ゆっくりいじめ系861 ある愚者の孤独な復讐(後編)_1

注意
  • 一部グロ表現有り



宣戦布告する数日前の出来事
青年はこの時、始めてゆっくりを殺した。罠を仕掛けている途中に出くわしたゆっくりまりさを
持っていた棒を突き立てただけで簡単にその命は終わってしまった
こんな脆いものに殺されてしまうほど妹が衰弱していたのを知り悲しくなった
その後にやってきたのは空腹感だった
餡子の甘ったるい香りが青年の鼻腔をくすぐる
頭を裂いて、中身の餡子を掬う。それを恐る恐る口に運んだ
久しく舌で使っていなかった神経が反応する。“甘い”を『甘い』と脳が理解するまで数秒時間がかかった
美味いと思ってからは早かった、犬のように顔を突っ込んで貪った
極限まで縮んだ胃にものが詰め込まれて押し広げられていくのを直に感じた

信じられないことに、一匹のゆっくり全部が青年の胃に納まった

久しぶりに彼の胃が満たされた。満腹感こそが幸福感に最も近い感情なのだとこのとき初めて実感した
もし村が『不可侵協定』を結ばなければ、妹にもこれを腹いっぱい食べさせられたのにと悔やんだ
冬だって越せた。家を荒らされることも無かった

ゆっくりが村に来なければ、少なくとも妹は死ぬことはなかった

気づけば自分はまた泣いていた
その涙はなかなか止まらなかった






		*			*			*




夜中、巣に帰ってきたゆっくりのつがいは仰天した
洞窟の前に有刺鉄線が張り巡らされていた、今日の朝ここを出たときにはこんなものは無かった
「これじゃあ、おうちにはいれないよ!! ゆっくりできないよ! さっさとどかしてね!」
つがいが鉄線の向こうにいる仲間に呼びかける
だが、巣の中の仲間が次に言うセリフは決まっていた

「「「にげてぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」」

力いっぱい叫んだ

「ゆ?」

背後に気配を感じつがいが同時に振り返った

月を背負った怪物が長い棒を振りかぶっていた

飛び散ったつがいの餡子が有刺鉄線と仲間にかかった




	『ある愚者の孤独な復讐 ー後編ー 』



死んだつがいの死体を茂みの中に捨てる
『ゆぎぎぎぎぎぎいぎぎぎぎぎ・・・・・・』
ドスまりさの歯軋りが聞こえる
宣戦布告されてから、もう何匹が屠られたかわからない
青年は巣の入り口に張り付いて、帰ってきたゆっくりを全員撲殺していた
閉じ込められたゆっくりたちはその光景を何度も見せ付けられていた
この危機を外部に知らせたくても青年に見張っている以上それはできなかった
青年は一睡もせず巣にやってきたゆっくりをひたすら殺し続けたが
日の出に近づくのつれて段々と巣に帰ってくるゆっくりたちの数が減ってきた
このあたりの森や山はゆっくりの天敵は少なかったため巣に戻らず野宿するものが大勢いた
30分ほど経ってもゆっくりは来なかったので青年は彼は痺れをきらしはじめた
今は一分一秒が惜しかった
仕掛けた罠の成果も気になった
だから一時間だけここを離れようと考えた
有刺鉄線の向こうのドスまりさたちを一瞥してから茂みの中に入っていった
すでに太陽が地平線から姿を現していた



その頃。巣には戻らず、木の虚穴(うろあな)で寝ていたゆっくりの親子が目を覚ました
以前青年の妹に子供を攫われたと勘違いした親子だった
父まりさと母れいむが寝ている子供を優しく揺すって起こした
それから近くの小川で水を飲みコナラの木から落ちたドングリを咀嚼する
一家全員が朝食をすませてから、餌集めを開始した
「ゆっきゅきゅ~~♪」
心地良い朝日を浴びて陽気に歌いながら姉妹に囲まれて進むのは赤ん坊のゆっくり
こうして家族といっしょにいられるのもあの人間のお姉さんのお陰だと、心から感謝しながら歌っていた
その人間がどうなってしまったかなど、この子供に知る由は無い

あの時、母の口に入れられて巣に連れ戻され親から2,3質問されたが幼いこの子には質問の意味がよくわからなかったため首をかしげるだけだった
その質問こそ兄妹の人生を大きく左右したものだとも知らずに

一家は先頭が父まりさ、その次に子供達、一番後ろが母れいむという並びで林道を進んでいた
突然。家族が見ている目の前で、道の少し先を行く父まりさの体が地面に沈んだ
「ゆぐっ!」
そこに落とし穴が掘ってあったらしく、どうやら父まりさはそこにはまってしまったらしい
母ゆっくりは頬をぷくりと膨らせて不快感を表した
「もおぅ、だれっ! こんなことしたのは! ゆっくりできないよ!! まりさだいじょうぶ? 」
「・・・・ぃ・・・・ぎ・・・・・・ぅあぁぁ・・・」
穴に体の半分がすっぽりとはまってしまった父まりさの様子がおかしい。なにか傷みを堪えるように震えている
「どうしたのまりさ?」
「おとーさんだいじょうぶ?」
家族の全員がまりさの前に回り込もうとする
「いぎゅっ!」
今度は母れいむの体が地面に沈んだ
落とし穴は父まりさの前方にも掘られていた
「いぎゃああああああああああああああああああぁぁああぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁあああああ!!!」
落ちた瞬間母れいむは絶叫した
「ざざっでるうううううううううううう!! れいぶのがらだになんがざざっでるうううううううううううう!!」
穴に落ちた瞬間、母れいむは自分の体の底が急激を感じた
子供たちは何が起きているが分からず、姉妹で身を寄せ合ったまま後ずさった
「「「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛うううううぅぅぅぅ!!」」」
そこで穴に落ちた
穴の底にあった尖った細い杭によって落ちた姉妹は全員仲良く串刺しになった
赤ん坊一匹だけが体の小ささが災いして致命傷を負いながらもすぐに死ぬことができずうめき声をもらしていた

山中にいた他のゆっくりにも似たようなことが起きていた



一週間前、青年は復讐の方法を考えていた
自分一人で出来ることは限られている
だから巣を直接襲うのとは別に、待っていても効率的に殺せる罠を作ろうとした
そして思いついたのが“これ”だった
クワで3,4回掻いてできた小さな穴に鉛筆ほどの大きさの尖った杭を何本か立てるという単純なつくりだった
時期も紅葉と落葉の中間というのが幸いして、枯れ枝を併用すると穴は簡単に隠せた
ゆっくりは他の野生動物とは違い、体の性質上通りやすい人の整備した道を選ぶことはわかっていたので有効そうな場所は大体読めた
他にも虎バサミ等の獣用の罠を勝手にくすねて設置したりもした
一週間のほとんどをこの時間に費やした
実は宣戦布告する前から罠にかかり死ぬゆっくりは結構いた
そして村の人間にさとられては困るので村人が利用しやすい道付近は宣戦布告する前々日まで設置するのは避けた
ゆっくりを敵に回すとうことは村を敵に回すといことだった



青年が消えてしばらく後
巣のまわりにまた数組のゆっくりの家族が戻ってきていた
青年がいない間にドスまりさたちは巣から出るために様々な手段を講じた
しかし無理に通ろうとした仲間の何匹かが怪我を負っただけだった
穴を掘ったが地面が予想以上に堅かったため断念し
外に仲間に杭の周りを掘り起こしてもらおうとしたが、杭の周りには大小さなざまな岩が詰まれており困難を極めた

そしてついにドスまりさは決断した

『みんな。ドススパークを撃つから離れてね!!」
今まで青年が近くにいたためその彼に妨害される恐れがあったのと、一発が体に大きな負担がかかるとういう理由から撃つのを控えていた
その言葉で周りが沸きあがる
「ゆ! そうだよ!! どすすぱーくならそんなひもいちころだね」
「さすがどすまりさ!」
「どすはやっぱりかっこいいんだぜ!」

全員が退いたことを確認してドスまりさは口を大きく開きドススパークを放った
高熱の吐息が鉄線に吐き付けられる
かつて村人が戦慄した光だった

『ぜぇぜぇぜぇぜぇぜぇぜぇ・・・・・・どう?』
体に大きな負担をかけた成果を確認する
有刺鉄線は赤く白熱し、その熱で僅かに弛んだだけだった
一匹のゆっくりまりさが近づく
「おお・・・まっかっかなんだぜ」
『だめだよ離れて!!』
慌てて注意するが遅かった
「? ・・・・・・・・・・・・がぎゃあぁああああああ!!」
知らずに近づきそれに触れたゆっくりまりさは頬に火傷を負い転げまわった
けが人がまた一匹増えたが、脱出の手段をドスまりさはついに見つけた



一匹のゆっくりれいむが必死に山の中を全速力で跳躍していた
体の弾力性を最大限に活かし前へ前へとひたすら地を蹴る
「こっちにこないでね!! さっさとどっかいってね!!」
自分を執拗に追いかけてくる者にそう言った
追う人間の手には長い木の棒が一つ。その先は餡子がこびりついていた。そのれいむの家族たちの餡子だった
命を懸けた鬼ごっこ。死と言う名の鬼がれいむに触れようと迫る
れいむの頭の中にはもう死んでいった家族のことは浮かばす、ただ生の渇望だけが丸い体を埋め尽くす
奮闘するもあっという間に追いつかれ、棒の一振りが頭を抉る
「ぶべへぁぁあ゛あ゛あ゛!!」
餡子を撒き散らしながら転がり、さらに痛みでのた打ち回った
致命傷を確認すると青年はとどめを刺さずその場を離れた
山で出会ったゆっくりは全て顔の一部を吹き飛ばしたら放置した。もちろん長く苦しんで死んでもらうために

次の獲物を探そうとあたりを見回したとき
彼は巣の方角で強い光を見た
それを見て青年は焦った
罠の成果を確認している途中にゆっくりの一家を見つけ、追いかけていたら時間がかかってしまい一時間以上巣から離れてしまっていた
長い時間巣の前を離れたことを青年は後悔した
急ぎ巣に向かい駆け出した
ふいに青年はこの状況が何かに似ていると思った
「ああなんだ・・・・“缶けり”か・・・」
昔、村で遊んでいたころを思い出して苦々しく笑った
彼は少しだけ冷静さを取り戻した



ドスまりさは大きく息を吸い込む
『バハァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』
何度目かのドススパークを撃つ
しかし照射時間は先ほどよりずっと短い
『ゆふぅーー・・・・・ゆふぅーー・・・・・・」
撃ち終わった後の息も荒くなっていた
「どすだいじょうぶ・・・・・?」
子供が心配して声をかけてくれた
『ぜ、ぜんぜんだいじょうぶだよ!!』
ドススパークの連発で体力をかなり消耗していた
だが仲間を安心させるために強がった
有刺鉄線もほんの僅かだが、先ほどよりさらに熱で弛んでいた
ひょっとしたらひょっとするかもしれないと希望が見えてきた
周囲からドスまりさを讃える声が次々に上がっていた
『みんな待っててね! まりさがここを出て村に行ったあと、おにいさんをやっつけるからね!』
しかし、そう言った直後ドスまりさの表情が固まった
いつからそこにいたのか、自分を讃える外の仲間たちの背後に青年が立っていた
ゆらりと棒を振り上げる

『や゛へ゛ろ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛オ゛オ゛オ゛オォォォォォォ!!』

再び巣の前の広場で殺戮が起こった
クモの子を散らすように逃げ惑う大中小様々なゆっくりたちの叫び声が広場を埋め尽くす
身を挺して子供だけでも逃がそうとする親。子を置いて我先に逃げ出す親
姉妹を押しのけて逃れようとする子供。妹を守ろうとする姉。泣き出して母の名を叫び続ける子供
それらに平等で容赦なく棒が襲い掛かった
あるものは刺され、あるものは叩き潰され、あるものは踏まれた
巣に閉じ込められた幼いゆっくりにその光景は、賑やかな祭りのようにも見えた

広場にいたゆっくりを粗方殺し終えた青年の肩は激しく上下していた
彼は有刺鉄線の向こうの疲労の色が濃いドスまりさとその仲間を見た
しかしまさかドススパークで有刺鉄線を溶かして切ろうとするとまで青年は想定していなかった
予想していないわけではなかったが、あんなにも連発できるとは思っていなかった
だが有刺鉄線の形が若干変わっていた程度で、まだ十分耐えられる規模だったのを見て焦燥感を振り払う
流石のドススパークも金属を蒸発させることはできなかった

猛獣のような目が青年を見ていた
『ごのお゛にぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!! あ゛ぐまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
青年は口元を吊り上げてドスまりさに近づく
「自分の大切な家族を殺されてどんな気持ちだ?」
「こ゛ろ゛し゛て゛や゛る゛う゛う゛うううう・・・・・・お゛ま゛え゛は゛せ゛っ た゛い゛に゛こ゛ろ゛し゛て゛や゛る゛う゛う゛・・・・」
その返答に青年を歯を剥き出しにした笑みで返す。でもまだ妹の無念を晴らすには程遠い
まだ足りない。この山にはまだ多くのゆっくりたちがひしめきあっている
彼が殺したのはそのほんの一部だった
「もっと大勢殺してやる、楽しみに待ってろ」
それだけ言って青年はまた山へ向かい歩いていった
「ゆがぁぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁぁあぁあああああぁあぁ!!」
死んでいった仲間を思いドスまりさは獣のような咆哮をあげて涙した

青年が去ってしばらくすると、他の仲間と同様食べ物を集めにいっていたれいむとまりさ数匹が茂みから姿を現した
あの殺戮からの数少ない生き残っだった
「どす! わたしたちむらにこのことをつたえてくるよ!」
村にこのことが伝われば青年の暴走は終わらせることができるとドスまりさは確信を持っていた
『お願いするよ!! 村に知せにいってね!!』
「「「ゆううううううううう!」」」
勇み、数匹が村に向かい出発した

広場から村に続く道へ行くために茂みに飛びこもうとした瞬間、茂みの中から棒が飛び出し一匹を貫いた
青年はまだ消えてはいなかった、生き残りがいたのは知っていた。出て行ったふりをして待ち構えていた
青年がこちらを見て笑っていた。笑顔を不気味だとハッキリと感じたのは生まれて初めてだった
希望の灯火が唐突に消えてしまい呆然とするドスまりさを尻目に、青年は村へ向かうゆっくりを皆殺しにした
そして巣の周辺にゆっくりがいないことを確認すると青年は今度こそその場所から立ち去った



復讐する上で一番困るのがドスまりさによる村への被害届けだった
目的を完遂するために宣戦布告から3日は自由に動ける時間が欲しかった
そのために最低でもドスまりさを1日以上はこの場所に封じ込めておきたかった
先ほどのように、ほかのゆっくりが伝令で走るとう可能性もあったが
村まで行く道筋は大体決まっているためそのあたりに罠を仕掛けるか待ち伏せで対処した
仮にたどり着いたしても上手く説明できず結局取り合ってくれないだろうと踏んでいたがそのあたりは博打だった
この復讐に抜けが多いことを彼自身十分自覚していた




罠とゆっくりの巣の入り口を何度も往復していたら時刻はもう昼を回っていた
林道を歩きながら青年は考えていた
主にドススパークについて
これ以上ドスまりさにドススパークを撃たせるわけにはいかなかった
まだしばらくは有刺鉄線はもちそうだがこのままでは今日中に切断されてしまう
いくら疲弊しているとはいえあれが自由になるのは避けたかった
ドススパークを撃たせないようにするにはどうすれば良いか?
青年は必死に考えを巡らせる
一番手っ取り早いのは有刺鉄線を追加することだが、小屋に行く途中で杣師に会ったら面倒だった
次が有刺鉄線の前に生きている仲間をくくりつけておくことだが、今生きているゆっくりは手持ちに無いためすぐに調達できる保証は無い
要はドスまりさが撃てなくなる状況を作れれば良いと思い立った
「油・・・・・・獣脂保管庫・・・」
青年は閃いた
川原に油をまとめて貯蔵する倉庫があるのを知っている。中には獣脂が一番多く保管されいるため皆そこを獣脂保管庫と呼んでいた
あそこには食用に使う油から行灯に使う灯火用の燃料まで幅広く置いてある
巣の入り口に行灯の油をぶちまければ、様々な危険性からドスまりさは撃つこと躊躇うと予想した
どこにいるかわからないゆっくりを捕まえてぶら下げるよりも、そちらの方がはるかに早いと思った

さっそく青年は川原の倉に向かった

川原には思ったより早く到着した
壁に『火気厳禁』と大きく赤い文字でそう書かれていた
蔵の鍵を落ちていた石で壊し中に入る
中には抱えられるほどの大きさの壷が所狭しと並んでおり、種類ごとに区分けされいていた
その中で『菜種油』または『魚油』と書かれた壷を探す
それを見つけて、一つの壷の蓋を開けて中身が入っていることを確認してから持ち上げる
意外と重く。持って行くためには、ここに棒を置いていかなかればならなかった
零さぬよう気をつけながら巣まで慎重に運んだ
戻ったら新しい棒を調達しなかればならないかった

壷を持って巣に近づくと子供のゆっくりが尋ねてきた
「ゆ? おにいさん。それなあに? おかし?」
その子供を無視して巣の中に向かって中身を半分ほどぶちまけた
「ゆべぇぇぇ! なにごれ゛えええええ!? からだがおもいいいいいいいい」
その声に奥で体を休めていたドスまりさや成体のゆっくりが出てくる
『この子になにしたの!?』
近づいてきたドスまりさに残りの半分をかけた
『ゆっ!! なにごれぇ!?』
未知の液体をかけられて困惑するゆっくりたち
「いいこと教えてやる。火達磨になりたくなかったらドススパークは使うな」
鉄を白熱させるほどの熱なら十分この油の発火温度に達する
ドスは必ず殺すが、それは今じゃない
『ゆ゛うううううううう』
青年の言葉を半信半疑で受け取っているが
その戸惑いの表情から、これでドススパークを撃てなくなったと青年は確信した
これで心置きなく巣の前から離れられた



あれから山や森で出会ったゆっくりたちを惨たらしく殺し続けていると、気づけば空が段々と橙色に染まり始めていた
もうすぐ日没だった
宣戦布告をしてから丁度丸一日が経った
巣に戻ると巣の中のゆっくりたちが睨みつけてきたが無視する
青年は岩肌の露出した壁にもたれる
徹夜して山を駆け回り体はもうクタクタだった
殺したゆっくりを食べてお腹も膨れていたのと、ドスまりさを押さえられたことに安堵したことが相まって目蓋が重くなる
ここで仮眠を取らないと体力が続かないと判断した青年はいったん眠ることにした
近くにあった見晴らしの良さそうな木に登り、太い枝に体を預ける
念のため自分がドススパークの射程圏外にいることを確認する
「・・・・・にぃちゃん、絶対にやり遂げるからな・・・・・」
さよならさえ言うことも出来ずに逝ってしまった妹を想う
夢の中で良いからもう一度妹に会いたかった。会ってちゃんと別れの言葉を交わしたかった
自分が涙脆いことを最近になって彼は気づいた
日が沈むのとほぼ同時に彼は眠りについていた




青年が眠りについた時分。ドスまりさの腹心であるゆっくりまりさとゆっくりれいむが巣に戻ってきた
今の状況が明らかに非常事態だと二匹は理解した
「どす! いったいどうしたの!!」
ドスまりさは簡潔に起きた出来事を説明した
「「わかったよ!! いってくるよ!!」
村の人間にこのことを知らせるために二匹は最も罠の多い道に向かい進んでいった

ドスまりさは二匹を見送ったあと自分がここを出る方法を考えていた
油は仲間の何匹かにべったりとかかっている、歩けばナメクジのように油の線が引かれた。飛び跳ねても結果は同じだった
下手にドススパークを撃てば仲間が発火する恐れがあった。油の付着した自分も同様に
仲間を奥まで下げてから撃っても良かったが、油の性質を必要以上に警戒してしまい。それもしなかった
『ゆう~~~~~~~~』
結局ドススパークで消耗した体力を少しでも回復させるために自分も眠りにつくことにした
そうせざるを得なかった




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最終更新:2008年09月14日 20:54
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