永琳×ゆっくり系22 はじめ

ゆっくりれいむは一人ぼっちだった。
こんな生き物か饅頭なのか分からないものを一人と数えると、
人間は不快に思うかもしれないが一匹ぼっちでは語呂が悪い。

だだっ広い部屋の中で一人ぼっちのゆっくりれいむ。

生まれてすぐに一匹だった。
珍しく出産で生まれてきたが、母体を殺され強引に中から取り出したものを部屋の中に放置した。
目覚めて今まで自分以外のものを全く認識した事がない。
まず、最初に襲ってきたのは空腹だった。
餌のとり方なんて知らない。ましてや空腹の痛みすら何か分からない。
「おにゃかがいちゃいよ。ゆっくちなおってね」と慌てふためくだけでその日は過ぎた。
翌日、吐き出してしまった餡子を口を開き自分の中に舌で器用に戻す。
何かを口に入れることができる。ゆっくりれいむはそれを知った。
それからは生えてる草花を適当に食べていった。
時に毒に当たり二日ほど生死の境を彷徨った。普通のゆっくりならばここで鷲などに食べられてしまうが、
ここにはゆっくりれいむ一匹しか居ない。
孤独に苦しんでも、まだ痛みが残り体が動かなくても誰も頼ることはできなかった。

次第に言葉を失わなかったのは。独り言が多いからだろうか、
起きるとすぐに「ゆっくりちていってね!」と一人で挨拶し、
何かを食べる時は「むーちゃ、むーちゃ、ちゃーわせー」と言う。
無駄なギミックだと感じる。ギミックと言っては失礼かしら?
あれらは自分が生きていると思っているのだから

水も循環させている。気温も24度を維持させている。
草木も十二分にある。外敵もいない。死ぬにも死ねない場所となった。
孤独の中で生きながらえさせられる地獄のような牢だ。

かりかりと資料を書く音が部屋に響く。
手元には逐一映像と音が届いているはずだが、
映像に目をやると、何かを一生懸命作っていた。
資料を書く手を止め、ボリュームを上げる。
「うんしょ、うんしょ」
芝生を一箇所だけ重点的に食べ、土をむき出しにさせる。
そこに口に含んだ水をかけているのか。泥なんて作ってどうする気だろう。
新しい遊びでも見つけたのか、この前は風の吹いてくる方向に向かって走る遊びをしていたわね。
風の向きを一定にしてあげたから、もうその遊びはできなくなったけど、
泥をこねて球体を作っていく、おおよそ何をしたいか見当はつく、手元のコンソールで湿度を下げる。
泥団子が二つ「おかーしゃんとおかーしゃん」そう名づけて喜んでいる。
「おかーしゃん、れいみゅがおいしいおはなをとってきたよ、きれいでしょ」
泥団子の前に花を置く、ゆっくりれいむ。壊れたかしら?
「ゆっくちほめちぇね・・・。ちゃみちぃ」
良かった。まだ壊れていない。逃避として話し相手を自作したのかしら、
受け答えがない分、逆に精神的に負荷が掛かりそうだ。私はまた資料の作成に戻る。

しばらくすると「どろだんご、こわれちゃった」という声がした。
湿度を元に戻す。ひびが入って、そこから割れてしまった泥団子の前でゆっくりれいむは泣いている。
それほど地獄の底を舐め回しても生に執着する。人よりも実験動物としては興味深い。
人はダメだ。すぐに諦めてしまう。妖怪は何でも力任せで面白味がない。
それに比べてこれは。蓬莱人からすればゆっくりの一生などまるで瞬きだが、
何度も丹念に記録を取れば、それなりの量にはなる。
月の人間も地上の人間も構造はそう変わらなかった。ここは何か別のものをと思っていたけど、

「ちゃみちくて、ゆっきゅりできない」
ふんふん、寂しいを認識しているという事は自分以外に同じ種族がいることを知っているのね。
全く知識がない状態から生まれてくるのと違って、そういうのが仕込まれているのかしら、
あるいは本能なのか、バカバカしい。餡子に情報が記憶されてるなんて、
でも、最初から人の言葉を発音は曖昧だが、喋ってみせる。人間と比べれば生まれすぐに持っている知識量ではゆっくりの方が上なのか、
そうなると、ゆっくりの赤ん坊も何か実験に使えそうだ。中途半端な量の知識と全くない経験、
失敗と言う未来が大きな口を開けて待ち構えてるようね。


一週間もするとゆっくりれいむの精神は壊れ始めた。
泥団子が壊れると「おかーさんがゆっくりできなくなちゃった!!」と本気で泣き出す。
良い傾向だわ。ここからどうなっていくのか興味が湧く。
自殺かな?自殺をするとするならこの種は一体どんな方法を用いるのかしら、
水飲み場への入水自殺か壁に自分を殴打するか、何か急所があればそこを噛み切っても良い。
それからまた一週間、私は理解した。生への執着はこれほどのものか、
泥団子を作り直してはお飯事をやっている。自殺はしないのかしら、となると終わらせ方も重要になってくるのね。


私は結局、そのゆっくりれいむを観察していた。
泥団子を毎日のように作っているから、泥だらけになって汚いゆっくりれいむを。
最後は呂律が回らなくなって、眠るように動かなくなった。
最期の言葉は「さみしかったけど、ゆっくりできてしあわせー」だった。
毎日毎日、泥団子を忙しなく作っていて・・・。どこがゆっくりしていて、どこが幸せだったのだろう。
私はこの動く饅頭に興味を持った。



「あれ、師匠、それ何の資料ですか?」
「昔の実験の資料よ」
「いつ頃のですか?」
「・・・歳がバレるから秘密」









~あとがき~
ゆっくりが最近ではなく昔から幻想郷にいたと言う設定ですが
八意永琳は17歳でーす

次回は
ついにメジャーデビュー?
八意永琳と八雲紫のゆっくり虐待アイドルグループ「88(はちはち)少女隊」
でお送りする・・・ウサ

by118

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最終更新:2022年01月31日 02:54
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