まりさの誕生 1の続きです
たぶんまた変な内容になるかもしれません
が、これを読んで意見をくれれば幸いです

悲劇は起きたって言いながら実際の悲劇はもっと後だったり





ゆっくりにとっての悲劇は起きた

それはゆっくりにとっては悲劇だったが他の動物・・・
少なくとも大型哺乳類から見れば自業自得だっただろう。
何せ相手は山の神である熊でさえ余程の事が無いと手を出さない相手・・・
手を出せば、確実に殺されてしまうような相手に正面から喧嘩を売ったのだ。

それはぱちゅりーが数日以内に初雪が来るだろうと予見した日。
森のゆっくり達が冬ごもりに向けてラストスパートをかけようとした日だった。
あの赤まりさを嫌っていた姉まりさたちも
「なんかゆっくりできない気がする」
なんていう理不尽極まりない理由で赤まりさをいじめることは無くなった。
また、赤まりさは他の家族にも受け入れられた。
母まりさと父まりさはこれでやっと安心できると言って泣いて喜んだがぱちゅりーは手放しでは喜べなかった。

今は冬ごもり前、つまりどの家族も赤ちゃんがいない。
もしかしたらあの赤まりさを必要以上に排除しようとするのは子供だけなのかもしれない。
子供というのは妙なところで非常に敏感な生き物だ、もしそうなら春になればまたこの子は虐められてしまうのではないだろうか?

そんなぱちゅりーの心配をよそにこれから餌探しに出発することをぱちゅリーに告げる変異まりさ。
(もう成体とほとんど変わらない大きさなのでこれからはこう呼称する)
これから餌探しもラストスパートだということ、この子ももういじめられないし大きくなったから・・・
と、母まりさが連れていくことを決意したのだ。
「むきゅ!ちゃんとおかあさんとおとうさんのはなしをよくきいてね!!!」
「ゆ!!!だいじょうぶだよ!!!じゃあそろそろじかんだからいくね!!!」
「まって!、まりさ!!」
「ゆゆ?なあに?」
「わかっているとおもうけどぜったいにみなみのかわをこえようとしたらだめだよ!」
「わかってるよ!!!かわのさきはにんげんのいえがあるもんね!!!」
「さいきんそのことをわすれるゆっくりがいるみたいだからきおつけてね!!!」

ここ数日餌をとりに行ってかえってこないゆっくりがふえた、
人間に襲われた可能性が高いと判断したぱちゅりーはそれこそしつこいくらいに周りの家族に人間の危険性を説いて回った、
このときぱちゅりーは変異まりさだけでなくその親にももう一度念を押すべきだったのだ。

姉ゆっくりの変異まりさへの虐めは無くなった。
無くなったが、また新しい虐めが始まった。
それもゆっくりにとってはとても理不尽な内容で、
ゆっくりできないからいじめるというのはゆっくりから見ればまだ苛める側にも同情の余地はあったのに。

変異まりさは他のどの姉まりさよりよくぱちゅリーの話を聞いた。
姉まりさ達が食べる気もないちょうちょを追いかけまわしている時は食べれる草、食べてはいけない草について教わった。
姉ゆっくり達が親と狩りに行って、転んだだけで泣き叫び野犬を呼び寄せてしまった時は消極的なれみりゃの対処法を教わった。

親が子供を育て、姉が妹をいじめている間、
この変異まりさは親をもしのぐ知識を持つようになり、ぱちゅりーが居ない時に親の手助けをするようになった。

面白くないのは姉まりさだ。
最近むずむずがあんまり気にならなくなったなとおもったら今度は両親にあんなに構ってもらっている。
しかもそれだけの知識があるから小さかった時みたいに虐める理由がない。
その結果、姉まりさは親に見えない範囲で変異まりさをいじめるようになった。
でも変異まりさは決して他のゆっくりに訴えようとしなかったので姉まりさ以外誰も気付かなかった、
(もしじぶんがおかあさんにたすけをもとめたところでもっとひどくなるだけ)
小学生の苛めと同じだ。
一度目をつけられたらいじめられる、
先生に訴えたらしばらくは無くなるがすぐにもっとひどくなって帰ってくる、
もし反撃しようものならいつの間にか自分が悪者になる。
ならどうするか、相手が飽きるまで耐えればいい。


この家の周りはほとんど餌がなくなってしまったらしい。
そう考えた父まりさはもう少し南側に行くことにした、
母まりさも賛成した、南にいけば川がある、川のそばにはまだ餌があるはずだ、巣の封鎖用の資材もある。
そういえばもうすこしいったらもっといっぱい餌があるところがなかったっけ?

「ゆっ!みんな!もう少し移動するよ!ここにはもう食べ物はほとんどないからね!!」
「みんなゆっくりおかあさんたちについてきてね!!!」
「おかあさん!ここにまださんさいさんがあるよ!!!」
「これいじょうあるくのはいやだよ!!!」
いろいろ文句をたれる姉まりさたち、たしかに姉まりさたちの言うとおりほんの少しだが山菜が生えている。
「だめだよ!!ぜんぶたべたららいねんはゆっくりできなくなるってぱちゅリーがいってた…ゆべっ゛!!!」
その瞬間最後尾を歩いていた変異まりさがつまづく、
傍目には自然に転んだように見えるが実は姉まりさの一匹が顎を引っかけたのだ。
「だいじょうぶ!?まりさ!?」
「だいじょうぶだよおかあさん!!じぶんでじぶんにゆっくりつまづいちゃっただけだよ!!!」
「まりさはどじだなぁ」
「ゲラゲラゲラ」
「さすがぱちゅりーににてゆっくりどじだなぁ!!!」

変異まりさが転んだ回数が2桁に上る頃まりさ一家は目的地に到達した。
だが、残念なことにそれは人間の家であった。

変異まりさ姉に足を引っかけられないか、親において行かれないか?
ということだけを考えてしまいゆっくりにとってかなり大きい橋のど真ん中を渡ったことに気がつかなかったのだ。

「みてごらん!!!ここならおやさいがたくさんあるよ!!!」
「みてみておかあさん!!!こっちにはにくまんがぶらさがってる!!!」
もちろんれみりゃの胴体だ、だが服を脱がされ、首と手足を切り取られているためゆっくりには気づけない。
「こんなにすてきなところならここでふゆごもりしたほうがいいね!!!」
「そうだね!!!」
家族みんながここをゆっくりぷれいすにしようとしている、
だが変異まりさにはここが人間の家だとわかっていた。
『むきゅ、にんげんのいえはもりにはえているきとはちがうかたちをしているからはいったらだめよ』
『むきゅきゅ、おやさいがいちれつにならんでたらそこはにんげんのなわばりよ』
『むきゅきゅきゅ、いまのじきはすみっこにかたまってるかもしれないわ』

「おとうさん!!!おかあさん!!!ここはにんげんのうちだよ!!!」
「だいじょうぶだよ、まりさ!!!だれもいないよ」
「だからここはこれからまりさたちのゆっくりプレイスだよ!!!」
「そうだよ!!!まりさはしんぱいしょうだなぁ!!!」
「いつもえらそうにじまんしているくせに」
「こういうところはだめだね!!!ゆっくりとして!!!」
「「ゆっくりだめだね!!!ゲラゲラゲラ!!!」」
むろんいつも自慢しているわけじゃない、親が困ったらそのつど助けただけ。
でも今はそんなことはどうでもいい、確かにこの家にはだれもいない。
きっと空家なんだ。そう変異まりさの餡子脳は理解した。



なんてこった。
自宅に帰ってきた俺は後悔した。
ドビラを開けると響くのは何度も聞いたゆっくりの声。
台所に行くと米やお菓子が散乱し、ゆっくり達が
「むーしゃ♪むーしゃ♪」
「しあわせ~!!!」
とか叫んでいる。
しかも今晩食べようと思っていた八雲印のお稲荷さんとみすちーちゃんのヤツメウナギがばらばらに・・・
あああ、まて、それは俺のいのちのつぎにたいせつなえーりんのなましゃしん…
「これたべものじゃないよ!!!ゆっくりまずい!!!」
「ゆっくりできないならしね!!ゆっくりしね!!」
ビリリッ!!
天狗の新聞の切り抜き、数少ない笑顔のえーりんがあっががっががあっががっがが・・・

「きみたち、な、なにをしているのかな?」
まだ、まりさたちにとって幸運だったのはこの人間がとりあえず対話で解決しようと思ったことだ、
無駄とは分かっていてもやっぱり生きている者を殺すのは抵抗がある・・・たぶん。
写真は天狗に頼めばまだあるかもしれないしウナギとおいなりさんはまた買えばいいや…

「ゆゆっ!?だれ!?」
「ここはまりさたちのおうちだよ!!!ゆっくりできないひとはゆっくりでていってね!!!」
「ゆゆ!?おとうさん?おかあさん!?にんげんになにいってるのおぉぉぉぉ!?!?」
「ここでゆっくりしたいならごはんをもってきてね!!!」

男は諦めた、やっぱゆっくりはだめだ、しかも全員まりさだもん、当然かな。

そのとき一匹の姉まりさが男の足もとに這いずってきた。

「ゆ…ゆ゛…ゆうぅ…」
なんと口から糞のようなものを出している、男は一瞬何が起こったのかと目を疑ったが出されたものを見て動きが止まった。
姉ゆっくりが出したもの…
それはえーりんの写真と味噌を租借し少量をあんこを混ぜて出したものだった。
「ゆっ!!まりさのくそをたべたらゆるしてぶべら゛あ゛っ゛!!!」
一瞬で姉まりさが消えた、
そこにあるのは男の足とその下に広がる黒いもの。
「お゛ね゛え゛ち゛ゃ゛ん゛がぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
「どお゛じでごん゛な゛ごどずる゛の゛お゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛!?」
「それはここが俺の家だからだあぁぁぁ!!」

まずい
そう変異まりさは思った、
なぜこの人間が怒っているのかは理解できない、
でもこの人間が怒っているのは事実。
これは逃げるしかない、
でも自分たちが入ってきたところは人間の後ろ、逃げる前に殺されてしまうだろう。

「ゆゆっ!!まりさ!!!」
「まりさっ!!ゆっくりあれをやるよ!!」
父母ゆっくりが並んで人間の前に出てきた。
「やっちゃえ!おかあさん!!」
「そんなゆっくりできないやつはゆっくりころしちゃえ!!」
姉まりさは期待した、両親なら何とかしてくれる、
自分が野犬に噛まれそうになったとき見事な連携で犬を追い払ったこの両親…
「「ま゛り゛さ゛た゛ち゛はどうなって゛もい゛い゛からこ゛どもたちはゆるしてね!!!」」

「ゆ?」
今この親は何て言った?
自分たちはどうなってもいいから?

「本当か?俺は約束を破るやつは嫌いだぞ?」
「だいじょうぶ!!まりさはまりさとゆっくりまもるよ!!!」
「まもるよ!!!」

まだゆっくりにとって幸運だったのはこの男が虐待自体は趣味でないこと、約束を守る相手には好感を持つこと、
そして、いつもは子供を裏切るはずのまりさが夫婦そろって自分を犠牲する・・・そのことに感動を覚えたこと。

「わかった、お前たち二人は殺す、だが子供は見逃してやる」
「ありがとう!!これでこころおきなくゆっくりできるよ!!!」
「まりさはまりさといっしょにゆっくりできるよ!!!」

なんと、さっきまで濁点が多かった言葉がもう普通になってる、見上げた饅頭だ。

「安心しろ、一瞬で終わらせてやる、二匹一緒にな」
男は嘆いた、ここまで子を想う親を殺さねばならぬことを、でもこの男は約束を破るのも、破られるのも大嫌いなのだ。

「そおおぉおおおい!!!」
男はわざわざげんのうを持って来て二人同時にたたきつぶした。
立派なことに饅頭がつぶれる音以外は一切しなかった、
男は家のドアを開け、子まりさたちを外に出した。
「さあ、いけ、親の残した命を無駄にするなよ」

ありがとうお母さん、お父さん!
あの恐ろしい人間からまりさたちを救ってくれた!
変異まりさは自らの命を捨て自分たちを救ってくれた親の死を悲しみながら姉たちと…
姉達はどこ行った?
後ろを振り返ると姉たちは「ゆっくりしねぇぇ!!」とか叫びながら人間にとびかかってるではないか!!

お父さんもお母さんも弱虫だ、まりさたちが本気を出せばならこんな人間イチコロだ、
姉たちの餡子脳はそのような結論をはじき出し、人間と戦うという選択をしたのだ。
命を賭けるそれだけの魅力をこの家が持っているとも言えるし、姉まりさたちが唯の馬鹿だったとも言える。
引き返さないでそのまま逃げたら振り切れたのに。
そして男はこうなることを予想していた、子まりさ共は一匹以外周りが見えていないように感じたから。
「ひゃっはぁ!!饅頭が帽子被ってやってきやがった!!」

そしてゆっくり達にとっての不幸。
あの人間は人間と妖怪以外との約束はしない主義だったのだ。
そして男は、自分に危害を加える相手もまた、大嫌いだった。


まりさは走った。

ひたすら走った。

降り始めた雪の中を、ただただ生まれた森に向かって走った。
その眼はゆっくりとは思えないほどの憎悪に満ちていた。
にんげんはくずだ、やくそくをまもらない。
あねたちもくずだ、じぶんをいじめたから、おとうさんとおかあさんのいしをむだにしたからしんでとうぜんだ。
じぶんはくずじゃない、くずならいまいきていない。

まりさは人間への恨みの言葉を吠えながら森へと消えていった。
いつかあの人間に復讐することを誓って。
もう、姉のような屑ゆっくりが生まれないことを願って。

変異まりさの雄たけびは激しくなった吹雪にかき消された。




あとがき
どうも、セインと名乗ろうか零戦二十一型と名乗ろうか決めかねている作者です
後半の親まりさ殺害シーン、打ってるときは気にしてなかったのに今見返すと
なんかギャグじゃないのかという雰囲気

予定ではこのあと2つほど続きます

つづけれるかなぁ?


7月27日 1730
まりさの誕生 3

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最終更新:2022年05月03日 17:58