2007/11/12 PMの診断方法
膠原病診療ノートの記載より
●必須項目
①発症経過と部位の問診 ②MMT
③DMの皮疹のチェック ④血清CK ⑤EMG望ましい
CK含めその他の筋酵素(アルドラーゼ・ミオグロビン・LDH・AST)は
筋破壊一般でも上昇しうる。上昇の程度そのものには診断価値はない。
●参考所見と診断価値のある自己抗体
①発熱②炎症反応③関節痛④レイノー症状⑤間質性肺炎
⑥抗核抗体⑦抗Jo-1抗体(抗核抗体ではない)
これらのうち少なくとも一つを示す症例は
PM/DMの過半数を占める.
※抗アミノアシルtRNA抗体
主に細胞質抗体である。特異性が高い.
Jo-1/PL-7/PL-12/OJ/EJが知られている。
Jo-1は相対頻度が高く一般に測定可能。あとは
研究室レベル。
●筋電図
①運動ニューロン疾患と区別するため
②随意収縮時の低電位・放電時間幅短縮・多相性の筋原性変化
③筋萎縮してしまうと神経原性でも筋原性変化になりうる
④PM/DM/筋ジス/運動ニューロン疾患とも左右対称性
⑤左右どちらかで施行すればよいが
⑥上下肢については一方だけの変化のこともあり、両方行う
※「症状のある部位だけ」はEMGでは誤りである!
●除外診断
①神経学的所見
②甲状腺のチェック③糖尿病のチェック
④ANCA陽性であるようなら血管炎による筋病変を疑う.
●筋生検の意義
①必須ではない
②PM/DMを疑う状況でEMG陽性であれば鑑別診断の検討の上で行う
③PM/DMの10-20%で生検正常であり
生検正常がPM/DMを否定せず、治療不要も意味しない.
④炎症細胞浸潤+筋線維の変性と大小不同という
典型像がみられるのは60-70%程度.
⑤OverlapやMCTDの時には生検の意義が乏しい.
(なぜ?⇒診断が明らかだから?)
⑥強皮症の筋炎の一部にステロイド不応or不要の軽症筋炎があり
細胞浸潤が乏しいことが参考となる.
⑦典型的な皮疹のDMや間質性肺炎共存例でも必要性乏しい
⑧肉芽腫性筋炎との鑑別のためには有用だが頻度はまれ.
(結核・サルコイド・封入体筋炎など)PM/DMの組織にも肉芽腫はみられうる.
⑨皮疹が非典型的なときにはPM/DMの区別に役立つことも.
- PMでは筋細胞周囲へのCD8陽性細胞浸潤
- DMでは筋束間の血管周囲にCD4陽性細胞とB細胞の浸潤 が優位とされる.
⑩EMGと反対側で行うこと(針の刺激で細胞浸潤がおこる)
⑪部位は上腕二頭筋・大腿四頭筋が適する.三角筋で行うことも.
●筋MRI
①筋の炎症を確認したいが生検が施行しにくいときに.
②T2で高信号・T1で変化が乏しい
③感染・外傷・横紋筋融解などEtiologyの区別はできない
2007/11/12 PMを見分ける臨床所見
膠原病診療ノートの記載より
●他覚的な脱力または筋痛
①対称性の近位筋罹患+CK上昇 ⇒PMの可能性がある
次に行うべきは筋電図である。
②次の場合にはPMは否定的である。
- 非対称性
- 疼痛部の発赤や熱感(腫脹はPMでもありうる)
- 日の単位での急性発症
- 明らかな日内変動や日による変動
(脱力自覚があるが診察時には正常・
運動で悪化するが休むと改善することが長期間持続など)
③次の場合にはPMらしくない・診断保留
(PMが再燃するとき通常は症状よりCK上昇が先行する)
(PM初期には脱力がなく筋痛のみでCK正常のことも)
- 脱力が進行するのにCK上昇がない
- 血縁者に類似の筋症状またはCK上昇
(筋ジストロフィーや先天性代謝異常の可能性)
●筋酵素の上昇があるとき(CK and/or アルドラーゼ)
①脱力や筋痛がなくてもPMは否定できない。
初期には易疲労のみでMMT正常のことは珍しくない。
②次の場合にはPMは否定的である
- 日の単位での急なCK上昇や下降
- 筋挫滅を示唆する原因が明らかにある
- 実はCK上昇はAMIによるものだった
- HypothyroidismによるCK上昇だった
●筋症状以外の主訴から見つかるPMの場合
①関節痛・レイノー症状
- 一部のPMにみられる
- 関節痛が年余にわたり筋症状に先行してRA疑いとされることも。
- CKが図られずに見つからないのか、実際に上昇しないのか?
②倦怠感・発熱
- 一部のPMは発症時に発熱が主訴となる
- AST/ALTなどから肝炎?とされ消化器にくることも。
- CKが測定されればおかしいと気付かれるが・・
ルーチン項目でないので・・。やはりDDxを広く持つこと。
③間質性肺炎
- 筋症状より先行・同時・後発いずれもある
- 呼吸器内科で治療中に筋炎が顕在化することは珍しくない
- 間質性肺炎をみたら膠原病が遅れて出現する可能性をいつも考える。
その候補はPM/DM・RA・MPAである。
- 強皮症では原則として肺病変が皮膚硬化に先行しない.
④強皮症またはSLE
- これらを診断したときには必ずCKも同時に測定する。
- 筋炎が共存するときには、
Overlap syndromeもしくは部分症としての筋炎もありうる。
⑤悪性腫瘍
- 癌に合併する筋炎はほとんどがDMである
- 担癌患者において皮疹を伴わないCK上昇をみたら
PMを考えるよりもその他の原因をまず除外する
(薬剤性・筋破壊・感染症など・・・)
※頭頸部癌の甲状腺浸潤⇒甲状腺機能低下⇒CK上昇というケースもあり。
●PMとDMは病理像・癌合併率・間質性肺炎による死亡率が異なる
別の疾患と考えるべきでPM/DMという診断名は誤り。
①皮膚筋炎(DM)の可能性を考えるべきは
上記PMを考えるべき臨床症状+特有の皮疹をみたとき。
②逆にPMを疑うときには皮疹の有無に注意して
PM or DMを区別すること.
2007/11/12 Retinal vasculitis
UTD15.3記事より
●Retinal vasculitisの原因
①Primary ocular disease
②secondary
・Systemic disease
・Infectious disease
※Uveitis syndromeと原因は
かなり重なるが一部違うものもある。
●Systemic disease
①Vasculitis syndrome
- Wegener肉芽腫症
- Giant cell arteritis
- Polyarteritis nodosa
②Sarcoidosis ③SLE ④RPC
⑤Behcet病 ⑥Crohn病 ⑦Whipple病
⑧Multiple Sclerosis
⑨HLA-B27関連疾患
●Infectious disease
①結核 ②梅毒 ③トキソプラズマ
④各種のウイルス
⑤その他
- アメーバ・カンジダ・レプトスピラ
- リケッチア・ブルセラ
2007/10/28 化学療法前のHBVスクリーニング
- HBV-DNA polymerase・HBV-DNAプローブ法
- HBV-DNA(TMA法)・HBV-DNA(PCR)
後者二つが現在の主役でその測定レンジは
TMA法が3.7~8.7LGE/ml、すなわち1ml中の HBV量が5,000(10の3.7乗)~500,000,000(10の8.7乗)コピー
PCR法が2.6~7.6LC/ml(同様に1ml中のHBV量が400~40,000,000個)です。
それぞれの単位のLGE:logarithm genome equivalentと LC: log. copies のその意味するところは同じで対数表示です。
より感度の高い測定法ということで、選ぶなら、HBV-DNA(PCR)ということになります。
●HBsAg陰性の患者の全員に上記を測定することは無駄が多いと思われ事前確率のある患者を選択してスクリーニングする?
HBs-AbやHBc-IgGを月をかえてから再検査?
●すべて陰性(つまり未感染・未ワクチン)の状態であれば、HBVワクチンを勧める?
(HBVの暴露リスクが高くない状況であれば不要か?)
●逆にHBsAg陰性・HBc-IgG陽性 などが判明したときには、化学療法はどうするのか?
結局注意しながら免疫抑制療法を行なうこと、治療中の肝酵素異常などの場合に
HBV再活性化を鑑別対象とすること、が重要であるという結露音になりそう。
2007/10/25 抗CCP抗体についての文献を調べること。
ENの組織像
●ENは典型的にはSeptal panniculitisであるが
Septa or Loberは
厳密にきっちり分けられるわけではないので
臨床像とも合わせて判断する必要あり。
07/07/24 レミケードの投与方法
①3mg/kg(海外では5-6mg/kgの量)を
②初回・2週後・6週後に投与
③以後は8週間おきに繰り返す。
④MTXの併用が必要。
⑤具体的には生食250mL以上に溶解して
40mL/hで30分・80mL/hで30分
残りを120mL/hで投与
途中でinfusion reactionが出た時
軽ければ30分の中断後に再開
重ければステロイド投与などで対応。
⑥抗ヒスタミン薬の内服を
できれば投与1週間から2日前から行う
(当日のみや無しでも可??)
●適応・副作用についても
十分承知の上で行うべき。
●費用も高いので社会福祉制度も
十分利用することを検討。
1ヶ月あたりレミケードだけで7万円くらいに
なるらしい。
最終更新:2007年11月12日 20:15