ゆっくりいじめ小ネタ247 秋と冬の境界

「ゆっゆっゆ~」
秋も終りに近づく頃、森の中を一匹のゆっくりれいむが飛び跳ねていた。
「ゆ~かきさんがあったよ!!ゆっくりできるね!!」
ここは妖怪の山の麓。人間は近寄らないし、餌も多くゆっくりにとっては理想的な環境であった。
「これでみんなでゆっくりできるね!!」
このれいむはこの秋に子供を産んだばかり、相手のれいむは枯れてしまったので一匹で子供を育てている。
どうやら餌を集め終わったらしいれいむは一目散に可愛い子供の待っている巣へ飛び跳ねていった。
「ゆっくりただいま!!」
「「ゆっくりしていってね!!」」
「おかあさんもえさをあつめおわったよ!これでみんなであしたからゆっくりできるよ!!」
「「「ゆっくりしようね!!」」」
あたりの家族は既に餌を集め終り巣を閉じてしまっている。いつもなられいむも既に巣を封鎖しているが今回は一匹で冬ごもり用の餌を集めなくてはいけなかったためぎりぎりまでかかってしまったようだ。
子供達もいつもなら近くの家族の子供と遊んでいるのだが、既に冬ごもりを始めている巣しかないので退屈を持て余していた。
「じゃあきょうはもうとじまりをしてゆうはんにしようね!!」
「ゆっくりおてつだいするよ!!」
「じゃおちびちゃんたちはこのかれはですきまをうめてね!!」
「わかったよ!!」
家族総出での戸じまり。人間から見たらお粗末なものだが野生動物にしては中々の扉ができたようだ。
「じゃあゆうはんにしようね!!かきさんがとれたからきょうはこれにしようね!!」
「「「ゆっくりいただきます!!」」」
家族そろっての和やかな食事、ここにいる全員が明日から毎日この生活が続くと思っていた。もう二度とこんなひとときは訪れないというのに。

その日の夜の博麗神社。
「さてとそろそろ寝ようかしら」とは巫女の博麗 霊夢。
この神社ではよく宴会が開かれているが今日は宴会もなくどこか寂しい印象を受ける。
「れ~い~む~♪」とそこに突然謎の声。
「げっ…なんであんたが来るのよ」
謎の声の正体は八雲 紫 境界の妖怪であり、幻想郷に深く関わる妖怪の一人である。
「そんな言い方は無いじゃない。折角人が挨拶に来たのに」
「ああ、もうそんな季節ね。全くそのまま永眠してくれれば厄介事が一つ減るのに」
「そんなこと言うなんて悲しいわ~。」
よよよ…と泣きまねをする紫。
「はいはいごめんなさいね。で、どうするの?つまみになるようなものは無いわよ?」
「今用意するから大丈夫よ。桶に水を張ったのと、お猪口だけ持ってきて頂戴」
「桶?まあいいけど…。変なもの食べさせないでよ?」
「大丈夫よ。味は保証するわ。」
「はいはい期待せずに待っておくわ。じゃ持ってくるわね」
と、台所へ向かう霊夢。
「頼んだわよ~。と、じゃこっちも準備しますか」
目の前にスキマを広げ何かを探し始める。
「ひー、ふー、みーと四匹ね。そんなに飲むつもりもないしこんなところでいいかしらね」
お目当ての物を見つけたらしく、さっそくスキマから取り出すと近くに作った結界の中に放り込む。
「持ってきたわよ…って何それ?ゆっくり?」
「ええ、この秋生まれたばっかりの仔ゆっくりよ。甘いもので酒というのも中々いいものよ?」
「まあいいけど。はい、お猪口と桶」
「はいはいっと」
スキマから瓶を取り出すと、そのまま二つのお猪口に注ぐ。
「じゃ早速一匹頂きますかね」
「あ。飾りは取った方がいいわよ?」
ゆっくりのリボンを取り外しその場におき、水で軽くゆすぐ。
「ゆ…ゆっくりしていってね!」
どうやら、水の冷たさで目が覚めたようだ。
「あら、目が覚めちゃった」
「別に大丈夫よ。気になるなら口のところから食べれば?」
「ゆぅ~?おねえしゃんゆっくりしていってね?」
「それもそうね。じゃいただきます」
状況を飲み込めていないゆっくりを置いておいて話を進める紫と霊夢。
「ぱくっ。」
「ゆ゛っ゛!?」
断末魔は一瞬であった。口から食べられた赤ちゃんゆっくりは哀れにも声すら上げられずに死んでしまった。もっともそれを哀れむような人はこの場にはいないが。
「もぐもぐ…。意外とおいしいわね」
「だから言ったでしょう?仔ゆっくりはそんなに甘ったるくないから酒にも合うのよ」
「こんなにおいしいならもうちょっと持ってきてよ」
「あんまり食べ過ぎると太るわよ?」
和やかな会話。ここではゆっくり達はただな食材であり誰も気にする者はいない。
四匹の子ゆっくりは冬ごもりも、春の暖かさも、夏の暑さも経験することなくこの世から去って行った。
子ゆっくり達がこの世にいた痕跡はその場に残された四本のリボンだけだった。

「ゆ…ゆっくりしていってね!!」
昨日の家族の親が目覚めたようだ。そして、巣の中の異変に気付く。
「ゆゆゆ!?あかちゃんたちは!?」
すぐさま巣の中を探し始めるが狭い巣の中。そう間をおかずに子供たちが巣の中にいないことがわかる。
「ゆゆゆ…おそとにいったとはおもえないけど…さがしにいくよ!!」
このれいむは母性愛が強かった。今は無い伴侶の忘れ形見ということも大きいのだろう。それは人間であったら褒められることであったが、野生動物としては致命的であった。
「ゆっゆっゆっゆ!!あかちゃーん!!どこなのぉぉぉぉ!!」
冬の森を駆け回るれいむ。子供を求め駆け回るが、その子供達は既に食べられてしまっている。
そんなことは知らないれいむは、ただ必死に駆け回るがそのうち疲れてきた。
「ゆぅ…ゆぅ…つかれたよ…おうちにかえってまたあしたさがすよ…」
どうやら諦め、一度巣に戻るようだ。だが、その決断は遅すぎた。
「ゆっ!?ごごばどごな゛のぉぉぉぉぉ!?」
必死に子供のことだけを探していたれいむは道筋も覚えず、普段来たこと無いところまで来てしまっていた。
「ゆぅぅぅぅぅ!!ざむいよぉぉぉぉ!!」
もう、初雪も舞おうかという季節、山の麓とはいえ高度は平地よりは高い。
何の力ももたないたった一匹のゆっくりがどうなるかは火を見るより明らかであった。
春になり、近くのゆっくり達がれいむ一家を探したとき。見つかったのは全てに絶望した恐ろしい顔のれいむだけであった。

作者あてシリーズ


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最終更新:2008年12月14日 23:32
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