うんうん注意。
俺設定注意。
「うんうんをしないゆっくりがいるって知ってるか?」
友人と二人で飲んでいるとこんなことを言い出した。
「いるわけないだろ。俺がトイレのしつけにどれだけ苦労したと思ってんだ」
俺は一匹の子まりさを飼っている。
ペットショップから赤ゆっくりの状態で購入し、育てているのだ。
最初はおうち宣言はするし、しーしー、うんうんは垂れ流すし、それはもう大変なものだった。
が、根気よく教育したおかげで今では自慢の飼いゆっくりとなっている。
俺が苦労したように、他の飼い主やブリーダーもうんうんの躾には苦労させられている。
うんうん自体はただの餡子なので、犬猫のそれよりかは臭いもないしマシなのだが、
それでも汚れることに変わりはないし、ベタつく上に蟻まで集る。
かといってうんうんをしないようにあにゃるを塞げばたちまち病気にかかってしまうので厄介なのだ。
なので『うんうんをしないゆっくり』が存在するという話には耳を疑った。
「それがいるんだよ。俺もこの間手に入れてな、いろいろ調べてみたんだ。
もう一か月にもなるがその間一切うんうんはしてないし、健康にも異常はない。
そのうえそいつはうんうんという概念自体知らないみたいなんだ」
「そいつは見てみたいもんだな」
それを聞くと待ってましたとばかりに友人は目を光らせた。
「そりゃあちょうどいい。実はあいつが他のゆっくりがうんうんするところを見たらどんな反応するか気になっててな。
明日お前の家に連れていくよ」
そう約束を交わし、俺たちは帰途についた。
「ただいまー」
「ゆ!おかえりなさい、おにーさん!」
ぽよんぽよんと跳ねながら子まりさが出迎えてくれた。
「おう、いい子にしてたか?」
「うん、まりさとってもいいこにしてたよ!」
「そうかそうか、ほい、お土産」
「ゆ!ありがとうおにーさん!」
いい子にしていたご褒美にカステラを頭に載せてやる。
すると、目を輝かせながらそのまま居間へと跳ねていった。その後を追いながら明日のことを話した。
「明日、俺の友達がお前の仲間をつれてきてくれるんだそうだ。
仲良くしろよ?」
「ゆ~ゆっくりりかいしたよ♪
あしたはそのことゆっくりするよ♪」
まりさも乗り気のようだ。その日はカステラを食べさせた後、早めに寝かせた。
翌日、友人がゆっくり用のケージを抱えてやってきた。
「こいつだよ」
ケージを覗き込むとそこにはゆっくりれいむがいた。
サイズは成体の少し手前といったところだろうか。心なしかきれいな目をしている。
「こんにちは!ゆっくりしていってね、おにーさん!」
「ああ、こんにちは。
ふむ……一見したところ普通のれいむと変わりないように見えるな」
「ぱっと見はな。だがこいつにはあにゃるがないんだ」
ほらよ、とれいむを抱えて見せてくれた。見事につるつるだ。
「おー、本当だ。
そういやしーしーはどうなんだ?それ用の穴もないみたいだが」
ゆっくりは余分な水分をしーしーとして排出する。
饅頭でできているゆっくりにとって水分過多は命に関わるのだ。
「こいつは目から水分を出すんだよ。普通のと比べて目が潤んでるだろ?
もっと水分を出すときには涙を流すんだ」
なるほど、だから目がきれいに見えたんだな。
「あと繁殖方法だがこいつらは身をすり合わせてすっきりする。
つまりこいつらは植物性妊娠だけしかしないんだ」
「なるほど。ま、上がってくれ。うちのまりさもお待ちかねだ」
れいむは友人に下ろしてもらうと「ゆっくりおじゃまするね!」と言ってゆっくりと俺の後をついてきた。
「ほぉ、礼儀正しいもんだな」
「当たり前だ。躾のできてないゆっくりを人の家に上げるやつがあるか。
それに排泄の手間がない分躾も楽だしな」
「そりゃ便利だな」
飼いゆっくりにするにはちょうどいいのかもな。もちろん、それでも他の躾が大変だということに変わりはないが。
「いらっしゃいれいむ!ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりさせてもらうね、まりさ!」
駆け寄ってほほをすり合わせるれいむとまりさ。挨拶のようなものだ。
どうやら初対面の印象は良好らしい。
「まりさ、あっちの部屋で遊んであげなさい」
「ゆ!わかったよ!れいむ、ゆっくりついてきてね!」
「ゆゆ!ゆっくりついていくよ!」
そう言ってまりさはれいむを連れて隣の部屋へ行った。
そこはゆっくり専用の部屋となっていて遊具やトイレ、寝床などが置いてある部屋だ。
今いる部屋とは襖続きになっているため様子もよく見れる。
遊んでいるゆっくりたちを眺めながら俺達はせんべいをかじっていた。
「うんうんまでしばらく待たなきゃなぁ」
「ああ、それならそんなに待つことはないと思うぞ。
まりさは朝からまだ一度もトイレ行ってないからな」
「お、そりゃ助かる」
言うやいなや、ブランコで遊んでいたまりさに変化が表れた。
「ゆ、ちょっとおはなさんをつんでくるね!」
「ゆゆ?おはなさんをつんでくるの?」
小走りでトイレに向かうまりさの後を疑問符を浮かべたれいむが追いかける。
「お前どういう表現覚えさせてんだよ。
うちのれいむ絶対勘違いしてるぞ」
「やっぱり普通に言うようにしておけばよかったか……」
だが今回は好都合だ。なんせ目的はれいむがまりさの排泄を目撃することだからな。
ゆっくり用のトイレと言っても四角のトレイに新聞紙を敷いただけのものだ。ばっちり見ることができるだろう。
「ゆっくりうんうんするよ!」
そう言って力むまりさ。新聞紙の上に餡子の塊が落とされていく。
「すっき「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!!!!」……りー?」
すっきりした恍惚の表情を浮かべるまりさとは対照的にれいむが悲鳴を上げた。
それを聞いたまりさはきょとんとしている。
「おい、どうしたんだあれ」
「俺が知るか。様子を見ていよう」
「ばりざぁ!しんじゃだめえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!!」
「ゆゆ!?どうしたのれいむ!?くるしいよ!?」
あれよと言う間にまりさは壁に押さえつけられていた。
「こんなところにあながあいてるなんてしらなかったよ!
いますぐなおしてあげるからね!」
そう言ってれいむはさっきまりさが出したうんうんを口に含み、あにゃるへと吹き込んだ。
「なにしてるの!れいむきたないよ!ゆっくりやめてね!やめ、ひぎぃっっ!!!!!??」
「ゆゆ!ぜんぜんはいらないよ!ゆっくりおくちをあけてね!」
「や゛め゛で!うんうんきたないよ!や゛め゛、むぐ!おげぇえ゛え゛え゛え゛え゛!!!!!」
「はいちゃだめだよ!がまんしてのみこんでね!」
「んぐぐぐぐ……!!!」
まりさは口ごと壁に押さえつけられて身動きできなくされてしまった。サイズが違うため逃れようにも逃れられない。
飲み込むまで解放してはもらえないだろう。二匹とも体中うんうん塗れになってしまっており、ひどい状態だ。
「えっと……どういうこと?」
「……あー、多分うんうんを体から漏れ出した餡子だと思ってるんだろうな……。
なんというか、その……すまん」
つまりれいむにとってはあれは治療行為のつもりらしい。
確かに餡子の流出はゆっくりにとって命に関わるものだ。うんうんも傍から見ればただの古い餡子だからな。
うんうんを知らないれいむがそう思っても無理はないのかもしれない。
一方、たまったものではないのはまりさだ。ゆっくりはうんうんやしーしーの臭いを非常に嫌う。
人間にとっての糞便と同じようなものだ。それを口の中に入れられてしまったのだから一溜まりもない。
だがれいむに執拗な圧迫にとうとう飲み込んでしまった。
「ゆ~これでひとあんしんだよ、よかったねまりさ!」
「ゆ……ゆ……」
まりさは俯きになって震えていた。とりあえず生きてはいるようだ。
「とりあえず命に別状はないみたいだから余り気にするな。
俺だって予想外だったし、れいむも悪気はなかったんだしな。ただ今日のところは、な?」
「そうだな……そっとしておいてやらないとな」
そうして友人とれいむは帰っていった。
俺としてはしーしーの場合も気になってはいたんだが、さすがにあの惨状を見せられてはもうそんな気分にはなれない。
とりあえずまりさの様子をみてみることにする。
「おーい、まりさー?ぶじかー?」
「おにーさん……ばりざ……よごされちゃったよ……」
俯きになって表情は読み取れないがまりは泣いていた。
そういえばこいつふぁーすとちゅっちゅまだだったよな。ということはあれが……うわぁ。
「まりさ、お前がどう変わってもおまえは俺のまりさだよ」
「お゛、お゛に゛い゛ざんんんんんんんん!!!」
飛びつかれたおかげで服が涙と鼻水と餡子でぐしゃぐしゃになってしまった。
でも今日は許そう。今日はゆっくり風呂に入れてやって、腹いっぱいケーキを食わしてやろう。
そう俺は思った。
その後しばらくしてうんうんをしないゆっくりはペット市場に出回ることになった。
トイレが必要ないこのゆっくりは爆発的に売れた。
これにより既存のゆっくりは全て排除されるかと思われたがそうはならなかった。
手間暇がかかるゆっくりほど愛着を感じる人間と一部のマニア、そして虐待のバリエーションをうんうんに求めた虐待お兄さんが存在したからだ。
ペットになった以上捨てられるゆっくりもいる。野生にもうんうんをしないゆっくりは放たれた。
こうして世間にはうんうんをするゆっくり(以下、既種とする)としないゆっくり(以下、新種とする)の二種が蔓延し、その軋轢が問題となった。
既種にとって新種はうんうんを食わせようとしてくる変態種に過ぎなかったからだ。
野生では既種による新種いじめが蔓延るようになったという。
最終更新:2008年11月09日 14:55