ゆっくりいじめ系811 ある森の危機


注意
俺設定が大量にでてきます
虐待は、ほとんどありません






それはある満月の晩のことでした。
農作業を終えた青年は、帰り道を急いでいると、体の凡そ半分を失ったゆっくりの亡骸を二つ見つけました。
普段は別段何とも思わない青年ですが、月の影響でしょうか、不憫に思い埋葬しようと考えました。
近付いた青年は驚きました。死んでいると思ったゆっくりはまだ息が有ったのです。
ゆっくりというのは存外生命力が高く、体の半分を失っても暫くは生きていられるのです。
しかも珍奇なことに、ゆっくりちるのとゆっくりもこたんの組み合わせでございました。
ちるのも、もこたんも、温厚な性格ではありますが、その性質上一緒にいることは極めて稀なことなのです。
青年は不思議に思い、二匹に何故この様なことになったか尋ねました。
男は先ず話を聞き、それから治療するかを決めようと考えたのです。
先に話し出したのは、左半身を五割ほど失ったちるのでした。

「あたいたちが……おうちにかえろうと……していたら、ふらんに……おそわれたよ」

次に右半身を六割ほど失ったもこたんが言いました。

「わたしたちを……おそったふらんは……たぶんおっきいやつの…てさきだよ」

『大きい奴』という聴きなれない言葉に青年は興味を持ち、ゆっくりたちに尋ねたのです。

「あたいたちのもりに……さいきんあらわれた…まりさだよ」
「わたしたちから……たべものを…うばっていく、わるいやつだよ」

そんな奴がいるなら遠くに引っ越せば良いのでは?と、青年は提案しました。

「わたしも……そうかんがえたけど、むれには……あかちゃんもいるから…できないよ」

ならば倒してはどうだろうか?と、尋ねました。

「さいきょうのあたいでも……かなわないよ」
「だから…・・・みんなにも…きょうりょくを…たのみにいったの」

どうやらこの二匹は、森に住む他の群と共同で大きなまりさを討伐しようと考えていたようです。
青年は考えました。もし大きなまりさとやらが本当にいるとしたら、里の人間にとって脅威になるかもしれません。
しかし、本当にいるか分からない物の討伐のために里の人間を駆り出すわけにもいきません。
そこで青年は考えました。ゆっくりのことはゆっくりにまかせればいい、と。
青年は二匹を治してやろうと決め、家につれて帰ることにしたのです。
道中、青年はゆっくりたちからこれまでの経緯などを詳しく聞きました。




ちるのともこたんの群れは五十匹を超える森で最も大きな群で、二匹は小さな時からずっと一緒でした。
二匹は、群の長老であるぱちゅりーの考えで、赤ちゃんの内に他の群から引き取られました。
二匹を引き取った長老は、自ら二匹を育て、英才教育を施したのです。
最初の内は、群れの仲間達は二匹を一緒に育てて大丈夫なのかと疑問に思いました。
性質の真逆の二匹を同時に育てることは、ゆっくり達の間では考えられなかったのです。

「ひょっとしたら、りょうほうともだめになっちゃうよ」
「いやいや、むれじたいがだめになるかもしれないぜ」

一部ではこのようなことも囁かれていました。しかし、それは杞憂だったようです。
大人たちの心配をよそに二匹はスクスクと育ちました。
しかも二匹は長老ぱちゅりーの英才教育を受けていたので、一般的なちるのやもこたんに比べ知能が高くなったのです。
それ故に氷や炎を少しだけ制御することができ、それは大きな力になりました。
二匹は、一対一でも捕食種であるれみりゃを、二匹一緒なら、ふらんでさえも撃破することができるほどに成長しました。
『じぶんたちなら、このむれをまもっていくことができる』二匹は、そんな風に考えるようになりました。
実際二匹の戦闘力は、群の中、いや森の中でも通常種としては三本の指に入る実力者となっていました。


大きなまりさが現れたのは、そんなある日のことでした。

「ゆっへっへ…まりささまにたべものをもってくるんだぜ!」

その大きなまりさは、開口一番にそういったのです。
もちろんそんな要求を呑むゆっくりたちではありません。でも、今回は少し様子が違いました。

「むきゅ…みんな、このまりさのいうことをきいてね」

なんと、長老ぱちゅりーが大きなまりさに食べ物を渡すように言ったのです。

「おさ、これはどういうことなんだぜ!」

そう言ったのは群の血気盛んなまりさでした。

「むきゅ、どういうこともないわ。わたしたちのむれぜんいんでかかっても、このまりさにはかなわないよ」
「やってみないとわからないんだぜ!こんなやつ、まりさだけでやっつけてやるよ!」

言うが早いか、まりさは大きなまりさに攻撃をしかけました。
だが、ああっ、結果は火を見るより明らか。まりさの大きさはバレーボールほど。
対する大きなまりさは人間と同等、いや、それ以上の大きさ。この時点でまりさの運命は決まっていたのです。

「ゆっへっへ…ばかなまりさだぜ!」

大きなまりさが、向かってきたまりさに圧し掛かった。

「みたか、おまえたち!まりささまにさからうとこうなるんだぜ!」
「ゆ…ぐ…どけええ……」
「ゆっへっへっへ…それになぁ、まりささまには、さんびきのふらんのぶかがいる」
「ゆがががががが………」
「さらにそのふらんには、いっぴきにつきさんびきのれみりゃのぶかがいる」
「げげげげげげれげれえ……」
「わかったらさっさとたべものをもってくるんだぜ!!!」
「ゆびゃあ゙!!」
「それから、このむれでいちばんびじんなゆっくりをつれてくるんだぜ!」

言いながら大きなまりさが群のゆっくりたちを見回すと、その視線がある一点で止まった。

「ゆ!そこのれいむをつれてくるんだぜ!」
「むきゅ!だめだよ!そのこはひとづまだよ!!」
「まりささまはこころがひろいから、はじめてじゃなくてもかまわないんだぜ」
「むきゅ~、そういうことじゃないの…」
「まりささまのはいぱーへいきですっきりーできるんだから、ゆっくりかんしゃしてね!」
「むきゅ!のぞまないすっきりは、わざわいのたねになるよ!」
「ごちゃごちゃうるさいよ!!こいつみたいになりたくなかったら、ゆっくりはやくしてね!!!」

大きなまりさは、まりさだった物を踏みにじりながら群の他のゆっくりたちに言った。
その光景をちるのともこたんは、憤りながら、同時にある程度冷静に見ていた。
長老の言うとおり、この群の全戦力を投入しても敵わないだろう。
だが、二匹には長老の言葉の本当の意味が分かっていた。
『この群』の全員で敵わなくとも、『この森』の全員でなら勝てる。
長老の言葉の意味を理解した二匹は、その場は従った振りをして、他の群と協力しようと考えたのです。
大きなまりさは、他の群からも食料を奪っていたようで、協力は思ったより楽に得られました。

そして、決行を明日の夜に控えた今日、二匹が家路を急いでいると急にもこたんがふらんに吹っ飛ばされました。
完全に不意を突かれたその一撃で、もこたんは気絶してしまった。
ちるのは考えました。ここでもこたんを喪ったら大きなまりさの討伐は不可能。
さらに相手は機動力に優れるふらん、故に逃走は不可能。
さらに、このタイミングで襲ってくるということは、大きなまりさの部下である可能性が高い。
ちるのの出した結論はこのふらんの撃破、あるいは撃退だった。

「ゆっくりしね!」

ふらんの貫手が迫る。
ちるのはすんでのところでそれを回避する。
続けて第二激が迫るが、これも回避。
さらに、第三激、四激……と続くがそれらを悉く回避する。
一見するとちるのは攻撃をする暇が無いように見える。しかし、それはちるのの作戦だった。
ちるのは全神経を回避に専念することによってふらんの疲労と、もこたんが目覚めるまでの時間稼ぎをしていたのだ。
ちるのに誤算があったとすれば、もこたんの回復が遅かったこと。
そして…

「ゆばっ!」

いつまでも攻撃を回避し続けることができるわけなかったことです。
ふらんは、攻撃を受け動けなくなったちるのを掴み…

「ゆっくりしね!」

噛み付きました。

「さいきょおぉぉぉぉ!!」

ちるのの絶叫が木霊する。だが、そんなことを気にするふらんではない。

「いだいぃい!!やべでええええええええええ!!!!」

そんな悲鳴も、ふらんにとっては良いスパイスになりました。
ちるのを四分の一ほど食べたふらんが、次に目を付けたのは未だに気絶しているもこたんでした。

「ゆっくりしね!」
「おいすぅぅぅ!!?!?!!」

突然の痛みにもこたんは目を覚ましました。
しかし、目覚めた所で状況は変わりません。
もこたんはそのまま、ふらんに食べられるほかありません。

だが、どうしたことでしょう?
もこたんを三割ほど食べたふらんは何処にか飛び去ってしまいました。

「うぅ…あたいたち…たすかったのかなぁ…」
「わからないよ…もう…いっぽもうごけないよ…」
「あたいも……うごけない……もし、えんぐんがきたら……」

しばらくすると身動きが取れない二匹の目に、遠方から歩いてくる人影が映りました………





青年の腕の中にいる二匹の命の灯火は、消えかかっていました。

「おに…いさん……あたい………ひだりが………ぜんしん………いたい……よ……」
「みぎ……がわの…かんかく……がなくなって………きたよ……」

青年はやっとの思いで家に着くと急いで治療をしようとしました。

「あたいより………もこたんを……さきに…なおして………」
「ちるのから……なおして……あげて……」

しかし、青年のとった行動は二匹の予想とはまったく違う物でした。
青年は刃物を持ってきたかと思うと、それをちるのに当て……一気にちるのの体を斬りました。

「さいきょっ!?!?!」

しかも、ただ斬ったのではありません。
本来のちるのの体だったとしたら真っ二つ。正確に右半身のみを残して、左半身を切り落としました。
その光景を見ていたもこたんは、『じぶんたちはここでにんげんにころされるのか』と、思いました。
そして、その刃物は、無慈悲にも、もこたんの右半身と左半身を永遠に切り離した。

「お゙い゙ず!」

青年のは右半身のみとなったちるのと、左半身のみとなったもこたんを正確に貼り合わせ、一匹のゆっくりにしようとしていました。
ちるのも、もこたんも、このままではどちらも助からないと考えた青年の苦肉の策でした。
それでも、助かるという保証は有りませんでした。ただ、小さなころからほとんど同じ環境で育った二匹は、奇跡的に全く同じ大きさでした。
大きさが同じなら成功率は上がるだろう、青年はそう考えたのです。
事実、二匹の融合体は意識はないようだが明らかに生きていて、癒着面はどんどん治っていきました。

そして、朝の六時になったころ、融合体は目を覚ました。
青年は目覚めた融合体に気分はどうか?君はどっちか?と尋ねました。

「おれは……ちるの……いや……もこたん……か?」

融合体は混乱しているようです。

「そうだ……おれは、ちるのであり、もこたんでもある……おれは、ちたんだ!」

なんということでしょう!ちるのの中身であるカキ氷ブルーハワイと、もこたんの中身である唐辛子が混ざり合って、辛いカキ氷になったのです。
辛いカキ氷はカルチャーショックを引き起こし、二匹を一匹にし、さらに別の何かに昇華させたのです。

「たすけてくださってありがとうございます。このごおんはいつかかならずかえします」

本当は今すぐに返したいのだが、大きなまりさの討伐が今日の正午なのだ。だからゆっくりお礼をしている場合ではないのである。
青年もそのことを分かっているので、礼などいらないという事を伝え、ちたんを送り出しました。





さて、ゆっくり達は何故、夜襲をしかけずに、昼間に戦おうと考えたのか?
その理由はいくつかある。
一つ目は、夜は捕食種の時間である。
ただでさえ強大な相手なのに、関係の無いれみりゃやふらんまで出てきたら、それだけで圧倒的に不利になる。
二つ目は、迎撃という形を取れることである。
大きなまりさの住む洞窟に攻め込むことも考えた。しかしそれでは駄目なのだ。
洞窟の狭い通路では数的優位の状況を作りにくい。
さらに、大きなまりさは普段、洞窟の入り口を大きな石で塞いでいるので内部の構造を把握することが出来なかった。
だから洞窟のどこに大きなまりさがいて、どんな恐ろしい罠が仕掛けられているかも分からないのだ。
しかし迎撃ならどうだろうか?
大きなまりさの巡回ルートは決まっていて、いつも同じ時間、同じ場所に現れるのだ。
それならば大勢で待ち伏せできるし、逆に罠を仕掛けることもできる。
三つ目は、これこそが決行を昼間に決めた最大の要因かもしれない。
大きなまりさが巡回中にふらんやれみりゃと会っているのを目撃したゆっくりが一匹もいないのだ。
ゆっくり達は、大きなまりさが部下に身辺警護をさせているのは、自分が寝ている間だけではないのだろうかと考えたのだ。
日中なら相手が一匹だから、それだけで有利になる。
これらの理由から、大きなまりさ討伐は昼間に決行されることになったのだ。





青年の家を出たちたんは、急いで決行場所まで行きました。
他のゆっくり達は、ちたんの姿を見て驚きましたが、説明を聞くと納得してくれました。
普段ならばこうも簡単にはいかないかもしれませんが、状況が状況だけに皆、些細な事と考えたのです。
そして、決行の時。決行場所である草原に集まったのは総勢百匹のゆっくり達。
この数は森に住むゆっくりの戦闘要員の凡そ八割に上る。
各々が木の棒やガラス片等の武器を持ち、大きなまりさの到着を今か今かと待ちわびていた。
そして、太陽が最も高くなる時間、いつものように奴はきたのだ。

「ゆっへっへ…まりささまだぜ!いつものようにたべものとびじんをもってくるんだぜ!!」

そう言って大きなまりさが一歩踏み出すと、足元が崩壊した。

「ゆっくり!?」

大きなまりさは落とし穴にはまったのである。
この落とし穴は深さが一メートルほどあり、大きなまりさの目から下の部分は穴の中に隠れてしまった。
ゆっくり達が何故こんな大きな落とし穴を掘れたのか?それは数の力だった。
昨日この場所を大きなまりさが立ち去ってから日没までの六時間。
今日の日の出から六時間の計十二時間を総勢二百匹に上るゆっくり達が力を合わせて掘ったのだ。
そして、その穴にはまった大きなまりさ目がけ……

「「「「ゆっくりしねえ!!!!!」」」」

十匹のゆっくりが殺到し、各々の得物で大きなまりさを斬ったり突いたりしていく。
一つ一つの攻撃は厚い皮に阻まれて大したダメージにはならない。それでも確実に大きなまりさの体に傷を作っていく。

「こんなちんけなこうげきでやられるまりささまじゃないんだぜ!」

だが大きなまりさも分かっていた。このまま攻撃を受け続けていたらいつかやられてしまう。
そして、ある違和感も感じていた。

「ゆ!あたまのうえのほうがあついんだぜ!!………まさか……」

そう、そのまさかである。

「ま゙……ま゙り゙ざの゙ぼゔじがあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!!!」

大きなまりさのぼうしはちたんの放った炎で燃えてしまったのである。
命の次に大事な帽子が燃えてしまった、その事で大きなまりさの中で何かが切れた。

「うふふふふ……ははは……はーはっはっはっはっは!!!」

大きなまりさは全身にありったけの力を込め、思いっきり跳び上がった。

「ゆご!?」

恐らく三メートルは跳んだだろうか、着地の際下にいたゆっくりを三匹ほど潰し、自身も多少ダメージを受けたようだが落とし穴から脱出したのだ。

「そんなにしにたいならみなごろしにしてやるんだぜ!!」

周囲をゆっくり達に囲まれながらも大きなまりさは全く動じることなく叫んだ。
そして、本当に恐ろしいのはそれからだった。

破壊。

「わ゙がら゙な゙い゙よ゙ー!」

粉砕。

「ちちちちちんぽーー!!」

蹂躙。

「このままではおれのじゅみょうがだめーじでまっはなんだが……」

大きなまりさの一撃で紙くずの様に吹き飛ぶゆっくり達。
一匹、また一匹と命を落としていく。
それでも決して諦めず大きなまりさに立ち向かっていく。

そして、そんなゆっくり達の決死の努力がついに実ったのだ。

「ばかな…このまりささまが……こんなくずどもに……」

火傷、凍傷、切り傷……多くの傷を受けついに大きなまりさは動かなくなったのです。

「そのくずにころされるきぶんはどうだ?」

大きなまりさの前にちたんがやってきました。

「もしおまえがぶかをよんでいれば、かてたのかもしれないのになあ」
「くっくっく…ぶか…だと?」
「なにがおかしい?」
「そんなものがいたら、おまえたちなんかにまけるわけないんだぜ」
「………」
「さあ!ころせ!」
「ああ…そうさせてもらう」

ちたんは大きなまりさに火を放ち燃え尽きるまで見届けました。





「…どうして……どうしておれだけ………」

ちたんは自分以外の生存者のいない草原を見て、一人つぶやきました。

「……かえろう……そして、このことをほうこくしよう………」

それだけ言い残し、ちたんは森の中に消えていきました。





終わり




あとがき
ここまで読んでくださってありがとうございます。
書いてる時にスレでちるの+もこたんの話を振ってた人がいてマジで焦った。
しかも一回間違えて消しちゃって途中の展開を少し端折る羽目に…
あ、大きなまりさがハイパー兵器とか言ってますけど、このSSの世界ではぺにぺにとかまむまむは存在しません。
理由はひぎぃってなるとあれだからです。
それと、辛いカキ氷は本当にあります。
気になる人は名古屋にある『喫茶 マウンテン』というお店で、『マンゴスペシャル(辛口)』というメニューを注文してみてください。


こいつの書いた物
見本市
大会に行こう!
大会に行こう! そして、それから…
ある可能性
うん、この味

byエイム












タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2008年09月14日 08:54
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。