人気のない山道。
木陰から突然飛び出してきたゆっくりまりさに驚いた旅の男は竦み上がった。
しかし体は反射的に動き、今までにない会心の居合斬りを繰り出していた。
……
「じじい、おどかすんじゃないぜ!
そんななまくらでまりささまがやられるわけがないんだぜ!」
ゆっくりまりさは何事もなかったかのように、口汚く男を罵って去って行った。
「……俺はまだ二十代だ」
それはともかく、もっと大事なことがあるわけで
「饅頭すら斬れぬとは……我、未だ未熟なり!!」
……
気を取り直して山道を抜け、街道に出た旅の男は、
ふと自分の刀が鞘に収まりきっていないことに気付いた。
「このざまでは奥義を極めることなど、いつの話か……」
チン、と刀は鞘に収まった。
……
「ぶべらっ!?」
「「「おがあぢゃんがああああああっっっ!?」」」
「「「わぎりになっぢゃっだあああっっ!?」」」
最終更新:2008年09月20日 01:30