少年と別れ、とりあえずレッドは家に向かった。
レッド「ただいま―」
相変わらず、代わり映えの無い家だ。
だが、変化が無いのが良い所でもある。
今日も、母が変わらず出迎えてくれるだろう。
レッド「あれ?」
――しかし、母の姿は無かった。
『冷蔵庫に貼ってあった手紙』

Dearレッド
レッド、もし帰ってきていたらごめんなさいね。
貴方の活躍を伝え聞いていたら、お母さんも我慢出来なくなっちゃって。
旅立つ事にしたわ。
だって……女の子ですもの///
レッド「…………何言ってんだコイツ」
レッドはグシャリとその手紙を握り潰した。
前々からどこかスイーツ(笑)な母親だとは思っていたが、まさかここまで末期症状だとは思わなかった。
どうりで、僕の父親が居ないはずだ。
「このままじゃ、飯にありつけないし、もう大分遅いけどオーキド博士の家に厄介になろう」
こうして、レッドはオーキド博士の家に向かった。
レッド「こんにちは」
マサラは田舎なのでカギをかける習慣は無く、研究所もその例外ではない。
それに、この研究所はよくグリーンと遊んだ遊び場だ。
勝手知ったるなんとやら……という奴で、レッドはずかずかと奥に入っていく。
助手「誰だい、こんな遅くに……って、レッド君!もう大丈夫なのかい?」
レッド「えぇ、何かもう色々スッキリ生まれ変わりました。オーキド博士いますか?」
洞窟に籠っていた事情を知っている助手の心配する声を適当にあしらって、オーキド博士の所在を聞く。
助手「いる…よ。居るにはいるんだが…」
どうも、助手の返事がスッキリしない。
何か事情があるらしい。
しかし、人の気持ちを察するなどレッドに出来る芸当では無かった。
レッド「居るんですね。奥ですか?じゃぁ失礼しますよ」
そう言って、レッドは奥へと続つ扉に手を伸ばす。
しかし、扉にはカギがかかっていた。
レッド「あれ?」ガチャガチャ
このマサラで扉に鍵をかけるなんて、よっぽどの事態だ。
怪訝そうな顔でレッドは助手に振り返ると、悲しそうに助手は首を横に振った。
助手「3日ほど前から博士はポケモン達を連れて奥の部屋に閉じ籠ってしまったんだ」
助手「扉越しから何度も呼びかけたんだが、返事さえしてくれない」
助手「たまに、中からポケモンの悲鳴が聞こえてきたりするし…」
助手は心底理解出来ないという様な顔で、頭を抱えている。
だが、レッドにはピンときた。

いや、レッド だ か ら こ そ ピンときた。

レッド「失礼します!」
助手「れ、レッド君ッ!?」
レッドは奥の扉を蹴り破った。
   ↓オーキド↓フシギダネ
  (  ')`Д)<フシッ、フシシッッ!
  /  つ つ <ハァハァ、良いんだろう?気持ち良いんだろう?フシギダネ
(( (_(_  ノ ノ
∪∪ ∪
 Σ(゜Д゜)`Д)
  /  つ つ 
(_(_  ノ ノ
∪∪ ∪
  (゜Д゜)`Д)
  /  つ つ <
(( (_(_  ノ ノ
∪∪ ∪
オーキド「だっ、誰じゃ!?」
フシギダネにやどりぎのタネを植え付けていたオーキドは、あまりの驚きに驚愕を隠せない。
しかし、腰はグラインドしていた。
レッド「オーキド博士、僕ですよ」
オーキド「そ、その声は、れ、レッドか!?」
後ろから助手もやってきた。
助手「は、博士…」
レッド「…………」
オーキド「ちっ、ちがっ、これは違う!違うじゃぁ!違うんじゃぁあああああああ!!」
博士は、目的語も曖昧なまま、とにかく否定の言葉を叫び、狂乱している。
しかし、それでも腰のグラインドはやめてはいない。
レッド「……デキル」

オーキド「違う。いや、違わない!ワシは間違っとらん!ワシは、ワシは名実共にポケモンを愛しとるだけじゃぁああああああ!!」ドピピッ
フシギタネ「フッシャァ――!!」
フシギダネのあえぎ声が研究所にこだました。
一発抜いて落ち着いたのか、オーキドはイカを中心とした(ていうか、そればっか)磯の香りに包まれたその部屋で、ゆっくりと語り出した。

――そう、それは3日前の事
オーキド「……暇じゃなぁ」
オーキドは研究所で一人、暇を持て余していた。
若い時の情熱そのままにポケモンの研究者などになってはみたものの、次々と新種が発見され新たな特性とかも発見される中、オーキドは正直言ってポケモンという分野を持て余していた。

いや……もっと正直になろう。
オーキドは、もう、ポケモンに飽きていたのだ。
オーキド「はぁ…」
フシギダネ「フシッ、フシシ?」
オーキド「あぁ、大丈夫じゃよ。フシギダネ」
自分の事を心配してくれるフシギダネにも、正直言って苛立ちしか覚えない。
最近、ポケモンに対しては全てこうだ。
どうかしている。
オーキド「暇じゃし、vipでも見るかの」
そう呟いて、オーキドはパソコンを起動させた。
オーキド「駄目じゃ、良いスレが全く立っとらん」
そう言って、オーキドは舌打ちした。
最近、オーキドは研究もろくろくせず、vipにばかり入り浸っていた。
そんなオーキドが好きなスレは『糞スレか神スレか判断に困る……だが支援!』というようなスレだった。
オーキド「駄目じゃな。今一番盛り上がってるのは『もし、ミニスカートがノーパンだったら』か、くだらん」
若い時ならともかく、今のオーキドでは全く食指がわかない。
オーキド「せめて肛門に虫避けスプレーを突っ込むやってくれんとなぁ……」
オーキド「まったく、何の為にお前らに穴が付いとると思っとるのじゃ」
そこまで呟やいて、オーキドはハッと思い出す。
そう、ポケモンに関わる者達の中には良く言われている。ちょっとした冗談だ。
それは冗談以上でも冗談以下でもなく、酒が入った時に暇潰しにするような馬鹿話だった。
だが、まだ若い頃、始めてその話を聞いた時にひどく興奮したのをオーキドは覚えていた。
その時の異様な興奮を、オーキドは今でも忘れられないでいたのだ。
オーキド「……」カチッカチッ、カタタタタッ
オーキド「立った…」

『ポケモンにも――穴 は あ る ん だ よ な ?』
それも、始めは冗談。
酒の上での馬鹿話と同じ、単なるネタだった。
下らない。なんにもならいないスレッド。
だが、そういう馬鹿なスレを立てて馬鹿騒ぎをしたい時、年がら年中酔っ払いのような住人ばかりのvipは都合が良かった。
オーキド「『フヒヒッッ、フシギダネの中、あったかいナリィ!僕が、宿り木のタネを植え付けてあげるナリィwwwww』っと」
スレは、割と順調だった。
オーキドの目論見通り、『うはwwwwニドランは♀はオスより穴が多くて2倍楽しめますねwww』とか『ビリリダマ穴ないから代わりに俺のケツに突っ込んだったww』などの馬鹿なレスが目立つ。
上までは滅多に上がって来ないマイナースレになっていたが、自称紳士の変態達に割とウケが良かったらしく。
保守しだすものまで現れた。
オーキド「ふぅ、もうほっといても大丈夫じゃな、寝るか」
だが、寝る前にもう一度見ておこう。
そうオーキドは思って、もう一度スレを開く。
そこで、オーキドは驚愕した。

スレの流れが……変わっていた。

『お前らふざけてばかりいるけど、俺、本当にポケモンとやった事あるぜ。正直、スゲー気持ち良いし、ポケモンとの絆も深まるよ。マジでオススメ』

そんなレスの後、段々とポケモンとの性交を真面目に考える流れに変わっていた。
これは本来、気持ちの悪い流れだ。

だが、オーキドは若き日のあの興奮が蘇って来るのを感じた。
気付けば、オーキドは勃起していた。
スレは段々、ポケモンとまだやった事が無い奴らをはやしたてるような流れになっていった。
『自分に正直になれよ。やっちまえよ、気持が良いんだぜ?』
『ウホッ、良いポケモンって感じだよな』
『男は度胸、なんでも試してみるもんさ』

オーキドは、段々自分の興奮が抑えられなくなってきているのを感じた。
股間の膨らみも、それに合わせて高く高くなっていく。
フシギダネ「ダネー?」
オーキド「!?」ビクッ
ハッとした。フシギダネがこちらを覗き込んでいた。
自分の様子がおかしいから、心配しているんだなと思う。
例えようもない愛を感じた。

――それが、理性の限界だった。

オーキド「……」
フシギダネ「……」
オーキド「……ニタリ」


フシギダネ「フッシャァ―――――!!

フシギダネに、宿り木のタネが射出された。
それからは、洞窟でのレッドとおおよそ同じだった。
ただ、レッド違いオーキドは歳をとっていたので、レッドが1日で終わらせた事に3日かかったというだけの話であった。
レッド「……」
助手「……」
オーキド「ワシは、ワシは何も後悔しとらん。ただポケモンとの愛を深めあっただけじゃ」
オーキド「それで捕まるというのなら、いくらでも捕まってやるわい。警察に突き出すなりなんなり、好きにすると良いじゃろう」
気丈にも、オーキドはそう言い切る。
タケシの時に暴れたレッドとは凄い違いだ。やはり、人生経験の差か。
しかし、そのオーキドの唇は震えていた。

そして、未だフシギダネとは繋がっている。

すると、急に助手が声を荒げ始めた。
助手「……どうして、どうして!どうして何ですかハカセ!?」
レッド「……」
オーキド「……」
助手「何で何で一体どうして!」
助手叫びは、段々と大きくなっていく。
助手「どうして、何でハカセは!?ハカセはそんなに……」
助手「そんなに水臭いんですか!?」

レッド&オーキド「「え?」」

助手「ずるいですよ!ハカセだけそんな気持ち良い事してたなんて!!」
助手「僕も、僕も是非参加したかったですよ!ハカセの意地悪っ!!」
オーキド「き、君。君ももしかして……」
オーキドはどこか救われたような、すがるような、そんな顔をしていた。
それはまるで、敵地に一人置き去りにされた兵士が、偶然にも友軍を見付けたような。
そんな、希望の顔。
助手は、少しはにかみながら言う。
助手「へへっ、かくいう僕も、そのスレ見てたんですよ」
助手「僕が最初に試したのは、プリン。そう、プリン中は……」
レッド「……とろけるプリンだった。って言いたいんでしょう?」
そう言って、レッドはニヤリと笑った。
オーキド「れ、レッド君。もしかして、君も!?」
レッド「えぇ、プリンは……僕も試しました」
助手「そうかい、最高だったろ?」
レッド「えぇ、最高です。マジでプリンに突っ込んだみたいでした」
助手「いやいや、間違いなく プ リ ン には突っ込んでるんだけどね」
三人「「「あっはっはっはっはっはっ!」」」
ひとしきり笑い終えると、オーキドは急に涙ぐみはじめた。
オーキド「良かった、良かったよ。この3日間性欲に溺れながらも、本当は、ずっと心配で押し潰されそうだったんじゃ」
オーキド「ワシは、異常なんじゃないかと。単なる糞野郎なのではないのかと」
そう言って、オーキドは泣いた。
それは安全を確認した子供が、安心して鳴き出すのとよく似ていた。

まぁ実際の所、オーキドは間違いなく単なる糞野郎なのだが。
オーキド「安心した。周りは全部ネタで、本気にしたのはワシだけだと思っておったんじゃ」
助手「安心してください、ハカセは一人じゃありませんよ」
助手「少なくとも、僕ら三人は全く同じ、同志です」
レッド「いや……それは、どうかな?」
助手「え、えぇ!?それは、一体どういう事ですかレッド君。僕らは同志じゃ無いっていうんですか?」
助手は、随分と取り乱しながらそう言う。
せっかく恰好よく決めたのに、なんて事してくれるんだ。
っていう所だろう。
……だが、嘘は良くない。それは、同志であるからこそだ。
レッドはそう思い、口を開く。
レッド「同志という所は間違いなくそうです。否定するつもりはないし、貴方達と同志になれて嬉しい限りです」
レッド「ですが、僕と貴方達が全く同じというわけではありません」
レッド「いや、むしろ決定的に違っている所がある」

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最終更新:2008年09月23日 16:28