ゆっくりいじめ系3111 ゆっくりブリーディング1

※俺設定注意





この世に飼いゆっくりという概念が誕生して暫くになる。
嘗てはただのお饅頭の代用品、くらいの扱いだったゆっくりは今や一ペットとしてある程度の需要を満たす存在となっている。
もちろん、それ以上にウザイ害獣、ムカつく街を歩く生ゴミといった捉え方をされているのも事実だが。

皆さんはペットショップに並ぶゆっくり達がどういう経緯を辿ってそこに居るのか不思議に思った事は無いだろうか?
ああ、ちなみにここで例にするのは十個500円とかで投売りされている粗悪品ではなく、きちんとした飼いゆっくりの事だ。
彼女たちは生まれてから今まで、どのような教育を施されたのか気になる人もいるはずだ。

今回紹介するのは、そんな飼いゆっくりの教育法だ。とはいってもあくまで自己流。あんまり人にお勧めは出来ない。
とにかく普段俺がやっているような、飼いゆっくりを輩出できる方法を教えよう。
既にゆっくりを飼っていて、躾が難しいと感じている人にも良いかもしれない。

そうそう、言い忘れていたが『良い飼いゆっくり』を作り出すのにはそれなりの努力と犠牲が必要だ。
つまりペットショップに並ぶゆっくりの影ではそれになれなかったゆっくりが山ほど居るというのをお忘れ無きようお願いしたい。
ぶっちゃけた話、躾けの過程で死ぬゆっくりが大量に出るって言うことだ。





        ゆっくりブリーディング





さて、まずは躾を施す赤ゆっくりの、その仕入先を明かさねばなるまい。
巷で一般に言われているが、ゆっくりは親の餡子を元に子ゆっくりを成す。
つまり親の餡子=性質、性格、その他諸々を引き継ぐのだ。これをゆっくりの血統、即ち餡統と呼ぶ。
良い子の親からは良い子の赤ゆっくりが生まれ、ゲスからはゲスしか生まれない―――というのが、一般の通説である、らしい。
ブリーダーはそうやってより優良なゆっくりのみを引き継がせていく。

だが、これはあくまでゆっくりの質をより高めようとする場合に限る。
いくら多産なゆっくりとは言え、あまりにもポコスカ産ませると母体の影響もあるし、何より子供も粗雑なものしか生まれない。
優良餡統を引き継がせるゆっくりは、それこそコンクールにでも出すつもりでなければ滅多に作られないのだ。
早い話が、飼いゆっくりはそこら辺の野良の子供でも十分になりえる。





というわけで、俺はもっぱら赤ゆっくりの『仕入先』は近くの山や森を回るようにしている。
原価は0円なので非常に楽である。別に街の野良ゆを捕まえても良いのだが、少々性格が擦れすぎていて子供にも影響が出るのだ。
出来るならば人間の事を良く知らない山や森の奥深くに居るゆっくりがモアベターだ。
彼女たちは野良ゆに比べて、とにかく純真で無垢である。余計な混じりっ気がないぶん、子供も躾けやすい個体が多い。

「ゆゆゆ~♪ゆゆっゆゆ~♪」

基本的にゆっくりは日向ぼっこを好む。特に植物性にんっしんっをしている親ゆは、子供のためにも外に出たがる。
植物に似ている形態故なのだろうか、一部のゆっくりのように光合成をしているのではないかという一説もある。
まぁそんな事はさておき、往々にして森の中を探索するとこうやって外をうろついてるにんっしんっしたゆっくりに出合えるのだ。

「ゆっくりしていってね」
「ゆゆ!!ゆっくりしていってね!!!」
「ゆっくりしていってね!!!おにーさん、まりさたちになんのごよう?」

額に茎をぶら下げたれいむの隣には、その番であろうまりさが暢気に用事を聞いてくる。
この緊張感とか、警戒心の無さが野良ゆとは違う、野生のゆっくりの性質である。
思わず爪先を顔面にぶち込みたくなるが、そこは我慢。これから似たような番たちをまだまだ探し回らなくてはならないのだ。
体力は温存しておくに限る。

「ほい」

ブチッ

「ゆ?」
「ゆゆ?」

無造作に歩み寄り、れいむの茎を掴んで、引き千切る。この間実に2秒の出来事である。
この二匹はもう用済みだ。ぶち殺したい衝動に駆られるが、今日はそんな用事で森まで来たのではない。自重する。
くるっと振り返り、さっさと二匹から離れる。手に持った茎は、背中に背負った籠の中に放り込んでおいた。

「・・・・・・ゆっ、ゆゆ~~~~~~!!?」
「ま、まりざとれいぶのあがぢゃんどこ~~~~!!?」

後ろではようやく気付いたのか、間抜けな絶叫を上げる二匹の声が聞こえてきた。
いちいち子ゆっくりを失った程度で喧しいことだ。ちょっとすりすりすれば生まれるだろこんなもん。
まぁ明日くらいになればケロッと忘れてまた番二匹で盛っているのだ。何も問題は無い。





このような調子で、とにかくゆっくりの番を探し回っていく。
茎が生えていればそれをもぎり、生えていなければすりすりさせた後生えさせてもぎる。
単独で行動するゆっくりは珍しいので無駄足を踏むということ自体が少ない。あっという間に茎が集まっていく。
一組の番から何度も茎を採取しようとすると品質の劣化が起こるので、このような面倒な事をしているのだ。

「ゆああああぁぁ!!?れいむだぢのあがぢゃんがあああぁぁ!!!?」

「まっでね゛ー!?あがぢゃんだぢをもっでがないでねー!?わがらないよぉー!!?」

「やべでえええぇぇぇ!!!ありずだちのかわいいあがぢゃんがあああぁぁぁー!!!」

・・・・・・・・・。
一つの茎からは少なくとも実ゆっくりが5つ、多ければ20以上も期待できる。今回は豊作だ。
一時間で採取した茎の数は20本、実ゆっくりの数は役300程度といった所か。
この程度の数を揃えなければ飼いゆっくりを出荷するなど土台無理な話だ。体力的にはこれが一番疲れる作業である。










さて、採取してきた茎及びそれに付いた実ゆっくりだが、これを育成しなければならない。
具体的に言えば砂糖水を入れた花瓶に茎を差し、栄養(?)を補給させるのだ。
・・・・・・しかし、その前にやることが一つある。
実ゆっくりの時点で残留している、親ゆっくりの記憶除去である。

ゆっくりは親の餡子=記憶で作られているために、ある程度の記憶を引き継ぐことがある。
これが先述の餡統なのだが、それは良い意味で使われるとは限らない。
野生のゆっくりから生まれた子はある程度野生の常識を持ったまま生まれてしまうのである。
矯正は簡単だが、それよりかは記憶そのものが無い方が良い。

記憶除去に使う道具はただ一つ、塩水である。
濃度は低く抑え、0,5%から1%の塩水を使う。これ以上濃度が高いとただの虐殺になってしまうからだ。
方法は簡単なもので、砂糖水の変わりに塩水を吸わせる。これだけ。

例えばこの茎の一本は、ほんの少し前から塩水に差している。実ゆっくりはれいむ5、まりさ5だ。
茎の吸引力はそれなりのもので、2~3分もすればすぐに効果が現れてくる。
この茎ももうすぐ2分が経過しようとしている・・・・・・と思った矢先に、根元の子れいむが反応を始めた。

「ゆっきぃ!」

びくんと身体を震わせ、目から口から涎や涙を垂れ流している。
実はこの涙、塩水だ。実ゆっくりと言えどある程度の防御策は身につけているらしい。
そうこうしている内に、徐々に根元から先端まで塩水が行き渡っていく。

「ゆぴぃ!」
「ゆ゛ゆ゛っ」
「ゆっくぢ」
「ぐげぇ」

10匹が10匹、苦悶の表情を浮かべながら必死に身を捩っている。
そんなことをしても体の中を流れる塩水は止まらないけどね。

ゆっくりには刺激物は毒物として反応される。代表的なものは辛味である。
飼い始めたばかりの赤ゆっくりが間違えて唐辛子等を食べた結果、そのまま中身を吐きつくして死ぬというケースが毎年何百件か報告されている。
塩=塩辛いという刺激も、辛味ほどではないが立派に効果を発揮するのだ。

先ず実ゆっくりの体内に入った塩水は、循環し、隅々まで行き渡る。
この時点で先のように実ゆっくり達は泣くなどの防御行為で塩水を排出するが、それだけでは十分な量を排出する事は出来ない。
結果としてこのように、実ゆっくり達は謎の毒物=塩分に苦しめられることになるのだ。

塩分は餡子を蹂躙、その体構造を破壊する役割を持つ。
ここで一番の被害を受けるのが中枢餡――即ち、記憶を司る部位である。
実ゆっくりにしては過剰と言わざるを得ない塩分は、実ゆっくり達の少ない情報を破壊し尽くしていく。
つまり、親から受け継いだ大切な記憶の事だ。

「~~を~~せねばならない」と言った常識は勿論、もっと根幹の記憶等も破壊される。
例えば、当然の如く知っている筈の親の事が分からなくなる。
咀嚼中の「むしゃむしゃしあわせ」等の習性も無くなる(ただし、「ゆっくりしていってね」という挨拶だけは流石に抜けないが)。
それどころか同じ茎に実った他のゆっくり達を姉妹とすら認識できなるなるのだ。
これで何故か運動野とかはまるで無事なものなのだから不思議なものである。
まぁ便利だから活用させてもらっているが。
言ってみれば、ゆっくりの記憶のクリーニング作業だ。受け継がれてきた記憶を完全にリセットし、真っ白な状態にする。
こうなれば親が良餡統だろうと悪餡統だろうと関係ない。彼女たちは俺の命令以外の判断基準を持たなくなるのだ。
余談ではあるが、加工所で販売されている「未刷り込みゆっくり」も、これとほぼ同じ工程で製造されている。

と、根元から4番目に実った実れいむが急に黒ずみ出した。
これは単純に塩水に耐え切れなかった脆弱な個体なだけだ。50匹に一匹程度の確立で、偶にそういうものがいる。
良くある事だ、助けようとは考えない。
それに助けても、そういう個体は往々にして頭が悪く育てる価値が無いような悪辣な個体になる傾向にある。
ある意味これも選定作業なのだ。

他の茎も同じように塩水に差していく。
記憶の除去は大体10分もすれば完全に終わるので・・・・・・ここは念入りに一時間ほど苦しめよう。どうせ死にゃしないしね。
やがて塩水を吸ってビクビクと痙攣し始める実ゆっくり達。
時折発する悲鳴がいい感じにコーラスしている。癒されるなぁ。





たっぷり一時間経った後は、普通の砂糖水に移し変えてやる。
苦悶の表情から一転、すやすやと安らかに眠り始める実ゆっくり達。
虐待の時に見せる表情もいいけど、こういうのも悪くない、と思う。

今回塩水につけた段階で死んだのは、7匹。
先ほどの実れいむに、別の茎の実まりさ3、実れいむ3である。
今育成中の実ゆっくり達は他の種類も結構居るのだが、なぜかこの2種だけしか死ななかった。なぜだろう。
やっぱり生まれる数が多いと割合として良く死ぬのだろうか。
まぁこれから躾の過程にもこの二種には最も多く死んでもらうことになりそうだが。

さて、内約。
7匹数は減ったが、やはりまだ300程度。最終的には50ほどに絞ろうかと考えている。
最も多い種から、れいむ3割、まりさ3割、ありす2割、ぱちゅりー1割、その他(ちぇん、みょん等)が残りの一割か。
一般に希少種と言われているゆっくりは・・・・・・無し。
もし居たら躾にも気合が入っていたのだけどなぁ。残念。










それから三日後。
砂糖水の中に混ぜておいた成長促進及び抑制剤の効果によって実ゆっくり達はすくすくと成長を続けていた。ただし生まれ落ちない。
成長はするけど生まれ落ちる期間を指定出来ると言うのがこの薬品の強みである。
お陰で付きっ切りで見ゆっくりの世話を焼かなくても良いようになった。実にありがたい。
これを開発してくれた加工所研究部勤務の友人に感謝である。

今の内に茎を全て地下の育成部屋へと運び込む。部屋と言っても無茶苦茶広いが。
これから少なくとも亜成体となるまでの期間、実ゆっくり達には基本的にここで生活してもらう事となる。
一応床は芝生を植えつけ、溜め池、植木も完備、空調も自然のものを模しているのでそれほど窮屈には感じないはずだ。
普通のブリーダーはこんな部屋は使わずに独房みたいな部屋に監禁まがいの事をするのだが、そこは俺の趣味だ。
芝生の上に置かれた花瓶、そこに連なる300ものピンポン玉大の赤ゆっくり達。
なかなか壮観と言える。

薬の効果は今日中に切れるように調整しておいた。
つまり今日中に300匹の赤ゆが誕生することになるはずなのだが・・・・・・っと。
言い切らぬうちに、一匹の実ゆがプルプルと震え出した。
誕生の瞬間である。

プチッと微かな音を立てて、地面へと落下していく実まりさ、いや、赤まりさ。
着地の瞬間、ぷにゅりと身体を大きく変形させて衝撃を和らげる。
閉じていた目をゆっくりと開いて、生まれてはじめての産声を響かせるために大きく息を吸う。

「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!!」

はい、誕生おめでとう。300匹最初の赤ゆっくりは健康な赤まりさだ。
赤まりさの声が発破となったかのごとく、どんどん震え始める実ゆっくり。
一斉にゆっくりが落ちていく様は、早送りで木の実が落ちる風にどことなく似ている。

「ゆっくち!」
「ゆっくりしちぇいってね!!!」
「ゆぅ~!」
「ゆっきゅぃ、ゆっきゅぃ!」
「ゆっくちちていってね!!!」
「ゆっくりしていっちぇね!!!」
「ゆっくぃ!!ゆっくぃぃ!!!」
「ゆゆぅ~!」
「ゆっきゅちちちぇいっちぇにぇ!!!」
「ごゆるりと・・・・・・」

生まれた拍子に最初の挨拶をし、それを聞いた別固体が反応して挨拶をし返す。
そのような事がどんどん起こり、あっという間に部屋の中は騒がしくなった。
赤ゆっくりが2~3匹程度でゆんゆん言っているのは許容出来るが、流石にこれ程だと少々イラッとくる。

赤ゆっくりを踏み潰さないように、足で赤ゆを優しく退かしながら部屋の中を歩き回る。
そうして一匹一匹赤ゆの状態をチェックするのだ。
健康状態はどうか、欠損している部分は無いか、どのような性格をしているか・・・・・・
あまり厳しくチェックする必要はない。上から見下ろせば、問題があるような奴はむしろ目立つからだ。

そう、例えば今俺の目の前、二メートル前方の床にいる赤ゆっくりの一群。
その中の3匹の赤まりさが、1匹の赤れいむを囲んで突っ突き回している。
他の赤ゆっくりは気付かないのか怖いのか、その三匹を止める事は無いようだ。
突付き回されている赤れいむは涙を零して逃げ回っている。

「ゆっくち!ゆっくち!」
「ゆっゆゆぅ~♪」
「ゆっ!まりちゃはちゅよいんだよ!」
「ゆぴいいいいぃぃぃ!!!ゆうううぅぅぅぅ!!!」

いくら記憶をクリーニングしたところで、そのゆっくりが生来持っている気質は変えようが無い。
他者をゆっくりさせようと言う穏やかな気性を持ったゆっくりも居れば、どこまでも貪欲に己のゆっくりのみを追い求める者も居る。
これは良餡統・悪餡統に関わり無く、完全に不確定な要素でもって生まれてくるのだ。
エリートの子がどうしようもないボンクラだったり、野良の子が意外に良い性格だったりするのもこれが原因である。

「ゆっ?」
「ゆゆっ?」
「ゆっ!おちょらをとんでるみちゃい!」
「ゆぴいぃ!!ゆぴいいいいぃぃぃ・・・・・・・ゆぅ?」

赤まりさ三匹を摘み上げる。悪いがここで赤まりさ達のゆん生は終了だ。
生まれて早々いじめ紛いの事をするゆっくりはこれからどう育っても良い子にはならない。
そのまま赤まりさ達をポケットに入れる。少々騒いでいるが気にしない。こいつらにはまだ役に立ってもらう事がある。
追いかけられていた赤れいむは、不思議そうに周囲をキョロキョロと振り返っていた。

赤まりさ達以外にも、不自然な勢いですりすりを繰り返している赤ありす、他のゆっくりの飾りを奪い取ろうとしていた赤れいむ、
圧し掛かって相手をボロボロにしていた赤みょんなどを拾い上げる。
大体ここでは10匹程度がポケットに入ることになる。残りは290匹だ。
・・・・・・と、ここで何か不自然な音を耳にした。
パン、パン、と、なにやらかんしゃく玉のような音が聞こえてくるのだ。
音のする方向へ振り向く。

「・・・・・・あれ?」

よくよく目を凝らしてみると、部屋の隅っこになにやら爆発している小さい玉っころが見えた。
それは黒い長髪を元気に揺らし、未成熟な羽を必死にパタつかせ・・・・・・って羽?
もしや。俺の見間違いでなければ、このゆっくりは。

「うにゅ!うにゅ!」

うっくりうつほだった。通称ゆくう。
中身がイエローケーキだとか、ヌカ○ーラ・クアンタムとかで構成されていると専らの評判のゆっくり。
内容に相応しくその行動・性質も過激で、個体によっては巨大なキノコ雲を作り出すことも可能とか言われている厨ゆっくりだ。
何でそんな危なっかしいゆっくりがこんな所に・・・?
もしかして、実ゆっくりのチェックをするときに見過ごしたのだろうか。
確かにれいむ種と似た黒い髪だし、リボンの色とか殆ど見ていなかったような気がする。
羽も丁度隠れるような角度で見ていたのかもしれない。
しまった。うっかりしていた。

茎を集めていた時はそれほど珍しいゆっくりには出会わなかった筈。
おそらくはチェンジリングの類だろう。
数万分の一以下の確立で、親のゆっくりとは異なった種のゆっくりが生まれることがある。
ゆっくりに存在するのかは分からないが、遺伝子の影響やらが関係しているらしい。隔世遺伝というやつか。
それにしても珍しい。ただのチェンジリングでさえ相当希少なのに、それもゆくうのチェンジリングだ。
俺自身はあまり信じていないが、チェンジリングの子は幸運を齎してくれるとか――こいつを育てる価値は、十分にある。

「おい」
「うにゅ?」

呼びかける。振り向くゆくう。
まだ充分に羽を使って飛べないらしく、ぴょーんぴょーんと緩慢かつふわふわした跳ね方でこちらにやってくる。
生まれたばかりだと言うのにやたらめったら元気な奴だ。ゆくうと視線を合わせるためにしゃがみ込む。
手を差し伸べて、ゆくうが手の平に乗っかれるようにしてやる。
普通の赤ゆっくりなら、こういう動作をされれば一も二も無く喜んで飛び乗ってくる筈―――

「うにゅーーーーっ!!!」
ぽこん。

―――ゆくうは俺の手の平に体当たりを仕掛けてきた。
全く以って痛くないが、その感触がある事を思い出させてくれた。
ああ。コイツ、普通の赤ゆっくりじゃないんだっけ。

ゆくう種は体力面では通常のゆっくりを大きく上回るが、おつむの方はそれほどよろしくない。
それどころか、かなりの⑨なのだ。それこそちるの種級である。
コイツはきっちり躾をしなくてはならないな。少なくとも物忘れが激しい分、じっくりと教え込んでいかねばなるまい。
そう決意して、ゆくうの前で人差し指と親指を使って円を作る。

「うにゅ?・・・・・・ふーj」
べちんっ
「う゛に゛ゅっ!!?」

何やら言いかけたゆくうの顔面に、デコピンがヒットする。
顔面を陥没させて転げまわるゆくう。ふむ、結構丈夫だな。赤ゆの割には強めに打ったんだが。
今の状態のゆくうは三歩歩けば何もかもを忘れそうなので問題ない。痛みに転げまわっている間に離れるとしよう。





一通り部屋の中を歩き回ったが、それほど問題のある奴は見つけられなかった。
問題のある10匹の赤ゆっくりは俺のポケットの中でいつの間にか眠っている。
よし、準備完了。そろそろ始めるか。
部屋の中央に移動し、赤ゆっくり達の注目を集められるようにしてから、少し息を吸って・・・・・・。

「ゆっくりしていってね!!!」

特大の音量で挨拶する。
赤ゆっくりの声量など目じゃない大音声は、この部屋の中に居る全ての赤ゆっくりに聞こえたはずだ。
すると即座に俺の方に向き直る赤ゆっくり達。
先程まで好き好きに行動していたのに、一斉にピタリと動きを止めてこちらに挨拶を返そうとしているのだ。
常々思うが、「ゆっくりしていってね」の効力は凄まじい。

「「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」」」」」

赤ゆっくり達の大斉唱が響き渡る。
元気があって大変よろしい。
赤ゆっくり達は何やら期待の眼差しでこちらを見つめてきている。
これから何かが始まると予感しているのだろうか。

「よし、お前ら。俺の言葉が分かるか?分かる奴はその場で跳ねろ」
「「「「「「「「「「ゆーっ!!」」」」」」」」」」

言う通りにピョンピョン跳ね始める赤ゆっくり達。
大体全ての個体が俺の言葉を理解できているようだ。
偶にではあるが、塩水の影響で言語機能に異常を持つものも居る。
そういう個体もまた不適格として処分する。
ゆっくりの特長はヒトの会話を理解できる所にあるのだから、それが出来ない不良品は要らない。

「全員理解してるな。俺の事は『先生』と呼べ。これからお前達を育て、教育する者だ」

お父さんや、お母さんではなく、先生。
両親の記憶が無い赤ゆっくり達に迂闊に親を連想させるような言葉は使わない。
親だと思い込まれると、甘ったれる者が出てくるためだ。

「ゆっ・・・しぇんしぇい?」
「ちぇんちぇい!ちぇんちぇい!」
「しぇんしぇい!ゆっくりしちぇいっちぇね!!!」
「ゆぅ~っ!ちぇんちぇい!!!」
「そうだ、先生だ。『しゃんしぇい』では無く『ちぇんちぇい』でも無いがそれはゆっくり直していけば良い」

本来なら親に向けるであろう全幅の信頼を置いた目で俺を見てくる赤ゆっくり達。
普通の赤ゆっくりではこうはいかない。例え一度も見たことが無くとも赤ゆっくりは親ゆっくりを知っていて、求めてくるのだ。
だがこの赤ゆっくり達はその記憶が無い。よってこのような刷り込みめいた事ができる。
これも塩水による記憶クリーニングの効果の一つだ。

とりあえず赤ゆっくりに懐かれる事には成功した。
だがそれだけではゆっくりの躾けに何の意味も無い。
ゆっくりを手懐けるコツは愛情だけではなく、恐怖で縛り上げることも必要なのだ。
所謂、飴と鞭。今は飴を与えた。
次は鞭の番だ。

「ゆぴぃ~~~・・・・・・」
「ゆぅ~ん・・・・・・」
「ゆぅ・・・・・・ゆぅ・・・・・・」

ポケットの中で暢気に寝ていた問題児達を取り出す。
足元の赤ゆっくり達は「ゆぅー!!」とか「れいみゅもたきゃいたきゃいしちゃいー!」とか羨ましがっている。
今までこいつらを生かしておいたのはこの時のためだ。

「よし、聞け。お前たちはこれから俺の言う事を良く聞いて、良い子になる勉強をするんだ」

空いた片方の手で問題児の中の一匹・・・・・・赤まりさの頬を摘みあげる。
少々痛かったのか、赤まりさは「ゆっ!?」と声を上げて目を覚ました。
足元の赤ゆっくり達は素直に「ゆっきゅりりかいしちゃよ!!」等と言っている。

「良い子になれば、自分も他の人もゆっくり出来る。俺の言う事を良く聞けば、必ず良い子になれる」

己の体重を頬だけで吊り支えると言うのは相当辛いのだろう。
赤まりさは「いぢゃいいいいいぃぃ!!!」と涙を流しながら暴れている。
暴れたりなんかしたらもっと痛くなるぞ、と思うが特に口には出さない。
この赤まりさがどれほど痛みに咽び泣こうとも、どうでも良いからだ
赤ゆっくり達は赤まりさには気付かずに俺の言葉を聞いている。

「逆を言えば、俺の言う事を聞けないゆっくりと言うのは悪い子だ。悪い子は誰もがゆっくり出来なくなる」

プラプラと赤まりさを振り回しながら赤ゆっくりに言い含めていく。
遠心力によって更に皮が引き伸ばされ、「ぎょえ゛え゛ぇ゛ぇ゛!!」と赤まりさは凄まじい形相を浮かべながら絶叫している。
ここでようやく赤ゆっくり達は赤まりさの声を聞き取った。
赤まりさの声を聞いた赤ゆっくり達の表情は疑念・不安といった所だ。
何故赤まりさがゆっくり出来なくなっているのかが分からないのだろう。

「悪い子は要らない。こいつは弱いもの苛めをした悪い子だ」

赤ゆっくり達に赤まりさを見せ付ける。
そのゆっくり出来ない苦悶の表情に赤ゆっくり達は揃ってショックを受けたようだった。
「ゆゆ・・・」だの「ゆっくちぃ・・・」だのプルプル震えて涙を堪えている。

「良く見ておけ。ゆっくり出来ない悪い子は・・・・・・こうなる」

人差し指と親指を離す。
それだけで赤まりさは俺の拘束から逃れ、重力に身を任せて落下していった。
赤ゆっくり達が息を呑む。
少なくとも一メートル以上の高みから落とされる衝撃は、赤ゆっくりにとって一体どんなものなのだろうか。

「ぎゅえ゛っ!!!」

顔面から激突した。起き上がる気配が無い。
地面には芝生が植えられているのである程度の衝撃は緩和されたが、それでも相当の痛みの筈だ。
良く見れば後頭部がピクピクと痙攣している。
赤ゆっくり達は不安そうに赤まりさを眺めている。
そうして赤まりさを助け起こそうと数匹の赤ゆっくりが動き出したところで・・・俺も赤まりさを踏み潰した。

「ぢゅぶっ」

ぶちゅり。足裏に泥を踏んだ時のような形容しがたい感覚が広がる。
それを赤ゆっくり達は、一瞬も漏らさず全て見届けてしまった。
赤ゆっくり達の視点からだと赤まりさが潰れる姿も見てしまったのではないだろうか。
部屋がシンと静まり返る。赤ゆっくり達は硬直したように動かない。
そんな赤ゆっくり達に向けて、残りの問題児達を持っている手を差し出した。

「お前達、よく餡子に刻み付けとけ。言う事を聞かない悪い子は、死ぬ」
「ぎゅ゛っ゛」
「ぐげっ」

ぶちゅり。そのまま手を握って一気に潰し殺した。
指の間から黒かったり白かったりする中身が漏れ出てくる。
そしてその音と俺の手に付いた餡子を見た赤ゆっくり達は、揃って悲鳴を上げた。

「「「「「「「「「「ゆぎゃあああああああああああああああああああ!!!!」」」」」」」」」」

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最終更新:2011年07月28日 19:54
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