永琳×ゆっくり系7 脆い鎖

雨、雨降れ降れ

永遠亭の縁側に八意永琳が腰掛ける
兎たちが作った可愛いてるてる坊主、おかっぱ頭に桃色の衣
時折吹く風に揺れている、右へ左へ

ねずみ色の空に踊っていた

「ゆっくりさせてね!!」

永琳がてるてる坊主を眺めていると
庭にゆっくりれいむの親子が入ってきていた
「あら、いらっしゃい」
永琳はジメジメした空気に似合わない笑みを向ける
「ここ、おねーさんのおうち?」
子のゆっくりれいむは母の後ろに隠れている
「ええ、私・・・私たちの家よ」
ゆっくりれいむは少し考えると
「ゆっくりでていって。れいむたちここでゆっくりしたいの」
「ええ、出て行くのは無理だけど。ここでゆっくりしていって良いわよ」

雨が降り出す。ゆっくりれいむの親子は予定通り雨宿りに成功した
ざあざあと降る雨をてるてる坊主が見つめている。まるで自分の無力を噛み締めているかのように
母ゆっくりれいむも同じような顔をしている

「可愛いわね。この子、本当に良い子だわ。ねぇ、もっと食べる?」

永琳がゆっくりれいむ達に与えた食事
温かいご飯に大根の葉の漬物と天日干しした小女子とゴマをふりかけたものと玉ねぎと油揚げの味噌汁と
簡単な食事だったが、ゆっくりれいむたちが食べやすいように皿や浅いボールに入れてある
それまで食べてきた草木や虫などとは比べ物にならない食事
最初の頃は、ゆっくりれいむの親子は大喜びだった
子れいむは永琳に褒められ、たくさんご飯を頬張る

「おかーさんのごはんよりおいしいね」

この言葉を境に、母れいむの口数は減る
最後に永琳が"お母さんは我慢してね"と持ってきた一個のプリン
すっかり子れいむは永琳に懐いてしまう

「ねぇ、あなた、私の子にならない?」
永琳の笑みに子れいむが頷く
「うん、れいむ、おねーさんのこになるよ。ゆっくりしていっていいよね」
ふふふ、と永琳が笑い。"そんな事言うとお母さんが可哀想。ダメよ"と人差し指で子ゆっくりの口に触れる

夕方になると雨はやみ、ゆっくりれいむたちは自分達の巣に帰っていく
「また来てね」
手を振る永琳に、子れいむは何度も振り返る
母れいむは一度も振り返らなかった


「きょうはごちそうだよ。ゆっくりたべてね!!」
母れいむが採ってきたのは以前までのご馳走だった
柔らかい草も、食べ応えのある虫も、甘い木の実も以前まではご馳走だった
「いらない。もっとおいしいものがたべたい。ゆっくりさがしてきてね!!」
ためしに柔らかい草を食べてみるが、とても苦く食べられたものじゃない
すぐに吐き出してしまう
「おかーさん、おねーさんのおうちいこ。おいしいものもらえるよ」
次第に親子に亀裂が生じていった




母れいむはエサの取る難しさを教え、エサを大切にするよう教えたかった
だから二匹で出かけ、わざわざ危ない崖の近くにある木の実を拾いに行った
風が吹いて不意に母れいむの身体が崖の傍でぐらつく、なんとか持ち直そうとするが
子れいむはバランスを崩している母れいむに体当たりを


崖の向こうに母れいむは消える


「ゆっ、ゆっ、ゆっ」
子れいむが走る。ねずみ色の空から逃れたいのだろうか
身体には餡子がついている。どこか怪我をしているのだろうか

「おやごろしがにげたよ!!」

ゆっくりたちにとって共食いはタブーだ。しかし、追い詰められれば仕方が無いという考えもどこかにあった
しかし、子れいむは違った。届けられる食事の水準は母れいむがエサ取りが上手だったため群れの中でも良い方で
母れいむは群れの中でも評判の優しいお母さんだった
最近は育児に困っていて、みんなに相談していた。誰かがエサのとり方の難しさを教えようといった
母れいむは崖に行くと言った。危ないよ、みんなが心配した
だから、何匹かのゆっくりは後をこっそりついてきていた
そして見てしまった。子れいむが親殺しだという事を

「おやごろしだよ。こんなのがいたらゆっくりできないよ」
「まりさもころすつもりだな」
「あいつはみんなころすんだ。わるいゆっくりだ」
「わるいゆっくりはどうするの?」

背中で聞こえるゆっくりたちの声

「ゆっくりころせ!!」「ゆっくりころせ!!」「ゆっくりころせ!!」「ゆっくりころせ!!」「ゆっくりころせ!!」「ゆっくりころせ!!」
「ゆっくりころせ!!」「ゆっくりころせ!!」「ゆっくりころせ!!」「ゆっくりころせ!!」「ゆっくりころせ!!」「ゆっくりころせ!!」
「ゆっくりころせ!!」「ゆっくりころせ!!」「ゆっくりころせ!!」「ゆっくりころせ!!」「ゆっくりころせ!!」「ゆっくりころせ!!」

殺意の大合唱が迫ってくる。しかし、幸か不幸か子れいむは時間はそこでは終わらなかった
永遠亭の前まで来て降り出す雨。しかも、今まで見た事もないような豪雨
殺意に任せ行進する群は理性を失っていた。それを取り戻す頃には皮は雨でふやけ、着地すると皮が破れる
引き返そうにも餡子の出る痛さで身動きが取れなくなる。その間にも皮はふやけ、ついには雨粒で皮が破れ始める

子れいむはというとどうにか永遠亭に逃げ込む事ができ
身体もあまり濡れていなかった


永琳に会って子どもにしてもらおう。美味しいものをいっぱい食べよう
「あら、あなたはこの前のゆっくりね。お母さんはどうしたの?」
前、会った時の様に縁側で微笑む永琳

子れいむは説明した
母れいむが不味いものしか持ってこないこと
母れいむがおねーさんの家に行く事を禁じた事
母れいむが追いかけてきておねーさんの家にこれなかった事
母れいむは崖から落ちて死んだ事
みんなが子れいむを苛める事

そして、おねーさんの子どもにして欲しい事

「ふふふ、私は良い子は子どもにしたいと思うわ。あなたは・・・」

子れいむは永琳の実験場で良い子になる訓練を強制された
適当なゆっくりまりさと交配させられ、子どもを人質にとられる
何か粗相があれば子を殺す。それも餓死や溺死、斬殺といったむごい殺し方をする
目の前で何度も、子どもがいなくなればまた別のゆっくりと振動装置で強制的に交尾をさせられる

「親殺しの子だから、母性なんて持ってないかと思ったけど。意外に子どものためにがんばるのね」

32匹目の子どもの死を見送る。かつて子れいむだった母れいむ
朝食をこぼした。それだけでミキサーの中に放り込まれた子れいむ
それまでは母れいむからは見えるが子れいむからは見えない不思議な部屋で幸せに暮らしていたが
外で母れいむが粗相をすると、すぐに兎が子れいむを不思議な部屋から連れ出す
出産以来の対面を果たし、母れいむに泣きつこうとする子れいむだったが、兎に押さえ込まれた
「おかーさん、あいたかったよ」「おかーさんといゆっくりしたいよ」「おかーさん」「おかーさん「おかーさん」

「可愛いわね。この子、本当に良い子だわ。おかーさんと違って」
兎が押さえつけている子ゆっくりを見て、永琳はそう微笑む
そして、母れいむの顔を覗き込み
「ねぇ、もっと殺す?」


ミキサーの中に放り込まれた
部屋には母れいむの叫び声がこだまする


迷い竹林の中、えーりん実験室の地下にはすっきりルームというものがあった
そこにはゆっくりたちが集められていた

「家族のお部屋」と可愛らしい文字で書かれた部屋から
八意永琳は出てくる

ここはゆっくりたちのの母性の強さを見る施設
ゆっくりたちは地上の実験室で番になり、ここへ連れて来られる

「ちかのへやにはかぞくでなかよくすごせるばしょがある」

ゆっくりたちの宿舎でそんな噂を少し流してやると
噂には尾が付き鰭が付き、ゆっくり一家たちにとって地下の部屋に連れて行かれる事は最大の憧れとなっていた



「師匠、お疲れ様です」
「ああ、ちょうど良い所に」
「私もです」
部屋を出て自分のオフィスに向かうと鈴仙にばったり会った
「実験に関すること?」
「いえ、そういうのじゃないんですけど」
「なら、私からで良いわね」
永琳と鈴仙はオフィスに向かって歩き出す
「家族のお部屋だけど、30分後にガスを注入するから、河童の技術者を呼んでおいて。次のプランのために作ってほしい物があるのよ」
鈴仙の手にはあのゆっくりれいむの家族を個人の実験用に欲しいという申請書が握られていた
「あ、あの、それなんですが」
申し訳なさそうに申請書を差し出す
「・・・地下に送られたゆっくりは情報統制のために地上に上げてはいけないのは知ってる?」
「あ、あの!地上の施設に妻子が死んじゃったゆっくりまりさがいて、その子、とっても良い子で、私が引き取る申請書が通ったんですけど」
"知ってるわ"とその申請書を許可した本人が答える
「私の個人的なケージで飼うなら・・・」
「いいわよ。持ち出し許可を出してあげる。ただし、解剖用の死体としてだけど良いかしら?」
「・・・」
「あなた、前にもそうやって繁殖促進剤の実験に使用した番いの引き取り申請出したわね」
「そうですね・・・」
落ち込む鈴仙

「仕方ないわね。あの母れいむはダメよ。実験に使用してるから、子どもたちならいいわ。ただし、あなたの部屋のケージでしっかり管理なさい」

ガス注入5分前
鈴仙は子ゆっくりたちを部屋から連れ出す外の様子が見えない外の音が聞こえないケージを台車に積む
「れいむのこどもになにするの!!」
母れいむが泣きつく。また自分が粗相をして子どもが殺されると思ったらしい
「あ、あのね。聞いて、私がこれからこの子達の面倒をしっかり見るわ」
「いやだ。れいむがおかーさんなんだもん」
「しっかり見るから。私に任せて」
「いやだ。このこたちをころすんでしょ?れいむ、しってるもん」
「違うよ。ちゃんと育てるんだよ」
「ゆっくりしょうこみせてね!!」
「あ、あなたも連れて行きたかったんだけど・・・」

ガス注入3分前です。作業員は速やかに退去してください
ガス注入・・・3分前って言ってるでしょ。うどんげ!さっさと出なさいよ!!
そんなゆっくり蹴り殺してしまいなさいよ!!

マイク越しにてゐの催促が聞こえる

「れいむもここからだ」
母れいむがそう言いかけた瞬間、鈴仙の視界から母れいむが消える
「ええ、連れ出すは無理だけど。ここでゆっくりしていって良いわよ」
母れいむは部屋の奥の方で矢が刺さって瀕死になっている

二人ともさっさと出ろー!!

ドアが閉まり、ガスが注入される


































~あとがき~
ひねくれ者でごめんなさい
fuku0989とfuku0979のゆっくりたちがとっても可愛いです
毒気が抜けちゃいますね。ゆっくりデトックスです
毒が抜けても、
市役所に行って整理券貰ったら118番でビビった118でした

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2011年07月27日 23:56
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。