ゆっくりいじめ系827 ゆっくり魔理沙が極限までゆっくりできる話3(後)

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   不意に、まりさ達の動きが静止した。  美しいまりさはその場でゆっくりしているが、赤まりさは空中で止まっている。  不思議な光景だが、それについては触れずに研究家はここまでの説明を始めた。 「このゆっくり達はそれから数日間、何もなくゆっくりと過ごしていました。定着作業の第一段階はこれで終了です」 「次は第二段階となります。それでは、ここから先は再び映像で説明いたします」  研究家の合図でキュルキュルと機械音が鳴り、早回しに日が過ぎていく。  やがて、美しいまりさと赤まりさの二匹がゆっくりと過ごしている場面が映ったところで機械音は止まった。 「「ゆっくりしていってね!」ね!」  ほぼ同時に鳴き声を上げる二匹。  そのまま幸せそうに頬をすり寄せ合うが、表情はどことなく寂しそうに見える。 「ちょっとだけゆっくりできてないね」 「あしたはゆっくりできるよ」  穏やかに頬をすり寄せ合いながら、傍目には意味不明な発言をする二匹。  それも当然である。  ゆっくりがつがいになるために一番必要なものは「ゆっくりしていってね!」を寸分のズレもなく同時に言える者だけなのだ。  理由は不明だが、全てのつがいのゆっくり達は、何度も練習をして群れの皆の前で披露する事が、結婚の儀式となっている事が確認されている。  このまりさ達も、毎日毎日何時間もかけて練習をした結果、まだタイミングが僅かにずれてはいるものの、もうほとんど同時に言える。  つがいになるまで、そう時間はかからないだろう。二匹とも、そう考えてほほ部分の皮を赤色に染めていた。 「もうすぐいっしょにゆっくりできるね!」 「ゆっくりできたら、たくさんゆっくりしようね!」  顔を見合わせて笑いあう二匹は、幸せを饅頭で覆ったかの様に見える。  満面に笑みを浮かべる赤まりさは、自分達ほどにゆっくりしたゆっくりは他にはいないだろうと考えていた。 「おなかすいたから、ゆっくりごはんとってくるね!」  突然相方に向かって宣言する赤まりさ。  ゆっくりは消化効率が良すぎる体構造をしているため、毎日何食も摂らなければならない。  幸いと言うべきか、この場所はちょっと周りを見渡しただけですぐに食料が手に入るので、二匹とも腹いっぱいになるまで食事ができた。  食べきれないほどに量が多く『しあわせー』になれる食事、暖かでゆっくりした寝床、もうすぐつがいになってくれるだろう美しいまりさ。  ゆっくりにとって最高の環境が整っているここは、まさしくゆっくりプレイスと呼ばれるにふさわしい。  自分はゆっくりにとっての天国とも言える場所にいるのだと、赤まりさは信じ込んでいた。  当然、数日前の悪夢など、今の幸せの記憶に押しつぶされて完全に忘れている。  危機感が薄れる事こそが最も危険な時だと気づきもせず、赤まりさはゆっくりと食事を探しに出た。 「まって、まりさもいくよ!」  ゆっくりと跳ねる赤まりさの後ろから声が聞こえてくる。  振り向くと、美しいまりさがゆっくりと追いかけてきていた。  美しいまりさは運動神経が良くないので、赤まりさの後を追う時は必ずゆっくりと動くのである。  野生に生きていればすぐに見捨てるだろうその姿を、赤まりさは微笑ましそうに眺めた。  慌てる必要はないのだ。このゆっくりプレイスはどれだけゆっくりしていてもなんの心配もないのだから。 「わかったよ! ゆっくりまってるから、ゆっくりきてね! ころばないでね!」 「ゆっ! ごめんね、ゆっくりまっててね!」  愛しいつがいを慌てさせない様に、笑顔で飛び跳ねる赤まりさ。  美しいまりさは、赤まりさの顔が帽子の先より赤くなるほどキレイな笑顔を浮かべてゆっくりと近づいてくる。 「ゆっ、ゆー……まりさ、ゆっくりまってね! ゆっぐ!?」 「ゆぎゅっ!? だいじょうぶ? いそがなくていいよ! ゆっくり……」  不意に、べちゃっと柔らかい音を立てて転ぶ美しいまりさ。  転んだのだと思い、赤まりさは慌てて飛び跳ねて……言葉を失った。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁ! だずげでぇぇぇ!!!」  美しいまりさは、うつ伏せのままで悲鳴を上げている。  その後頭部には、もう一匹のまりさが圧し掛かっていた。 「ゆっゆっゆっ……ゆふぅ、ほぉぉぉぉぉ!!!」  三匹目のまりさは、悲鳴を上げる美しいまりさに構わず、奇声をあげながら高速で動き続けた。  その顔は食紅を使い過ぎた饅頭の様に真っ赤に染まっており、ゆっくりが快感を得た時に出す粘液が凄まじい勢いでドボドボと垂れ流されている。  明らかに異常だが、良く見るとほほの横に細かい穴がある。どうやら、薬によって強制的に性欲を増幅されているらしい。  焦点の合わない目でただ快楽のみを貪るその姿は、醜さを饅頭という形で覆った様にすら錯覚してしまう。 「まりざ! まりざ、だずげで! だずげでぇぇぇぇぇ!!!」 「だいじょうぶだよ! まりざもまりざだよ! だずげであげるがらね! ずっぎりじだらだずがるがらね!!!」  ゆっくりと言うよりはゴミ饅頭、いやそれ以下の不気味な物体の下で助けを求めるまりさは、すでに先ほどまでの美しさを失っていた。  顔は赤大福に押しつぶされて無残に潰れてしまっているし、整えられた髪は上から流れ出す粘液によってドロドロになっている。  ゆっくりが「あし」と称するアゴ部分からはぐじょぐじょと湿った音が絶え間なく響き、おぞましい感触が後頭部を中心に顔全体に広がっている。  「あし」はどうあがいても逃げられないほどに強く押しつぶされ、下手をすれば今後もまともに跳ねる事は出来ないかもしれない。  だが、それほどの絶望の中にいてもなお、その目は希望を失ってはいなかった。  確かに自分一人ならばどうしようもないが、ここにはもう一人、先ほど仲良くなったばかりの赤まりさがいるのだ。  不幸中の幸いと言うべきか、真上でうごめいている気色悪い物体は自分だけに気を取られているから、正面から体当たりすれば吹き飛ばす事ができる。  そうなればれみりゃ種などの捕食種ではないまりさ同士、しかも二対一と数で有利なのだから、いくらでもやり方はある。  だからこそ、美しいまりさは助けを求め続けた。 「はやぐ! はやぐだずげでぇぇぇ!!! おねがいだがらだずげでぇぇぇ!!!」 「だずげであげるがらね! ずっぎりだずげであげるがらね!!! がっわいっいよ、がっわいっいよ、ま・り・ざぁぁぁぁぁ!!!」  だが、助けを求められている当の赤まりさはその場から動かなかった。いや、動けなかった。  目の前の惨劇が、交尾しては潰され、生き返っては交尾していたバケモノの姿と重なってしまったためである。 「あ、あ、あ……」  気絶しそうになりながら、じりじりと後ずさる。 「まりざぁぁぁぁぁ!!! ぞのままどびごんでぇぇぇ!!! どびごんで、ごいづをはじぎどばじでぇぇぇ!!!」  ボロボロのまりさが必死に叫ぶ声も、その耳には届かない。 ―飛び込んだらどうなるか。 ―もちろん、上のまりさは弾き飛ばせるだろう。だが、自分はどうなる? 「んほ! んほぉぉぉぉぉ!!!」  襲っているまりさは限界に近づいているらしく、先ほどまでの大きく激しい動きから、小刻みに震える動きに切り替えた。 ―交尾しているとみなされて、潰される。 ―そして、ウィーンという機械音と共に生き返り、また潰される。 ―あの『ばけもの』と同じ存在になるのだ。 ―冗談じゃない、そんな事になったら、二度とゆっくりできないじゃないか。  ふと、美しかったまりさと赤まりさの目が合った。  何でも話してしまいたくなる様な優しさと、宝石の様な美しさを兼ね備えた寒天の目には、今は涙が溢れている。  それでも、じっと見つめる視線には、赤子が親に寄せる様な絶対的な信頼感があった。  それを見て僅かにためらうが、命には代えられない。赤まりさは、交尾を続ける二匹に後頭部を向けて全速力で逃げ出した。 「まりざ、まりっ……どぼじでだずげでぐれ”な”い”の”ぉぉぉ!!!」 「んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!! ずっぎりぃぃぃぃぃ!!!」 「いやぁぁぁぁぁ!!! じにだぐないぃぃぃ!!!」  三者三様の叫びを上げる中、一匹のゆっくりの寒天の目が、ゆっくりと光を失っていった。  濁ったそれは、もう二度と元の輝きを取り戻す事はないだろう。  ゆっくりまりさは、必死に逃げていた。  バケモノのいる、ゆっくりできないこの場所から。  それ以上にあの目から。  優しかったあの目、もう決して見る事は叶わない目から逃げ出していた。 「ゆっくりにげるよゆっくりにげるよゆっくりにげるよ……」  ぶつぶつと呟きながら、一目散に跳ねて行くまりさ。  調子の外れた甲高い叫びで人をイラつかせるゆっくりとは思えないその暗さが、まりさの味わったショックと恐怖を物語っている。 「ゆっくりにげるよゆっくりにげるよゆっぎゅ!?」  そんなまりさをつかみあげる手が一本。あっという間に、普通に生活していては絶対に見られないほど高い場所まで持ち上げられた。  普段のゆっくりならば「うわぁい、おそらをとんでるみたい!」と喜ぶが、まりさは必死に逃げ出そうともがく。  まりさのアンコ脳には、もうこの場から少しでも離れる事だけしか入っていないのだろう。  だが、絶妙な力の加え方で皮が破れず、かつゆっくりの力では絶対に抜け出せないほどがっちりと押さえつけられている。 「ゆっくりしていってね! お前、ゆっくりなんだからもう少しゆっくりしていろよ」  急に空から降ってくる声。低い声は人間……成人男性のものだ。  だが、今のまりさには人間も何も関係ない。とにかく逃げる事しか考えられない。  いつ潰されてもおかしくないというゆれみりゃ辺りでも分かる直接的な危険すら、今のまりさには逃げる障害としか認識できないのだ。  まりさは必死にもがきつつ、逃げられない原因を作り出している人間に対して恐怖と怒りと悲しみで濁った声を張り上げた。 「なにゆっぐりじでるのおじざん!? ごごはばげものがいるがらゆっぐりでぎないんだよ! まりざはにげるんだよぉぉぉ!!!」  だが、文句を言われた方はニヤニヤと笑いつつも、まりさをがっちりと押さえたままで幼い子供に教える様に優しく諭した。 「何言ってるんだ、ここには化け物なんていない。とてもゆっくり出来る場所だよ」  のんびりと答える男の言葉を聞いた瞬間、まりさのアンコに怒りが満ちる。  まりさは、つい今逃げようとしていた事もバケモノの事も忘れ、男をキッとにらみつけた。 「おじざんばがなの!? まりざはゆっぐりでぎないんだよ! わがっだらゆっぐりじないでざっざどはなぜぇぇぇ!!!」  口から黒い泡を吹き、血走った目で叫ぶその姿は半ば狂気じみているが、男はニヤニヤと笑い続けている。 「いいがげんに……ゆぎゅ!?」  逃げたいけれど逃げられないこの現状を何とかしようと、まりさは強引に上を向こうとして逆に押さえつけられた。 「ゆっくりしてろよ、お前ゆっくりだろ?」 「おじざんだげいだらいいでじょぉぉぉ!? まりざはごごをでだいっでいっでるんだがらざっざどはなぜぇぇぇ!!!」  潰されそうなほどに押さえつけられても、まりさは必死に抜け出そうともがき続ける。  その様子をあざ笑うかの様に、男はゆっくりの耳部分へと口を近づけた。 「あのまりさはゆっくりできたのに、お前はゆっくりできないのか?」  その言葉を聞いた途端、ゆっくりまりさは彫刻に塗り込められた様にいきなり停止した。 「ここは『ゆっくりプレイス』なんだろ? なら、ゆっくりしていろよ。あのまりさだって言ってただろ?」 ―やめろ。 「そういえば、あいつはいないな。別の所でゆっくりしているのか?」 ―もうやめてくれ。 「それとも、お前に愛想つかしたのか?」 ―それいじょういわれたら、まりさは。 「あ、逆か。お前があいつに愛想つかしたんだな、すまんすまん」 ―まりさは…… 「お前、あいつを助けられたのに助けなかったもんな。愛想つかせたって言えば、お前の方だよな!」 「;gヵhが;sぃfhなl;がh;ldくふぁ;sdgはs;hぁぁあ!!!」  白目をむいて言葉にならない叫びを上げるゆっくりまりさ。  気づいていた。  美しかったまりさには抵抗する力はなかった事を。  自分が体当たりしていれば、簡単に助けられた事を。  『ばけもの』になるかもしれないという理由があったとはいえ、つがいとなるはずだったまりさを見捨てた事を。 「ぎゃお;やhdbぁいygf;おあgゆっぐりじだいぃぃぃ!!!」  狂った叫びを上げ続けるまりさは、口ごもった言葉を思い返していた。 ――もし、ふたりでゆっくりできなくなっても、かわいいまりさだけはぜったいたすけるからね。  恥かしくて言えなかった事と、心に誓った決意。  まりさは、自分の命惜しさにその二つを裏切った。 「あk:shばyh:rltかyhflshぎょぉぉぉ!!! はなぜぇぇぇ!!!」  白目をむいた凄まじい形相でじたばたともがくまりさだったが、その程度の抵抗では手はびくともしない。  不意に、ほほの辺りに鋭い痛みを感じたが、まりさにはそれを気にしている余裕はなかった。 「はなぜぇぇぇぇぇ!!! まりざはにげるんだよぉぉぉ!!! はなぜぇぇぇぇぇ!!!」  甲高い悲鳴が辺りに響き渡るが、その程度では人間の力に対抗する事はできない。 「はなじでよぉぉぉ!!! ごごじゃゆっぐりでぎなぃ……ゆぅ……ゆぅ……」  数分間暴れ続けたまりさは、ゆっくりにも効く睡眠剤の力によって、ゆがんだ表情のまま眠りに付いた。  映像は、全くゆっくり出来ていない表情で眠る赤帽子のまりさを写した所で止まった。 「このゆっくりまりさは、もう決して交尾は出来ません」 「記憶をえぐり出す形でつがいを見捨てさせた為、交尾そのものに対する恐怖心と罪悪感を植え付けられたからです」 「また、他のゆっくりがいる事で、自分と相手のどちらかが酷い目に遭わされるのではないかという恐怖心から他ゆっくりと一緒にいる事すら拒否します」 「ただ、これまでの映像では本当に交尾が出来なくなったかは分からない為、結果について見ていただきます」  淡々とした口調でそこまで説明した研究家の指示で、再び映像が流れ出す。  そこには、何かの機械を取り付けられた赤まりさがいた。 「……ゆぅ」  いつも馬鹿騒ぎをするゆっくりにしては珍しい事に、静かに鳴くゆっくりまりさ。  まりさは、この何日か食べる事も寝る事も忘れ、ただひたすらその場にたたずんでいた。  ぼうっと空を眺めているその様子は、端から見るとゆっくりしている様に思えるが、心の中はゆっくりどころか落ち着けないでいた。  もちろんあの出来事が原因である。 「……ゆぅ」  ため息と共に思い出す、あの時の事。  あの後、起きてみるとすでに人間はいなくなっていた。  どこかへ行ったのだろうと考えたまりさは、今度こそ逃げ出そうとした。だが、出口はどこにもない。  もう狂ってしまいたいと思ったが、まりさには狂気に浸れるほどの精神力さえ残されてはいなかった。  あきらめて自分の巣に向かう途中に、ゆっくり二匹の死がいと生まれる前の赤ちゃんゆっくりを見たが、もうどうでも良かった。  とにかくゆっくりしたい。その一心で、疲れきったあしを巣まで動かした。 「ゆっくり……おうちかえるよ。ゆっくり、おやすみなさいするよ……ゆぎゃぁぁぁぁぁ!!!」  通常のゆっくりの半分程度の速度で巣に戻ったまりさは、泥の様に眠……ろうとして跳ね起きた。  美しかったゆっくりまりさが登場した悪夢を見たためである。 「ゆっぐ……しあわせーになればねむれるよ……むーしゃむーしゃ、おげぇぇぇ!!! ……むーしゃ、むーうげぇぇぇ!!!」  恐怖に身を震わせつつも、満腹になってからならば眠れるだろうと考えたまりさはのそのそと食事を摂るが、吐き戻してしまう。  食べようとすると、ゆっくり達の死がいが目の前にちらついて、どうしても飲み込めないのだ。 「ゆぐ、ゆっぐり……でぎないよ……」  アンコを吐き過ぎてややほほがこけたまりさは、自分はもう死ぬのを待つだけのゆっくりなのだろうと悟った。 「……ゆぅ」  自分のため息でハッと我に返ったまりさは、また空を眺め始めた。  この場所は、嫌な思い出が多すぎる。一刻も早くここを出たい。  だが、出られない。  いっその事死んでしまって永遠にゆっくりしたいとも思ったが、それも出来ない。  美しかったまりさとも『バケモノ』とも再会したくはなかったからだ。 「ゆぐ……ゆっぐり、じだい……」  まりさのしゃくりあげる声が辺りに響く。  ゆっくりとできないだろう絶望的な未来を思い浮かべ、まりさは静かに涙を流し続けた。  しばらく泣き続けたまりさは、ふと物音を聞いた。  何かと思い、のそのそと外に出てくるまりさの目に、数匹の赤ちゃんまりさが飛び込んできた。 「「「ゆっくりちていってね!」」」  まりさの姿が見えた様で、赤ちゃん達は挨拶しつつ、ぴょんぴょんと跳ねながら近づいてくる。 「ゆっくりちていっちぇね! おねーちゃんはゆっくりできりゅ? ……ゆっくりないちぇりゅよ!」 「ゆゆっ、どっかいちゃいいちゃいちたの? まりちゃたちがゆっくりちゃちぇてあげりゅからなかないでね!」 「ゆっくりちちぇね! ないたりゃめーだよ!」 「ゆっくりしていってね……おねーさんはゆっくりしてるよ」    自分を慰めようとする子供達を見て僅かに心が和んだのか、僅かに微笑むまりさ。  だが、後一歩で触れる所まで近づくと、その表情は一変した。 「……ゆっ! おねーさんはゆっくりしてるからはなれてね!」  恐怖の表情を浮かべ、赤ちゃんゆっくりに触れない様に素早く避けるまりさの行動に、赤ちゃん達は頭を傾げる。  目の前のおねーさんは、明らかにゆっくりしていない。それなのにゆっくりしていると言うのはおかしいからだ。  赤ちゃんでも、相手がゆっくりしているかいないか程度の事は分かる。 「いっちょにゆっくりちようよー!」 「ゆっくりちなきゃめーだよ!」 「ゆっ! ゆっくりちちぇよー!」 「あかちゃんたちはゆっくりこっちにこないでね! こないでぇぇぇ!!!」  とにかく目の前のおねーさんをゆっくりさせようと考えているのか、近づこうとする赤ちゃん達と、触れる直前に全力で離れるまりさ。  全くゆっくりしていないおねーさんを見て意地になったのか、赤ちゃん達は全力でまりさを追いかけ続けた。 「ゆっ、おねーちゃんゆっくりちようよ!」 「ゆっくりちゃちぇてあげりゅから、おとなちくちてね!」 「ゆっくりちないとめーだよ!」 「いやぁぁぁぁぁ!!! ごっじにぐるなぁぁぁ!!!」  だが、まりさも近づく度に白目をむいて悲鳴をあげて飛び退る。  触れるだけでも自分か赤ちゃんに被害が及ぶかもしれないのだ。  だからこそ、まりさは自分の持てる力の全てを使って迫る赤ちゃん達を必死に避け続けた。 「ちぇっかくゆっくりちゃちぇてあげようとおもったのにー!」 「ゆっくりできないおねーちゃんとはゆっくりあちょべないよ!」 「おねーちゃんとはもうゆっくりちないよ! ぷんぷん!」  あまりの態度に、赤ちゃん達もようやく諦めたらしく、捨て台詞を残して去っていった。 「ゆっ、まっ……あ、あかちゃんたちはあかちゃんたちだけでゆっくりしていってね!」  その場で飛び跳ねつつ、膨らんでみせるまりさ。  これ以上ここにいたら潰すという合図だ。  赤ちゃん達はその合図を知らなかったが、本能で何をされるか分かったらしく、ゆっくりしないで逃げていった。 「……ゆぅ」  その場に残されたまりさは、先ほどと同じ様にため息をついた。  先ほどの赤ちゃん達は、どこかでゆっくりと成長して、姉妹同士か他のゆっくりとすっきりして、新しく赤ちゃんを作るだろう。  そして、何人かの赤ちゃんを亡くしつつも、懸命にゆっくりと生きて、ゆっくりと死んでいくのだ。  本当は自分も赤ちゃん達とおともだちになって一緒にゆっくりしたかったが、それはもうかなわない。  この部屋にいる以上は誰にも触れる事は出来ないし、仮に部屋を出られる状況になったとしても、満足に食べる事も出来ない自分は外では生きられない。  一旦は出ても、また人間達の世話になるしかないのだ。  この部屋で、一生飼いゆっくりとして人間に媚を売る事でしか生きていく事はできない。 「ゆっぐりでぎない……ゆっぐりでぎないよ……おねがいだからだしてよ……」  呟く声が、空に溶けていった。  映像は、暗い表情をしたまりさが映った所で止まった。 「ご覧の通り、このゆっくりは傷つけられる心配が皆無に近い赤子にすら触れる事が出来なくなっています。また、このゆっくりは既に眠る事も食べる事も出来ません」 「これは、先ほどから受け続けていた精神的打撃が定着したからです」 「性欲も睡眠欲も食欲もなくし、他のゆっくりと共にいる事すら出来ないこのゆっくりに残されたのは、ただゆっくりする事だけです」 「次の映像では、いかにしてゆっくりをゆっくりさせるかについて見ていただきたく思います」 「それでは、次の映像の準備などのため、これから四半刻の休憩を挟ませていただきます。少々お待ち下さい」  判を押した様に先ほどと全く同じ事を言い、研究家は一礼をしてそのまま脇に下がった。  当然、流れ出した館内放送も全く同じ物である。 ――これより、四半刻の休憩を挟ませていただきます。 ――休憩中の出入りは自由となっております。厠などを済ませて下さい。  館内放送が流れると同時に、観客席は一気に騒がしくなった。  ある者は厠へと急ぎ、ある者は隣の者と話し合っている。  最後の実験『ゆっくり欲』の証明。  次の講演によって明らかになるだろうその話題によって起こされたざわめきは、四半刻が過ぎるまでは止む事はないだろう。  冷や汗をかきながらネタ被りを警戒しつつも、性欲実験がやっと書きあがりました。  アホほど気合入れて書いた結果がこれだよ!  ともあれ、これで 9スレ>>382 を見て思いついた無駄に長い話も、半分を超えました。  次は「極限までゆっくりするゆっくり」についてです。  完成はいつになるか分かりませんが、気長にお付き合い頂けたら幸いです。  それにしても、交尾だからアリスとかにしておけば良かったんですが、せっかくなので全部まりさにしようと思ったのが運の尽きですね。  最終鬼畜全部まりさ。やたら書き難かったです。読み難かったらすいません。  ところで、ここからは新しい名前に変えさせていただきます。  今後は『cyc=めて男(シーワイシー=めてお)』とお呼び下さい。  by元319、cyc=めて男 [[このSSに感想を付ける>感想フォーム]]  

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