『ドスって泳げるの?』
「…………」
「「「「ゆぴぃ~ゆぴぃ…」」」」
「「「「ゆぅ~ゆゆ~ぅん…」」」」
コトッ……
「……ふふっ……」
「どすぅ!!!にんげんさんがきたよ!!」
「しろいにんげんさんがきたよ!!」
「ゆ!ド…ドスは今忙しいのに…」
ある群に白衣を着た虐待お兄ちゃんがやってきた。
「おにいさん!いったい何の用?ドスは今忙しいんだよ!!」
「いやぁ忙しいところ悪いね。すぐ終わるよ。ちょいと調べたいことがあってね」
「調べたいこと?」
「むきゅ!おにいさんははかせね!ぱちぇにはわかるわ。しろいふくをきているにんげんさんはあたまがいいのよ!」
「そ…そうなの?」
「ああ。実は今ドスについて調べていてね。何すぐ終わるさ。質問に答えてくれるだけでいい」
「ゆっくりしないではやく質問してね!」
「ドス、君は泳げるの?」
「「「「ゆ!!??」」」」
いつの間にかドスと彼の周りにゆっくりが集まっていた。
「れいむ、どすがおよいでるところみたことないよ」
「まりさはおよげるんだぜ!でもどすは……」
「ゆ!ゆ!…泳ぐ?…ゆ!ゆ!?」
ドスは悩んでいた。ただのまりさだった頃は泳げた。何回も泳いだことがある。しかしドスになった今も泳げるのだろうか?
ドスになってからは泳いだことがないためわからないでいた。
「ドスは昔まりさだったんだろ?」
「そうだけど……ドスになってからは泳いでないからわからないよ…」
1匹のゆっくりが声を上げた。
「きっととかいはにおよいでみせるわよ!」
「そうだよー!どすにできないことなんてないんだねー」
「ゆ!れいむもそうおもうよ!」
「どすならきっとおよげるんだぜ!」
「ゆ!そ…そうだよ!!ドスは泳げるよ!」
群れのゆっくり達の前で泳げないとは言えなかった。実際泳げるかどうかはやってみないとわからない。もしかしたら泳げるかもしれない。
「ふぅ~ん…」
虐待お兄ちゃんが次の質問をしようとしたとき1匹のゆっくりが遠くのほうから叫びながら走ってきた。
「どすううう!!!!どすうぅぅ!!!!たいへんだよ!!!みつかったよおおお!!」
「ゆ!みつかったの!!みつかったんだね!!」
「「よがっだあああ」」
「「ゆええぇええん!!!!よがっだよぉ」」
群れのゆっくり達が涙を流しながら喜び始めた。
「何だ?何が見つかったって?」
「ゆ!お兄さんは知らないよね。昨日群れの子供たちがいなくなっちゃったんだよ。朝からみんなで探してたんだよ!」
「そうか。じゃあドスが忙しいってのは指示出してたからか。いや、そんな大事な時に来てしまって申し訳ない」
だが伝令役のゆっくりの様子がどこかおかしい。ドスの前までやってきた伝令ゆっくりが息を切らせながらドスに報告を始めた。
「ゆ!ゆっくりしてね!見つかったんでしょ!?」
「はぁ…はぁ…みつがっだけど……みつげたけど…はぁ…はぁ…」
「ど…どうしたの!!!???おちついて話してね!!!!お、おちついてね!!」
「うまくせつめいできないよ!!ふぅふぅ……とにかく!!とにかく…まりさについてきてね!!」
伝令まりさの指示通りドスはついていった。何事かと虐待お兄ちゃんや他のゆっくり達もついていった。
「ゆええぇええぇえん!!!!!!ゆえぇええぇえん!!!ばりざがああ!!!ばりさあああ!!」
「どうじだらいいのおおお!!!!??」
「だずげでよおおおおお!!!だれがああああ!!!」
湖の畔でゆっくり達が泣き叫んでいた。
「つれてきたよ!!!どすがきたからもうあんしんだよ!!」
「「「「どすぅぅぅ!!!!!なんどがじでよおおお!!!」」」」
「ゆ!どうしたの!!!ゆっくりしないで説明してね!」
伝令まりさに連れられて湖の畔にやってきたドスに先着していたゆっくり達が群がった。
「みんなで…みんなでさがしたんだよ…」
「みつけたんだよ……あそこに…おちびちゃんがいるの…」
この湖には小さな離れ小島がある。畔から30m程先に位置している。
「ゆ!ほんとうだよ!!あそこにおちびちゃんたちがいるよおお!!!」
「「「「おちびちゃああぁあぁん!!!!」」」」
「「いまだずげるがらあああああ!!!!」」
ドスとともにやってきたゆっくり達は小島にいる我が子に向かって声を上げた。
「だげどね…だげどn……ゆっぐ…えっぐ…」
「まりさたちが……まりさたちがね…むかったんだげどね……」
「みんなしずんじゃっだよ…れいむの…れいむの…ゆわあぁあぁああん!!!!ばりざああああ!!!!どぼじでしずんじゃっだのおお!!??」
虐待お兄ちゃんは小島を見ていた。確かに小島には子ゆっくりがいる。ただあの透明な箱にびっちりと詰められていた。多分この群れの子ゆっくりのほとんどがいるのだろう。
明らかに誰かが攫って閉じ込めたはずだ。小島にはその他に数匹のゆっくりがいた。どれも金髪だった。湖を渡れて金髪ということはまりさ種であろう。
運良く小島に辿り着いたのだろうか。ただしどのまりさも帽子をかぶっていなかった。小島に着くころには帽子が限界だったのだろう。
そして湖畔から小島までの間には沈んでいったまりさ達の帽子の一部であった何かが浮かんでいる。所々黒いものが見える。沈んでいったまりさ達の中身だろう。
「ど…どうしたら…どうしたらいいの!!??」
「わ…わからないよ…」
「ぜっがぐみづげだのにいい…ゆわああぁああぁあん!!!」
湖畔に集まったゆっくり達は何もできずにパニックに陥った。泣き出したり助けを求めたり。嗚呼五月蠅い五月蠅い。
「じゃあさ、」
虐待お兄ちゃんが提案した。
「俺が助けに行ってやろうか?」
「「「「「ゆ!!!」」」」」
ゆっくり達は驚いた。いつの間に人間がいたんだろう?でも今はそんなことはどうでもいい。それよりもその提案だ。
「ほ…ほんとうに?」
「ああ」
「おちびちゃんたちをたすけてくれるの?」
「ああ」
「「「「「「おでがいじまず!!!だずげでぐだざいい!!!」」」」」」
群れのゆっくり達は彼に頭を下げた。
「ドスからもお願いするよ!!!お兄さん!!」
「んじゃちょっと待ってな」
彼はそういうと湖沿いに歩き出した。
「確かこの辺りに……」
実はここまで全て虐待お兄ちゃんの筋書き通りだった。群れの子ゆっくりや赤ゆっくりを攫ったのも彼。
『お前らお菓子欲しくないか?』
『ゆ!おかし!おかし!』
『おじさんゆっくりしないでちょうだいね!』
2日前彼は森の中で2匹の子ゆっくりにラムネを与えた。
『しあわせぇ!』
『これすごいおいしいよ!』
『もっとほしいよ!』
『もっとちょうだいね!』
彼が与えたのはたった1粒だった。
『まだ欲しいのか?残念だなあ。今日はもう持ってきてないよ』
『そんなああ』
『あまあまさんもっとたべたいよお!!』
『じゃあさ、明日も来てあげるから』
『ほんとう!!』
『だけど条件があるよ』
『じょ…じょうけん?』
『簡単なことさ、明日ここに君たちのお友達をたくさん連れてきてくれればいいのさ』
『まりさはいっぱいいっぱいおともだちがいるよ!』
『れいむにもいっぱいいるよ!』
『じゃあ明日連れてきなさい。一杯来てくれるって分かってたら山のように持ってきてあげられるから』
『やまのように!!!』
『ゆゆぅ~ん』
『ああそうだ、このことは大人には内緒だよ。君たちのお母さんやお父さんにも。取られちゃうかもしれないからね』
『ゆ!』
『わかったよ!!おかあさんたちにはないしょにするね!』
こうして2匹の子ゆっくりは群れに帰り友達の子ゆっくり達にこっそりと教えた。
『あまあまさんがたべられるの!!??』
『おかあさんたちにはないしょなんだね。わかったよー』
『おねえちゃんばっかりじゅるいよ!りぇいみゅもいくよ!』
『ちょかいはにゃおかちをたべにいくよ!』
次の日、即ち昨日群れの子ゆっくりや赤ゆっくりは遊びに行くといって群れを出た。いつもであれば中々巣から出られない赤ゆっくりも
親の目を盗んでこっそりと外へ飛び出した。
『ゆ!このしろいのがおかしなんだね!!』
『おいちちょうだよ!』
約束した場所にはすでに白くて丸くて小さいものが転がっていた。何匹か他の成体サイズのゆっくりもいた。
『ゆ!』
『たいへんだよ!はやくしないとたべられちゃうよ!』
『ちろいのはまりちゃがいちゃだくよ!』
子ゆっくり達は殺到し我先にと白くて丸くて小さい物体を食べ始めた。
『『『『『むーしゃむーしゃ……』』』』』
『『『『『むーちゃむーちゃ……』』』』』
ちなみにこれはラムネではありませんよ。
『『『『『ぜんぜんおいしくないよおおお!!!』』』』』
『『『『『あみゃくにゃいよおおおお!!!!』』』』』
子ゆっくり達は騒ぎ出した。だがそう長くは続かなかった。
『ゆ…なんだかねむくなってきたよ…』
『まりちゃはおにぇみゅのとちゅうだったんだよ……』
『ゆぴーゆぴー』
『おやすみなさい…』
ラムネではなく睡眠薬だった。白くて丸くて小さいものということで無警戒でがっついたのがいけなかった。
『おお。寝てる寝てる』
少ししてから虐待お兄ちゃんが箱を持ってやってきた。眠っている子ゆっくり達をどんどん箱に入れていく。
『これはイラネ』
と成体ゆっくりは遠くに投げ飛ばした。子ゆっくり達が来る前に睡眠薬をばら撒いておいたがそれを飲んでしまったのだろう。
『これでいいかな。しかし相当来てたな。まさか箱が一杯になるなんて』
事実群れのほとんどの子ゆっくりと赤ゆっくりが来ていたのだ。
『あとはこれをあそこに置いて……明日が楽しみだ』
夜中になってからボートで湖の離れ小島に箱を置いてから湖畔に戻り草陰にボートを隠した。
「あったあった」
彼は草陰からボートを見つけると小島に向かって漕ぎ出した。
「おにいさああん!!!!」
「あともうすこしだよ!!」
湖畔と小島からゆっくり達の声援が聞こえる。程なく小島に着いた。
「じゃあまずはこれを」
彼は箱をボートに乗せるとボートに戻った。
「お…おじさんまってよおお!!!」
「まりさもつれでっでよおおお!!」
運よく小島に辿りついていた帽子無しまりさ達が彼に近づくが彼は相手にせずボートを漕ぎ出し小島を離れていった。
「ばりざもがえりだいよおおお!!!!」
「ゆえぇええぇえん!!!!まっでよおおお!!」
一方湖畔からは
「おにいさああん!!!ありがとおおおおうう!!!!」
「はやくおちびちゃんにあいたいよ!!!」
と命の次に大切な帽子を無くしてまで小島にたどり着いた勇者とも言えるまりさ達のことを忘れて歓喜の声を上げていた。
「おにいさんはやくもどってきてね!!」
しかし様子がおかしい。待っても待っても虐待お兄ちゃんは戻ってこない。それどころかさっきよりも遠くの方に……
「お…お兄さん!!こっちだよ!こっち!!」
「ゆっくりしないでもどってきてよおお!!!!」
だが彼に戻る気配は無い。湖畔から50m程離れたところでドスは気づいた。
「ゆがあああ!!!!騙されだああ!!!!」
「どすうううう!!!!!どぼじだらいいのおお!!!!??」
「がえじでええええ!!!!あがぢゃんがえじでよおお!!!!」
群れのゆっくり達も段々理解したようだ。
「ごろじでやるううう!!!!」
ドスは必殺のドススパークを撃つ準備をした。
「むきゅ!!!!!??だめよ!!!だめよ!!!!!どすすぱーくをうったらこどもたちもあぶないわ!!!!」
中々鋭いぱちゅりーである。確かにボートにドススパークを打ち込んだら子ゆっくり達もただでは済まない。もっとも既に50m程離れている。
射程外であるため撃っても無駄だろう。
「じゃあどうじだらいいのおお!!!!!??」
ドスもパニックに陥った。このままでは子供達を救うことができない。
「ゆ!!そうだよ!!!」
1匹のまりさが叫んだ。
「どすがおよげばいいんだよ!!!!」
「ゆ!そうだよ!!どすもおよげるんだよ!!」
先程のドスと彼の話を聞いていたのだろう。この場で思い出したようだ。
「どすもおよげるんだ!!!!!」
「むきゅ!!!そうよ!!!!どすはむかしまりさだったのよ!!!およげるはずよ!!」
「どすうううう!!!!!」
「どすうううう!!!!おねがいだよ!!!」
「「「「おちびちゃんをたすげでくだざいい!!!!!」」」」
群れのゆっくり達はドスに対して頭を下げた。
「わ…わかったよ!!!!ドスが泳いで助けに行くよ!!」
今も泳げるかどうかドスは分からなかった。だが今は行くしかない。
「何やら騒がしいなあ。え~。お!ついにきましたか」
一方虐待お兄ちゃんはボートを止め後ろを向いた。ドスは帽子を脱ぎ今まさに帽子の上に乗ろうとしているところだ。
「まずは乗れるかなあ…」
彼の予想では沈むとみていた。帽子の大きさが通常ゆっくりの何十倍もあるとはいえ素材は同じだ。本体が通常の何十倍の大きさであり
同じ数倍のサイズだからといって通常と同じく乗れるとは限らない。
「ゆ!!っゆ!!!!!」
ドスは昔の記憶を頼りに恐る恐る帽子に乗った。体を揺らしながらバランスを保ちついに乗ることができた。
「うかんだよおお!!!!」
「がんばってね!!!」
湖畔ではゆっくり達が色めきたっていた。
「ほお…まったく…出鱈目な話だよ」
だがまだ彼は余裕だった。
「少しづつ漕ぐか。ま、ここまで来れるわけないけど」
なぜそのようなことが言えるのであろうか?
「ど…どすう!!!!???」
「なにしてるの!!!!??ゆっくりしないでおよいでね!!!」
「ゆ!!!!????っゆ!!!!???????」
彼の予想通りドスはやってこない。ドスはというとキョロキョロして何かを探している。
「ゆあああああああ!!!!思い出しだああ!!!!無いよ!!無い!!!!オールが無いよおお!!!!」
「「「「ゆ!!!!」」」」
そう、オールが無いのだ。オールが無ければボートだって進まない。流れの無い湖ではオールで漕がなければ進まないのだ。
そもそもドスがオールを持っていることは無い。というのもドスが使うサイズのオールともなると小さな丸太サイズになってしまう。
そんなものそう簡単に見つけることはできない。またオールは時には武器になる。まりさ種はオールで敵を殴ったり突き刺したりすることがあるため
帽子の中にオール兼武器として木の枝をしまっておくがドスの武器はドススパークと己の肉体である。必要が無いのだ。
「さあて…どうするかなあ…」
こうなるとやることは1つだけである。
「ゆ!!!!!!!!!っゆ!!!!!!!っゆうううう!!!!!!!」
ドスは体を捩ったり前後ろに揺れたりした。
「うごいてるよおおお!!!!」
「がんばってね!!!!」
「まえだよ!!!!まえにじじいがいるよお!!!!」
最近水上まりさと呼ばれる品種改良により生まれたまりさ種がペットショップで売られ始めている。水上まりさはオールで泳ぐタイプと
自らの体を上手く体重移動させて泳ぐタイプがいる。後者はオールを使わない。果たしてドスは水上まりさと同じように泳げるのであろうか?
「そっちじゃないよおおおお!!!!」
「まえだよおお!!!!!」
「ゆがああああ!!!!どぼじでもどっでぐるのおおお!!!???」
水上まりさは世に出るまでに多くの犠牲があった。生まれては溺れ死に生まれては溺れ死に…と何代も何代も訓練を重ねようやくその餡子に
泳ぎ方を染み込ませたのだ。ドスといえどもそう簡単にマスターできる技ではない。
「結論、ドスは泳げないってことでいいかな。そろそろじゃないか?」
通常まりさはそう長く水の上にはいられない。事実先程多くのまりさが湖に沈んだ。ドスも同じだ。明らかに通常と素材が同じ帽子ではドスを
長い時間水の上に浮かべられるほどの耐久性は持ってない。むしろ通常まりさよりも浮かんでいられる時間は短いはずだ。
「ゆ!!!」
「た…たいへんだよ!!!!どすがしずんでるよおおお!!!!」
「どぼじでええええ!!!!!!」
「しずんじゃだべだよおおお!!!!うがんでよおおお!!!どずううう!!」
どうやらドスは沈み始めたようだ。既に帽子は水面下に沈んでいるようでドスの底部は水面に浸かっているのだろう。
「ゆがああああ!!!!!どぼじで沈んじゃっでるのおおおおおおおお!!!!!!???」
「どずううう!!!!!おぢづいでよおお!!!!しずんじゃうよおおお!!!」
「じにだぐない!!!!!じにだぐないよおおお!!!!!」
「あばれじゃだべだよおおおおおお!!!!!」
ドスはパニックになり暴れ始めた。が、すぐに静まった。暴れたところで陸地に戻れるわけじゃない。
「どぼじだらいいのおおおお!!!??????」
帽子から(といっても帽子は沈みかけてる)飛び出せばそのまま湖に沈む。かといって動かなければ徐々に沈む。
「ゆがああああ!!!!!!があああああああ!!!!!!!!」
ドスは一心不乱に体を前後左右に捩った。とりあえずどうにかして陸地まで泳ぐしかない。一か八かジャンプをして陸地に戻ろうとも考えたが
足場がふら付いては上手く飛べない。
「どずううううう!!!!」
「どごいっでるのおおおお!!!????もどっでぎでよおおおおお!!!!」
やはりオールが無くては簡単に陸地まで戻れないようだ。
「じにだぐない!!!!!いやだ!!!!!じにだびゅぎゅむぐゆぐびゅびゅうう………」
口元まで沈んでしまった。ここまでくるともはや沈むのも時間の問題だ。
「もう確定だろう。じゃ……」
虐待お兄ちゃんは携帯電話を取り出した。
「もしもし?ああ、ええ。ドスの始末は終わりましたよ。ええ。ああ、もうスタンバイしてますか。じゃあどうぞ」
一方ドスはみるみる沈みついに姿が見えなくなってしまった。
「どずがああああ!!!!!」
「どぼじでしずんじゃっだのおおお!!!!???」
「ゆわあぁあぁああああん!!!!!どずうううう!!!」
湖畔のゆっくり達は泣き叫んだ。そのときだった。
ボンッッ!!!!!!!!
「「「「「ゆ!!!!!」」」」」
「え!!!!!!!?」
ドスが沈んだ辺りから水柱が立った。
「「「「「………」」」」」
「………」
その後ぶくぶくと泡が浮かんだだ。だが数分経っても何も起こらなかった。泡も浮かばなくなった。
「驚かせやがって……最後っ屁か」
ドスは最終手段でドススパークを撃ったのだろう。だが水の中ではあまり破壊力が無い。それにドススパークを撃つには魔法キノコを咀嚼しなければならず
さっきの一発がやっとで最早次は撃てないだろう。
「万事尽きたな。じゃ戻ろう」
彼はゆっくり達がいる湖畔へ向かった。
「た…たいへんだよおおお!!!」
群れの方から1匹のゆっくりが湖畔にいるゆっくり達の元へ走ってきた。
「どうじだの…」
「むれが…むれがあああ!!!!」
「おうぢがどうしたの!!!!???まさか!!!!?」
さらに数匹が湖畔へ走ってきた。
「にんげんがせめでぎだよおおおおお!!!!」
「だずげでええええ!!!!」
「おがあざああん!!!!!だずげでよおおおおお!!!」
「「「「「「「「「「ゆ!!!!!」」」」」」」」」」
そう、さっき虐待お兄ちゃんが電話したのはゆっくり駆除の合図だった。別にこの群れは村に大きな被害を与えてはいなかったがそれも時間の問題。
群れが小さいうちに駆除しようというのだ。虐待お兄ちゃん達が電話した頃には待機が完了していたため今頃群れは壊滅状態だった。
「どぼじだらいいのおおおお!!!???」
「おい、あっちに逃げたぞ!!!!」
「ゆあああああ……にんげんがくるよ…」
「もうにげられないよ…」
「捕まえろ!!」
「ああああ…」
次々と群れを逃げ出したゆっくり達が湖畔に集まってきた。
「もうだめだよ…」
「あああ……」
「もっど…ゆっぐりしたがっだよ…」
1匹のゆっくりが湖に身を落とした。
「ぼっどゆぎゅびゅびゅううびぃんぐぶぶ……」
最後の言葉を言いきることも無く沈んでいった。
「まりさぁ……」
「うん…れいむ…おそらでいっしょに…」
「ゆええぇえぇえん……」
次々とゆっくり達は湖に飛び込んだ。
「へぇ…これは珍しい」
ボートを漕ぎつつ虐待お兄ちゃんは呟いた。ゆっくりが集団自殺するなんて滅多に見られない光景だ。
「まりさも…えいえんにゆっぐり…えっぐ…」
「ぼうじがないと…もうだめだね…ゆっぐりできない…よ…」
小島に取り残されていた帽子無しまりさ達も次々と湖へ飛び込んだ。
こうして彼が湖畔へ戻る頃には群れのゆっくりは皆湖に沈んでいった。
「おー…皆沈んでったのか?」
「そうみたいだな。むしろ手間が省けてよかったじゃねえか」
「あんちゃんのお陰で楽に潰せたよ」
「いえいえ。あ、こいつらどうします?」
箱の中の子ゆっくりや赤ゆっくり達は親が次々と湖に飛び込んでいったのを目の当たりにしてしまったため皆ショックで気絶していた。
「こいつらも沈めますか?箱ごと」
「いや、折角だから今夜の酒の肴にでもするべ」
「そうですね。そうしましょう」
「ところでドスはどうなったんだ?」
「ドスだったら湖の底ですよ。今頃溶けだしてるんじゃないですか?」
「そりゃまずいなぁ…そのうちとんでもない量の餡子やら皮が水面に浮かぶぞ」
「うえええ…今頃そんなこと言われてもなぁ……」
「まあいいさ。元々ここそんな綺麗な水じゃねえし。細かいことは気にするな。帰って飯にするぞ」
「やべえ…急に心配になってきたよ……」
彼らは村へ帰っていった。既に湖ではドスや他のゆっくりの中身が漏れ始めていたが程なく大雨が降り数日後には元の湖に戻っていた。
完
最終更新:2022年05月03日 19:26