※色々注意










蒼い水の星、地球。
そこに一つの飛来物があった。

勿論地球には常に星屑が吸い寄せられて、落ちてきている。
だが違う。それは星屑でも、ましてや隕石でも人工衛星でもなかった。
それは、宇宙船だ。

草木も眠る丑三つ時、とある山奥にそれは落下していった。
幸運にもそこの周囲には人家は無い。
よって衝突の爆音が騒ぎになるようなことも無かった。

クレーターの中、その中央にいまだそれの姿がある。
何たる強度か。相当の速度で地面に衝突したというのに、それには傷一つ見られない。
人類の常識では測れない未知の物質、または科学。

突然、それに動きが見られた。
涙滴型の宇宙船から伸び始めたのは、アンテナともとれる細い茎状の何か。
にょきにょきと天を目指し、そして不意に止まる。

刹那、光を放つ。
細いレーザーを幾重にも束ねたようなそれは、まるで光のカーテンだ。
それはぐるぐると、まるでレーダーのように回転し始める。

宇宙船の周囲、そこに生える木々を捉え、飲み込み、通過していく。
この光はどうやら無害のようだ。その証拠に、この光に晒された木々は何の変化もしていない。

ゆっくり、ゆっくりと回っていく光のカーテン。
そしてそれは一つの動く者を飲み込み、そして消えていった。










トラン○フォーマー ゆっくりうぉーず










今日も今日とて良い天気。
俺は日の光に誘われるようにして、散歩に出た。
特に目的は無い。ただなんとなくそこらじゅうをぶらぶらするだけだ。

そうしたらなんかいきなりゆっくりの集団に出くわした。
なんか懐かしい。最近はこうやっていきなりゆっくりと遭遇する事なんて無かったからなぁ。
まぁそんなことなどどうでも良い。どうせだから虐待でもしてやろうかと考え・・・・・・?

なんだこいつらは。
なんとなく様子が変だ。まずゆっくりの集団と言ったが、正確にはゆっくりれいむの集団だ。
どいつもこいつもれいむばかり。大きさもほぼ同じ。
どうやら家族というわけではなさそうだが。

そして何より、一匹のれいむに対して複数のれいむが擦り寄っている。
一匹のれいむに夢中で、他のれいむ達は押し合いへし合いを繰り返す。
まるでバーゲンのときのおばさん達のような感じだ。

「れっれいむ!!れいむはれいむとゆっくりしようね!!」
「なにいってるの!!れいむはれいむとゆっくりするんだよ!!れいむはあっちいってね!!」
「れっれっれいむ!!れいむは・・・れいむは・・・んほおおおおお!!!」
「おさないでね!!れいむがれいむとすーりすりできないよ!!!」
「やだああああ!!!れいむがれいむとすりすりするのおおおお!!れいむはあっちいってねええええ!!!」
『・・・・・・・・・・・・』

なんだかすごく紛らわしい。
やれれいむがどうとか、れいむがこうとか・・・れいむしか言ってないじゃないかコイツら。
ちなみにれいむ達の意中のれいむはむっつりとした顔で押し黙っている。

見ていても面白いのだが、どうせだからちょっかいを掛けてみよう。
そう思いついた俺は、れいむ達に近寄っていく。
接近した俺に気付くれいむ達。

「ゆゆ!!にんげんさんだ!!」
「ゆっくりしていってね!!!おにいさんはゆっくりできるひと?」
「ゆわあああああああにんげんだああああああ!!ゆっぐりでぎないいいいいい!!!!」
「ゆ!!にんげんだね!!かわいいれいむにあまあまもってきてね!!」
「ちょっとおにいさんはひっこんでてね!!いまれいむたちはれいむのことでおはなしがあるんだよ!!」
「んっんほおおおおー!!れいむー!!んほおおおおおー!!」

それぞれの反応を返すれいむ達。
ゲスかったりそうで無かったりと様々な反応だが、それはまぁいい。
さて、件のれいむの反応は如何か。

『・・・・・・ぬ!?君は一体何者だね!?』

喋った。
いや喋るなら別に普通の事なのだが、なんか違う。
まず声がおかしい。れいむ種のあのなんともイラつくような声ではない。
もっと男らしく、それでいてセクシーな・・・・・・なんとも形容しがたい良い声だ。

「え、あ、あれ?なにこの声?れいむじゃない・・・・・・?誰・・・?」

思わずうろたえる俺。
もしかしてコイツはガ板ゆっくりと言う奴であろうか。
まさかの事態に動揺を隠せない。

『む、君は言語が通じるのか。良かった、今このまわりにいる生物はなんとも意思疎通がし辛くて・・・・・・』

つらつらと喋っていく謎のれいむ。
一言喋るたびにその口からは魅惑のヴォイスが流れ、俺を虜にしていく。
見れば周囲のれいむ達もその声に夢中なのか、全員がうっとりした顔つきで謎れいむを見つめていた。

『・・・・・・すまないが、私の話を聞いているかね?』
「へっ、はい!?聞いてます!!聞いてますとも!!」

反射的に声を上げる俺。
まずい。全然話聞いていなかった。
一体このれいむ、何者なんだ。

『申し遅れたが自己紹介をしよう。私は―――――』

瞬間、謎れいむの顔(というか身体全体)に黒い線が走った。
いや、これは亀裂だ。謎れいむの身体が開いていく。
中身は・・・・・・機械!?餡子ではない。
ガシャガシャという機械音と共に、謎れいむは変形を繰り返していく。
この姿・・・・・・。饅頭から人型への変形・・・・・・。そして機械の身体・・・・・・。
もしや。

『私の名は、コン○イ。レイムコ○ボイだ、よろしく』

知っている。
俺はこの姿、この者のことを知っている。
昔テレビで見た勇姿。まさか本当にいただなんて。
そう、俺の目の前には、鋼の巨人がその姿を現して―――

「って小せええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

思わず絶叫する俺。
今目の前に立つ○ンボイは、せいぜい40センチほどの身長しかなかった。
それも当然だろう。れいむの身体は30センチ。元が小さければそりゃ変形しても小さいまんまだわな。

「ゆわあ!れいむがなんかすごくへんになっちゃったよ!!」
「かかか、かっこいいいーーーーー!!!」
「ゆぅ・・・このすがたのれいむもせくしぃーだよぉ・・・・・・」
「んんんん、んほおおおおおおおお!!!」
「とってもゆっくりしたかっこうだね、れいむ!!」

周囲のれいむどもも大騒ぎ。
つーか紛らわしい。お前らが言ってるのはれいむじゃなくてコンボ○だろ。

『小さい・・・?元々私のサイズはこれくらいだが・・・?』
「あ、なんでもない。こっちの話です」

とりあえずコ○ボイの疑問をスルーさせる。
一体何がどうなってるのか、聞いてみなくてはならない。

「あの、なんでそんなけったいな格好をしてるんですか・・・・・・?」
『ああ、この姿は・・・・・・まず、私達がこの星にやってきたところから話さねばなるまい』



そうして、レイムコン○イは話し始めた。

要約すると彼らはデスト○ンの宇宙船を追うも交戦状態になり、未知の惑星、即ち地球に墜落してきたとの事だ。
地球にはなんかすごいエネルギーが働いてて、そのままの姿では活動に適さなかったらしい。
そこで彼らは周囲をスキャン、惑星の環境に合わせた変身体(ゆっくりモード)を手に入れたのだ。



『ちなみに、エネル○ンの反応は君達が"ゆっくり"と呼ぶこの生物から出ている』
「マジで!?」

驚いた。
ゆっくりは不思議なナマモノだがまさかそんなエネルギーまで持っていたとは。
と言うかそんなものに擬態するなよお前、と突っ込みたくなる。

『我々の目的はただ一つ、この地球のどこかにいるデス○ロンの捕縛、回収だ』
「へぇー」
『良ければ、君達に力を貸してもらいたいのだが・・・・・・協力してもらえるだろうか?』

協力の申し込みをされる。
どうせ暇だし、手伝っても良いか。

「ああ、いいよ。俺でよければいくらでも協力させてもらう」
「れいむたちもきょうりょくするよ!!!」
「さっさとおしごとかたづけて、れいむたちとゆっくりしようね!!」
「んほほーーっ!!」

まわりのれいむ達も賛成の声を上げる。
ていうか五月蝿い。別にお前らなんか糞の役にも立たないだろうに。



『フッフッフ・・・・・・。そうはさせんぞ、サイバ○ロン!!』



「っ!?何だ、一体!?」
『その声は・・・・・・まさか!!』

背後を振り返る。
そこにはゆっくりまりさの集団がいた。一匹のまりさがずずいと前へ進み出ている。
まさか。

「ゆっへっへ。おまえら、まりささまたちのつよさにおどろくのぜ」
「そうなのぜ。にんげんはころされたくなかったらあまあまもってくるのぜ」
「さぁまりささま!いっちょそのかっこいいおすがたをみせてあげてくださいなのぜ!!」
『ふっふっふ・・・・・・。メガ○ロン、変~しっん!!』
「やっぱりーーー!?」

やはりまりさの顔が割れ、そこから機械の身体が覗いている。
ガシャンと言う機械音と共に、人型へと変身を遂げるそいつ。
○ンボイの永遠のライバル、破壊大帝メ○トロンだ。

『貴様とはつくづく縁があるらしいなコン○イ!!まさかここまで早く逢えるとはなぁ!!』
『メガトロ○、貴様・・・・・・!!』
『おっと、今は貴様と戦うつもりは無い。俺様の目的は・・・・・・』

なんか問答を始めた二人。いや二体?
とりあえず邪魔をするのも悪いので突っ立って傍観する。

『・・・・・・貴様の協力をしようという、そこにいる地球人の抹殺よ!!』
「え、俺!?」

いきなり話を振られて驚いた。
というか俺が標的だと!?
ヤバイ。

『こいつらに協力されては少々厄介なのでなぁ~。早々に始末させてもらうわ!!』
『危ない!!伏せろ!!』

○ガトロンが俺に向かって右手の山高帽子、そこから覗くレーザーライフルを俺に向ける。
しまった。いまからでは回避が間に合わない。
このままでは、撃たれる。

『死ねぇ!!』

メガ○ロンからレーザーが発射された。
くそ、いきなりこんな所で俺の人生終了か。急すぎる。
目を瞑り、腕を前に組み襲い来る攻撃に備えて・・・・・・。



ぴっ。
じゅっ。



「熱っぢ!!!」

熱っちぃ。
腕がちょっと焦げた。思わず涙目になる。
ってあれ?もしかして、今のレーザーってこんなもん・・・・・・?

『な、なにぃ!?バカなどういうことだ!!』
『良かった、無事だったか!!』
「ゆえっ!?どういうことなのぜ!!」
「おにいさんだいじょうぶーー!!?れいむがぺーろぺーろしてあげるね!!」

俺の無事を知ってどよめく外野。
あれ、もしかしてこれは・・・・・・。

こいつらゆっくりに擬態しちゃったから能力もゆっくりナイズドされてる?

そうとわかれば最早怖くない。
つかつかとマリサデス○ロンに歩み寄り、足を上げる。

『むっ、何者だ貴様!!何故俺様のレーザーを喰らって生きて・・・ぐあっ!!!』

蹴る。それだけで全長40センチのメガトロ○はすっ飛び、木に叩きつけられた。
すげぇ弱い。なんか抱いていた幻想を壊されてすごい悲しくなってきた。

『今だ!!サイバト○ン全軍、突撃ーっ!!』
「「「「ゆっゆおー!!!」」」」

すかさずコ○ボイの激に応え、れいむ達は突進していく。
いつの間にれいむ達はサ○バトロン軍に入っていたんだ。

『く、くそっ!!デ○トロン全軍攻撃ーッ!!』
「「「「ゆっくりしねぇぇぇぇ!!!」」」」

負けじとデス○ロンも突撃する。
途端に泥沼の混戦模様となった。

『カーッ、ペッ!』
『私が、主役だああああァァァァッ!!』
「のろまなれいむはゆっくりしねぇっ!!」
「いばってるまりさはゆっくりできなくするよぉっ!!」
「ゆぎゃあ!ばりざ、ごべんなざいいいいいいぃぃぃ!!」
「あやまっても!ゆっ!おそいんだぜ!ゆっ!このまま!ゆっ!じねっ!ゆっ!」
「ばりざよりあっぢのばりざをごろじでねえええぇぇぇえ!!?」
「だめだよ!!ゆっくりできないまりさはゆっくりしね!!」
「んほおおおおおおおおおお!!!!」
「どぼじででいぶに礼ぱーがいるのおおおおお!!!?」
「ゆっくりしようね!」
「いっしょにゆっくりしようね!!」

果て無くうぜぇ。
しかし暫くすると均衡は崩された。
やはり司令官がダメージを追っていた分、サイバ○ロンが優位になってきたのだ。

『○ストロン軍、撤退、てったーい!!』
「「ゆっくりにげるよ!!!」」
「にげおくれたまりさはそこでしんでね!!」
「「「どぼじでぞんなごというのおおおお!!!?」」」

あっという間に草むらの影に消えていくデスト○ンとまりさ達。
残ったのは見捨てられたまりさ達の死骸と、大半が傷ついて動けなくなったれいむ達だった。

『むぅ・・・・・・勝ったはいいものの、こちらにも多くの犠牲が出てしまった』
「いだいよおおぉぉぉぉ・・・・・・」
「じぬ・・・・・・じんじゃう・・・・・・」
「むじろ・・・・・・ころじで・・・・・・」

ゆっくりモードに戻りながら眉をひそめるレイムコン○イ。
軽傷のものは痣ができる程度、重症はそれこそ身体の半分を失うといった状態など様々だ。
とりあえず見ているだけなのもアレなので、口を挟むことにしよう。

「大丈夫だと思うよ。こいつら数だけはいるから補充はすぐに利くって」
『いや、そういうことではなく・・・・・・』
「ほら、そうこうしている間に新しいれいむがやって来た」
「ゆゆっ!?ゆっくりしていってね!!!」

がさりと草むらをかき分け、新顔のれいむがやって来た。
そしてレイム○ンボイを一目見て、惚れる。
コ○ボイの注意が逸れている間に怪我したれいむ達を踏み潰しておいた。

「ゆゆっ!!とってもゆっくりしたれいむだね!!なにかれいむにてつだえることはない!?」
『それならば、サ○バトロン軍に入隊してもらえば嬉しいのだが・・・・・・』
「ゆっくりりかいしたよ!!れいむそのなんとかっていうところでがんばるね!!!」

勧誘成功。
こんな調子で集まったれいむ達を口説き、あっという間にサイバト○ン軍は人員の補充を完了した。
忙しいコ○ボイは既につぶれた饅頭のことなど覚えていないようだ。哀れである。



『我々は絶対にデス○ロンに負けてはならない!!それがこの星を守るためにも重要なことなのだ!!』
「「「「ゆっゆおーーーー!!!!」」」」
「おー・・・・・・」

こんな調子でレイムコン○イとれいむ達と俺の奇妙な戦いの日々が始まった。
果たしてコ○ボイはデス○ロンを捕まえることが出来るのか!?
この地球は一体どうなってしまうのか(彼らごときにどうにかなるとは思えないが)!?
それはこれからわかる。まだまだ戦いの日々は戦ったばかりである!!

戦え!超ゆっくり生命体トラ○スフォーマー!










以下に、戦闘の様子を(あまりにも低レベルな争いなので)台詞だけ抜粋する。










『私にいい考えがある』
「ゆゆ!?みんなー!れいむがゆっくりしたさくせんをかんがえたってー!」
「いかんその台詞はフラグだ」










『なんだとデスト○ン』
『こいつらはただの饅頭だと言ったのだこの愚か者め!』
「「「「「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおぉぉぉ!!!?」」」」」










『よーし皆、目を瞑れ。
 饅頭を食べた人は正直に手を上げなさい。正直に言えば私は怒らない』
「「「「「・・・・・・・・・」」」」」
『誰もいない!先生怒るぞ!
 本気と書いてマジで怒るぞ!!いいのか!!!』
「「「「「・・・・・・・・・・・」」」」」










余談だが、後に俺達はドスまりさサイズのユニ○ロンと戦ったりした。
(主に俺が)ユニク○ンをフルボッコにするのだが、それはまた別のお話。










おわれ










―――――
書き溜めです。
もうすぐ映画公開だしムラムラして書いた。反省している。
レイムコ○ボイ(CV:子安○人)、マリサ○ガトロン(CV:千○繁)でお送りしました。

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最終更新:2022年05月19日 12:40