※『』内の台詞はお兄さんとまりさの通信です。まりさは小声なので他のゆっくりには聞こえません。



ゆっくり並列宇宙の旅



「やぁまりさ、今日もゆっくりしてるかい?」
「もちろんゆっくりしてるよ!」

彼の名は発明お兄さん、色々な物を発明してはゆっくりで実験するナイスガイ。
ちなみに彼女は助手まりさ、お兄さんの助手として手助けをするが、実験ゆっくりが見つからない場合は彼女も実験対象にされる。

「さて、今日の発明品なんだが…」
「ゆゆっ!!今度はちゃんと実験ゆっくりを用意してね!この前の植物型妊娠体験装置の実験も大変だったんだよ!!」

植物型妊娠体験装置…それは頭に直接植える事で茎がどんどん成長し、赤ゆっくりのような丸い餡子玉ができるだけで、特に妊娠はしない。
だがしっかりと餡子は吸われていき、赤ゆっくりができるまでの時間経過とどれだけ餡子を吸われるのかを妊娠前に体験できる発明である。
しかし試作機はリミッターが正常に動作せず、まりさは体内の餡子の80%を装置に吸い取られて瀕死を経験している。

「すまんすまん、でも妊娠体験はできただろ?」
「あれは臨死体験だったよ!!ぷんぷん!」
「今回はそれなりに安全だし、何より楽しい実験だから大丈夫だ!」
「ゆゆっ?本当?」

彼女は漢字で喋る事ができるくらいの強化は施されているが、結局は餡子脳のようで、一瞬で発明お兄さんを信用してしまった。
そのお兄さんは馬鹿デカイ機械を取り出した。

「これは並列宇宙移動装置と言ってな、別の宇宙へ移動できる装置なんだ」
「ゆゆゆー!?帰ってこれるの!?」
「そこは大丈夫だ、だがこの装置はまだ試作でな…ゆっくりしか転送できないんだ」
「ゆぅ、じゃあ実験ゆっくりを使ってね!」
「(捕まえるのめんどくせぇ…)まぁ待て、この装置の凄いところは好きな宇宙へ行ける事だ。つまりまりさが望む宇宙に行けるって事だな」
「ゆーん?」
「説明するのもめんどうだ、早速使ってみよう!」

そう言ってお兄さんはまりさを装置へと放り込む。

「ゆべっ!おにいさん、もっと優しくしてね!」
「すまんすまん、手が滑らなかった。それよりこれを帽子に組み込むぞ」

まりさの帽子の中に小型のスピーカと80年代に流行っていそうな機械が取り付けられた。

「これは転送装置と通信機だ、これを失くすと帰ってこれなくなるからな」
「ゆがっ!?待ってね、そんなのダメだよ!」
「心配するな、シリーズ物の予定だから失くしたりするフラグじゃない、安心しろ、じゃあな!」
「ゆー!!」

電子レンジのような機械が強く点滅し、中のまりさは消滅してしまった。

「頑張れよー」
「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ!!」



チーンッ!



『おいまりさ、しっかりしろ!』
「ゆ、ゆーん…おにいさん…ゆっくりフードかつお味はもう飽きたよ…」
『寝ぼけるな!』

お兄さんからの通信で目が覚めたまりさは、ゆっくりフードを食べる夢を見ていたせいか、涎でベタベタであった。
そこにカチューシャがトレードマークのブロンドゆっくりが現れる。

「あらあら、おねぼうさんなまりさね」
「ゆっ!?」

ゆっくりありすである。

「ゆっ!『お兄さん!ありすだよ!』」
『ちょっと待て、その宇宙の事を調べている』
『どうして転送する前に調べてくれないのぉぉぉぉぉぉ!!』

まりさは涙目の状態で警戒していた。
それもそのはず、まりさの周辺のゆっくりありすは、お兄さんの実験失敗によって軒並みれいぱーありすになっていたのである。
その惨劇を目の当たりにしたまりさはありす=れいぱーの印象が非常に大きかった。

「まりさ?」
「ゆっ!?ゆゆゆゆっくりしていってね!」
「うふふ、ゆっくりしているわよ」

まりさにとって近年稀に見るまともなありすだ。
しかしれいぱーが発情する前は狡猾である事もまりさは知っているため、その警戒を解く事はできなかった。

「まりさはどうしてこんなところに?」
「ち、ちょっと野暮用があったのぜ!」
『何でだぜ化してんだよ…それより安心しろ、この宇宙は「れいぱーありすの存在しない宇宙」だ』
「ゆー!?」

まりさは安堵した。
と同時にれいぱー化事件のせいでしばらく会っていない(もう生きているかも怪しい)彼女だったありすを思い出した。

「ゆぅ…」
「まりさ?」
「ありす、すりすりするよ!」
「ゆゆっ!?」

賢くなったと言っても所詮は饅頭である。
久しぶりにみたありすと彼女ありすを重ね合わせ、ずっと我慢していたすりすり欲求が爆発したのだ。
すっきりではないにしろ、初対面ですりすりを要求するのもなかなか出来る事ではないのだが…

「すりすりすりすりすりー!」
「ちょ、まりさやめて、ほかのゆっくりがきたらどうするのよ…すーりすーり♪」

ありすもまんざらではないようだ。

「むきゅ!?てんかのおうらいでなにをやってるの!」
「ひるまからすりすりなんてゆっくりできてないよ!」
「すりすりだねーわかるよー」
「ちーんぽ!」

そんな破廉恥なすりすりが気になって現れたのはぱちゅりー、れいむ、ちぇん、みょんの標準四人衆。

「ゆゆっ!他のみんなもいるんだね、ゆっくりしていってね!」

そもそも実験室にお兄さんと一緒にいる事が多く、他のゆっくりと言えば実験用ゆっくりしか会う機会の少ないまりさにとって、この出会いは新鮮そのものであった。

「ゆ…ゆっくりしていってね」

それに対してありすは至極バツの悪そうな顔をしている。

「むっきゅーん、まりさ、そんないなかもののありすはほうっておいて、ぱちゅりーたちとあそぶわよ!」
「そうだよ、れいむとすりすりしようね!」
「わかるよーありすなんてほうちだよー」
「てぃんぽ!」

「ゆぅ、でも…」
「あ、ありすはべつにかまわないわ、まりさはみんなとゆっくりすればいいじゃない」
「ありす…わかったよ、他のみんなともゆっくりするね!」
「むっきゅっきゅっ…」


そうしてまりさは誘われるままホイホイと洞窟について行っちゃったのだ。








「むぎゅほぉぉぉぉぉ、まりさはさいこうねぇぇぇぇぇ!」
「ゆぎゃぁぁぁぁぁ!」
「ゆゆゆーん!れいむ、こんなまりさははじめてだよぉぉぉ!」
「やべでぇぇぇぇぇ!」
「わがるよぉぉぉ、らんしゃまきもちいいよぉぉぇぇぇぇ!」
「ばりざはらんじゃまどぢがうぉぉぉぉ!」
「ちんぽ!」
「ぞんなぶっどいべにべにはいらないぉぉぉ!」

なんとおぞましい光景だろうか。
四匹のゆっくりは一斉にまりさに襲い掛かったのだ、いわゆるれいぱーである。

「おにーざん、どういうごどなのぉぉぉぉ!」
『すまんすまん、『れいぱーありすのいない宇宙』じゃなくて『ありす以外が全員れいぱーの宇宙』だったよ、てへっ☆』
「てへっ☆じゃないでしょぉぉぉぉぉぉぉ!」
「むぎゅううううううう、さけんでいるまりさもさいこうだわぁぁぁぁ!」
「やべでぇぇぇぇ、おにいざんだずげでてててて」
『んー…転送装置の再使用は20分のインターバルがいるんだよ、あと10分弱だから頑張れ!』
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


20分後…


「ゆひぃ…ゆひぃ…」
「んーあれだな、妊娠体験装置で耐性を付けておいて正解だったな、茎が10本も生えた状態で生還するとは」

落書きのように緊急治療装置とかかれたボウルには並々のオレンジが注がれており、そこにまりさは頭部だけ出して沈められた。

「がぼがぼっ!ゆっぶり!がぶっ!」
「おい、叫ぶと鼻からオレンジジュースが入るぞ!鼻ないか」

そう言ってお兄さんはブチブチと茎を抜いていく。
実りかけていた子ゆっくりにも遠慮なしだ。

「げひゅー…ゆっくりさせてよ!」
「大分回復したな、科学の進歩にゆっくりしている暇はないんだ、次行くぞ」
「ゆゆーっ!?」


チーン!(転送装置の音)


「ゆぅ…あれじゃまるっきり電子レンジだよ…」
『電子レンジならお前はとっくに爆散しているじゃないか』
「ゆっ?」

まりさが辺りを見渡すと、風景こそ変わり映えしないものの、そこには大量のまりさ種が鎮座していた。

『おにいさん、ここはどんな宇宙なの?』
『ちょっと待て、今調べるから』
『どうして先に調べないのぉぉぉ!』

そこに一匹のまりさが話かけてきた。

「むきゅ、ゆっくりしていくんだぜ!」
「『むきゅ!?』」
「どうしたんだぜ?まりさはむれのゆっくりじゃないのぜ?わからないことはこのけんじゃまりさにきくといいのぜ!」

相手もまりさなのでここでは助手まりさと呼称する。
助手まりさは非常に戸惑っていた。
それもそのはず目の前のまりさは顔も髪も帽子までもがゆっくりまりさ。
しかし喋るたびに「むきゅ」と放ち、自分の事を賢者と呼ぶ。

「これは…」
『ぱちゅりーか?』
「むきゅん、どうしたんだぜ?」

助手まりさが困惑していると別のまりさも声をかけてきた。

「わかるぜー!まりさはきをうしなってたんだぜー!」
「だいじょうぶなのぜ?とかいはのまりさのうちでゆっくりやすむといいのぜ?べ、べつにまりさがタイプだからさそってるわけじゃないのぜ!」
「ゆっくりしていってね!」
「ちーんぽ!」

『まずいな』
『まずいね』

ここは外見がまりさ種のみの宇宙。
と言っても中身は~ぜが付くだけでほとんど在来種と同じ性格のようだ。

『思ったより面白くない上に、れいむまりさとみょんまりさはだぜ言葉を使わないから、SSじゃ区別できねぇ…』
『ゆー、さっきれいぱーネタがあったから大丈夫だと思うけど…あのありすまりさは明らかにまりさを凝視してるよ』
『かと言ってそんな宇宙でした。じゃ話にならんからちょっと調べて来い』
『ゆゆ!?まりさの中身が他のゆっくりでした。以外に調べる価値ないよ!むしろこんな変なまりさ見たくないよ!』

ポチッ!

「ゆべべべべべべべべ!!」
「むきゅ!?まりさどうしたんだぜ!?」

お兄さんがボタンを押すと、助手まりさに電流が走った。

『お兄さん、素直じゃない子は嫌いだぞ♪』
『ゆっ…ぢぐじょう…帰ったら覚えていてね!』
「わからないぜー!まりさ大丈夫なのぜ!?」

気を取り直してぱちゅまりさへと近づいていく。
他のゆっくりと交渉する際はれみりゃを出すのが通例、これはお兄さんの知恵であり、助手まりさも何度かこれで切り抜けてきた。

「まりさ、まりさはれみりゃに襲われて逃げてきたんだよ!」
「れみりゃ?」
「そうだよ!林の向こうにいっぱいいて危なかったんだよ!」
「むきゅう…まりさ、れみりゃってなに?」

「ゆゆっ!!」

助手まりさは凍り付いてしまった。
れみりゃの名前を出して群れの不安を煽るとともに、そのまま助けてもらうのが“襲われちゃったよ助けて作戦”なのだ。
しかしこのまりさはれみりゃの存在を知らない。
自然界のゆっくりでれみりゃに襲われないなんて事があるのだろうか!?

『まりさ!ここはまりさしかいない宇宙だ!きっとれみりゃはいないんだ!』
『ゆっがーん!』
「むっきゅん、なんかあやしいまりさだぜ!」

ぱちゅまりさが不審がると、他のまりさもこちらを睨む。

『南無阿弥陀仏』
『どぼじで念仏をどなえるのぉぉぉぉぉ!!』
「あやしいまりさはとりしらべをするぜ!」

まさに絶体絶命のその時、ちぇんまりさが絶叫しながら走ってきた。

「まりしゃがきたんだぜー!わからないぜー!!」
「まりしゃがでたのぜ!?」
「むぎゅう!まりさはゆっくりおうちににげるぜ!」
「おちびちゃんがしんぱいだよ、まりさもゆっくりもどるよ!」
「ちんぽー!」

阿鼻叫喚の中を逃げ惑うゆっくり達。
あれだけいたまりさっぽい群れは誰1匹として残ってはいなかった。

『なにがあったんだ?』
『まりしゃってのが来るらしいよ』
『まりしゃ…まりしゃ…まりしゃ?』
『きっとまりさに似た何かじゃないかな』
『まりしゃ…まりりゃ…れみりゃ…ああ、れみりゃのまりさ版か』
『あ、なーるほど、それなら辻褄が合うね!』
『ああ、と言う訳で念仏の続きと行くか』

「うっうーたべちゃうんだぜー!」
「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

どうしても胴付きまりさにしか見えないそれは、ゆっくりとは思えないほどの幻想郷最速の動きでまりさを捕らえた。
あとは何時も通り餡子を吸い上げるだけだ。

「ゆ、ゆぎゃぎゃぎぎぎぎぎ!…お、おにいざん…だずげでッ!!」
「このあまあま、いつもよりおいしいんだぜー」
『そりゃ良い物食わせてるから旨いわな』
「おにいざんッ!!」

2分経過、まりさは10%ほどを吸い上げられた。

「ゆっ、ゆっぐり、ゆぐっ、ゆっ…おにい…ざん…ばやぐ…てんそ…う…」
『待て、あとちょっとでエネルギーが溜まる』

5分経過、もう半分は吸われただろうか?
まりさの片側は凹んでぺらぺらだ。

「あまーっくておいしんだぜー♪」
「もっど…ゆっぐり…じだがった…」
『頑張れまりさ、諦めるな!』

8分経過、もはやゆっくりのミイラだ。
これでも生きているまりさにいい加減まりしゃも不信感を覚える。

「ゆふっー…どうじですってもすってもなくならないんだぜー?」
「ゆぎぎぎぎぎ…」
『(伊達に強化してないからな)まりさ大丈夫か!エネルギーチャージが5分前にはゆっくり終わってたから転送するぞ!』
『ゆっ、ゆっぐり…ごろじで…やる…』
『まぁそう言うな、行くぞ』


チーン!


「まりさ、大丈夫か?」
「ゆ………ころ………ゆっ」
「これは緊急治療装置じゃ無理だ、移植手術だな」

明らかにぺらぺらのまりさを見てお兄さんは冷蔵庫へとゆっくり走っていく。
冷蔵庫を開けるとそこにはタッパーに詰められた餡子がずらりと並んでいた。
高級餡子を移植するのもありだが、やはり一番いいのは本人の餡子だ。
そのためお兄さんは毎日まりさから少しずつ餡子を抜き取り、輸血ならぬ輸餡を準備していたのだ。
その輸餡を乱暴に詰めていく

「ゆっ…ゆっ…ゆっ…ゆげぇ…」
「むぅ、ちょっと古めの餡子だからな…まぁゆっくりなら大丈夫だろ」
「おにっ、おにぃざん…だずげ…」
「だから助けてる最中だ」

そうしてまりさはオレンジジュースに満たされたカプセルに沈められ、口には酸素吸引用のホースが固定されている。

「ゆっくりって酸素必要なのかね?」
「すーはー、すーはー、おにーさん!ゆっくりしていってね!」
「ウザッ!」

お兄さんはホースの先端を押さえた。
するとたちまちもがき苦しむまりさ。

「ゆぼっ!ゆぶっ!ゆぼぼっ!」
「おおっ、やっぱり酸素が必要なのか」
「ゆぷはぁッ!なにするのー!」



      • 治療終了---



「なぁまりさ?」
「なに!」

オレンジジュースのプールに漬かりながらもまりさは威嚇のぷくーっ!を忘れない。

「今回の旅行の感想はどうよ?」
「もう二度とごめんだよ!」
「…だろうな、悪かったよ、お詫びに今日の夕食はステーキだぞ!」
「ゆゆーんっ!?松坂牛だね!?」
「もっさ普通のポークステーキだ、ちなみに俺のは神戸牛」
「ゆがぁぁぁぁぁぁぁ!」

彼は愛でお兄さん。
全ての研究と発明は、愛しのまりさのために行われる。
明日もお兄さんの歪んだ愛情はまりさの平凡な一日にスリル&サスペンスを与えてくれるだろう。
幸せまりさ、よかったね!





「ぢっどもよぐないよッ!!」
「まりさー、次は人工胴付きゆっくり化パーツのテストなー」
「ゆぎゃぁぁぁぁぁああ!!」





あとがき

他の作者さんの設定とか見てると「ああ、この設定って結構面白いな」って思うわけですよ。
自分で作ってる時も「こんな設定どうだろう、この設定ならゆっくりにこんな動きがさせれる」とか色々妄想が膨らむわけです。
それを一発で解決する夢の設定並列宇宙(平行宇宙?)でしたがいかがでしたでしょうか?
あと3宇宙くらい回る構想でしたが、ボリュームが増えすぎるのもなんですので、今日はこのくらいで。



今までに書いたゆっくり

ゆっくり信仰していってね!
ゆっくり新技術を導入していってね!
ゆっくり体調管理をしていってね!
虐待理由
協定
ゆっくりの能力を得たお兄さん

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最終更新:2023年07月08日 19:26