※ネタかぶってない?大丈夫?






     ゆラゴンボール

           作者:古緑






「願いを言えド饅頭ども!
 どんな願いも一つだけ叶えてやるぞ!」

目の前にはニヤニヤと嫌な笑みを浮かべる大きな人間が腕を組んで立っている。
名前は一応あるが分かり易いようお兄さんとでも呼んでおこう。

『ゆラゴンボール』
かつてある若者が暇つぶしに作り上げた七つの球(木製)。
どす黒い赤色をした球でとてもゆっくり出来そうにない色をしている球だが
七つ集めるとゆっくり限定で一つだけ願いを叶えてくれると言う胡散臭い球だった。

この話をニヤニヤと嫌な笑い方をする人間から聞いたゆっくりれいむは
仲間と共に40分間もゆっくりせずに探しまわり
ようやく全てを集める事が出来た(やけに目立つ場所にあった)
そして今、ニヤニヤ嫌な笑い方をする男の所までに持って行って
まさに願いを叶えようとしているところなのだが…

「まりさ…おねがいごとはきまってるの…?」

「きめてなかったんだぜ…でもゆっくりできることをおねがいすればいいんだぜ!」

「むきゅ!そうよ!
 どうせならぱちぇたちのむれのためになることをおねがいしましょ!」

「事前に決めとけよな、ド饅頭共」


どうやらこのれいむ、まりさ、ぱちぇりーの仲良しトリオがこのお話の被害者のようだ。
どうやら自分達の為では無く、群れの為に自分達の40分間の努力を捧げようとしている。
最もこの世界じゃ死亡フラグだが。


「むれのため…!とってもゆっくりできるねぱちぇ!」

「とってもとかいはね!さすがぱちぇだわ!ね!ま・り・さ!」

「むれといえば…さいきんまたにんげんがいじわるにきたんだぜ…
 あいつ…!ぜんぜんゆっくりできないんだぜ!」


突如現れたとかいはを全力で視界から排除しながら
まりさは数日前に群れで起こった事件を思い出していた。
一方れいむは遊びに誘ってないもいないのに
とかいはが現れた事でゆっくり出来なくなったと感じた。

まりさが思い出した事件とは…
数日前にニヤニヤと嫌な笑みを浮かべた男が群れを襲ったのだ。
と言っても沢山の家族が一緒に住む巣のど真ん中に人間製のうんうんを放置したり
溜め込んだ食料の中に細かく刻んだ唐辛子をふりかけのように混ぜたり
まだ赤ちゃんゆっくりや子ゆっくりなのにも関わらずすっきりを教えていったり…
その程度のいやらしい嫌がらせであったが、
この男が群れを訪れる度にこのような事をするので
まりさを含め群れのゆっくり達は人間の事を
既に『ゆっくり出来ない生き物』と認識していた。

「にんげんをどうにかするのがむれのためになるんだぜ!」

「でもまりさ…にんげんはおおきくってつよいよ
 おかあさんたちがなんにんでかかってもびくともしなかったんだよ?」

数日前にも成体ゆっくり達がなんとかしてその男を追い返そうと
頑張ったのだが…やはりサイズの差から出来なかったのはこの四匹も見ていた通りだ。
まりさは自分達が人間達よりも大きくなればパワーバランスが逆転すると考えた。

「おにいさん!まりさたちをにんげんたちよりもおおきくしてほしいよ!
 おおきくなればにんげんがきたってあんしんだよ!」

悪戯をしてくる男のニヤニヤ顔を思い出し、頭の熱くなったまりさは
他の3匹の同意も得ずにゆラゴンボールの精(ニヤニヤ男)にお願いをした

しかし

「あ~…うん…でもなぁ…
 お前等が人間よりも大きくなってもこうなると思うな~ボールの精としては…




人間よりも大きくなったまりさ(190cm)とれいむ(194cm)
これでゆっくりできるねまりさ!
これでゆっくりできるぜれいむ!
体重が一気に増えたため動きもとってもゆっくりだ!
そこに現れた子供達!

「おっ!アンコの塊だぜ!いただきまーす!」

大きな饅頭を目にして大喜びの子供達!
ゆっ!たたかうよれいむ!
ゆっ!おおきくなったからかてるよまりさ!

だが後ろに回り込まれてしまったれいむ達!
これでは攻撃出来ない!
ゆっ!にげるよれいむ!
ゆっ!せんりゃくてきてったいだねまりさ!

「「からだがおもくではねられないぃいぃぃいい!?」」

こうして二匹は頭の後ろから中途半端に喰い散らかされた挙げ句
子供達の遊び道具にされてしまったとさ!






ーってなるんじゃないのー?きっと、多分ね」


「どぼじでぞんなごどになるのぉおぉぉぉ!?」

「人間は自分達よりもデカイ動物を狩る事もあるんだよ? 
 ゆっきゅちりきゃいちてにぇ!」

「どおじだらいいのおおぉぉおぉ!?」

「むきゅ!ばかねまりさ!にんげんあいてにおおきさでたいこうしてもむだだわ!」

「ン?」

ぱちぇりーは他の種と比べて賢く(どんぐりのナントカ比べ)
群れとって重要なものは何であるかをいつも考えていた。

「かんたんなことよ!にんげんよりもかしこくなれば
 ぱちぇりーたちはにんげんがきてもたいじできるわ!」

ぱちぇりーが最も重要だと思うものは強引に相手をねじ伏せる『力』よりも
臨機応変に相手に対応出来る『知能』だったのだ。

「にんげんよりもかしこくなれるの!?
 じゃあおやさいのできるゆっくりぷれいすをみつけられるね!」

一方足りないれいむは食う事しか考えてなかった

「そうよ!あたまのいいしゅぞくがこのせかいではいきのこれるのよ!」


しかし

「ん~そうだね~良く言えたね~…
 でもなぁ…その願いは神の力を超えている…
 僕は人間なので人以上に賢い存在は作り出せません
 ですが君らの知能と人間の知能を逆転させることは出来ます」

「むっきゅ!それでいいわ!ようはにんげんよりもかしこくなれればいいのよ!」


「あ~でもなー…お前等がちょっと賢くなったところでなぁ…
 こうなると思うなぁ…例えばねー




賢くなったぱちぇとまりさ!
人間が営んでいたように農耕の知恵も得てこれで越冬もバッチリだね!
巣の構造も前よりもずっと高度に発達して丈夫だし雨風も通さないし暖かいよ!
子供達にもそろそろお芋さんの育て方を教えてあげようね!
あんっまりさ!こんな昼間から…!
大丈夫なんだぜもう一人ぐらい子供が出来ても!

「おッ!おやさいプレイスはっけん!」
「いただきまーす!」

そこに現れた裸の人間3匹!
こいつらはいつも畑を荒らす害獣共だ!
まりさは4ヶ月もかけて育てた越冬用の、命も同然の野菜たちを守るため
尖った石を銜えて害獣共を撃退しに行った!

「いってー!!なんでこんなことすんのぉぉぉおぉ!?」
「こんなひどいことするゆっくりはしねえぇえぇええ!!」

ボコボコにされるまりさ!
見かねて飛び出すぱちぇりー!
どうしてこんな事するの!?お野菜を持って行かないで頂戴!

「なにいってるの?やさいはかってにはえてくるんだよ?」

「ンなこともしらないの?ばかなの?」

「こんないっぱいやさいができるとこをひとりじめするなんてひどいやつらだ
 せいさいだな」

力では全く敵わないまりさ達!
味をしめた害獣達はそれからと言うもの群れをなしてお野菜プレイスを襲い、
賢いゆっくり達を死ぬまでお野菜生産機として扱い続けましたとさ!




ーこんな感じになっちゃうんじゃないの?きっと、多分ね」







「どぼじでぞんなごどになっぢぁエレエレエレ!?」

「うわぁ!?きもッ!
 当然だよ!人間だって例えば恐竜が普通に生きてたらゆっくり出来ないよ!
 ゆっきゅちりきゃいちちぇにぇ?」

「だったらありずだぢのからだをおおきくして、
 にんげんさんたちよりもかしこくしてくれたらいいでぢぉぉおぉ!?」

「一個だけ叶えるっつったろこのとかいは(笑)…二つ叶える事は神の力を大きく(ry」

「どぼじだらいいのぉおぉぉおぉ!?」


どうしようもない現実と泣きわめく仲間達を見てまりさは思った。
人間はどうしたってまりさ達をゆっくりさせてくれない…
こうなったら根元の方から変えるしかない!
人間達をこの世界から排除すればいいのだ!
そうすれば今住んでるお家は元通りのゆっくりプレイスに戻るし
お野菜プレイスに近づいても人間にもお母さんにも怒られない!




「こうなったら!にんげんをぜんいんゆっくりできなくさせてほしいよ!」




「わかった!願いは叶えたぞ!じゃーなド饅頭ども!」

ヤケにあっさりと願いを聞いて去っていった
お兄さんを不審に思いながらも
この4匹は


「めいあんだったわ!さすがはわたしの ま・り・さ☆」

「これでゆっくりできるね!」

「むきゅ!にんげんにはかわいそうだけどやむをえないことだったわ!」

「ゆへへ…///てれるんだぜ…!」


大喜びでまりさの名案を褒め讃えていた。
これで群れを困らせる奴等は消えた!
まりさ達のゆっくりプレイスを脅かす奴等はいないんだぜ!
まりさはお母さんが五月蝿いのでつまみ食い程度しか
出来なかったお野菜さんの味を思い出し
これからは全部まりさのモノに出来る!そう考え、涎を垂らし始めた。



だが



「オイあの兄ちゃんの言う通りだ!ここら辺一帯がゆっくりの群れの巣だぞ!」

「あぁ、日が暮れる前に全部殺しちまおう。急がないとな」

「まだ実害はねーがいつ畑荒らしに来るか分からねーからな」





「「「「どぼじでえぇぇえぇえええぇぇぇ!?」」」」




願いはしっかりと叶えられ、人間はより一層ゆっくり出来なくなりましたとさ


                           ー完ー

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最終更新:2022年05月18日 22:57