
           ったことを伝えて、対応する。

    「覚醒剤はどこまで裏をとるのか」

    橋下氏    週刊朝日が特定地域を指して被差別部落地域と出すことは問題ないと考えているのか。
    朝日新聞記者 私の立場でいいとも悪いとも言えない。指摘はよく分かる。納得いく答えができる権限もないので。
    橋下氏:   じゃあ社としての見解は求めない。特定の地域を被差別部落と公にすることは公人のルーツを探ることにおい
           て許されるのか。記者としてどうか。
    朝日新聞記者 朝日新聞の一人間なので、どこでどういう風にそれがまわるか分かりませんからはっきりした答えにならない
           が、個人的にそういうことを肯定しているということはない。
    橋下氏    ある人物が覚醒剤を打っているかというのはどこまで裏をとるのか。取材して証言者の内容をそのままたれ流
           していいのか。記者としてどうなのか。週刊朝日がずるいのは、本体の記者を使わずに外部に発注してやって
           いる。でもこんなのは管理監督責任もちろんありますから。

    「言論人として評価を」

    朝日新聞記者 繰り返しになるが、朝日新聞社としてこれをいい悪いというのはコメントしづらい。
    橋下氏    じゃあ肯定も否定もしないのか。
    朝日新聞記者 そうではない。あくまでも別媒体の記事内容について、適切かどうかはコメントはしづらい。
    橋下氏    週刊朝日が別媒体というなら、言論人として評価してください。
    朝日新聞記者 それは週刊朝日が責任持って対応することになる。

   《橋下氏は、他社に“言論人”としての意見を求める。続いて、朝日放送の記者が見解を述べる》

       会見詳報(3完)「全人格否定のため宣戦布告された」
    2012.10.18 20:22
   橋下徹(はしもと・とおる)氏の18日の定例会見での主なやりとりは次の通り。
   ◇
   「記事は一定のラインを越えている」

    朝日放送記者 (橋下)市長のおっしゃることはもっともだと思うが、取材拒否をするのは別の問題。編集権が違う。
    橋下氏    社の方針について株主は決めることができる。
    朝日放送記者 この議論は週刊朝日とするべきだ。

   《朝日新聞を攻める橋下氏をいさめる意見もあがるが、橋下氏に矛を収める気配はない》

    橋下氏    親会社も責任がある。100%株主ですから。週刊朝日は連絡をしてきまして、直接会いたいと言っているが、
           記者会見の場では嫌らしい。朝日新聞社が「週刊朝日の記事はおかしい」と、許されないときちんと表明して、
           資本関係を見直すとなれば、別の関係になる。
    朝日放送記者 まず週刊朝日とやって、どうしてもだめだったら朝日新聞と議論すればいい。
    橋下氏    それは同時でもいいのでは。これは議論で解決する話ではない。民主国家において一定のラインを越えている。

   《議論は平行線をたどるが、別の記者からも週刊朝日と議論するべきではないかとの意見があがる》

    通信社記者  昨年、ある雑誌が実父について報じた。その時の対応と今回の対応は違うと思う。
    橋下氏    今回はぼくの全人格を否定するためにもっと暴いていくと宣戦布告された。

    「週刊朝日と朝日新聞に説明責任」

    新聞社記者  議論を聞いていると、一義的には週刊朝日と議論すべきだと思う。
    橋下氏    こういう問題を起こした週刊朝日と朝日新聞社側に説明責任がある。同様の責任があったときに、100%
           子会社がとんでもない犯罪をしたときに、親会社に何も説明を求めないのかといったら、そんなことはない。
           ら関係ないな、関係ないときっちり言ってもらいたい。
    新聞社記者  一足飛びに朝日新聞と、というのは…。
    橋下氏    同時並行でいいと思う。
    新聞社記者  あくまで会見の場、週刊朝日とも議論すると。
    橋下氏    それはそうですよ。自分たちの考え方もオープンの場で言ってもらわないと困ります。会いたいなら会見の場
           に来てください。

    「DNA論は極めて危険」

    《橋下氏は“遺伝”についての自身の考え方について語る》

    橋下氏    DNA論は極めて危険ですよ。ここからナチスだってユダヤ人の虐殺につながった。科学的にみても遺伝する
           もの、しないものははっきりしている。今回の実父がどこで生まれたか、ぼくの人格に影響しているのか、そ
           れを肯定しているからああいう記事になる。被差別部落で生まれ育った人間は、人格破壊を起こしているとい
           うことを肯定するんですね、ということ。親の生き方が子供、孫に影響すると言っている。それを肯定するん
           だったら、多くの国民から批判がでると思う。否定するんだったら、あの記事はどうなのかということになる。
           遺伝で引き継ぐもの、引き継がないものもある。何を引き継いで引き継がないのか、そういうことを確認して
           もらって、どういう考え方なのか。

    「売れたらいいと…」

           資本を出すというのは重要な責任がある。その活動を支えているわけですから、100%株主においては、そ
           の活動を支えていくのかどうなのか、週刊朝日という媒体を支えるのか、朝日新聞にも見解を聞いてみたい。
           しかも、週刊朝日はツイッターで『第2回も見てください』とやっているんですね。売れたらいいと思ってい
           るか分かりませんけど。そういう状態だ。

     《橋下氏の怒りはおさまらない》

    ニコニコ動画 今、6万人以上が見ている。差別的な言論をふりかざす相手に対して、どういう対応をとるべきか。今まだ
           部落差別で苦しんでいる人に対してメッセージがあれば。
    橋下氏    ぼくは、被差別部落の問題で苦しむことは絶対あってはならないと思っていますから、今回、こういう形にな
           って、もう一度メディアも考えると思う。さらに徹底して差別問題がなくなるように、ぼくはできる限りのこ
           とはやっていきたい。
           そういうことで苦しんだなら、市役所に言ってきてもらいたい。市民は言われたら言われっぱなしになってし
           まうので。きちんと対応しますので。
     《1時間以上にわたる“対朝日”の議論は、ほぼ橋下氏の独演会となったようだ。朝日側の今後の出方が注目される》
                                                         =了

 さて、これだけの長時間の会見について朝日新聞はどのように報じたのか。10月19日朝刊36面いわゆる三面記事扱いで、

    

   突加として朝日新聞出版のお詫び記事となる。そして、時系列から言えば先に報じられるべき、サンケイがあれほど仔細に示した
  橋下氏の朝日新聞出版、朝日新聞への疑念と怒りは、「朝日新聞出版」のみが橋下氏の非難、批判の対象の様に書き、朝日新聞の
  記者が橋下氏から朝日新聞はどうなのかと実際に、糾弾を受けたことなどおくびにも示されていない。
  さらに、同日朝刊の大阪東部版の紙面はこの様になっていた。

    


   これが、18日の84分間の記者会見の「主な内容」なのだそうだ。市長個人の問題だから報じなかったは後でも述べるが、通じ
  ない。何故なら明確な人権侵害が市長に対して行われており、その内容は大阪市民に市政に深く関わることだからだ。
   朝日新聞は、購読者である大阪市民に対し、「購読者に対する説明、報道責任」を果たしていると言えるのか、報道しない、伝え
  ないと言うことで、おのれに不利な事実を隠蔽、歪曲していると言わざるを得ない。新聞としての自殺と言うほかない。
   そして、いよいよ進退窮まった結果、平成24年10月20日朝刊34面(あくまでも三面扱い)の週刊朝日連載中止、朝日新聞
  社としての実質謝罪記事となる。

   

   そう、この期に及んでも「朝日新聞出版」は間違ったことをしたので謝罪したと報じるも、自分達朝日新聞社は間違ったことを
  していない、あくまでも子会社がやらかした不始末だから「深刻に受け止めています。」で終わり。誰に対して?
   朝日新聞は、購読者である大阪市民に対し、「購読者に対する説明、報道責任」を果たしていると言えるのか、朝日の記事だけ
  読むと重要な事実が抜け落ちていることが判らない。問題点が報じられていないからだ。今回の週刊朝日記事に対する朝日の報
  道は完全に、大阪市民である当事者、朝日新聞の購読者への説明と報道責任が抜け落ちると言う読者への背信行為となっている。
   それは当然に、二つ目の背信行為に結びついていく。二つ目の背信行為「報道機関として有るべき報道姿勢の喪失」だ。

  【報道機関として有るべき報道姿勢の喪失】

   週刊朝日のこの記事「ハシシタ 奴の本性」は掲載時点から、人権侵害記事であることが明らかなものだった。西日本、関西の
  人間なら、学校や、企業の場で人権教育を受けており、個人の意識はともかく「差別」とは何か、「差別」すなわち人権侵害と
  一様に理解しているからだ。
   大阪府人権協会のサイトには、同和問題についての理解と啓蒙、具体的な実例として「差別落書き」その類例の「図書への落書き
  が挙っている。同様な実例や類型を知っているから、全てとは言わないが、西日本、関西の人間は差別の具体化したものが何か、
  橋下氏が言う「特定地域を指して被差別部落地域と出すこと」とか「血脈主義によって人格や人間性を否定すること」それは放置や
  容認無視や無関心を装うならば、その ものが差別であるばかりか、差別の拡散や再生産を促すものとなることを理解している。
   当然に記者会見で糾弾された朝日新聞記者は承知している。だから彼らは、

       「個人的にそういうことを肯定しているということはない。」

  と答えている。
   ところが朝日新聞は、彼等記者個人にも悖る報道姿勢に終始する。朝日新聞社が、

      「当社は、差別や偏見などの人権侵害をなくす報道姿勢を貫いています。」

   ならば、

      「朝日新聞と朝日新聞出版とは別会社で編集には関与していない」

  のだから、明らかに差別文書である週刊朝日を、報道として批判できるはずではなかろうか。

  ところが実際には、週刊朝日10月16日発売日から10月20日朝刊の記事まで、

      「当社は、差別や偏見などの人権侵害をなくす報道姿勢」

 など微塵もなく、週刊朝日は別会社、当社は関与しないので差別報道をしようが何しようが知りません、と言う態度で朝日新聞出版
 の差別や偏見などの人権侵害の拡散に実質加担していたと言わざるを得ない。
  事実大阪本社の掲示板には「ハシシタ 奴の本性」とどぎつく書かれた週刊朝日10月26日号の広告が19日まで貼られていた。



  再掲するが、10月18日記事では累が朝日新聞社に及ばないよう、朝日新聞出版の管理部長なる人物を防波堤にして逃げ回って
  いる。
  朝日新聞社が「差別や偏見などの人権侵害をなくす報道姿勢を貫いて」いるのなら、この記事の見出しは、
  
      週刊朝日「ハシシタ …」は人権侵害

  上記した大阪府人権協会のサイトの事例集を見れば一目瞭然であり、有るのか無いのか判らないが、朝日新聞大阪本社の中に
  人権啓発を担当する部局があるならば、これが重大な人権侵害であると、まず判断はつく。報道機関ならば、他者の編集権は
  尊重しつつも、当然に批判報道をなすべきではないのか。すなわち、これを、「報道機関として有るべき報道姿勢の喪失」と
  言わずに何と言うべきなのだろうか。大阪市民の購読者に限らず、すべての言論人への背信行為といわずに何と言うべきなの
  だろうか。

   タイトルを「同企連へようこそ」とした、「同企連」とは同和・人権問題企業連絡会の略称だ。部落差別図書「地名総鑑」
  を購入していた企業が、当時の解放同盟などから指弾され糾弾を受け、反省した上で差別の解消、差別の拡散や再生産の阻止
  排除に取り組もうとして、組織されたものだ。現実には企業内外から疎まれたり、煙たがられたり、その性格にも疑義が挟ま
  れたりが無い訳ではないが、基本的には企業内外での部落差別、人権侵害の解消、排除に取り組んでいて、参加企業自体も
  その姿勢を明確にし、啓蒙、教育活動に取り組んでいる。つまり、参加企業の役職員であれば、会社の意向を確認するまでも
  無く、上記のような差別事例は人権侵害であり会社は絶対にこれに組しないと明言し、公に批判できるし、出来なければなら
  ないほどの、教育を受けていることになっている。

    橋下氏もずるいところだけれども、朝日新聞に対して、助け舟、落とし処として水を向けている。

      橋下氏 「週刊朝日が別媒体というなら、言論人として評価してください。」

   朝日新聞が、もし当初より「差別や偏見などの人権侵害をなくす報道姿勢を貫いています。」ならば、「言論人として」と言われた
  ならば、躊躇なく「朝日新聞社はその様なことを容認しません。報道として取材した上で、週刊朝日にその様な行為があったなら紙
  面で批判し是正を求めます。」と言えるだろうと水を向けている。
   しかし、朝日新聞記者の答えは違っていた。会社の姿勢も違っていた。
   「本社深刻に受け止め」(10月20日大阪版朝刊34面)では、なお橋下氏が言う

         「今後どういう姿勢で、週刊朝日に臨むのか、そのあたりの考えをお聞きしない限りは、血脈主義、部落差別を認
          める一定の団体だと、そう認識せざるをえず、質問には答えない。」

   朝日新聞社自身が自社の報道姿勢をどう考えるのかも含めて、

    

    ここに問われている。
    会社として、そして役職員について、徹底した人権意識の啓蒙が必要と思われる、朝日新聞社、朝日新聞出版に同企連への参加
  をお勧めする所以である。同企連の中でも大阪同和・人権問題企業連絡会は行政とも連携して活発な活動体として知られている。
  橋下氏の身近である朝日新聞大阪本社より参加されてはいかがだろう。寡聞に付き、既にオブザーバー等を含め参加しておられるの
  であれば何をか況やであるが。

 

                                            OP:2012.10.22
 

最終更新:2012年11月03日 22:16