69-515『倦怠ライフ・スキー篇』

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スキー。運動神経ゼロの俺が何をしに来たか。それは。 「きゃははははー!」 「待てー!」 妹とSOS団、佐々木団の引率だ。 「さぁて。どうするかねぇ。」 雪ダルマになりに行くのも億劫だ。完璧超人のハルヒ、古泉、長門、周防はともかく、橘も滑れるのは少し意外だった。ついでに言えば、藤原と朝比奈さんも。 そしてここに二人のぼっちが誕生したわけだが。 「初心者は初心者らしく大人しくしておくかい?」 「だな。」 因みに妹は滑れる。兄と違い、優秀な妹だ。兄より優れた妹は存在しないはずなんだが。 「いつの間に鉄仮面を装着したんだい?キョン。」 「ああ。黙っていたが、俺の胸には7つの傷があるんだ。」 「ただの鬱血の跡だろう?タチの悪い蛭が、昨日吸い付いたからね。」 佐々木が、自分の口唇に指を当てる。……上目遣いで見上げるな。全く。 「ああ。その蛭は、頭から食っちまったがな。」 「くっくっ。美味しかったかい?」 「勿論だ。」 そこまで言うと、俺達はハルヒ達を見た。ハルヒ達は既に山へ向かうリフトにいた。 身ぶり手振りしているが……言葉は聞こえない。ハルヒは両手中指を突き上げ……お前はどこのストンコだ? 仮にケツにキスしろと言ったら、顎よ砕け散れとばかりのスタナーを喰らいそうだ。 残り全員一斉のサムダウン……。おかしいな。至って通常の会話なんだが。 スキーは、なだらかな坂でボーゲンから始めてみた。 「内股を締めて、ハの字、だね。」 「お、これなら何とか。」 なだらかな坂で、ボーゲンが出来たと一喜一憂する運痴二人。……なんかすっげぇ物悲しいが、楽しいな。 「すみませーん、雑誌○○の取材の者ですが、写真を一枚お願いしますー。」 多分、初心者を虚仮にする企画だろうな。取材には適当に答え、最後に佐々木とのツーショット。ポーズは、いつも通り。 結局グダグダだったが、楽しい時間を過ごした。 ――翌月―― 学校が騒がしい。 「キョンー!なんだ、これはー!」 「あ?」 朝っぱらから、谷口が血涙を流している。雑誌の一面を見て叫んでいるようだ。 「あー、こないだのスキーのあれか。」 『ゲレンデを溶かすカップル』のグランプリとやらに輝いたらしい。なんだそりゃ。 「グランプリなら、金一封でも貰いたいんだが……」 横の寸評も散々な書かれ方だしな。 「佐々木さん、雑誌に載ってたよ!」 「……ああ、こないだのあれね。…連絡先を教えなかったのはミスだったかしら。グランプリなら、金一封でも貰えたかも知れないのに。」 『寸評』 スキー初心者のカップル。ボーゲンで坂を滑り、お互いの失敗を話し合い、成功を喜んでいたのが受賞の決め手。 寄り添う姿は、カップルというよりは年期の入った老夫婦! 「「やれやれ。」」 END

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