木の板と、羽の先の木の実がぶつかる音。
小さな公園で、私と澪は羽つきをしている。
現在、12月。
小さな公園で、私と澪は羽つきをしている。
現在、12月。
軽く部屋の掃除をしていた。流石の私も、部屋の片付け位はする。
押入に色々詰め込んでいたら、古臭い箱が見つかった。
見覚えがあるような無いようなその箱を開けたら、中身は羽子板と羽根。
眺めていたらやりたくなったもんだから、携帯電話に手を伸ばした。
押入に色々詰め込んでいたら、古臭い箱が見つかった。
見覚えがあるような無いようなその箱を開けたら、中身は羽子板と羽根。
眺めていたらやりたくなったもんだから、携帯電話に手を伸ばした。
「羽つきをしよう!」
『急になんだよ……っていうかまだお正月じゃないんだけど』
『急になんだよ……っていうかまだお正月じゃないんだけど』
分かってないなー澪は。
私は、今、羽つきがしたいんだ!
私は、今、羽つきがしたいんだ!
「掃除してたら出てきた!やろう!」
『あのなぁ。……掃除は終わったのか?』
「澪が羽つきやってくれたら掃除の続きする!」
『…………分かった』
『あのなぁ。……掃除は終わったのか?』
「澪が羽つきやってくれたら掃除の続きする!」
『…………分かった』
電話の向こうで『やれやれ』という声と共にため息。
断ってもいいだろうに律儀に付き合ってくれるのが澪のイイトコ。にへへ。
断ってもいいだろうに律儀に付き合ってくれるのが澪のイイトコ。にへへ。
「んじゃ、すぐそこの公園集合な!」
『はいはい』
『はいはい』
電話を切って、出かける準備。
部屋は掃除する前より凄いことになってるけど気にしない。
今は『公園で澪と羽つきをやる』これが最重要事項。
お、そうだ。……羽つきっていえば、やっぱアレは必要だよな。ふふふ。
部屋は掃除する前より凄いことになってるけど気にしない。
今は『公園で澪と羽つきをやる』これが最重要事項。
お、そうだ。……羽つきっていえば、やっぱアレは必要だよな。ふふふ。
羽子板、羽根、そしてアレを持って私は家を飛び出した。
「遅いぞ、律」
「澪が速いんだよ」
「澪が速いんだよ」
公園に着くと澪のほうが先に着いていた。
カバンから羽子板を取り出すと、澪が呟いた。
カバンから羽子板を取り出すと、澪が呟いた。
「へぇ、懐かしいなぁこれ」
「あれ。澪は見たことあったっけ」
「お前な……小学生の時にやっただろ」
「そだっけ」
「あれ。澪は見たことあったっけ」
「お前な……小学生の時にやっただろ」
「そだっけ」
言われてみれば、そんなこともあった気がする。
「たしかあの時は、私が勝って律の額にウサギのマークを……」
……思い出した!
バカとか書かれたほうがマシってくらい可愛らしい落書きをされまくったんだ。
何故、忘れていた私。あの屈辱を。
バカとか書かれたほうがマシってくらい可愛らしい落書きをされまくったんだ。
何故、忘れていた私。あの屈辱を。
「ぃよっし!!小学生の頃の恨み、今ここで晴らしてくれる!」
「忘れてたくせに。……いいぞ、今度も私が勝つ」
「にゃにおう!……あ、もちろん負けたら墨で落書きのバツゲームな」
「えっ」
「羽つきつったらコレだろ!」
「忘れてたくせに。……いいぞ、今度も私が勝つ」
「にゃにおう!……あ、もちろん負けたら墨で落書きのバツゲームな」
「えっ」
「羽つきつったらコレだろ!」
そう言いながらカバンの中から筆と墨を取り出す。
とたんに澪の顔が青ざめた。流石に持ってきてないと思ったんだろう。
残念でした!へっへーん。
とたんに澪の顔が青ざめた。流石に持ってきてないと思ったんだろう。
残念でした!へっへーん。
「おやおやぁ?怖気付いたのかな澪ちゅわん」
「んなっ!そんなわけないだろ!……今度は額に何を書いてやろうかな!」
「んなっ!そんなわけないだろ!……今度は額に何を書いてやろうかな!」
澪は負けず嫌いだから、煽れば簡単に引っかかるから面白い。
さぁて、準備は整った。
さぁて、準備は整った。
「いざ」
「「勝負!」」
「「勝負!」」
久しぶりにやってみたけど、結構簡単にできるもんだ。
「よっと。……律、上手いな」
「澪もな!っと」
「澪もな!っと」
勝負とか言いながらお互いに取りやすいところへ打ち合っている。
だって、なんか打ち合うの楽しいんだもん。
だって、なんか打ち合うの楽しいんだもん。
このままずーっとやってたい。そんなふうに思っていた。
「隙あり!」
「あっ!澪、お前っ!」
「あっ!澪、お前っ!」
裏切りやがったー!!
私の左斜め下を狙い綺麗に打ち付ける澪。やりやがったなコノヤロウ。
…………とどけ!
私の左斜め下を狙い綺麗に打ち付ける澪。やりやがったなコノヤロウ。
…………とどけ!
「あ」
澪が小さく呟いた。
「へっへっへ、私の勝ちだな!」
私が打ち返せると思っていなかった澪は、油断して羽子板を構えていなかった。
結果、私の打ち返した羽根は澪の足元に転がっている。
結果、私の打ち返した羽根は澪の足元に転がっている。
「ばぁつげぇーむ!」
「い、いやああああ!」
「い、いやああああ!」
筆と墨を手にして叫ぶ私と、逃げようとする澪。
おやおや裏切っておいてそれはいけませんなぁ澪さんや。
おやおや裏切っておいてそれはいけませんなぁ澪さんや。
「先に仕掛けてきたのは澪だろ~?」
「……わかったよ、さっさとやればいいだろ!」
「……わかったよ、さっさとやればいいだろ!」
澪は案外あっさりと観念して近くのベンチに座った。そういうところは潔いなと思う。
さぁ、なんて書いて差し上げましょうかねぇ。うへへ。
さぁ、なんて書いて差し上げましょうかねぇ。うへへ。
ニヤニヤしながら澪のいるベンチへ近寄り、向かい合う形になる。
澪は、目をぎゅっと瞑り、恥ずかしさから若干頬が赤らんでいる。
……なんか。まるで、キスでも待ってるって顔。
……なんか。まるで、キスでも待ってるって顔。
澪の頤をつかみ、少し上を向かせる。
一瞬、澪はビクリと震えたけど、そのまま目は瞑ったまま。
一瞬、澪はビクリと震えたけど、そのまま目は瞑ったまま。
しばらくそのままどうしようか考えていると、痺れを切らした澪が呟く。
「は、はやくしろっ」
今から落書きされるって思ってんだろうなあ。
私も最初はそのツモリだったんだけどなあ。
でもこれは絶対澪が悪いと思うんだよなあ。
私も最初はそのツモリだったんだけどなあ。
でもこれは絶対澪が悪いと思うんだよなあ。
うん、絶対澪が悪いな、私は悪くない。
結局、澪の顔に落書きがされることはなかった。
代わりに、私の頬に真っ赤なモミジ。おーいてぇ。いいじゃんちょっとくらいさぁ。
代わりに、私の頬に真っ赤なモミジ。おーいてぇ。いいじゃんちょっとくらいさぁ。
「外ではダメってアレほどっ!」
「だって澪ちゅわんが早くしろってオネダリするからぁ」
「なっ!ちがっ!ばか!!」
「だって澪ちゅわんが早くしろってオネダリするからぁ」
「なっ!ちがっ!ばか!!」
おわる。
- ヒューヒュー -- アクティブ (2012-03-06 04:57:16)