ゆっくりいじめ系2159 ゆっくりの逃避行 丁

ゆっくりの逃避行 丁
      • といいつつ途中から人間視点も入るよ!


  • 比較的ゲスなゆっくり
  • 比較的善良なゆっくり
  • 賢いゆっくりは漢字を使います
  • 俺設定あり






逃亡開始四日目
ぱちゅりー達が目覚めた時、まだ日は昇っていなかった。
東の空を見てもまだ日は昇ってくる気配はない。朝までもう一眠りしようと思ったとき、件のちぇんが
「いやなよかんがするよー!よくわからないけどはやくにげたほうがよさそうだよー!!」
ちぇんは大きな“耳”があるためか、かすかな音などから危険を察知する能力を持つことがあると言われている。
「むきゅ、またなの!?で、でもまだ真っ暗よ!?」
ぱちゅりーはあたりを見回したが、何も分からない。
「と、とにかくはやくにげるべきだよー!」
ちぇんは再度急かす。
仕方なくぱちゅりーはまだ眠っている40匹ほどのゆっくりを全て起こさせて出発することを告げた。
「まだねむいよ!ぜんぜんゆっくりできてないよ!!」
「おちびちゃんがいるんだよ!?ゆっくりやすまないとしんじゃうよ!!」
「わたしたちはきのうあれだけはしってつかれてるのよ!?」
当然の如くゆっくり達は猛反発する、数匹はそのまま二度寝してしまった。
ぱちゅりー自身もちぇんの言うことに半信半疑ではあった。だが昨日のような事態は未然に防がなくてはならない。
「とにかく出発するわ!寝てたらどうなるかわからないわよ!!」
寝ているゆっくり達は放っておいて出発してしまった。
しばらく歩いたとき、遥か後方から何か聞こえてきた。
遠すぎて何かはよく分からないが、ただ事ではなさそうだった。


森の入り口
その時森の入り口では大勢の男たちが集まっていた。
「私が今回のゆっくり駆除の責任者を任された鬼意だ。今日集まってくれた諸君らに感謝する。
さて、本日の作戦は昨日説明した通りだが、何か質問のある者は?」
すると一人の若い男が、
「失礼、終了時刻は何時でしたか?昨日聞き逃してしまいまして・・・」
と質問した。
「卯の刻(午前6時頃)から酉の刻(午後6時頃)まで、辺りが暗くなる前に森の入り口まで戻って来ること。他に何かある者は?」
今度は皆黙って鬼意の方を向いている。
「それでは間もなく作戦開始の時刻だ、諸君、今日こそ憎きゆっくりどもとの闘争に終止符を打とうではないか!!」
「「「オオオオーーーーッ!!!!」」」

男達は手斧や鍬、猟銃など様々な武器を携えて森に入って行った。
森に入ると3人ずつほどの班に分かれた、その後は班毎に課せられたノルマの数だけゆっくりを狩りつくす計画だ。
ある班は森の入り口付近で木の洞に棲むゆっくりのつがいを見つけた。
殺し方については特に制約はない。ただ逃がしてはいけない、それだけだった。
だが開始早々ゆっくり達に大声を上げさせて他に気づかれては不味い。
ゆぅゆぅと幸せそうな寝息を立てて寝ているれいむとまりさ。
さてどうやって殺そうかと一人の男が思案していると別の男がさっさと手持ちの鍬で二匹まとめて一刀両断にしてしまった。
「「ゆ゛ぎぇ・・・?」」
「オイ!コイツらは俺が殺そうと思ったのに!!」
遅れた男は悔しそうに殺した男に抗議する。
そしてまた別の場所では土を掘っただけの簡素な巣で眠るちぇんを見つけた。
「ヒャッハー!俺様の獲物だァー!!」
ハイになった男はちぇんを穴から引きずり出す。
「わ・・・わからないよー!!おにいさん、ちぇんをゆっくりいじめないでね!!」
怯えるちぇんの懇願を無視し、男はちぇんの尻尾を掴んで、サンドバックのように殴り始めた。
「ゆ、ゆっぐり・・・やめて・・ね!・・!」
一分ほど殴り続けていたが終いにはちぇんの尻尾が千切れてしまったため、ちぇんはそのまま吹っ飛んでしまった。
「ゆげぇ・・!ちぇ・・ちぇんのしっぽがあああ!!わからないよおお!!!」
男は興ざめだとでも言うような顔でこん棒で地面に叩きつけられたちぇんを叩き潰してしまった。
「ったく・・・モロすぎて全然楽しめねぇっての!次はもっと歯応えのある獲物を探そうぜ。」
「オウ!」
と男達は話しながら去って行った。

しばらく経つと森のあちらこちらで里の男達による虐殺ともいえるゆっくり狩りが本格化してきた。
逃げまどうゆっくり達を尻目に、娯楽の道具として虐待する者も大勢いた。
「ゆ、ゆっくりにげるよ!」
「やめてね!ゆっくりついてこないでね!!」
「ほれほれ、どーした?このままじゃ追いつかれちまうぞ!?」
「あっちいってね!ついてこないでね!」
「ハイ残念!捕まったキミは罰ゲームを受けないとな!」
男はニヤニヤ笑いながら捕まえたれいむのリボンを奪った。
「ゆ!?やめてね!れいむのゆっくりしたおりぼんさんはやくかえしてね!!」
リボンを放り投げると次は髪を全て毟ってしまった。
「でいぶのきれいなかみがあああああああ!!!」
男は毟り終えるとれいむを放してやり、早速次の獲物を探し始めた。
「よく頑張ったね!れいむはもう群れに戻ってみんなとゆっくりしていっていいよ!」
「ぶざげるなあああああ!!でいぶのがびどげどおでぃぼんざんがえぜえええええ!!!」
男は足に体当たりを繰り返す禿饅頭となったれいむを放っておいてまりさを探し始めた。
「さーてまりさはどこかなー?おやおやーァ?あそこの木の洞に何かいるなぁ?」
その後まりさがれいむと同じ運命を辿るのに長くはかからなかった。
「「でいぶ(ばりざ)のおでぃぼん(おぼうじ)がえぜえええええええ!!!」

ある場所では辺り一面に様々なゆっくり達のデスマスクが散らばっている。
かつてゆっくりの大規模な群れの中心的役割を果たしていたここでも惨劇(?)は繰り広げられていた。
「やべでええええええ!!もうずっぎりじだぐないいいいいいいいいいいい!!!」
「んっほおおおおおおお!!すっきりぃぃいいいいいいいいいいいぃ!!!」
別の場所ではレイパーありすと思しきありすをつかってゆっくりを強制妊娠させて遊ぶ男達がいた。
この男達は武器を持たずに2l入りのオレンジジュースを何本も抱えて森に入った。
「はいはい、すっきりー!っと・・・」
一人の男は手際よくタチのありすを小刻みに震えさせ、もう一人の男が絶えずオレンジジュースをネコのれいむに補給させ続ける。
そしてもう一人の男が成長の早い赤ゆっくりと茎をまとめて麻袋に放りこんでいく。
増やした赤ゆっくりを加工所に売ろうという魂胆だ。
勿論、麻袋に鮨詰めにされる赤ゆっくりの死亡率の高さを考慮して、数で補うため大量に産ませているのだ。
「「すっきりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」」
早くもれいむの頭から茎が伸び始めた。
オレンジジュースを絶えず補給し続けるため赤ゆっくりの成長も通常とは比較にならないほど早い。
「ゆぅ・・・れいむのあかちゃん・・・ゆっくりしていってね・・・」
れいむはもう何回も強制的に産ませられたことも忘れて赤ちゃんを見上げて感慨に浸っている。
「「ゆ・・・ゆっきゅいしちぇい・・・」」
早くも産声を上げ始めた赤ゆっくりを容赦なく麻袋に放り込む。
「・・・!・・・!」
麻袋の中では何やらうめき声が聞こえるが、男達は無慈悲に作業を続ける。
「やべてえええええ!!!あがじゃんをもってがないでえええええええ!!!!」
親れいむが抗議の声を上げるが、再びありすとの交尾を始めさせた。
「これいじょうすっきりしたらしんじゃうよおおおおおお!!ありずもめをざまじでええええええええ!!!」
れいむはありすに呼びかける。元はつがいだったのだろうか。
だがありすの紅潮し切った頬、血走った目を見る限り目を覚ますようには見えない。
日の暮れるまで産ませ続ければ結構な数になるだろう。

既に太陽が南中した頃だろうか。
また別の男達が森のかなり奥の方を進んでいた。
「さて、結構奥まで来たな。」
「他の連中が入らない所まで来たらゆっくりもいると思ったが・・・」
「大外れじゃないか。他の奴らもいないがゆっくりもいねぇ!」
ゆっくりを求めて森の奥まで入ってきたが宛てが外れたようだった。
「それにしても暑いな・・・」
一人の男が呟いた。
「それよりもいい加減腹が減った、ゆっくりをおびき寄せるために握り飯を使ったのが間違いだった・・・」
「全くだ・・・ゆっくりもいないし、昼飯もないとは・・・ん?」
ある一人が大きな木の下で眠りこけていた数匹のゆっくりを見つけた。
「おいおい、なんつータイミングだ・・・!」
男達は忍び足でゆっくりに近づいた。
様子を窺うとどうやられいむが二匹、子れいむが三匹、そしてありす一匹いるようだ。
ゆっくりの構成を見て親子のようには見えないが、空腹の男達にとってそんなことはどうでもよかった。
余談ではあるが、明朝に寝過ごしてぱちゅりー達から見捨てられた例のゆっくり達である。
「丁度いい、一人二匹ずつ食えるぞ。」
「朝から歩き通しだからな・・・助かったぜ。」
そんなやり取りをしている内にゆっくり達が目を覚ましてしまった。
「ゆゆっ!?にんげん!!!???」
「にんげんさんはゆっくりできないよ!!おちびちゃん、はやくおきてね!!」
「に、にんげん!?にんげんはぜんぜんとかいはじゃないわああああ!!!」
気付かれてしまった、しかも相手も人間に対する警戒心は高いようだ。
早朝からあれだけ同族が物言わぬ餡子になったのだから無理もないと男達は思った。
男達は逃げようとしているゆっくり達の先に回り込みあっという間に捕えてしまった。
「やめてね!れいむたちはわるいゆっくりじゃないよ!!」
男達は気にするそぶりも見せずに何やら話し始めた。
「おい、ライター持ってるか?」
「俺は煙草吸わねぇから持ってないな・・・どうしようってんだい?」
持っていないと答えた男は尋ねた。
「いや、折角生捕ったゆっくりどもに逃げられたら堪らんからな。」
「オイ、ライターなら俺が持ってるぞ、ホレ。」
やや年長らしき男がライターを手渡した。
「おお、流石。それじゃ早速・・・」
ライターを受け取った男は早速一匹のれいむを持ち上げ足に当たる部分をライターで炙り始めた。
「やめてね!!あんよがあついよ!!そんなことしたらあるけなくなっちゃうよ!!」
「やめてあげなさいよ!ゆっくりできないわ!!」
そうこうしている内にれいむの足がこんがりきつね色に焼きあがった。
「まだ焼き足らないんじゃないか?消し炭くらいどす黒く焼くものだと聞いたが・・・」
「あついよ・・・れいむの・・・きれいなあんよが・・・・」
男は二匹目を持ち上げてライターで炙りながら答えた。
「虐待目的ならそれでいいが、こいつらを食うんなら炭になるまで焼いたら勿体ないだろ。」
「はなしなさいよ!あついのはとかいはじゃないわ!!・・・・ゆぎゃああああああ・・・!!」
しばらくすると辺りには餡子とクリームが焼けた甘い香りが漂っていた。
足の焼けたゆっくり達は完全に焼かれたわけではなかったので、まだ動くことはできたが、満足に動くことは叶わなかった。
「ゆあああああん!!あんよがいたいよおおおおおおおお!!!」
「いちゃいよおおおお!!みゃみゃあああああ!!!」
「いなかもののくせにありすたちになんてことするのよ!!しんしならせきにんとりなさいよ!!」
ゆっくり達は足をこんがり焼かれた苦痛に喚いているが男達は既に昼食の準備を進めていた。
「ゆっくりも見つかって昼飯も食えて一石二鳥じゃないか、相変わらず便利なナマモノだ。」
ゆっくり達は何やら喚き散らしているが一匹の子れいむが男達が話している隙に逃げだそうとしていた。
「しょろーり、しょろーり・・・」
だが足を焼かれ移動も遅かった上に、悲しいかな、擬音をわざわざ口に出してしまう習性のせいで見つかってしまった。
「おおっと、そうはイカのキ○タマだ。」
「逃げられる前に食べようか、もう腹が減って仕方がねぇな。」
「そうしよう、逃げられたら元も子もない。」
男達はそれぞれゆっくりを手に取って頬張り始めた。
全員腹が減っていたためか、子れいむより大きいゆっくりの方から手を付けた。
「ゆぎぇ・・・・・ゆっくりたべないで・・・・ね・・・!・!」
「・・・・とか・・・は・・・じゃな・・・い・・・・」
ゆっくり達が断末魔を上げながら男達に喰われているのを見て、赤れいむ達は餡子を吐いて気絶してしまったようだ。
それを見た一人が呟く。
「勿体ねぇなァ・・・吐くんじゃねぇよ・・・」
やがて大ゆっくりを平らげた男達は子れいむ達も掴み上げて食べ始めた。
「ゆ・・・ゆっ・・・・」
最早痙攣するだけの子れいむであったが男達には知れたことではなかった。
「いやぁー満腹満腹、中々餡子がいい具合に火が通ってた。」
「腹が減ってたからな、甘い物があって助かったぜ、本当に。」
男達はゆっくりを全て平らげるとそそくさと来た道を帰って行った。
森の奥まで来てしまったので、早く帰らねば日が暮れてしまいかねないからだ。


夕刻・ぱちゅりー一行
ぱちゅりー達は間一髪で難を逃れたが、まだ油断はできなかった。
とにかく少しでも遠く離れる必要がある。
既に日も暮れかかっていた。人間も流石に夜の森で山狩りを続けることはないだろうが、
人間が動けない時間帯はゆっくりにとっても同様に危険である。
日が暮れて辺りが薄暗くなった頃にようやくぱちゅりー達は一息つくことができた。
既に皆満身創痍である、帽子や装飾具は薄汚れ、体中傷だらけになっていた。
他のゆっくりに助けられたぱちゅりーはかろうじて無事だったが、昨日の騒動で傷ついたゆっくり達は数匹脱落していた。
また次の日はもう動けそうもないゆっくり達もいる。
「むきゅ・・・仕方ないわ・・・でも今は動けないゆっくりのペースにあわせる余裕はないわ・・・」
ぱちゅりーがそう言うと傷ついて息絶え絶えのゆっくり達は力を振り絞って抗議する。
「そんだのひどいよお!・・・ぱじゅりいいいい!!」
「おでがいだがらばりさたちをおいてがないでねえええ!!!」
その様子を見てかのちぇんとれいむも不信感を顕わにしている。
「わからないよー・・・みんなぱちゅりーたちを信じてついてきてるんだよー・・・」
「そうだよ、みすてるなんてみんながかわいそうだよ!」
そして二匹はぱちゅりーの非情な決断に抗議する。
他のゆっくり達からも非難轟々・・・ぱちゅりーは説得を試みたが収まりそうもない。
群れの瓦解という危険な事態を避けるために已む無く撤回し、その場は収めた。
少し安心したゆっくり達はようやく休み始めた。
「まずいわ・・・」
ぱちゅりーだけはゆっくり出来る筈もなく頭(?)を抱えるしかなかった。

既にゆっくり達の足並みにはズレが生じ始めていた。
まず第一、ゆっくり達はぱちゅりーだけでなく、つがいであったまりさを慕ってついて来た者も多い。
既にまりさはいない。そのため自分たちがぱちゅりーについていく理由を失った者も少なくはない。
そして第二、先ほどの光景のようなぱちゅりーが普段見せない非情さを垣間見てしまったこと。
このまま群れに留まっていては人間がやってくると言われて群れを離れる決断をした者は当然多い。
しかし、ぱちゅりーについて行ってもこのまま自分が見捨てられるかもしれないと思い始めたのだ。
言いかえれば求心力の低下と言えなくもない。
そして第三、悲しいかな、単純にゆっくり達の士気が下がっていた。
相次ぐ非常事態と、仲間の脱落、蓄積した疲労はゆっくり達の士気と体力を容赦なく下げる。

既に集団の維持は限界に近い。


逃亡開始五日目
早朝から騒々しく、同族の悲鳴が響き続けた昨日が嘘のように穏やかな朝だった。
空は青くどこまでも晴れ渡っている。だが、ゆっくり達の心境は決して明るい物ではなかった。
ゆっくり達は目を覚ますと動ける物が傷つき、動けない物に手を貸し、ゾロゾロと移動を開始した。
昼時に近づく頃には動けないゆっくりはどんどん脱落していった。
それでも歩みを止めるわけにはいかない、人間達が迫っている、早く森を出なければ、その恐怖感だけがゆっくり達の原動力だった。
だが実際の所、人間の山狩りは昨日の内に終了している。だがこのゆっくり達はそんなことを知る由もなかった。
森を進むゆっくり達の足取りは重く、表情も皆険しいままだった。
ゾロゾロと進むボロボロなゆっくりの集団を、森に棲む別のゆっくりが奇異の目で見つめていた。
普段は迫害対象とされるめーりんもただ黙ってニヤニヤと見ているだけである。
まるで「いいザマだ。」とでも言うかのように。
あるいは近くにいたきめぇ丸も、「おお、みじめみじめ・・・」とだけ言って飛び去って行った。
先導するぱちゅりー達もただ黙々と歩みを進めるだけである。
だが後続のゆっくり達は口々にボソボソと何か呟いているようだった。
「・・・ぱちゅりーのせいだ・・・」「・・・どうせにんげんさんなんてこないよ・・・」「・・・まりさがいれば・・・」
不安や不満の捌け口が、集団の指導者に向けられるのは当然の理だ。
ぱちゅりーにも何を言っているのか少しは聞こえてきたが、反論できなかった。

「ああ、自分がもっとちゃんとしていれば・・・」
「ひょっとしたらあの人間の言ったことはハッタリだったのかもしれない・・・」
「まりさがいてくれれば・・・」

自責の念や後悔がぱちゅりーに重くのしかかった。
隣にいた件のちぇんとれいむの二匹はそんなぱちゅりーの様子を見て慰めた。
「ぱちぇのきもちもわかるよー、でもひとりでかかえこむのはよくないよー!」
「そうだよ!ぱちゅりーだけのせきにんなんかじゃないよ!!」
ぱちゅりーは自分を支えてくれる二匹の大きさを改めて感じた。
そうだ、自分にはまだこの二人がいる。少し気持ちを持ち直したぱちゅりーはまた黙々と歩きはじめた。
その日は日が暮れた頃に手頃な洞穴を見つけたので、そこに宿することに決めた。
食糧は既に尽き、完全に自給自足状態だ。だが寝床さえあれば夜は安全に明かすことができる。
ぱちゅりー達はその洞穴を深く観察することもせずに入り眠りに就いた。


逃亡開始六日目
洞穴の中に朝日の光が差し込んで・・・こない。ぱちゅりー達はまだ日の昇る少し前に目覚めた。
「うー!あまあまがいっぱいあるんだどー♪」
予期せぬ闖入者によって。
「「「れみりゃだあああああああああああああ!!!!」」」
ゆっくり達はたちまち大パニックに陥った。
「む゛ぎゅうううう!!れみりゃよ゛おおぉぉぉぉぉぉお!!」
普段は落ち着いているぱちゅりーもその例に漏れない。
この洞穴は実はれみりゃの巣だったのだ。
夜行性の傾向が強いれみりゃが夕方から夜明けにかけて巣を留守にしていた。
その巣を空けている間にぱちゅりー達がそうとは知らずにそこで夜を明かしてしまったのだ。
れみりゃからしてみれば一晩中餌を捜し回って腹ぺこで帰ってきたら家には食料が鎮座していたことになる。
しかし当然ながらゆっくり達からしてみれば堪ったものではない。
ゆっくり達はワラワラと洞穴から抜け出そうとしたが、元々弱っている上に寝起きで動きが鈍かったため、たった一匹のれみりゃに何匹も捕まってしまった。
ある者は逃げ遅れ、ある者はれみりゃに踏みつけられ、またある者は他者に弾き飛ばされ洞穴に取り残された。
捕まってしまったゆっくり達の中にはリーダーのぱちゅりーもいた。
「む゛ぎゅうううう!!誰かだずげでえええええええ!!!」
最早普段の知性や冷静さは完全に生存本能に置き換わっていた。
れみりゃに捕まれたぱちゅりーは洞穴の入口に逃れていた例のちぇんとれいむを視認した。
ぱちゅりーは痛みを堪えながら、必死に二匹に助けを求めた。
「ちぇええええん!でいぶううううう!!お願いだから助けてええええええ!!!」
だが、二匹は逃げ遂せた仲間たちと一緒にぱちゅりー達を見捨てたかのようにその場から離れてしまった。
「むぎゅ、待っで、置いでがないでえええええ!!」
つい先日あれほど自分が信頼していた仲間に裏切られたぱちゅりーはただ絶叫した。
「あまあまのくせにうるさいんだどー!おとなしくたべられるんだどー!」
「やべでぇえええええ!ゆぎぇえええぇぇぇ・・・」
結局れみりゃの束縛を逃れることもできず、一噛みで息絶えてしまった。
「うー・・・ぜんぜんはごたえがないんだどー!」
れみりゃは不満そうに言うと息絶えたぱちゅりーを放り投げ、他のゆっくりを賞味し始めた。
「うーあまあまだどー♪」
「「「ゆぎゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・ぁ!・!」」」

大凡一週間にも及ぶあるぱちゅりーの逃避行もここで終わってしまった。
仲間を助けようという一心で群れから多くのゆっくりを連れ、仲間に助けられてここまでたどり着いた。
そして、その最期も仲間に裏切られるという数奇な運命を辿ることとなったゆっくりは珍しい。
結論から言ってしまえば、かのぱちゅりー達の群れは先の山狩りで壊滅的な打撃を受けた。
つまりぱちゅりーの目測は正しく、少数ながらもゆっくりを救うことができたのだ。
さて、ありすの襲撃、山狩り、相次ぐ落伍、そしてれみりゃの襲撃(?)を生き延びた少数のゆっくり達はどうなったのだろうか。

最後まで残ったゆっくりは大凡10匹かそこらだ。
ちぇんとれいむもいる。この二匹はぱちゅりー達を裏切ったという自覚はなかった。
ただ、ゆっくり個々の生存本能に従っただけに過ぎない。
自らの生命を擲って他者を救うなどという殊勝なゆっくりは本当に稀だ。
ましてや血縁でもなければ、配偶者でもない“赤の他人”を救う義理などどこにもないのだ。
しかし、指導者を失ってしまったというのはゆっくり達にとって深刻な問題だった。
ぱちゅりーとまりさには一匹の子まりさがいたが、いつの間にやら脱落していた。
一匹の死になど構ってられる余裕がなかったことが改めて窺える。
とにかく生き残りをまとめるために、二匹が暫定的なリーダーとなった。
その日は結局野宿となった。


逃亡開始七日目
もう久しく穏やかな日々を過ごした記憶もない。
ゆっくり達は目覚めると、本能に従うままにゾロゾロと移動を始めた。
その日の夕方頃、ついに森を抜けた。
ゆっくり達からは歓喜の声が上がった。
「ゆっくりできる!」「たすかった!」「やっとたどりついた!」
だが、ここで一つの問題に直面した。

「森を抜けたところでどうなるのか?」

普通に考えれば、森から抜ければむしろ人間との遭遇率が飛躍的に上昇し、寧ろ危ないということはゆっくりにでも分かる。
しかし、集団を率いてきたぱちゅりーが森にいれば人間の山狩りに巻き込まれるという強迫観念に囚われて、
そんなごく当たり前のことすら欠如していたのだ。
運の悪いことに、相次ぐアクシデントに遭遇してしまい、それに気づく機会を得られなかった。
ここにきて再びゆっくり達はざわめき始めた。
ちぇんとれいむもどうすればいいのか分からなかった。
だが森に戻るという最も安全でリスクの少ない選択肢は始めからゆっくり達にはなかった。
既に、森は“ゆっくりできない場所”として餡子に刻み込まれてしまったからだ。
途方に暮れた二匹はふと辺りを見回すと、鬱蒼と広がる不気味な竹林が目に入った。
とにかくあそこへ行こうと提案するとゆっくり達は宛てもないため、渋々同意し、竹林に入って行った。


その数週間後
ゆっくり達の不安とは裏腹に、竹林は実にゆっくりできた。
目立った外敵もいなければそれほど奥に入ったわけでもないのに、人間にも全く遭遇しない。
いるとすればたまに見かける兎くらいなものだ。餌となる虫や草には困らない、まさしく理想郷のようだった。
10匹程度まで数を減らしたゆっくり達もその数週間の間に子供を産み、幾らか数が増えていた。

だが、ある日を境にゆっくり達はいつの間にか姿を消していた。
外敵はいない“筈”のこの竹林、生活には満足できていたことは間違いない。

そのゆっくり達がどうなったのか。それを知る者は誰もいない。












Fin
当初は勧善懲悪モノを書こうと思っていたものの、前編であっさり方向転換し、ぱちゅりー諸共全滅させることに。
そのため、結構書き方が一貫してなく、読み難くなって申し訳ありません・・・
作品のコンセプトとしては、人間はあくまでもゆっくりを追い詰める一手段でしかないので、
自然淘汰、あるいは仲間割れ、ゆっくりのエゴを全面に押し出して書いたつもりです。
終わり方に関してはエピローグ的なものなので、どうなったかは読んだ人にお任せします。

次につながる物が何か得られればと思うので、感想・改善点等あれば是非お願いします。


過去作品

男と一家
きめぇ丸の恩返し 丙・丁
ゆっくりハザード 永遠亭の怪
楽園の終焉
感染拡大
内から侵食
ゆっくりの逃避行 丙


by同志ゆっくり小町

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最終更新:2009年02月14日 03:27
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