ゆっくりいじめ系2204 ゆっくりということば

極力全うな虐待SSを目指してみました。
現在書いている『ゆっくり小話』とか
そのほかの自分のSSとは、あんまり関係ないと思います。
なるべくゆっくりを『     』にする方向で書いてみました。



【ゆっくりということば】




「ゆーっくり!ゆーっくりー!」

ゆっくりは、ことにれいむ種はよく歌う。
子守に、喜びに、仲間との触れ合いに。

いま歌っているのは行進曲らしく、軽快な歩(?)に合わせて
高らかに声を上げ歌っている。

「ゆゆ、とってもゆっくりしたれいむだね!!」

「ほんとうね、おうたのじょうずなとかいはなれいむだわ!!」

「「「ゆっくりしていってね!!!」」」

完璧なタイミングでゆっくり元気に挨拶を交わした
初対面のゆっくり同士で、こんなに息の合った挨拶はそうできない、
ありす曰く「うんめい」を感じた三匹はあっという間に意気投合し
仲良く元気に跳ね回って、思い思いにゆっくりしながら
互いの事を語り合った。

「ありすとまりさは、あっちのもりでゆっくりしてるんだぜ!!」

「とってもとかいはなドスのむれなのよ、れいむはどこでゆっくりしてるのかしら?」

ゆっくりプレイスの話は、ゆっくりにとってとてもポピュラーで
尚且つ自身がよりゆっくりするために、いつでも情報収集をかかさない
最重要事項でもある。
仲良くなったゆっくりどうしなら、当たり前にする話だ。

「ゆ…れいむはねなしぐさの、たびゆっくりなんだよ!」

その言葉を聴いて、まりさとありすはとても驚く

「た、たびゆっくり?」

「おうちをさがしてるんじゃなくって?」

ある程度成長したゆっくりは、独り立ちしてじぶんのおうちを作る。
先祖から代々おうちを受け継ぐようなゆっくりもいるが
ゆっくりは姉妹が子沢山なので、お家を受け継ぐ子以外は
大体が自分達でおうちをつくる事になる。

そのとき、生まれた群から離れて
自分だけのゆっくりプレイスを探すゆっくり、というのは珍しくない。

「ちがうよっ!れいむはたくさんのむれやもりをわたって、いろんなゆっくりにあって
いっしょにゆっくりしたり、れいむのしらないおうたやゆっくりできることをみてまわりたくて
ずっとたびをしてきたんだよ!!」

熱っぽく語るれいむの瞳に、まりさとありすは自分たちが見たことの無い
自分達の知らない沢山のゆっくりしているゆっくり達の姿を見たような気がして
うっとりゆっくりしてしまった。

「ゆゅううう!!かっこいいぜ!!」

「きっととかいはなゆっくりがたくさんいたのね!!」

二人の夢見る瞳に見つめられて、照れくさそうにリボンをゆらすれいむ。

「そうだわまりさっ、とってもとかいはなことをかんがえたの!」

「ゆへへ…まりさもきっといっしょのことをかんがえてるよ!」

二人は仲良く、タイミングを合わせて飛び上がりながら
一番高くジャンプした所で、たからかに声を上げた

「「ゆっくりしていってね!!!」」

「ゆゆっ!?」

ゆっくりは【ゆっくりしていってね!!】という言葉に、色々な意味を持たせる。
今まりさとありすがくちにした【ゆっくりしていってね!!】には
【自分達の群れでゆっくりして行って欲しい】と言うニュアンスが含まれていた。

「ゆぅ…」

長いたびをして来たれいむには、その言葉はとても嬉しかった。
旅ゆっくりという特殊なゆっくりを警戒する群は多い。

そうでなくても、出産や冬篭りなど
季節やタイミングに応じて排他的になることが多いゆっくりである。
こうして自分を歓待してくれる二匹を見ると
とてもゆっくり出来る群なのだろう、れいむはゆっくり特有の
【ゆっくりプレイスを求める本能】を刺激され
目の前のまりさとありすの群で、ゆっくりしてみたいと心から思った。

れいむが感動に震えている間に、二人は返事を待っていた。
れいむはそれに気づき、これ以上待たせるのはゆっくり出来ないことだと思った。

「…ゆっくりしていってねっっっ!!!!!」

「ゆゅ!!」

「すごくゆっくりしてるわ!!」

れいむは待たせたお詫びに、自らの最大のゆっくりしていってねを宣言し
まりさとありすの群に招待されることになった。



  *   *   *


そうして三日後

「れいむぅ…どうしてもいってしまうのぜ?」

「ずっといっしょに、ゆっくりしていけばいいじゃない!!」

涙ながらにれいむを引き止めるまりさとありすに
れいむは静かに首(?)を振った。

「ひきとめてくれてうれしいよ、でもれいむはやっぱりたびゆっくり…
おなじあなのなかでは、ながくゆっくりできないよ…ゆっくりりかいしてね!」

「このむらじゃゆっくりできないっていうのぜ?!」

理解できない、と言うようにまりさは声を上げる
そうじゃない、そうじゃないよとれいむは言葉を続ける。

「ドスにもとめられたよ、ずっとゆっくりしていけばいいって…」

「じゃぁどうして!」

それは…、とはじめてであった時の様な
澄み切った瞳で流れていく雲の方角を見つめるれいむ。

「このむれのドスがうまれたむれが、くものながれるほうにあるんだって」

「それと、れいむがでていくことになんのかんけいがあるんだぜ?!」

「ドスのうたっていたうた、とってもゆっくりできたよね?」

「ゆ…そうね、とってもゆっくりできるわ」

「あのうたをつくったれいむが、そのむれにいるんだって」

「「ゆゆ!?」」

驚きながらも、二匹は悟った
れいむはその群に、ゆっくり出来る歌を聞きに行くつもりなのだ。

「で、でもドスがむれをでたのはずっとむかしだって…」

「そうよっ!そのれいむもとっくにえいえんにゆっくりしてるわ!!」

二匹の訴えはもっともだ、でも…

「そのしそんが、のこっているかもしれない」

「そんな…」

「だから、たびをするのかだぜ?」

「うん!」

ありすはまだ引きとめようと、言葉を捜していた。
だけどまりさは、茎から生れ落ちてから
何度も何度も群の森を冒険して回ったまりさには
れいむをとめることが出来ないことが、わかってしまった。

「まりさは、ずっとここでゆっくりするんだぜ!!」

「…うん」

だからついていけないと【ゆっくりする】という言葉に全てをこめる。

「ま、まりさぁ…そんな…とめないど」

「でも」とありすの言葉を遮り、まりさは叫んだ。

「…でもぉ!!もしれいむがもどってきたら、ぎっどまたいっじょにゆっぐじじようね!!!」

「ゆゆ!?」

であったその日に続いて、再びれいむはまりさの言葉に打ち震える。
制止を振り切って旅立とうとする自分に【またゆっくりしよう】と
【ずっとともだちだよ】と言ってくれたのだ!

「ゆ、ゆぅ…」

れいむは、どれほど旅を止めて優しいまりさと
綺麗でとかいはなありすと、このゆっくり出来る群でゆっくりしたいか
それを口にしようとしてそれを押し殺し、たった一言

「…ゆっくぢ、していってねっっっ!!!!!」

「「ゆっぐじじでいっでね!!」」

最後の挨拶を交わし、最高にゆっくり出来る群と
旅立ってから最初の、そしてゆん生最高の友ゆっくりたちに別れを告げて

雲の流れるほうに進んでいった。


「いってしまったわね…」

目元を僅かにふやかせて
寂しそうに呟くありすに、まりさはゆっくりと近づいた。

「ありす…」

「ンッ…!?」

不意打ち気味なふたりの【ふぁーすとちゅっちゅ】
そこには小さな饅頭でしかないゆっくりの身体に
収まりきらないほどの愛情がこめられていた。

「ずっと、いっしょにゆっくりしてほしいんだぜ…」

「あ、ありすも!ずっといっしょに…ゆっくりしたいわ!!」

同じ時期に同じ群に生まれて、始めておうちからでて
ずっといっしょにいた、二匹のゆっくりが結ばれた瞬間だった。


  *   *   *



「ゅぅ…ゅぅ…」

「みゃみゃぁ…」

「ゆっくちー」

慈母の笑みを浮かべて、母となったありすは寝息を立てる赤ゆっくりを
ゆっくり優しく見守っていた。

旅立ってしまったれいむは、群にかけがえの無い知識を伝えてくれた。
蜂の巣の安全なとり方、美味しいごはんの簡単な集め方、素敵なお歌。

群はますます豊かになり、厳しかったすっきりー制限もゆるめられて
自分達も三匹の赤ちゃんを産むことを許された。

今思えば、あの旅れいむは
群と自分達に幸福を運んできてくれたのかもしれない。

きっと旅先にも、沢山の幸せを運んでいくのだろう。

「(くものようなゆっくり、きっとどこにもとどまれないのね…)」

でもいつか、またフラリとあらわれて
自分達といっしょにゆっくりして欲しい。

「(そのときには、このこたちもいっしょに…)」

益体の無い考えに、微笑を浮かべながら
そろそろ戻ってくるだろう愛しい夫に
帰って来たときいっしょにげんきに
【ゆっくりしていってね!】と言ってあげられるように
わが子を優しくゆすって起してあげる。

「ゆっくりおきてね…ありすとまりさのかわいいおちびちゃんたち」

「ゅゅぅ…まだねむちゃいよ…」

「みゃみゃ…ぴゃぴゃはぁ…?」

「ゆっくちおにゃかすいちゃよ…」

起したばかりで、まだ半分夢の中にいる子供達
そのゆっくりした姿をカスタードに刻み込みながら

「もうすぐパパがかえってくるから、とかいはなあいさつでおでむかえしておどろかせてあげようね!」

「ゆゆ、それはゆっくりできるにぇ!」

「とっちぇもちょかいはぢゃわ!」

「さすがはみゃみゃだにぇ!」

素敵な思いつきに目を輝かせる赤ゆっくりたちとありす。
おうちの玄関に、音が近づいてきた。

赤ゆっくりには、まだ挨拶のタイミングを合わせるのは難しい。
だから自分が合図を出してあげよう。

いつかはきっと、しぜんに『あの時』の様な最高の挨拶をすることが出来るだろう
遠くない未来の出来事に、心を弾ませながら。

「いい?おちびちゃんたち…せーのでごあいさつするのよ?」

「「「ゆっくちりかいしちゃよ!!!」」」

「それじゃせー・・・の?」


ガサッ!

ガサガサッ!!

ガサガサガサガサッ!!!

入り口から、勢いよく這入りこんできたのは
見たことも無い、動く長いものだった。

「おちびちゃんたち!ままのおくちにはいってね!!」

「「ゆ、ゆわぁぁぁぁあぁぁぁ!!」」

「ゆっぐじできないぃぃぃぃ!!」

まりさとありす、一匹づつはすばやくありすの口の中に逃げ込むことが出来たが
若干臆病な末っ子のありすだけは、ちーちーを漏らしながら動けなくなってしまった

「(ありすのおちびちゃん…!!)」

おうちの中を這い回るゆっくり出来ない何か、家族はもはやソレがいなくなってくれるのを
声を殺して祈り続けるしかない。

テーブルを、椅子を、ベッドを
おうちのなかをとかいはに彩っていたインテリア、その全てが無茶苦茶に叩き壊されていく。

逃げ遅れた末っ子は、必死に這って側面の壁に
口の中に赤ゆっくり二匹を隠したありすはおうちの一番奥の壁に張り付いて
その時を待ち続けた。

口の中にじんわりと暖かい水が流れ込む。
おそらく子供達の涙とちーちーだろう、とても怖がっている。

こんな時、何も出来ない自分がもどかしい
まりささえ、まりささえ返って来れば…
あの強くて優しい大好きな夫が返って来ればあんなゆっくり出来ないモノ
すぐにやっつけてくれるのに!!

ズ、ズズ…

「(ゆゆ?!)」

引きずるような音を立てて
テーブルだった平たい石だけを掴んで
ゆっくり出来ないモノはおうちの入り口から消えていった。



「    してい てね!ゆっく  てい て !!」


嗚呼…外から聞こえるこの声は、この声こそは
待ち続けた愛しい声、だいすきなまりさの声!!

きっとやっつけてくれたんだ!やっぱりまりさはさいこうのおっとだ!

口の中に流れ続けていた甘い水が止まった。
子供達にも聞こえているのだ、すぐに窮屈な口の中から出してあげる
その後いそいで逃げ遅れた末っ子ありすの身体を調べる。
おうちの中を荒らされたので、ありす同様砂埃まみれだが
何処にも怪我は無い、いつもは壊れ物を扱うようなすりすりにも思わず力が入ってしまった。

「ゆぅ…よかった、よかった…」

「「みゃみゃぁーー!!」」

「こわかっちゃよぉぉぉ!!!」

涙を流す子供達をあやし、慰めて
自分達を呼び続ける外からの声が途絶えていないことに気づく。

「あ でぃず   !!」

おうちのなかに響き渡るほどの大声で心配している

「(むかえてあげないとっ…!)」

自分と子供達の元気な姿を見せてあげないと
いとしい夫、だいじな赤ちゃんと、自分を恐ろしい危険から守ってくれた
家族の英雄を湛える為に、感涙すら浮かべてありすは外へと飛び出した。


  *   *   *


「おぃコラ糞饅頭、本当にココなんだろうなぁ!?」

穴倉の中に突っ込んでいた腕を引き抜き、掴んだ石っころで
まりさの後頭部にあたる部分にあけた〝孔"に差し込んでかき回す。

「ばりざはぐぞまんじゅうじゃないぎゃぎゃぎゃぎゃ!!
やべで!!あ゛だばのな゛がにいでないでぐ だ ざ い!!!」

「お前の家族をさっさと呼べば、止めて!やるって!言っただろうが!!」

「ぎゅびぃぃぃぃぃ!!ゆっぐりじでいっでね!!ゆっぐりじでいっぢぇねぇぇぇ!!!」

狂ったように穴倉に向かって【ゆっくり】と叫び続けるまりさ。

いっしょに来た村の若い連中が放った火が、既に煙を上げて森の一部ごと
饅頭の群を焼き始めている。

この森にまで、この糞どもが住み着いているとは…
苦々しい想いに、男はつばを吐き捨てた。

よくよくかんがえて見れば、兆候はあった。
山菜の穴場が荒らされていたり
茸や筍が掘り返されていたり…
猪か何かの仕業かと思っていたのだが…違っていたようだ。

それだけなら、見張りか罠でも点けていればよかっただろうが
三週間ほど前からに、コイツらは村の畑にまで手を出し始めたのだから始末に終えない。
その時は紅白饅頭一匹だったが…最近は群れて来るようになった
信じられない害饅頭どもだ…まりさを地面に踏みつけながら男は辺りを見回す。

油をかけて念入りに火達磨にしているのは
この饅頭どもの首魁と思しき化け物饅頭だ

生木一本焼き尽くすような面妖な術を使うそうだが
居るのがわかっていて〝備えが有れば"
所詮は饅頭、無駄に巨大な目玉を射抜き
狙いもつけられず撃ちまくり、油を撒いただけで自滅した。

流石に大きい分しぶとく、いまだに痙攣しているが
一刻も無いうちに墨になるだろう、いいザマだ。

「ゆっぐりじでいっでね!!ゆっぐりじでいっぢぇね!!ゆっぐりじでいっでね!!ゆっぐりじでいっぢぇね!!!」

「チッ…!」

足元で喚き続けるまりさの〝孔"
そこに刺さった平たい石を、足でゆっくりと深く差し込んでやる。

「びぎぃ!?」

「さっさと、しろよ!」

「あ あ あ ああああ!!!
なにぐず ぐ ずじでる  ん゛だぜ!!ざっざどででごいあでぃずぅぅぅぅぅ!!!」

村の仲間たちは、既に燃え盛る化け物饅頭の炎に
見つけたゆっくりを端から放り込んでいる。

「さっさと済ませて返りたいんだよ、これ以上刺されたくなきゃリキいれて呼べや!」

「ぎュびぃぃぃ!?」

もがき苦しむまりさ、すると巣の中からやけに嬉しそうに
気色の悪い饅頭家族が四匹も這い出してきた、キメェ。

「まりさぁぁぁぁぁぁ!!…………ゆ?」

感極まった表情から、ボロボロの糞饅頭をまじまじと見つめる同じくらいのサイズのゆっくり。

「ゅ…ぁ…、まり、さ?」

「ぁ………ありすぅぅぅ、ゆぅっくりぃ、ゆぅっくりしてぇいぃってねぇ!」

足もとで、蠢きながら【ゆっくりしていってね】と口にするまりさ。
俺はその瞬間、脚を地面にたたきつけた。

「キュベゅ…」

気色悪いのは、見た瞬間から気色悪かった。
だから潰したりせずに、炎の中に蹴りいれてお仕舞いにするつもりだった。

だが、気が変わった。

俺の踏んでいたまりさが、最後に口にしたあのくだらないゆっくりの挨拶が
【これで自分だけは助かる】と言っているように聞こえたのだ。

俺が三週間前に見つけたあの紅白饅頭が、自分の命可愛さに
【雲の来るほうにゆっくりの群】がある、と口にした時のように。

放心しているまりさの番と子供を、どうするか俺は一瞬考えて
面倒になったので放置して村の仲間と合流した。

もうすぐ冬が来る、ほおって置いても生き残りはコイツらだけ。
運がよければ冬まで生きて、飢えて凍えて死ぬだろう。

似合いの末路だ。


by古本屋

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最終更新:2009年02月24日 19:03
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