とある一室。
ここに、天然のゆっくり霊夢が数匹、連れてこられた。
「おじさん、ここでゆっくりできるの?」
「もちろん! ちょっとここで待っていてくれるかな」
「「うん! ゆっくり待ってるよ!!!」」
男が出て行って、ゆっくり達は改めて部屋を見回した。
いろいろな器具が並んだ小部屋、好奇心旺盛なゆっくり達は、嬉しそうにはしゃいている。
「なんだろうねー」
「これでゆっくりするのかな?」
その時、白衣を着た男が数人、部屋の中に入ってきた。
ゆっくり加工場の職員だ。
「へんなかっこう」
「おじさん達もゆっくりできるひと?」
「いっしょにゆっくりしようよ!」
ものものしい雰囲気の職員達に対して、ゆっくり達はお決まりの文句を言う。
「ゆっくりしていってね!!!」
そう言って近寄ってきた、一匹のゆっくり魔理沙の言葉を無視するように、いきなり捕まえる職員。
そして、ゆっくり達が先ほどから眺めていた装置、ちょうどゆっくり一匹分のスペースが空いている場所に押し込める。
それと同時に、さっきの男が職員二人に拘束されながら、部屋に戻ってきた。
「ゆっくり達、ここはこいつらに乗っ取られてしまったんだ。早く逃げてくれ」
その言葉を合図にして、他の職員達もゆっくりを捕まえていく。
知能の低いゆっくりは、瞬時に何が起こったのか、理解できなかったようだ。
「やめて! ゆっくりしようよ!」
「おじさんも、いっしょににげようよ」
「やめでよ゛ー ゆ゛っぐりじだいよ゛」
「おじざんをだずげであげでー」
さまざまな、怒号が飛びあう中、ものの数分でゆっくり達を捕獲し終える。
そして、ゆっくり全員の視線が集まったところで、一匹のゆっくりが入った機械のスイッチを入れる。
「ゆ? ゆ゛ー!」
瞬間。
幾重もの刃が飛び出し、一分と経たないうちに、餡子と生地の混ざった物体に変化する。
「うわー!」
「はなしてね。はなしてね!」
「おうちかえる!帰らせてー」
その騒がしさを振り払うように、声を張り上げ、男は職員たちに取引を持ちかける。
その装置は、スイッチを入れても殆ど上手く起動しない。
だから、一回スイッチを入れて起動しなかったら、ゆっくりは開放して欲しい。
というもの。
職員はそれに応じた。
ついでに、ゆっくりに目隠しをさせて欲しいとも頼んだ。
これも、直ぐに了承された。
「大丈夫だよ、この機械は殆ど起動しないから」
「おじさん、ありがとう」
「ありがとう」
短い会話をして、直ぐに目隠しをされたゆっくり達。
すでに、最初の一人は機械に入れられたようだ。
「ゆ゛ー!!!」
起動してしまったらしい、ものすごい絶叫が室内に響いた。
「次」
「いだいっ! いだーい!!」
「次」
「おうじがえるー!!!」
「次」
……
「次、お前で最後だ」
ゆっ、ゆっくり入れてね」
勢いよく入れられた、ゆっくり。
間髪いれずスイッチが入れられる。
しん
「ゆっ?」
助かったのだろうか。
気が付くと、機械から出されて、目隠しも外された。
隣で、あの男が手を振っている。
「おじさん、これでゆっくりできるよ」
と、言おうとしたが言えなかった。
男が、いきなり、ナイフで頭の上を切り取ったからだ。
それだけではなく、ヘラで中の餡子を取っていく。
「いだいー! ゆ゛っぐりざぜでー」
暫く叫び、やはり最後のゆっくりも息絶えた。
残った体は、ゆっくりれみりゃのえさになるのだろう。
場所は変わってアリスとパチェリー。
「これが、虎印の羊羹。すごく濃厚でおいしいわ」
「本当ね、これ、天然モノのゆっくりしか使わないんでしょ?」
羊羹同封のチラシには。
この羊羹は、恐怖心で餡が良く練りこまれるゆっくりの特性を生かし、
極限まで恐怖させ、一瞬安心させる、という手間を加えることで、手を加えずに羊羹化した餡を使用しています。
ホラービデオを強制的に見せた後、同様の方法で作った繁殖物のゆっくりよりストレスが少ない分、より濃厚な味を
お楽しみいただけます。
と、記載されていた。
最終更新:2011年07月28日 03:43