ゆっくりいじめ系927 仄暗い水の底から

☆注意書き
  • 話の都合上、ゆっくりふらんとゆっくりすわこが姉妹になってます。(冒頭で説明がありますが)
  • 虐待? と言うような話になってます。

  • それでも良いぞ! と言う方はどうぞ、お楽しみ下さい。










――水の底にはナニが居るのだろうか?
    それは誰も知らない。くらい、くらい、仄暗い水の底からソレはやってくる――





ぽかぽかと暖かい春先。
そんな穏やかな日の川原でゆっくりふらんとゆっくりすわこ、二匹のゆっくりが仲良く遊んでいた。

捕食種であるふらんと、非捕食種であるすわこが何故仲良く遊ぶのか。
その理由は二匹共に何らかの理由で親を失ったゆっくりで、今にも死にそうな所をとある子育て好きなゆっくりに保護された。
種族や親が違えど育ててくれた親の家族になった二匹は、今は居ない一匹と共に仲良し三姉妹となった。
引き取られた順番から、すわこが長女でふらんが三女である。
保護された時は赤ゆっくりだったが、今では立派な子ゆっくりに成長しており餌集めを口実に川原で遊んでいるのである。
親はと言うと……、先日怪我をしてしまったもう一人の子ゆっくりと共に、巣でゆっくりしている。

「うー! つかまえるぞー!」
「ケロッ! こっちだよ~♪」
二匹は餌を川の側の木の根元に集め終え、追いかけっこをしていた。
すわこは小柄な体を活かしふらんの両手をサッとかわす。かわされたふらんは旋回して掴もうと急降下する。
これが将来の狩りの練習になっているのだが、当人達は遊びだと認識しているので一方的な展開になると勝ってる方が力を抜き、和気藹々とした
光景になっている。
因みに、他のゆっくりはおらず二匹しかいない。ふらんが居るので当然と言えば当然なのだが。

「つっかれった、ケロッ!」
小一時間追いかけっこを続けていたが、すわこが水に飛び込み休憩を申請する。
走り回って火照った体を水で冷やしご機嫌なすわこだが、相方のふらんはまだ遊び足りないのか、
「うー、もどってこーい!」
続きをしようと言うが、すわこは構わず帽子を浮き代わりにして、水の中でゆっくりする。他のゆっくりに比べて熱に弱いすわこは体が熱くなる
とこうやって冷ます。
こうなったすわこは親が言わない限りは水の中から出てこないので、諦めてふらんも川辺で座って休憩する事にした。
「きもちいい?」
「け~ろ~、け~ろ~」
「う~~……」
水に入れば川が溶けてしまうふらんと違い、すわこは水の中でも生活出来る。ふらんはそれが羨ましい。姉と一緒に泳げたらどんなに楽しいだろ
うか。ふらんは姉が水の中でゆっくりするたびそう思う。
お母さんに聞いてみても、すわこと同じ様に水に入れなくてもふらんには空が飛べる。それはすわこや私には出来ない事なのだから、と。
そう言われて確かに納得できるが、子供のふらんが羨ましい気持ちを捨てる事出来なかった。
尤も、もう一人の姉は水にも入れず空も飛べないのだから、贅沢な悩みなのだが。

「うー、そろそろあが――、うっ?!」
そろそろ休憩タイムも終わりだと、遊びを再開しようとふらんが声をかけた時、小石が落ちる様な音と共にすわこが帽子ごと川の中に沈んだ。
ふらんは姉の泳ぎの腕前は良く知っている。だが、急に沈むなど今まで無かった事である。
慌ててすわこの居た辺りを飛び回り、目を凝らして探すが川底は深く見つからない。
流れが緩やかだが、何らかの原因で流されたのかもしれない。
「うぅーー!! おねーちゃん、いまたすけるからね!!」
気合を入れ川下に向かって飛び立とうとするふらんだったが、その勢いが思わぬ場所で止められた。
「ケロッケロッケロッ♪」
「うぁ?」
ふらんの丁度右手側。つまりふらんが休んでいた場所の反対側の川辺ですわこが笑っていた。
何がどうなってるのか一瞬分らなかったが、ゆっくりの中でも頭が良い方なふらんは段々分ってきた。
要するに姉に一杯食わされたのだと。
「し、し、し――」
「し?」
「しんぱいしたんだぞー! このばかーー!!」
「ゲロッ!」
すわこに一直線に飛びつき、抱きとめて頭をポカポカ叩く。
勿論手加減はするが、痛くなるように叩いている。叩きながらもふらんは泣き出し、すわこも痛さと申し訳なさで謝りながら泣き出してしまった。
暫くふらんのポカポカが続いたが、疲れてしまったのかふらんがすわこを抱いたまま寝てしまった。
抱かれたままのすわこも逃げ出したりせず、抱かれたままゴメンと謝り目を閉じた。


数時間後、二匹が目を覚ますと辺りが薄暗く日が暮れかかっていた。
「ゆっくりかえるケロッ!」
「うん!」
寝て起きたらすっきり元気一杯になった二匹は、集めておいた餌の元に向かう。
ふらんは水面を飛んで、すわこは水面を泳いで。
大好きなお母さんと姉妹の待つ巣へ帰る。そして今日の事を報告しよう。
そんな幸せな思いを抱く二匹だったが、その思いは無情にも砕かれてしまう。

先に川を渡ったふらんが振り返ると、すわこはまだ中ほどを泳いでいた。
すわこが渡り終える前に餌を持てるだけ持っておこうと、餌を置いた木の方へ歩こうとした時、大きな水音がふらんの耳に飛び込む。
慌てて振り返ると、さっきまで泳いでいたすわこが居なくなっている。さっき怒ったばかりなのにまた潜って此方に近づこうとしてるのかと、ふ
らんは内心ちょっとだけ怒りながら餌の元に向かい持てるだけかき集める。
残りはすわこが持つ分なので、自分は此処で座って待っていれば良い。そうやって待つが、一向にすわこが上がってこない。
流石に日が完全に沈んでしまっても顔を見せないすわこに、悪ふざけではない何かを感じたふらんは餌を放り出し水面に飛ぶ。

「う~、う~! どこ~?」
昼間と違い今は夜。本来夜行性のふらんにとっては、今の方が昼間より良く見える。
今度こそ流されたのかもしれない。川下は人里に向かって伸びているので、人間に捕まってしまうと食べられてしまう。
母親から教えられた人間は、強く、恐く、ゆっくりを食べてしまう怖い存在だった。
急いで川下に飛ぼうとしたふらんだが、水面の色が一点だけ違っている事に気付いた。
丁度ふらんの真下。すわこの居た辺りだが、そこだけ周りと違って色が濃い。
「う~……? あぁっ、おねえちゃん?!」
何事かと水面ギリギリまで顔を近づけて注視したふらんだったが、それが丸っこい形に見えて姉の帽子だと思い、掴み上げて向こう岸まで運んで
やろうと両手を広げて水面で待機する。
すわこの帽子は最初こそふらんの肩幅より少し小さい位だったが、急速に水面に近づき今やふらんよりも大きくなっていた。だが、ふらんは運び
易いように餌のある場所を向こうと、体勢を変えていて気付かない。
後は掴むだけになったふらんが視線を水面に落とした時、もはやソレはすわこの帽子程度の大きさでは無くなっていた。
「うぅっ?!」
ふらんは自身の二倍もの大きさのソレを見て、本能的に危険を感じ急浮上して逃げようとした。
だが、逃げようとしたふらんを追いかけるようにソレも速度を上げ、水面に飛び出すと同時にふらんの足を掴み声を出す暇も与えず水中に引きず
り込む。
ふらんは足を掴まれた時に抵抗しようと試みたが、一瞬で水中に落とされ大量の水を飲んで意識を失ってしまう。

そのままふらんを掴んだソレは、ふらんを連れて水底に沈んでいった。




何時間気絶していたのだろうか、顔に当たる水滴で目を覚ましたふらんは辺りを見渡して驚愕する。
そこは、何処もかしこも湿った岩肌の、真っ暗な洞窟だった。
「う? う~~?」
寝起きのふらんは此処が何処で、何故自分が此処に居るのか分からない。
自分の家で無いことは確かだ。こんなゴツゴツした岩肌ではなく柔らかい地面だし、何よりも優しい母と姉達が居ない。
「そうだ! すわこおねーちゃん!!」
一気に記憶が蘇ってきた。姉と一緒に餌を集め、姉と一緒に遊び、そして帰る途中で何かに水の中に……。
「どこー! いっしょにはやくかえろーよー!!」
あれが自分を引きずり込んだなら、突然沈んだ姉の原因に違いない。そして此処に連れてきてるはず!
光の無い暗黒世界だったが、夜行性のふらんには昼間よりもはっきり見える。
姉のすわこを探すため、辺りを見回したふらんはその便利な目で見慣れた帽子を見つける。
「そこに居たんだね、おねーちゃん!」
ふらんからさほど離れていない場所に背中を見せて動かないすわこにきづいたふらんは、駆け足で近づきいつもの様に帽子を持ち上げて此方を向
かせる。
だが、そこに居たのは――、

「うわあああああああああぁっ!!」
――眼から下を失った、姉の姿だった。

絶叫を上げ、帽子を掴んだ状態から動けないふらん。
何故姉がこんな事になってるのか、何故自分達はこんな所にいるのか、何故なぜナゼ――?
混乱しながらも声を止められない。だが、ふらんに迫る過酷な状況はゆっくりさせてはくれなかった。
「うわっ、うわぁぁぁぁぁ――うぃ?!」
絶叫をも上回る突然の水音が洞窟内に響き、ふらんは動きを止めた。
否、止めざるを得なかった。
水音のした後方から、水にまみれた何かが這って来る音が聞こえる。
ずーり、ずーり、と。大きいものがゆっくりこちらに近づいてきている。
ふらんは直感的に分かった。音の主が此処の主であると。そして、姉を殺し、自分を此処に連れてきたのだと!
ふらんは相手の姿をはっきり見ていない。水中から襲われ、すぐさま意識を失ったからだ。
だが、今は相手も水中から出ている。洞窟内も広く充分飛ぶスペースが有る。自分は捕食種の最高峰に位置するゆっくりふらんなのだ。自分の力
を最大限に使って姉の仇を取ってやる!
動かない姉のすわこを抱きしめ、相変わらずゆっくりと自身に近づく仇にふらんは振り向いた。
「ゆっくり……、し――?!」


仇を見たふらんは動かない。
いや、動けない。
聞こえる音から自分よりも大きいとは思っていた。だが、自分の力なら倒せると目論んでいた。
しかし、眼前に聳えるのは自身の四倍にもなる巨体。以前母に見せてもらったドスまりさと同じくらいかもしれない。
圧倒されてしまったふらんは、仇を前にして呆然とそんな事を思っていた。

ふらんを見た仇は動かない。
それは何故か? 生きた獲物の反応を楽しむ為だ。
獲物は五体満足だから、精一杯あがいてくれるだろう。そして恐怖してくれるだろう。
ふらんの仇は獲物が恐怖した時に旨みが増すのを知っていた。
だから、こうして生きたまま巣穴に餌を連れてくる事をよくした。
そして、いつもの様にふらんの仇は大きな口を開けて獲物に声をかけた。



「がっばっば、がっばっばぁ、に゙~ど~り゙ぃ~♪」



自身の二倍もの大きな口を見て、ふらんはそれまで抱いていた怒りが霧散し恐怖に囚われた。
濁った大きな眼、ヌメヌメした体、横から伸びる大きな手、そして大きな口。
「うっ……、うぁ……」
ふらんは眼を逸らす事が出来ずに、ソレを見ていた。膝は震え、姉のすわこを掴む手に必要以上に力が入る。
ソレは動きを見せない獲物をじっと注視していた。だが動かない獲物に飽きたのか、一飲みにする為に一歩前進した。
「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」
そのおかげで硬直の解けたふらんは、ソレに背を見せ洞窟内を足を使って逃げる。
飛ぶのを忘れさせ、走って逃げるふらんをニンマリ笑い、ソレはゆっくりと追いかける。

ソレは川底にとり。ゆっくりにとりの面影があるがそれとは別の、オゾマシイ化け物だった。

「うああああっ、おかーさん! おねーちゃん!! だずげで――ぶぇっ!」
無我夢中で走って逃げるが、普段空を飛び走りなれてないふらんがでこぼこした洞窟内で転ばずに居られるはずも無く、すわこを抱いたまま盛大
に転んでしまう。
「ぐぅぅ、いだいぃ~」
転んだ拍子にすわこを潰してしまうが、それに気を取られる暇を追跡者は与えてはくれなかった。
「がっばっば、がっばっばぁ、に゙~ど~り゙ぃ~♪」
「ひぅ?!」
慌てて後ろを振り返るが、姿は見えず声だけだ。どうやら大分距離を取ったらしいが、安心できないと痛みを堪えてまた走り出す。

「がっばっば、がっばっばぁ――」
「うるざいっ! ごっちぐるなぁ!!」
「――に゙~ど~り゙ぃ~♪」
どれだけ走っても声の大きさが変わらない。逃げても逃げても距離を離せない気がして、ふらんの精神はどんどん追い詰められていた。
見えない出口を求めてふらんは走るが、いくつかの曲がり角を曲がった時、無情にも行き止まりにぶち当たる。
壁を背に振り返るが、川底にとりの姿はまだ見えない。
「うぅ~、いやだよぉ~。こわいよぉ~、おねえちゃ~ん……、おかぁさぁん……」
走って、転んで、更に力一杯握り締めて潰れてしまった、姉を抱きしめうずくまる。
「がっばっば、がっばっばぁ、に゙~ど~り゙ぃ~♪」
尚も声は聞こえ、更に大きくなる。
辺りを見回すと、帽子やリボンの残骸がそこかしこに散らばっている。
此処に連れてこられた皆は、自分と同じく此処まで逃げて食べられたんだと知る。
自分も食べられてしまうんだろうなと思うと、泣きたいやら悔しいやら色々な感情がごちゃ混ぜになって訳が分からなくなる。
「がっばっば、がっばっばぁ――」
もうそこまで来ているような大声になって来た。ふらんは思う。お母さん、もう一人のお姉ちゃん、帰れなくてごめんね。ゆっくりし――、
「あっ!」
そこで背中の羽が壁に当たる感触に気付いた。
そうだ、自分は飛べたのだ。なら飛ぶ事でアイツの隙を着いて擦り抜け逃げれると!
ふらんは小さな胸に希望の光が沸いてくる気がした。再び、家族に会えると。
だが――、
「――に゙~ど~り゙ぃ~♪」
顔を上げたふらんの眼前に、川底にとりが大きな口を開け、
「うっ、うわぁぁぁぁぁ――」
体ごと覆いかぶさり、その悲鳴ごと全てを飲み込んだ。






――水の底には今も居るのだろうか?
    知っている者は腹の中。くらい、くらい、仄暗い水の底に、ソレはいる――


―終―




如何でしたでしょうか?
ちょっとした補足を下に。

  • 冒頭の保護者って? それ必要あんの? 
これは空を飛ぶゆっくりと、水に強いゆっくりが必要だったので、今書いてる途中のゆっくりをこっちに先に使ってしまいました。

  • 川底にとりってなんぞ?
ゆっくりにとりの突然変異で、何故川底にとりになったのかは一切不明です。
川底に巣をつくり、水中や水面に漂う獲物を引きずり込んで食べます。
主に、魚やゆっくりすわこ、渡河中のゆっくりまりさ。
容姿はUP報告した後、AAをスレに貼りますね。(TXTだとAAは潰れてしまうので)


以上です。読んで頂き、有難う御座いました。


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最終更新:2008年09月28日 15:03
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