26-526「終わりは始まり」

俺がSOS団を退団にされたのは2年の6月だ。
ハルヒはウチのクラスの新転校生高橋に付きっ切りだった。
ハルヒの前の席は高橋で固定された。
高橋は俺なんかよりずっと魅力的だ、俺が言うのもなんだがな。
長門からは、鍵の資格者が俺から高橋に移ったこと、
古泉からは、『恐らく涼宮さんは、自身にとってあなたが必要だと認めたくなかったのでしょう』と言われた。
立場上、朝比奈さん、古泉は俺との接触を避けるようになった。


はっきり言おう。寂しかった。毎日が空虚な感じだだった。
ハルヒと高橋が笑いあう教室になんか居たくなかったさ。
まぁ、ハルヒが望んだんだから仕方が無い、とは分かってるんだがさ。

そんな俺を救ったのは佐々木だった。出来るだけ俺と会う機会を作ってくれた。
あいつは俺の目を見てこう言うんだ。
『君のそんな寂しい目を見て居たくないから』
甘えさせてくれる佐々木に甘えていた。
体を求めたりもしたが、佐々木は応じてくれた。あくまで親友として。


秋。
土日には佐々木と必ず会うようになった。
進学高に進む佐々木に配慮して日曜は図書館で勉強した。
佐々木は俺のことをよく分かっていて、
『来週、僕が持ってくるテストで7割取れなかったら会う回数を減らすから』
なんていいやがる。案外厳しい。
ああ、頑張ったさ。減らされたくないからな。

冬。
俺たちは親友かつ恋人の様な関係なった。別に何かが変わったわけではない。
俺は佐々木と同じ大学を目指すようになった。
もちろん、佐々木が俺に大幅に歩み寄ってくれている。俺にとっては十分大変だが。
『くっくっ、自分が勉強するより、君の教師役のほうが楽しいからいい』だそうだ。
この頃になると、俺にはハルヒに話しかける余裕も出来ていた。
不機嫌なハルヒを見ているのはやはり嫌だからな。なんだかんだ言っても、こいつは大事な友達なんだ。
高橋と上手くいってほしい、SOS団で楽しくやっててほしい、これは本音だ。こいつには笑顔が似合う。
俺は名誉SOS団団員の肩書きで積極的に各イベントに参加した。雑用扱いなんだけどな。
春休み初日。
俺は佐々木と図書館で待ち合わせをしていた。
俺は意外な人物を見た。
長門。漆黒の瞳で俺を見つめている。
「よう、長門。お前も図書館か?」
長門は、ゆっくり手を掲げて、って待てー
俺の意識は遠のいた。

春休み初日。
今日はキョンと図書館に行く日だ。
僕は意外な人物を見た。
長門さんとキョン。長門さんはキョンに手を掲げて、何かつぶやく。
ーキョンが崩れ落ちたー
悪寒。僕は最悪のシナリオを思い浮かべる。まさか…有り得ない。
「キョン、キョン!!」
キョンに意識は無い。
長門さんは既に僕が来た道を戻っていったところだった。
「う…」
「キョン…」
僕の頭はこんなときにも冷静に結論を出す。お願い、それだけはやめて。
「さ、佐々木?!どうしてここに?」
やめて。
「俺は…」
聞きたくない。
「市内探索の…なんでこんなとこに?」
嫌。

「ちょっとキョン、何やってんのよ?」
やっぱり来た、涼宮。その後ろには、無感情の悪魔。
「ちょっと…キョン、離れなさいよ。」
何故、僕が離さないといけない?離れるのはお前らの方だ。
「なぁ…佐々木。離してくれ。どうしたんだ?」
何でよ?
「あんた、離しな」
「黙れ!!」
あぁ、自分でもびっくりしているよ。僕ってこんなに大きな声出せるんだね。
僕は涼宮を見る、中途半端なポニーテール。こいつがしていると腹が立つ。
今度のキョンの入試模試の成績がC判定だったら僕がポニーテールにする約束だった。
「佐々木?どうした?」
キョンの方は見れない。今の僕の目はおぞましいほど憎悪に満ちているだろうから。
憎悪?空虚?悲しい?
「キョンは道具じゃないんだ!」
涼宮に向かってそう言い放つと、そのまま僕の意識は遠のいた。



今日は春休み初日。全くキョンは団員としての心構えがなってないのよ。
高橋の方がずっと団員らしいじゃないの。

今日は春休み初日。俺はいつものように駅前に向かう。
いつも通り、俺より先に5人が迎えてくれた。くそ、今度こそ、高橋に奢らせてやる。

今日は春休み初日。僕はいつもどおり予備校に向かう。
少し物足りない毎日だけれど、僕にはこれくらいのささやかな人生が似合う。

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最終更新:2007年12月20日 08:39
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