ゆっくり潜入するよ!!






ここは都会・・・というほどでもないがそこそこ栄えている街の一角。
最近では町に住むゆっくりの数は少なくなってきた。・・・とはいえ、いまだ街に住むゆっくり多い。
あるものはゴミを漁り、あるものは物乞いをし、あるものは他のゆっくりを襲い生きていた。
当然そんなことをしていれば駆除も行われる。なので町に住むゆっくりは家族がいないものは珍しくない。
この街に住むれいむとまりさもそういったゆっくりであった。

れいむのほうは赤ゆっくりの時に親のれいむとまりさがご飯を取りに行ったっきり帰ってくることがなく。
他にいた姉妹達も病気で死んだり、人間につぶされたり、はぐれたりして結局一匹になってしまった。
そんなあるとき物陰で泣いていたれいむを見つけたのがまりさだった。
このまりさも同じような境遇で家族と別れてしまい以来一人きりなのだとか。
二匹はすぐ仲良くなった。一緒に協力して狩りをし、人間の追跡から逃れ何とか生きてきた。
二匹はお互いを本当の家族のように思っていた。

そして、これはそんな二匹が子ゆっくりほどの大きさに成長したある日の話。


少しやせ気味の男が男がれいむを手に持って歩いている。
そしてすこし後ろからまりさがそれを追いかける。


「ゆぁぁぁぁ!!にんげんざんおねがいでず!!れいむをはなじでぐだざぃぃぃぃぃぃ!!」


「ばりざぁぁぁぁぁぁ!!だずげでねぇぇぇぇぇぇぇ!!」






時間は少しさかのぼる。
同じ日の早朝、れいむとまりさはなじみの狩場であるゴミ捨て場に向かっていた。


「れいむ、おそいよ!!はやくしないとにんげんさんがきちゃうよ!!」


「まってねまりさ!!ゆっくりしてね!!」


ぽいん、ぽいんと跳ねる二匹。しかしそこに迫る影・・・


「ゆゆ!!そこをどいてね!!」


「まりさたちがさきにごはんさんのところにいくよ!!」


  ぼいんっ!!


「ゆべっ!!」


「ゆぎっ!!」


ゴミ捨て場目前のところで他の成体サイズのれいむ、まりさに跳ね飛ばされてしまった。
二匹はここまで生き残ってきたとはいえ所詮は子ゆっくりサイズのゆっくりにすぎない。
サイズの問題までははどうしようもないのだ。


そうして二匹はまんまと追い抜かれてしまった。
直後に「ゆぎゅあああああああああああああああ!!」と先ほどの二匹の声が聞こえた。
前を見ると今二匹を吹っ飛ばした他の二匹が罠にかかっていた。


どうやら人間が仕掛けたのだろう。まりさは引っかかったのが自分達でないことを感謝した。


「ゆぐぐ・・・だいじょうぶれいむ?あのれいむとまりさはゆっくりできないね・・・ゆゆっ!!どうしたのれいむ!!」


「ゆっ・・・いちゃいよぉ・・・まりさぁ・・・」



れいむは皮に大きな裂け目ができていた。おそらくさきほど吹っ飛ばされたときなにかで切ったのだろう。
裂け目自体はゆっくり特有の高い治癒力で数日もすれば治るだろう。
が、都会のゆっくりはこういった裂傷から菌が入り、中から腐っていくことがある。


せめて傷口だけでも綺麗にふさぐ必要がある。それにはまずこんな道の真ん中から早くどかなくてはならない。
しかしこのまま大きな裂傷を負ったれいむを運ぶことは不可能だ。
結局そのままその場でオロオロするしかないまりさだった。
そこに唐突に人間が現れ、傷ついたれいむを見るなり抱えて持っていってしまったのだ。


そして先ほどの場面に至る。


「まっで!!おねがいでず!!でいぶはばりざのゆういつのどもだぢなんでず!!つれていがないで!!まっでぇぇぇぇ!!」


「まりざぁぁぁぁぁ!!だずげでぇぇぇぇぇ!!でいぶじにだぐなよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


まりさの必死の呼びかけも男には通じずまりさと男の距離はどんどん離れていく。
しかし男は急に一軒の家に入っていった。どうやらそこが男の家のようだ。
男が鍵を取り出しドアを開け中に入ろうとしたときまりさもようやく男に追いついた。ドアの中に消えていくれいむ。


「まりさぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「れいむぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」


必死に閉じていくドアに飛びつくまりさ。


  びたーーーん!!


しかしドアはまりさが入る前に閉まってしまいドアに顔面を強か打ち付けてしまうまりさ。


「ゆびぃぃぃぃぃ!!いぢゃいぃぃぃぃぃ!!」


どうやら歯が何本か折れているらしくゴロゴロ地面を転がり痛みを抑えようとする。
数分後まりさはなんとか立ち直り、ドアに体当たりをはじめた。


「にんげんざぁぁぁぁん!!おねがいでず!!れいむを、れいむをかえしてくださぃぃぃ!!」


痛む体を必死にドアに打ちつけるが頑丈なドアはびくともしない。
やがて意味のないことを悟ったのかまりさは裏手に回り窓の見える位置に潜んだ。
以前のゆっくりならば窓を割ろうとしてすぐにでも窓に近づいていっただろうが最近は窓の強度が上がり窓が簡単には割れることはない。
それにゆっくりが人間にかなわないことも都市に住むゆっくりたちの共通の認識になっている。
それ故ドアからならともかく姿が丸見えの窓から出て行けば身を隠すまもなくつかまって永遠にゆっくりさせられてしまう。


なのでまずまりさは身を隠し、れいむと家の様子を見ることにしたのだ。
しばらく待っていると男がなにかの箱とれいむを抱えて窓のある部屋にやってきた。


「ゆ!れいむ・・・だいじょうぶかな・・・?」


まりさが小声で呟く。
すると男はなにやら箱からスプレーを取り出し、れいむの傷口になにかを吹きかけている。
れいむは身をよじって男の手から逃げようとしている。声は聞こえないがきっと
「いぢゃぃぃぃぃぃ!!やめちぇぇぇぇぇぇ!!」
といっているの違いない。
あれはきっと噂に聞く虐待お兄さんだとまりさは当たりをつけた。
虐待お兄さん・・・ゆっくりにとって最悪の敵。つかまれば一生。いや、その魂すらゆっくりできないと噂されている。
あのままではれいむはきっとゆっくりできない。何とかして助けなければ・・・。まりさはそう固く誓った。
まずまりさはねぐらからダンボールを持ってきた。そのダンボールはまりさがちょうど入れる程度の大きさのものだ。
まりさはこのダンボールに何度も助けられてきた。レイパーに狙われたとき、猫に追いかけられたとき等など。
昔知り合いだったぱちゅりーのいうことには


「むきゅ、そのだんぼーるさんはすごいのよ!!それにかくれればぐんじんさんにもてろりすとさんにもみつからないらしいわ!!」


とのことだ。まりさにはぐんじんとてろりすととかいうのが何なのかは知らなかったがともかくこれをかぶっていれば誰にも見つからないという自信になった。
ちなみにそのぱちゅりーは間違って唐辛子を食べて死んだ。


ともかくコレさえあれば人間の家にすら忍び込める。まりさはそう思っている。
そして再び物陰に潜むまりさ。中を見るとれいむは疲れて眠っているようだ。
あとはタイミングだ、前述したように窓は頑丈で破れないし、ドアの隙間から入るのも難しいだろう。
ならばやはり古典的に人間が窓を開けっぱなしにした隙を狙うしかない。
そのチャンスは意外と早く来た。何を思ったのか男はれいむの居る部屋の窓をすこしあけたままどこかに行ってしまった。
ともかくチャンスである。


「ゆ!れいむ、まっててねいまたすけにいくよ・・・!!」


まりさはさっと物陰から飛び出し窓のほうに向かって行く。
まりさは芝生を突き進み縁側に素早くジャンプ、その窓の隙間からダンボールごと自身を押し込み部屋の中に入り込んだ。
ここまでは順調・・・。しかし、そのとき廊下の向こうから足音が近づいてくる。


「れいむ、いまいくよ・・・ゆ?」


  どす、どす、どす。


廊下から足音が聞こえてくる


「ゆゆゆ!!にんげんさんがくるよ!!」


まりさはすぐ身を隠そうとしたがこの部屋にはあまりものがないので仕方なく部屋の隅でおとなしくしていることにした。
男が部屋に姿を現す。男は開けたままの窓を見てなにやら思案しているようだ。


「う~ん・・・だと防犯じょうよくない・・・ほかのゆっくりも・・・まあうちの・・・ら大丈夫だろうが・・・
このれいむは・・・にうつして・・・」


まりさにはいまいちよく聞き取れなかった。しかし姿はのぞき穴から見えていた。
男はしばらく考えた後、寝ているれいむを隣の部屋に連れて行った。
その際、先頬使用した箱を持っていたのできっとまたれいむになにか意地悪するに違いない・・・まりさはそう思った。


「れいむぅ・・・まっででね・・・ばりざがぜったいだずけるよ・・・」


そしてまりさは隣の部屋から男が居なくなるまで待った。


「ゆ~・・・ゆ~・・・ゆぅもうたべられな・・・ゆっ!?」


どうやらまりさは少し寝てしまっていたらしい。目をしぱしぱさせながらのぞき穴から外の様子を見る。


「ゆ"ゆ"っ・・・!!」


まりさは小声で驚いた。なんと目の前にはれいむを連れ去った男が居たのだ。


「ん~?こんな箱置いてあったっけか?嫌に薄汚れてるしなぁ・・・」


まりさはどきりとした。明らかに人間はこちらを見てつぶやいている。


「おかしいな、この部屋には物を置かないようにしているのに・・・」


まりさは自分の餡子がひやりと冷えていくのを感じた。
体はぶるぶる震え、汗、よだれ、し~し~それらがどれがどれなのかわからないほどに吹き出てきた。


「・・・いや、前から置いてあった課も知れないな。」


(そうだよにんげんさん、このだんぼーるさんはずっとまえからこおにあったよ!!だからはやくどっかいってね・・・!!)


「でもなぁ・・・まあないとは思うけどたとえばこの中に薄汚い、野良の、ゆっくり!・・・なんかが入ってたりしたら困るからなぁ・・・開けてみるか。」


この瞬間、まりさは今まで見てきた多くのゆっくりの悲惨な死に様を思い出した。
大きなスィーにひかれたれいむの親子、レイパーに襲われ黒ずんでいったまりさ、
猫にもてあそばれながら中身を撒き散らし死んでいったちぇん、からすにつつかれ徐々に原形を失っていったありす。
何故そんなことを思い出すのか、それはきっとまりさが次は自分のの番だということを理解しているから。


「ゆっ・・・ゆっ・・・ゆゆゆゆゆゆ!!」


思わずまりさは段ボールから飛び出した。何か考えがあってのことではない。
ともかくれいむに会いたい一心からであった。そして隣の部屋に走り出した。


「あっ!コラ待て!」


「ゆゆゆーーーー!!にんげんざんはぞごにいでね!!でいぶ、でいぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」


すると隣かられいむの声が聞こえてくる。


「ゆゆ!?まりさ、まりさなの!!」


「でいぶっ!またせちゃったね!!まりざがだずげにぎだよっ!!」


しかしゆっくりが人間の足に敵うはずも無くあっさりと捕まってしまうまりさ。


「やべでぐだざぃぃぃぃぃ!!まりざはまだじにだぐないんでずぅぅぅぅぅ!!でいぶどゆっぐりじだいんでずぅぅぅぅぅぅ!!」


「ふっふっふ、この薄汚い野良まりさめ!!いったいどうやって虐め殺してやろうか!!」


「いやだぁぁぁぁぁぁぁ!!おねがいじまずっ!!ゆっぐりざぜで!!ゆっぐりざぜでよぉぉぉぉぉ!!」


「ぷっ・・・はっはっは!嘘だよまりさ。さあこっちおいで。」


「ゆ・・・?」


男は急に態度を変えまりさを床に下ろし隣の部屋に入っていった。まりさもおそるおそる後に続いていく。


「まりさぁぁぁぁぁぁ!!」


「れいむ?れいむなの!?」


そこにはれいむが居た。いや、確かにれいむなのだがそこにいたのはいままでいっしょに路地裏で過ごしてきたれいむとはどこかが違う。
なんというか肌ももちもちしているし、髪も綺麗に梳かされていてつやつやだし、見覚えのあるリボンもまるで新品のように鮮やかな赤色をしている。


「そうだよまりさ!!れいむだよ!!まりさのだいすきなれいむだよ!!」


「れいむぅぅぅぅぅぅ!!よかったよぉぉぉ!!まりさ、もうれいむが・・・ゆぐっ・・・しんじゃったがど・・・ゆえぇぇぇぇん!!」


「ゆ!もうれいむはだいじょうぶだよそこのやさしいおにいさんがたすけてくれたんだよ!」


れいむが傍らに立つ男を指し示しめす。


「ゆぅ・・・?おにいさんはぎゃくたいおにいさんなんじゃ・・・?」


「はっはっは、違うよ。僕はただの一介のゆっくり好きさ。」


「だっで、さっきれいむにひどいことを・・・それにまりさをいじめころすって・・・」


「ん?・・・ああ、さっきれいむが泣いているのを見たんだね?あれはれいむの治療をしていたのさ。
痛みで泣いてしまったようだけど変な菌が入ったら死んでしまうからね。」


「じゃあころすっていうのは?」


「ああ、あれはちょっと君をからかってみたくてね。実はお兄さんは君が入ってきていたことを知っていたんだよ。」


「ゆゆゆ!!」


「だって君、あの中で寝てただろう?大きな声で寝言を叫ぶもんだからびっくりしたよ。まあそのお返しかな?」


「ゆ、そうだったの・・・でもひどいよ、まりさほんとにしんじゃうとおもったんだよ!!ぷんぷん!!」


「でも君は勝手に入ってきただろう?本当ならつぶされても文句は言えないんだ。それを理解してね。」


「ゆ、それは・・・ごめんなさいおにーさん。」


「まあいいさこっちもれいむを勝手につれてきたんだからね。」


まりさはようやく安心したようだ。


「それよりれいむ、すごいゆっくりしているね!!」


「ゆ!そうでしょ!おにいさんがれいむをきれいにしてくれたんだよ。それにおいしいあまあまさんもくれたよ!!」


「ゆゆ!!あまあまさん!!ゆゆ~ん♪まりさもほしいよ!!」


「おにいいさん、まりさにもあまあまさんあげてほしいよ。」


「う~むしかたないね。」


男はクッキーを少し置いた。まりさはそれをむさぼるように食べ始めた。


「むっしゃむっしゃ!!ゆゆゆゆ!!!しししし、しあわせ~!!しあわせ~!!しあわせ~!!」


まりさはこれほどおいしいものを食べたことが無かった。涙を流しながら夢中で食べた。


「・・・ゆふぅ~、あまあまさんとってもおいしかったよ。まりさこんなにおいしいものはじめてたべたよ!!」


「はっはっは、それはよかった。」


「ところでまりさ、きいてね。・・・じつはこのおにいさんがれいむをかいゆっくりにしてくれるっていってくれたんだよ!!」


「ゆゆゆ!!かいゆっくりに!!」


飼いゆっくりとは都心部のゆっくりにとっては最高のステータスである。
毎日おいしい食べ物が食べられ、暖かく敵も現れない寝床で寝ることができ、
からだやかざりも毎日新品同様に綺麗にしてもらえる。
野良の汚いゆっくりからすればまさに高嶺の花、まりさもれいむもにんげんに連れられている他のゆっくりを見てなんどうらやましがったことか。


「おにいさん、まりさもかいゆっくりにしてもらいたいよ!!」


「おにいさん、かわいいれいむからもおねがいだよ。れいむのおともだちのまりさをかいゆっくりにしてほしいよ!!」


二匹は笑顔で男に話しかける。が、


「う~ん、それはちょっと無理だな・・・。」


「「ゆゆゆ!!どぼじでぇぇぇぇ!!」」


二匹は泣き出す。


「なんで!!かわいいれいむのおねがいきいてくれないの!!」


「おねがいでず!!まりざはいいこにしまずからぁぁぁ!!」


「いやぁ、僕は金銭的にどっちか一匹しか飼えないんだよ。これ以上増やしたらお金がなくなってしまうよ。」


「そんなぁ・・・」


「まあれいむが野良に戻るんならまりさを飼ってあげてもいいけど。」


「ゆゆゆ!!れいむ、そんなのやだよ!!」


「ゆぅ・・・まりさもれいむといっしょじゃないとやだよ・・・」


「う~ん・・・二匹は飼えないからね。君達どうしても二匹一緒じゃなきゃ駄目かい?」


「「れいむ(まりさ)といっしょじゃなきゃやだよ!!」」


「そうか、じゃあ僕にはどうしようもないな・・・仕方ない。君たちの事は諦めるよさあおうちにお帰り。」


「「ゆゆっ!!」」


それはれいむには予想外の答えだった。
きっとおにいさんは可愛いれいむにメロメロだかられいむが強く言えば言うことを効いてくれると思っていたのだ。


「どぼじでそんながどいうのぉぉぉ!?」


必死に泣いてお願いするれいむだが男は頑として首を立てには振らなかった。
そんな様子を見てまりさは


「ゆ、おにいさんもういいよ。・・・れいむざんねんだけどかってもらうのはあきらめようね・・・。」


「ゆ!?なにいっでるのまりさ!?」


れいむは信じられなかった。赤ゆっくりのころから憧れていた飼いゆっくり。
その姿は同種なのかと疑うほど(ゆっくりからみれば)美しく、いつも幸せそうに人間の横を歩き、見たことも無いようなおいしそうなものを食べている。
そんな飼いゆっくりになれるというのに・・・むざむざその権利を手放さなければいけないのだろうか。
いやだ。
いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ!!
れいむはゆっくりしたい!!どうなったかもわからないおかーさんおとーさん、からだがへんないろになってぐじゅぐじゅになって
えいえんにゆっくりしてしまったおねーちゃん、にんげんさんにごはんをもらおうとしたらふみつぶされたいもうと。


れいむはそうなふうになりたくない。たとえどんなことになろうとも。
そしてれいむは決断した。


「ゆ!お、おにーさん、このまりさはやっぱりし、しらないまりさだったよ。ゆっくりしないでおいだしてね!!」


「で、でいぶぅぅぅ!?なにいっでるの!!まりざはまりざだよ!!れいむのまりざだよ!!」


「・・・こういってるけど?」


「ししししらないよ!!き、きっとれいむのまりさのふりをしてかいゆっくりになろうとするげすだよ!!はやくおいだしてね!!」


「で、でいぶぅぅぅ!?なんでぇぇぇ!?」


「そうか・・・まあれいむがそういうなら仕方ないな。じゃあまりさ、かわいそうではあるが君にはうちから出て行ってもらうよ。」


男はそういうとまりさの頭をつかんだ。


「ゆ!やめてね!!まりさはげすじゃないよ!!まりさはれいむの・・・」


「おにいさん!!はやくそのげすをどっかにやってね!!」


「はいよっと・・・そ~~れっ!!」


男はまりさをぐるぐる回して適当な方向に投げた。


「ゆぅぅぅぅ!!おそらをとんでるみたいぃぃぃぃ・・・ゆぶちっ!!」


まりさはそのまま地面と強烈なキスを交わした。さきほどのドアの件も含めてまりさの歯のほとんどは折れてしまった。


「ゆげ・・・で、でいふゅ、なんふぇ・・・(れいむ、なんで)」


しかしまりさは諦めなかった。あれはきっと何かの間違いだ。れいむがあんなことを言うわけが無い。そう信じて。


「ふぉにいふぁん、まりふぁのれいふゅをかえふぃふぇくだふぁい・・・おねふぁいじまふゅぅ・・・
(おにいさんまりさのれいむをかえしてください、おねがいします)」


「う~ん?なんていってるかわからないけどれいむは君の事なんて知らないそうだよ。だからさっさと理解してね。」


  ゲシッ!!


「ゆびゅふぇ!!」


「あ~、あと次来たらゴミの日に出すから。そのつもりでね。」


  ゲシッ!!


「ゆびゃふ!!やべっ・・・ゆふぇ・・・れいふゅ、れいふゅぅ・・・」























「おにいさん、あのまりさは・・・?」


「ああ、追い返しておいたよ。れいむの言うとおり殺しはしなかったけどかなり脅しておいたからもう二度とこないだろうね。」


「ゆ、そう・・・。」


れいむは悲しそうな顔をする。


「ところでれいむ、僕が君を飼いゆっくりにする条件ちゃんと覚えているかい?」


「ゆ、もちろんだよ。おにいさんのかってるほかのゆっくりのおともだちになってあげればいいんでしょ。」


「うん、かわいいやつなんだけどね。ちょっと不器用な子なんだ。仲良くしてやってくれよな。」


「もちろんだよ!!れいむはどんなゆっくりでもゆっくりさせてあげるよ!!」


「ははは、頼もしいな。しかし遅いなアイツ。そろそろ帰ってくると・・・お、帰ってきたみたいだ。ちょっと待っててくれよ。」


隣の窓の開いている部屋に行く男。


「ゆぅ~ん♪ゆっくりまってるよ!!」


れいむはまりさのことなどすでに忘れているようだった。そしてこれからの生活に夢見ていた。
おいしい食事、暖かい寝床、そしてあたらしいお友達・・・。


「やぁ、おまたせ。」


「ゆ!おにいさん!!ゆっくりしてい・・・って・・・ね・・・」


れいむは元気よく男と男の抱えていたゆっくりに挨拶するがすぐにその顔は凍りつく。


「う~♪う~♪う~♪」


「れれれれれ、れみりゃだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


男の抱えた腕の中に居たのはまだそう大きくない胴なしれみりゃである。


「おおお、おにいさん!!れみりゃはゆっくりできないよ!!はやくどっかやってね!!」


「おいおい、なにいってるんだこれから仲良ってくれるんだろ?」


「ゆ!!じゃ、じゃあおにいさんのほかのゆっくりって・・・」


「そうこいつさ。」


「う~♪あたらしいあまあまさん、よろしく~♪にぱ~☆」


「いいいいいいやだよ!!れみりゃとじゃゆっくりできないよ!!れいむはにげる・・・ゆぐっ!」


男はれいむが言い終える前に腕でがっちりとつかんでそのまま廊下の奥に進んでいった。
そしてあるドアの前で止まりそのドアを開け、れみりゃとれいむを中に入れた。


「ゆぶっ!!いだいよ!!・・・ゆぎゃああああああああ!なにごれぇぇぇぇぇぇ!?」


そこは男がれみりゃの部屋と定めている部屋であった。その壁には死臭ただようたくさんのゆっくりの飾りや苦悶の表情のまま固定されたゆっくりの皮がそこら中に飾ってあった。


「どうだいれいむ、ここが今日から君とれみりゃが暮らすゆっくりプレイスだよ。」


「やだぁぁぁぁ!!こんなのぜんぜんゆっくりできないでしょぉぉぉ!!おにいざん!!ごめんなざい!!
れいむがなにがわるいごどじだならあやまりまずがられいむをたずげでぇぇぇぇ!!」


「ははは、元気いっぱいだね。この加工場産の安物はすぐ狂ったけど流石は野良だ。生命力が強い。」


男は壁に貼り付けてあるところどころ食いちぎられたような跡のある歪んだ笑い顔のまりさの皮を指差しながら言った。


「さて、僕はみんなのご飯を作りに行かなくちゃ。ちょっと席をはずすけど二匹で仲良くやってね。・・・れみりゃ、すぐ壊すなよ。」


「う~♪おにいさんわかった~♪」


「よしよし、かわいいやつめ。」


「まっで!!まっでぐだざい!!おねがいじまず!!れいむをおうちにかえじでぇぇぇぇぇぇ!!」




  バタン。












十日後、
れみりゃの部屋にはまたひとつゆっくりの飾りと苦悶の表情を浮かべたゆっくりの皮が増えていた。

















一方、あのまりさはというと・・・


「ゆふゅ・・・ゆふゅ・・・」


喋れる様にはなったものの歯はほとんど折れ、男に踏みつけられ、れいむに見捨てられ・・・散々な目にあいながらもまりさは生きていた。
惨めだった、あんなに必死になって助けようとしたれいむに裏切られ歯もほとんど無くなり体も帽子もさらに見るに絶えない状況になってしまった。
全てはあのれいむのせいだ。ともだちだと、家族だと思っていたのに!!
怪我したとき必死になってオレンジジュースを探してやった、まりさの見つけたおいしいクッキーもわけてやった。
それなのに、それなのに!!


と、そのとき一匹の赤れいむがまりさの前を通りがかった。


「ゆっゆ~ん♪れっいみゅは~きゃわいしゅぎて~ごめんにぇ~♪だ~きゃらあまあましゃん~た~くしゃんちょうだいにぇ~♪ゆっくち~♪」


なんとも調子の外れた歌を歌っている赤れいむ。その間抜け顔、音痴さ、なによりあのれいむと同じ赤いリボン・・・
なにもかもがあのれいむを思い出させる。まりさはキレた。


「ゆ?まりしゃおにぇ~しゃん、ゆっくち・・・ゆびゅ!!」


「ゆがあああああああああああああああああ!!しね!!しね!!ゲスれいむはしねぇぇぇぇぇ!!」


「びゅ・・・ゅ"・・・も"・・・・だ・・・」


明らかに赤れいむはもう息が無いがなかったがまりさは攻撃をやめなかった。


「しね!!しんじてたのに!!かぞくだどおもっでだのにぃぃぃぃぃ!!」


  ドスン、ドスン、ドスン、ドスン・・・


まりさの攻撃は終わらない。するとそこに、


「ゆ~ありすのあかちゃん~もうおうちにかえるじかんよ~とかいははもんげんをまもるのよ~。」


「れいむのあかちゃ~ん、そろそろおうちでゆっくりしようね~。」


どうやら赤れいむの親のれいむとありすのようだ。
しかしまりさはまったく気づかず赤れいむを路上の黒い染みにする作業に熱中している。
そんなまりさに気づいたありすがまりさに話しかける。


「ゆ、まりさ、なにして・・・ゆぎゃあああああああ!!ありすのとかいはなあかぢゃんがああああああああああ!!」


「れいむのおちびぢゃんがぁぁぁああああああああ!!じね!!れいむのおちぢゃんをごろじだげすはじねぇぇぇぇ!!」


  ドスンッ


「ゆぎゃ!!」


倒す側から一転して倒される側になったまりさ。


「ゆぶぇぇ!!やべろぉぉぉぉ!!まりざはあのぐぞでいぶにうらぎられだんだぁぁぁぁ!!
どめるなぁぁぁぁぁぁ!!」


「なにいってるの!!おちびちゃんはさっきまでありすといっしょだったのよ!!」


「わけわからないこといっでにげようどずるげずはじね!!れいむのおちびぢゃんがえぜええええええ!!」


いまだ成体一歩手前というサイズのまりさが成体サイズの二匹に敵うわけも無くただやられるだけのまりさ。


「ゆげっ・・・げ、ずでいぶ・・・ごろずっ・・・ぜっだいっ・・・ごろず・・・」


「れいむのおちびぢゃんはげすじゃないいいいいいいいい!!」


怒りのれいむは一際高く飛びまりさに止めを刺す。


「ゆ"っゆ"っゆ"っゆ"っゆ"っゆ"っゆ"・・・」


「ゆふぅ~、ゆふぅ~・・・」


「いいきみね!!ありすのおちびちゃんにげすなんていうゲスにはぴったりよ!!」


二匹は痙攣しているまりさを見ながら高笑いだ。黒い影が近づいている事など気がつきもしない。


「・・・やっとみつけたぞ、このゲスども。」


「「ゆゆゆ!!」」


「お前等だな!!最近商店街を荒らしているゲスれいむとゲスありすってのは!!手前等全員加工場でみんちにしてやるからな覚悟しろ!!」


「「ゆゆゆ!!ゆっくりにげるよ!!にんげんさんはこないでね!!」」


「まちやがれ、このド饅頭共!!」


人間はまりさには気づきもせず二匹を追っていった。しばらくしてさきほどの二匹の声とともにいくつかの甲高い声が聞こえた。おそらく二匹のほかの子供だろう。
だがそんなことはどうでもいい。もうどうせまりさのからだは動かない。
そのまままりさは自分を見捨てたれいむを怨みながら道路で干からびてその惨めなゆん生を終えた。


















あとがき



いまいち潜入という題材をいかしきれなかった気がします。
しかしれみりゃ(胴なし)は虐める気がしないなぁ。










作者 甘党










今まで書いたもの

  • ゆっくりコールドスリープ
  • ゆっくりを効率的に全滅させるには。
  • ユマンジュゥ
  • きれいなゆっくりの作り方
  • ゆっくり達のバザール
  • ゆっクエ
  • あるゆっくり達の冬篭りと甘い罠
  • ラジコンうーぱっく
  • 笛吹き男とゆっくり
  • 死後のゆっくり
  • 加工場のいつもと変わらない一日

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最終更新:2022年05月03日 23:52