注意】
  • 『僕はこうして~』の登場人物が登場
  • 死ぬゆっくり無し



三者懇談。それは教師と生徒、そしてその生徒の保護者が集まり生徒の学校での素行や進路について話し合う場

今まさに、この教室でその三者懇談が行なわれていた

「お前なぁ・・・」
担任は生徒が連れてきた保護者を見て頭痛がした
「父が仕事の都合でどうしても来られなかったので」
生徒の隣に座るのは、人間ではなかった
「どうも、うざくてきもいきめぇ丸です」
「僕にとっては保護者みたいなものなんです」
保護者みたいなもの、ではなく実の親子なのだが、さすがにそんなことを説明するわけにはいかなかった
「明日、特別に時間を設けるから。今度はちゃんとした人を連れてきなさい」
懇談が始まる前に、親子は教室から締め出された


日の沈みかけた頃
人気の無い小さな公園のブランコに座り彼は揺れていた
「やっぱり駄目だったね・・・・あれ、母さん?」
隣に座っていたはずのきめぇ丸がいない
「おお、無力無力」
公園に来た自分達に食べ物を要求してきたゆっくりれいむの親子をきめぇ丸はフェンスの端に追い詰めていた
「「「「やべでえええええええええええええええええええええええええ!!」」」」
首を大きくシェイクした『ゆっくり出来ない動き』でれいむ一家を震え上がらせている
シェイクの仕方がいつもよりも乱暴だった
(もしかして怒ってる?)
「おお、憎い憎い」
どうやら彼女は教師の態度が非常に不服らしく、やり場の無い怒りをこの一家にぶつけていた
「れいむがおとりになるよ! そのあいだにおちびちゃんたちはにげてね!!」
「「「おきゃーーーしゃん!!」」」
母れいむがきめぇ丸に捨て身の体当たりを仕掛ける
しかし
「・・・・残像です」
目の前にいたはずのきめぇ丸は霞のように消え、背後から声がした
後から両手でかっちりと掴まれて、そのまま地面に叩きつけられる
「ぶべぼぁ!!」
しかし、母れいむの目的通り。赤ゆっくりはバラバラに散って走り出した
「もみじ、来なさい!」
母れいむを足で踏み押さえて指をパチンと鳴らすと、草むらの一部がガサガサと揺れた
「わふっ!!」
現れたのは白い髪に犬のような耳と尾を持ち、頭巾(ときん)を被った姿の胴なしゆっくり。ゆっくりもみじだった
「逃げた三匹の赤ん坊を生け捕りにしなさい」
「わふっ!!」
きめぇ丸の方を向き、白い尾で自身の額を撫でてから走り出した
その姿はまるで敬礼でもするかのようだった

もみじはゆっくりの中では素早さに長けている
あっという間に逃げた赤ゆっくりの一匹に追いつき、死なないよう加減をして噛み付いて行動不能にした
「ゆ゛ぎゃっ!」
その調子で残りの二匹も簡単に捕まえた

痛めつけ瀕死になった親子を一箇所に集める
「身を挺して子を守った母れいむに敬意を表して。殺さない代わりに『きめぇ丸シェイク60秒の刑です』」
首振り運動が始まる
「「「「ゆ゛っく゛りざぜでええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」」」」
開始二十秒足らずで赤ゆっくりは白目を剥いて痙攣を始めた
母れいむも飛びそうになる意識を繋ぎとめるのに必死で子供の心配まで回らない
耐えている母親も限界に近かった
「あと三十秒、折り返し地点です」
地獄の時間はまだ終わらない


失神したれいむ一家を砂場に放置してもみじの頭を撫でるきめぇ丸
「よくやりましたもみじ。優秀優秀」
「わふーーん♪」
きめぇ丸ともみじがれいむ一家の虐待している間中、息子は明日の三者懇談について考えていた
「母さん、明日どうしようか? 父さん忙しいし」
「そうですねぇ、先生はどうでしょうか? アナタの祖父を自称しているだけあって、話せば来てくれるのでは?」
「教授さんも連絡したけど、今週一杯どうしても外せない予定があるって」
「そうですか。ならば、最終手段ですね」
「最終?」








次の日

「お前の家庭が複雑なのはよくわかっている。それでもなぁ」
彼の隣には椅子に窮屈そうに座る外国人を見て、目頭を押さえた
「なにも黒人を連れてくることないだろ」
「カテーコト、イウナヨ」

父は無理でも、父の部下であるボブなら。上司である父が許可さえ出せば仕事を抜けてここに来ることが出来た

「黒人がスーツだと、もうSPにしか見えない。隣にいるお前が要人にしか見えない」



そして



昨日と同じ公園の同じブランコに座り、また彼は揺られていた

「やっぱり駄目だったねボブ・・・・あれ?ボブ?」

あたりを見回す

「やってまいりました。『きめぇ丸ラジオ』のお時間です。司会はうざくてやらしいきめぇ丸とMr.ボブ」
「Hey」
「そしてアシスタントのもみじでお送りします」
「わふわふ」
(なんかコントやってる)

公園の机にきめぇ丸、ボブ、もみじが座って芝居がかった口調で話し始めた
机の上にはマイクやヘッドホンといった小道具が置いてある

「はい、今日も恋に悩むたくさんのゆっくりからお便り届いてます。Mr.ボブおねがいします」
「OK。ペンネームユックリレイムサン、カラノ、オタヨリデス」

『さいきん、かれしのまりさのようすがおかしいんだよ。れいむのいないところでなにかこそこそしているみたいなんだよ
 このまえ、でーとがおわって。かえりにあとをつけてみたら、れいむのしらないありすとあっていたんだよ!!
 そのことをつぎのひ、まりさにといつめたら「だったらわかれるんだぜ!!」っていわれていれむすてられたんだよ!! れいむかなしいよ!!』

「なるほど。彼氏が浮気して、問い詰めたら浮気相手に乗り換えられたのですか。おお気の毒気の毒」
「ウワキダメ、ゼッタイ」
「わふー!!」
「やっぱり、一途な女が一番好だと私は思いますがね・・・・では採用されたれいむさんには“ペアのマグカップ”をプレゼントします」
(商品が嫌がらせだ)

「ツギノ、オタヨリデス」

『むきゅう、ぱちぇがこのまえれみりゃにたべられそうになったときにたすけてくれたちぇんがすごくかっこよかったのよ!
 だからおもいきって『すき』とおもいをつたえたの。そしたら『ちぇんにはほかにすきなこがいるんだよーわかってねー』と
 ことわられたの・・・・・むきゅう、ぱちぇ、とってもかなしいわ』

「今回は告白して駄目だったという失恋話ですね。まぁ相手に好きな人がいても頑張るが、そのまま諦めるかは個人の自由です。Mr.ボブ何か一言」
「ウバッチャッテ、ゴメンナサイ♪」
(ちぇんの好きな相手ボブかよ)
「採用されたぱちゅりーさんには“Mr.ボブとちぇんのハメ撮り生写真”をプレゼントします」



「もみじ、ちょっと」
「わふぅ?」
彼はコントに参加しているもみじを手招きして呼び寄せた
寄ってきたもみじにたった今書き込んだメモ帳の切れ端を咥えさせて母とボブの元に返す

「わふ」
彼から預かった紙をきめぇ丸に差し出すもみじ
「おや? ここでファックスが届きました」
「Fuckス」



『きめぇ丸さん、ボブさん、もみじさんこんにちは。いつも楽しく聴かせて頂いています
 突然ですが、僕の家には母さんがいません。ですが最近になり、母さんは生きていてことを知りました
 そして母さんが出ていた原因は父さんが浮気したせいだと知りました
 一体どうすれば母さんは父さんを許して、家に帰ってきてくれるのでしょうか?』

「では、交通情報です」
(あれ。スルー?)
「モット、キレイナジデ、カケヨ」
さらりと酷いことを言われた
「それでは、彼からのリクエスト曲『泳げ今川焼き君』を聞きながら、今日はさようならです」
「リクエストしてないよ?」

コントはそこで終了した

きめぇ丸は木に吊るされている、昨日のゆっくりれいむの親子を見た
「今度Y-1でやるネタなんですが面白かったですか?」
なお、エントリーしたのはきめぇ丸とボブともみじだけで、息子は関係ない
「ぜんぜんつまんにゃいよ!!」
「しもねたはやめてね!! ゆっくりできないよ!!」
コントの内容はれいむ親子には不評だった
「Mr.ボブ。やってしまいなさい」
「オーライ」
ボブは吊るされた一家を横に回し始めた
「マワレェ、マーワレメリッゴーラン♪ モウニドォト、トマラァッヨニッ♪」
「やべでええええええええええええええええええ!!」
「ゆっぐりでぎないいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

吊るす紐が極限にねじれるまでボブは回し続けた

「ウゴキダーシタッメリゴーランッ♪ ララララァァ↑ララァァ↑↑ラァラァァァァァァァァァァァァァァ↑↑↑♪」
「ナイスビブラートですね」
「わふぅ」


「人が集まってきたから僕帰るね」



次の日

今日が懇談の最終日だった
外はすでに真っ暗で、学校に残っている生徒はいない
「特別に時間を設けて頂いてありがとうございます」
教室に仕事帰りの父が入ってきた
息子はその場にいない
この時間まで残らせるわけにはいかないので帰らせた

当事者のいない二者懇談が始まった

「強調性があるのは良いことですが、自分の意見を言えずに流されるなんてこともしばしばありますね」
「でしょうね」
その性格のせいで彼が不運に見舞われてきたのを父は何度も見てきた
「遅刻や無断欠席は無く、授業もちゃんとに聞く真面目な生徒なのですが一つだけ問題が、いや、大したことではないんですけど…」
教師は良い辛そうに頬を掻いた
「なんでしょうか?」
息子は素行を指摘されるようなことをしてるのかと一瞬不安になる
「たまにお弁当がゆっくりの日があるんですよ」
「ああ、それですか」
教師曰く、朝少し寝坊して弁当を作る時間が無い日は息子は通学中に捕まえたゆっくりを学校に持ち込んでくるらしい
そのまま齧り付くのは勿論のこと、ストーブの上で焼いたりもしている
コンビニに寄らないのは小遣いを節約するためなのだそうだ
「すみません、家が父子家庭なもので」
「そういう問題じゃ無いような気が・・・」

話題を進路の話に移す

「まあまだ高校の一年生なので、漠然としたことも決まってないかもしれませんが希望なんかはありますか?」
「息子の将来の進路ならもう決まっています」
「そうなんですか?」
「はい。それはですね・・・」

次の日、息子は朝一で進路指導室に呼ばれた




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最終更新:2022年05月03日 22:12