15-895「モデル付き恋愛小説」

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『モデル付き恋愛小説』 「恋愛小説?」 「そう、恋愛小説」 受け持った連載を締め切りギリギリであげてなんとかひと段落着いたある日。 正直言って今日は休日のつもりでいたのだが俺の担当編集である佐々木から連絡があった。 なんでも打ち合わせをしたいから家にいてくれということらしい。 他の作家のことなんて良く知らないが俺と佐々木の打ち合わせ場所は大抵俺の家だ。 会社での仕事を片付けた佐々木は昼ごろ俺の家に来る。 打ち合わせは大抵佐々木の作った昼飯を食いながらだ。 今日も俺は佐々木の焼きそばを食べながら次の仕事について話していた。 そんな折飛びだしたのが冒頭の会話というわけだ。 「なんでまたそんなもんの依頼が俺に来るんだ?」 今まで恋愛小説を書いた経験なんぞ高校時代のアレのみだ。 今まで数種類は本を書いているが恋愛を主題とするどころか作中キャラクターが恋愛関係になることすらほとんど無い。 強いて言うなら「夫婦」と設定があったり最初から「恋人」だったりするくらいだ。 作家には得手不得手がある。 トリックの考え方を知らない純文学の作家にいきなりミステリを書けというのは大分無理がある。 今回の佐々木の依頼も大分それに近いものだった。 出版者的に考えてなんで俺に書かせるか? 「実はだね、今度家で恋愛小説のレーベルを作ろうっていう企画が持ち上がっているんだ」 「ああ、その話しなら聞いたことがあるな」 佐々木のとこの出版社はどちらかというとSFとかミステリに傾いた本を出す。 恋愛を主題にした本ってのは余り出していないはずだ。 「で、新しいレーベルを作るとなると大切なのは1にも2にも知名度なのさ」 「ま、そりゃそうだな」 「そこでだね、家の人気作家数人で恋愛アンソロジーを一冊出して宣伝にしようって企画なんだ」 「……因みに今俺以外にはどんな人に依頼してるんだ」 「え?ええっとだね、山崎先生に木村先生、ほら、ホラーの。後はミステリから室山先生に井上先生辺りかな」 なるほど、全員知っているわけではないが見事に恋愛とは縁遠い本を書く先生ばかりだ。 っていうかそれじゃ承諾してもらえる人少ないんじゃないか? 「候補は他にもたくさんいるさ、でもやっぱり話題性が欲しいからね。できるだけ普段書きそうに無い人にかいてもらいたいわけだよ」 やれやれ、いったい誰がそんな企画ぶちあげたんだ。 「僕」 ………… 「キョン、今回のは僕が入社してから最初の僕発案の企画なんだ。無理にとは言わないけど是非協力してもらいたい」 はぁ、やれやれ。 そんなこと言われたら承諾しないわけには行かない。 佐々木に強制する気は微塵も無いのだろうがこの展開では俺の心が俺に強制する。 とはいえそれと書ける書けないは別だ。 「お前にそこまで言われちゃ承諾しないわけには行かないが……俺は余りそういう経験が無いから今まで見たいに  まったく何にも無いところから書くってのはできないぜ?」 まぁ遠まわしにお前も一緒に内容を考えろといったつもりだった。 うお、佐々木が信じられない物を見るような目でこっちを見ている。 なんだなんだ、俺なんか変なこと言ったのか? 「キョン、君って奴は……まぁ君はそういう奴さ。……もちろん不得手な事をさせるんだ、協力は惜しまないよ」 あ、納得した顔になった。 なんなんだ一体。 まぁそれはともかく、だ。 はっきりいって恋焦がれる女性を無から作るなんて俺には錬金術並みに不可能な話しだ。 昔ならそこで頭を抱えていたところだが少なくとも今の俺には1年の経験がある。 俺に女心はわからないが幸い女の友人はそれなりの数いる。 故にまず適当な人物を想像し、その人の行動基準や性格を思い出す。 あとはそれを「実は恋愛感情ゆえ」と捏造すれば、まぁ一応は恋焦がれる女性になるはずだ。 経験不足故に的外れなことを書くかもしれないがそこは佐々木にチェックを入れさせれば充分だろう。 佐々木も恋愛経験豊富とは言いがたいがな。 さて、問題は誰をモデルにするかだ。 ……あ、そうだ。 「なぁ佐々木」 「ん、どうした、考えがまとまったかい?」 俺が考え込んでいたのに気づいた佐々木はいつの間にかお茶を淹れて飲んでいた。 湯飲みはこいつ専用のやつだ。 この家は佐々木が担当になってからどんどんこいつの私物が増えて行っている。 実は仕事で修羅場を迎えた後の佐々木専用の布団まであったりするのだ。 ……やっぱここにサボりに来てるんじゃないのかこいつ。 まぁそれは今はおいておこう。 「ヒロインのほうだがな、恋愛を精神病と切り捨てる理屈好きな女の子でいいか?」 「なっ!?」 「協力は惜しまないんだよな?」 くっくっ、と佐々木笑いをしてみたくなるほど今の佐々木はうろたえていた。 俺に柄じゃない恋愛描写なん書かせるんだ、それくらいのリスクは負ってもらわないとな。 それにチェックするのは佐々木だし、佐々木をモデルにしたほうがこいつもチェックしやすいだろう。 何より観察対象が目の前にいてほとんど毎日家に来ているってのはやりやすいからな。 「……ああ、いいとも!協力するともさ!僕が無理言ってるんだし、好きにするといい!」 よし、多少逆ギレ気味だがOKを貰った。 今の反応も俺脳内フォルダにいれて展開の参考にさせてもらおう。 「ただしだ」 佐々木が言葉を続けた。 なんだ、なんかあるのか? 「僕がこんな恥ずかしい思いをするんだ、男性役のモデルはきみにしたまえ」 ああ、最初からそのつもりだが。 「え?」 俺が見れるのは俺に対する反応だけだからな。 身近から持ってくるなら俺にするしかあるまい。 まぁ、俺では到底出来ないようなカッコイイ真似をしたりするかもしれんがね。 「え、あ……うん。そ、そうだね、それが一番良い」 よし、締め切りは…この日か。じゃあとりあえず最優先だな。 佐々木、完成したら女のほうの行動に矛盾が無いかチェックしてくれよ。 「うん、もちろんだとも。楽しみにしてるよ……あ、そうそうキョン。最後はハッピーエンドにしてくれ。そういう決まりなんだ」 その日の打ち合わせはそれで終わった。 後は仕事に関係ない四方山話をして一日を過ごす。 佐々木が帰った後プロット作成に取り掛かる。 初めて……ではないか、だがまぁきちんと作家としての技術を身につけてからという意味では始めての恋愛小説だ。 どうなるかと不安に思ったものだが意外とうまく進んだ。 まず、俺と佐々木の思い出から適当に使えそうなものをいくつかピックアップする。 さらに佐々木が俺に対して日常的に行っている行動を恋愛感情の発露と捏造して所々にちりばめる。 山場に昔佐々木をちょっとだけ怒らせてしまった時のことを十倍に膨らませてすえる。 佐々木に謝ったときのことをを告白シーンに変えてハッピーエンドっと。こんなところかな? あとは佐々木理論「恋愛は精神病」を佐々木が捨て去る適当な理由をつけて、大雑把なプロットはこれでOK。 ベタなストーリー展開だが「恋愛は精神病」が持論のヒロインってのは結構斬新なので面白いかもしれない。 後は文書作成だ。 正直言ってほとんど思い出話を書いているようなものなのであっさり進む。 1日かかって文章に起こした、文庫版で100ページくらいか。 あとは余りにも実体験っぽいところを変更する。 意外にも3日ほどで出来てしまった。 ま、あいつのと付き合いももう長いからネタにゃ困らんといったところか。 「で、これが完成版というわけかい?」 その日にやってきた佐々木に内容のチェックを頼む。 作成途中でも見せるつもりだったが「完成してから見たいんだ」という佐々木の希望で今日が最初のチェックということになる。 「まぁな、矛盾やらが無いか確認してくれ」 「よし、それでは……」 なぜだか佐々木から変な気迫を感じる。 俺の書いたものなんか全て読んでいるだろうに何を今更。 分量からすれば30分、チェックをいれても1時間はかからないだろうな。 そんなことを思いながら佐々木が読み終わるまでお茶を飲む。 むろん佐々木が淹れたやつだ。 読んでいる間の佐々木は非常に面白かった。 1ページ目から緊張した面持ちではあったが物語が進むにつれどんどん顔が赤くなっていく。 恐らくラストの告白シーンであろうと思われる場所では耳まで真っ赤になっていた。 「ねぇキョン。僕はこれを読んで君が実は全て気づいているのではないかと疑念を抱いてしまったよ」 何の話だ。 「い、いや、なんでもない。……作品については文句無しだ。これで編集部に持っていこう」 あー待ってくれ。ちょっとなおしたいところを思いついた。 「ん?どこをなおすんだい?」 今の読んでいるうちに見る見る顔が赤くなる描写をいれたい。 「っ!?入れなくていいよ!そんなの!」 冗談だ。 「くっ……まったく、今日は調子が狂いっぱなしだ。今日はこれで失礼するよ」 その後、アンソロジー中のひとつとして発表されたこの作品は異様な人気が出てシリーズ化が決定した。 佐々木はこれの打ち合わせをする時は常に顔が真っ赤である。 おまけ キョン先生へのファンレターより抜粋 <なかなか面白かったわ!ただ一つ難点を言えばヒロインはもっと元気なほうがいいわね!>H・Sさん 企業家  <非常に興味深い内容でユニーク、だたヒロインはもっと寡黙で読書好きにすべき> Y・Nさん 某企業研究者 <すばらしい小説です。次は同性同士の倒錯した物語などいかがかがでしょう?> I・Kさん 某企業役員 <とってもドキドキしちゃいました、でももっとヒロインをどじな感じにしたほうが……> M・Aさん 某企業秘書 以下ヒロインに対する注文多数。
『モデル付き恋愛小説』 「恋愛小説?」 「そう、恋愛小説」 受け持った連載を締め切りギリギリであげてなんとかひと段落着いたある日。 正直言って今日は休日のつもりでいたのだが俺の担当編集である佐々木から連絡があった。 なんでも打ち合わせをしたいから家にいてくれということらしい。 他の作家のことなんて良く知らないが俺と佐々木の打ち合わせ場所は大抵俺の家だ。 会社での仕事を片付けた佐々木は昼ごろ俺の家に来る。 打ち合わせは大抵佐々木の作った昼飯を食いながらだ。 今日も俺は佐々木の焼きそばを食べながら次の仕事について話していた。 そんな折飛びだしたのが冒頭の会話というわけだ。 「なんでまたそんなもんの依頼が俺に来るんだ?」 今まで恋愛小説を書いた経験なんぞ高校時代のアレのみだ。 今まで数種類は本を書いているが恋愛を主題とするどころか作中キャラクターが恋愛関係になることすらほとんど無い。 強いて言うなら「夫婦」と設定があったり最初から「恋人」だったりするくらいだ。 作家には得手不得手がある。 トリックの考え方を知らない純文学の作家にいきなりミステリを書けというのは大分無理がある。 今回の佐々木の依頼も大分それに近いものだった。 出版者的に考えてなんで俺に書かせるか? 「実はだね、今度家で恋愛小説のレーベルを作ろうっていう企画が持ち上がっているんだ」 「ああ、その話しなら聞いたことがあるな」 佐々木のとこの出版社はどちらかというとSFとかミステリに傾いた本を出す。 恋愛を主題にした本ってのは余り出していないはずだ。 「で、新しいレーベルを作るとなると大切なのは1にも2にも知名度なのさ」 「ま、そりゃそうだな」 「そこでだね、家の人気作家数人で恋愛アンソロジーを一冊出して宣伝にしようって企画なんだ」 「……因みに今俺以外にはどんな人に依頼してるんだ」 「え?ええっとだね、山崎先生に木村先生、ほら、ホラーの。後はミステリから室山先生に井上先生辺りかな」 なるほど、全員知っているわけではないが見事に恋愛とは縁遠い本を書く先生ばかりだ。 っていうかそれじゃ承諾してもらえる人少ないんじゃないか? 「候補は他にもたくさんいるさ、でもやっぱり話題性が欲しいからね。できるだけ普段書きそうに無い人にかいてもらいたいわけだよ」 やれやれ、いったい誰がそんな企画ぶちあげたんだ。 「僕」 ………… 「キョン、今回のは僕が入社してから最初の僕発案の企画なんだ。無理にとは言わないけど是非協力してもらいたい」 はぁ、やれやれ。 そんなこと言われたら承諾しないわけには行かない。 佐々木に強制する気は微塵も無いのだろうがこの展開では俺の心が俺に強制する。 とはいえそれと書ける書けないは別だ。 「お前にそこまで言われちゃ承諾しないわけには行かないが……俺は余りそういう経験が無いから今まで見たいに  まったく何にも無いところから書くってのはできないぜ?」 まぁ遠まわしにお前も一緒に内容を考えろといったつもりだった。 うお、佐々木が信じられない物を見るような目でこっちを見ている。 なんだなんだ、俺なんか変なこと言ったのか? 「キョン、君って奴は……まぁ君はそういう奴さ。……もちろん不得手な事をさせるんだ、協力は惜しまないよ」 あ、納得した顔になった。 なんなんだ一体。 まぁそれはともかく、だ。 はっきりいって恋焦がれる女性を無から作るなんて俺には錬金術並みに不可能な話しだ。 昔ならそこで頭を抱えていたところだが少なくとも今の俺には1年の経験がある。 俺に女心はわからないが幸い女の友人はそれなりの数いる。 故にまず適当な人物を想像し、その人の行動基準や性格を思い出す。 あとはそれを「実は恋愛感情ゆえ」と捏造すれば、まぁ一応は恋焦がれる女性になるはずだ。 経験不足故に的外れなことを書くかもしれないがそこは佐々木にチェックを入れさせれば充分だろう。 佐々木も恋愛経験豊富とは言いがたいがな。 さて、問題は誰をモデルにするかだ。 ……あ、そうだ。 「なぁ佐々木」 「ん、どうした、考えがまとまったかい?」 俺が考え込んでいたのに気づいた佐々木はいつの間にかお茶を淹れて飲んでいた。 湯飲みはこいつ専用のやつだ。 この家は佐々木が担当になってからどんどんこいつの私物が増えて行っている。 実は仕事で修羅場を迎えた後の佐々木専用の布団まであったりするのだ。 ……やっぱここにサボりに来てるんじゃないのかこいつ。 まぁそれは今はおいておこう。 「ヒロインのほうだがな、恋愛を精神病と切り捨てる理屈好きな女の子でいいか?」 「なっ!?」 「協力は惜しまないんだよな?」 くっくっ、と佐々木笑いをしてみたくなるほど今の佐々木はうろたえていた。 俺に柄じゃない恋愛描写なん書かせるんだ、それくらいのリスクは負ってもらわないとな。 それにチェックするのは佐々木だし、佐々木をモデルにしたほうがこいつもチェックしやすいだろう。 何より観察対象が目の前にいてほとんど毎日家に来ているってのはやりやすいからな。 「……ああ、いいとも!協力するともさ!僕が無理言ってるんだし、好きにするといい!」 よし、多少逆ギレ気味だがOKを貰った。 今の反応も俺脳内フォルダにいれて展開の参考にさせてもらおう。 「ただしだ」 佐々木が言葉を続けた。 なんだ、なんかあるのか? 「僕がこんな恥ずかしい思いをするんだ、男性役のモデルはきみにしたまえ」 ああ、最初からそのつもりだが。 「え?」 俺が見れるのは俺に対する反応だけだからな。 身近から持ってくるなら俺にするしかあるまい。 まぁ、俺では到底出来ないようなカッコイイ真似をしたりするかもしれんがね。 「え、あ……うん。そ、そうだね、それが一番良い」 よし、締め切りは…この日か。じゃあとりあえず最優先だな。 佐々木、完成したら女のほうの行動に矛盾が無いかチェックしてくれよ。 「うん、もちろんだとも。楽しみにしてるよ……あ、そうそうキョン。最後はハッピーエンドにしてくれ。そういう決まりなんだ」 その日の打ち合わせはそれで終わった。 後は仕事に関係ない四方山話をして一日を過ごす。 佐々木が帰った後プロット作成に取り掛かる。 初めて……ではないか、だがまぁきちんと作家としての技術を身につけてからという意味では始めての恋愛小説だ。 どうなるかと不安に思ったものだが意外とうまく進んだ。 まず、俺と佐々木の思い出から適当に使えそうなものをいくつかピックアップする。 さらに佐々木が俺に対して日常的に行っている行動を恋愛感情の発露と捏造して所々にちりばめる。 山場に昔佐々木をちょっとだけ怒らせてしまった時のことを十倍に膨らませてすえる。 佐々木に謝ったときのことをを告白シーンに変えてハッピーエンドっと。こんなところかな? あとは佐々木理論「恋愛は精神病」を佐々木が捨て去る適当な理由をつけて、大雑把なプロットはこれでOK。 ベタなストーリー展開だが「恋愛は精神病」が持論のヒロインってのは結構斬新なので面白いかもしれない。 後は文書作成だ。 正直言ってほとんど思い出話を書いているようなものなのであっさり進む。 1日かかって文章に起こした、文庫版で100ページくらいか。 あとは余りにも実体験っぽいところを変更する。 意外にも3日ほどで出来てしまった。 ま、あいつのと付き合いももう長いからネタにゃ困らんといったところか。 「で、これが完成版というわけかい?」 その日にやってきた佐々木に内容のチェックを頼む。 作成途中でも見せるつもりだったが「完成してから見たいんだ」という佐々木の希望で今日が最初のチェックということになる。 「まぁな、矛盾やらが無いか確認してくれ」 「よし、それでは……」 なぜだか佐々木から変な気迫を感じる。 俺の書いたものなんか全て読んでいるだろうに何を今更。 分量からすれば30分、チェックをいれても1時間はかからないだろうな。 そんなことを思いながら佐々木が読み終わるまでお茶を飲む。 むろん佐々木が淹れたやつだ。 読んでいる間の佐々木は非常に面白かった。 1ページ目から緊張した面持ちではあったが物語が進むにつれどんどん顔が赤くなっていく。 恐らくラストの告白シーンであろうと思われる場所では耳まで真っ赤になっていた。 「ねぇキョン。僕はこれを読んで君が実は全て気づいているのではないかと疑念を抱いてしまったよ」 何の話だ。 「い、いや、なんでもない。……作品については文句無しだ。これで編集部に持っていこう」 あー待ってくれ。ちょっとなおしたいところを思いついた。 「ん?どこをなおすんだい?」 今の読んでいるうちに見る見る顔が赤くなる描写をいれたい。 「っ!?入れなくていいよ!そんなの!」 冗談だ。 「くっ……まったく、今日は調子が狂いっぱなしだ。今日はこれで失礼するよ」 その後、アンソロジー中のひとつとして発表されたこの作品は異様な人気が出てシリーズ化が決定した。 佐々木はこれの打ち合わせをする時は常に顔が真っ赤である。 おまけ キョン先生へのファンレターより抜粋 <なかなか面白かったわ!ただ一つ難点を言えばヒロインはもっと元気なほうがいいわね!>H・Sさん 企業家  <非常に興味深い内容でユニーク、だたヒロインはもっと寡黙で読書好きにすべき> Y・Nさん 某企業研究者 <すばらしい小説です。次は同性同士の倒錯した物語などいかがかがでしょう?> I・Kさん 某企業役員 <とってもドキドキしちゃいました、でももっとヒロインをどじな感じにしたほうが……> M・Aさん 某企業秘書 以下ヒロインに対する注文多数。 -[[15-845「作家のキョンと編集者佐々木」]] -[[15-866「編集者佐々木外伝」]] -[[15-895「モデル付き恋愛小説」]] -[[16-69「新人の宿命」]] -[[17-404「作家のキョンと編集者佐々木~調子のいい日」]] -[[17-718「『スイッチの入れ方』」]]

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