『SSC part2』 presented by 春巻
※注意
  • このお話の《おにいさん》は、香霖堂の店主、河城にとり、さらにはAQNと仲が好い。というように、幻想郷メンバーに知り合いはそれなりに居る設定。
  • 幻想郷キャラには協力を仰ぐ程度で、台詞は存在しない。
  • 冒頭で登場するゆっくりは《直接的で》肉体的な虐待は受けない……けど。
  • ハイテクな製品が登場しますが、舞台は幻想郷である。
  • おにいさんがハイテク機器を巧みに操れるのは、にとりちゃんの指導もあるが、おにいさん本人が幻想郷に来る以前はシステムエンジニアをしていたから。
  • 過度な改行はしていない。読みにくければ各自Windowsのメモ帳などにコピペするなど、折り返し機能のあるテキスト閲覧ソフトを使ったりして自分で見やすくして欲しい。というか、メモ帳にコピペしたほうが見やすい、これ絶対。(∵Word2007を使用している)
※以上、注意







 朝の目覚めは、優雅に珈琲を飲みながら。
「ゆううううううう!! どぼぢでこんなことにいいいい!!」
「ゆっぐりさせてよおおおおおおおおお!!」
 ゆっくりの悲鳴を聞くことから始まる。

     ○

 お久しぶりですね。
 先日、SSC――スーパースローカメラで撮影した活動写真でゆっくりをいじめたおにいさんです。
 あの映像を見せた後で、あまりの精神的衝撃に耐え切れず死んだぱちゅりーを処理しようと部屋に入ったところ、れいむも餡子を吐ききって息絶えていた。
 タイミングを考慮して、恐らく眼窩から眼球と餡子が飛び出していったところで、心が壊れてしまったようだ。
 ちぇんやまりさも具合はよくないようだったが、れいむほどではない。れいむ種というものは、精神面においてはぱちゅりーほどに弱いのかもしれない。

 それから一夜経った今日は、先日の生き残りに加えて、今朝玄関先の罠にかかっていたゆっくり四つを追加した。
 罠と言っても、よく聞かれるものだ。開け放された窓のしたに落とし穴を掘っただけ。人間、しかもおにいさんの家であり、その癖開け放された窓。何か仕込まれているのではないか、こいつは怪しいぞ、と他の妖怪や妖精ならば考えそうなものだ。たとえチルノでもそう考えるだろう。あの氷精だって計算くらいは簡単に出来るし、弾幕ごっこだって状況判断して出来るじゃないか。
 ま、今は氷精を語っても意味が無い。ゆっくりいじめだからな、このスレッドは。
 今日捕まえられたゆっくりは、れいむ、まりさ、ぱちゅりー、ありす。
 ありすは、今までここに来たことは無かった。俺が捕まえてくるのは大概が《れい・まり》コンビであったので、いつもと違う反応が見られるかもしれない。
 さらに、正直なことを言うと、ぱちゅりー種はあまり来てほしくない。頭がよく、液晶テレビに表示した文字などを簡単に読んでくれる面では重宝しているが、精神的ショックによる喘息の発作(本当にそうなのかは判じ得ないところがある)ですぐに死んでしまい、面白くないのだ。
 ビデオを作りときにも、すぐ死んでしまうために面白い反応が得られにくいのだ。
 何か、ぱちゅりーを使っても愉快に虐待できる題材があったら、ぜひ教えていただきたい。

 さて。
 それでは、本日のビデオを放映するとしよう。
 今日は、前回も登場し手伝ってくれた虐待おにいさんと、にとりちゃん。更には『文々。新聞』でおなじみの、射命丸文ちゃんにも協力願った。文ちゃんには、空撮をお願いしたのだが、こういってしまうと何をとったか推測できるかもしれないので、早速ビデオを再生するとしよう。
 遠隔操作で部屋の照明を落とす。現在は正午を過ぎたくらいであるため、明るさは然程変わらない。そのため、もうひとつの釦を操作して厚手のカーテンを閉めた。これで虐待部屋に光は殆んど入ってこなくなった。
 その様子を見ていたゆっくりたち(現在は十個居る)は、俄かに騒ぎ出す。誰も来ていないし、何もしていないのに部屋が真っ暗になったのだ。ハイテク機器のいろはも解からないゆっくりには脅威だろう。
 中でも、昨日、似たような体験をした記憶があるまりさとちぇんは、一際騒ぎ立てていた。ゆっくりできなくなるよー、という絶叫は、この上なく邪魔である。
 最も、今はそれどころではない。
 さっさとスペシャル映像を見てみたいだろう。
 まずは標準カメラで地上から撮影したものだ。

     ○

「おそらをとんでいるよ!! ほんとにおそらをとんでいるよ!!」
「れいむ!! まりさたちとりになったみたいだぜ!! これでもうすぐゆっくりぷれいすにつくんだぜ!!」
「ゆゆゆううううう!!」
「うーっ、うーっ!!」
 繁みから撮っているため視覚的には判別しにくいが、声で判ると思われる。
 上空十メートルほどのところには、うーぱっくに乗ったれいむとまりさが空中散歩を楽しんでいる。
 うーぱっくは全部で五個。その内三個には何も乗っていないようだ。
 恐らく、どこかの人間の畑に降り立って作物を食い荒らし、あまつまで盗んでしまおうという腹のようだ。
 うーぱっくと共に動き回る盗賊ゆっくりがいるというのは、最近ではよく聞く話になった。れみりゃ種亜種のうーぱっくの性質を巧く利用した、賢い奴らだ。
 この先にあるのは小さな集落。住んでいるのは年配の、しかも普通の人間である。盗みやすいことこの上ないのだが、その情報はどこから手に入れたのだろうか。有能なボスの手下なのかもしれない。
 しかし、このゆっくりたちを乗せているうーぱっくは大柄だ。一般的なサイズとしては大人のゆっくりを乗せるとスペースがなくなるはずだが、まるでゆっくりふたつを乗せても問題が無いように見える。
 だが、その方が好都合だ。
「ゆゆっ!! れいむ!! はたけはもうすぐなんだぜ!!」
「ほんとだね、まりさ!! にんげんたちはれいむたちのためにたべものよういしてくれているなんて、ほんとうにゆっくりしているね!!」
「ゆゆう!! これからもよろしくたのみたいものだぜ!!」
 なにやら勝手なことを言っている。
 撮影しているこの場所は畑から三十メートルの地点に聳える崖の下側。
 ふいよふいよと高度を下げつつ崖の上を飛んでくるうーぱっくは、見るからにゆっくりしていて、その魂胆さえなければそのまま空中散歩をさせてあげたいものだが――。

 ――世の中、決して、ゆっくりを中心には廻らない。

「う……? う、うあっ!? う゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!??」
 最後尾を浮遊していたうーぱっくが、いきなり叫び始めた。前を行くうーぱっくと、それに乗っているれいむとまりさも後ろを気にかけた。
「どうしたんだぜ、うーぱっく!!」
「しずかにしないとにんげんがくるよ!!」
 うーぱっくに乗ったまま振り向くふたつの饅頭。うーぱっく本体は急な方向転換を避けるため振り向きはしなかった。
 だが。
「ゆうううううううううう!!??」
「どおしでもえでいるんだぜ!!??」
 最後尾のうーぱっくの中からは、紅蓮の色をして踊り狂う炎。
 段ボールで出来ているうーぱっくの最大の敵のひとつだ。
「ううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!??」
 為す術無く見つめていると、れいむを乗せたうーぱっくの横を飛んでいた空のうーぱっくも叫びだし、間もなく煙と炎を出して燃え始めた。
「ゆううううう!! まりざあああ、あづいいいいいいい!!」
「ゆゆゆ!! うーぱっく、はやぐそいづからよけるんだぜえ!!」
 完全にパニックに陥ったれいむに比べて冷静な対応を促すまりさ。やはりこちらの方が餡子の質がいいらしい。
 しかし。
「う゛あ゛っっっ!!!」
 ちゅどーん、という音を立て、先頭を飛んでいたうーぱっくが、突如として姿を消した。
 そのすぐ後ろを飛んでいたまりさを乗せたうーぱっくは、爆風の直撃を受けてバランスを崩す。
 目の前で仲間が燃やされている。この状況にあって、うーぱっくには傾いた体勢を立て直せるほどの余裕は無かった。
「まりざっっ!?」
「ゆううううううううううううう!!! れいぶうううううう、はやぐまりざをたずげるんだぜえええええええええ!!」
 絶叫を残し、まりさはうーぱっくから落下。
 運の悪いことに、ゆっくりたちの目指していた畑の手前には崖があり、その下は硬質の岩だらけ。時々この崖が崩れることがあるらしく、そのたびごとに出来る岩の塊だ。
「ばあああああありいいいいいいいいいざあああああああああああ!!」
「ゆううううううううううううううううううううう!!!!!」
 まりさはその岩塊に向かって落ちてくる。
「ぼっどゆっぐりぢいいいいいいいやああああああああああっ!!」

 ぶづぐじぃゃああ!!

 得体の知れない擬音を残して、まりさはぺしゃんこになった。
《もっとゆっくりしたかった》
 その言葉すら遺す事も出来なかった。
「ゆうううううっ、ゆうううううううっ!!!!!」
 眼下に広がる岩場には、同心円を描くように餡子の海。それを真上から見ていたれいむは、ただ涙を流すのみ。
「うーーーあーーーーっ!!」
「うあっ、うあっ、うあっ!!」
 れいむを乗せていたうーぱっくもブサイクな顔で泣いている。
 だが、一番精神的衝撃が大きかったのは、まりさを乗せていたうーぱっくなのだろう。仕事も完了していないだけならまだ救い様がある。だが、乗せていたゆっくりを転落死させてしまうということは、うーぱっくの至上の汚点。その衝撃は計り知れない。
 しかし、悪夢はまだ続く。
「……ゆ? !!???」
 急に背中が熱くなったことに気づいたれいむ。だが、それに気づくのに、若干ゆっくりしすぎたようだ。
 れいむの背後には火の玉がひとつ。
 自分の野菜の取り分を多くしようと目論んで、大きなうーぱっくに乗り込んだのが、ここで裏目に出た。丁度のサイズのうーぱっくに乗り込んで、荷物運搬用として大柄なうーぱっくを使ったほうが効率も良かったはずなのだが、それすら解からないのは餡子脳が餡子脳たらしめている証だった。
「ううううううううううううあああああああああああああああ!!!!」
 うーぱっくも自分の体が燃えていく痛みに耐えられるはずも無い。あっというまにれいむとうーぱっくは炎に包まれ、まりさの後を追った。
「うーーーーうーーーーーーーーー……」
 唯一生き残った、生き残ってしまったうーぱっくは茫然自失。仲間をすべて失い、乗せていたゆっくりも殺してしまった。
 完全なる無表情でふらふらと高度を下げ、畑の手前に墜落するように着陸した。
「うー、うー……」
 さめざめと涙を流すが、こいつも頭がよろしくない。元をたどればれみりゃ種であるから無理は無いのだが。
「うあっ!!」
 近くの繁みには虐待おにいさんが潜んでいることを、うーぱっくは知らなかった。
 身動きも、絶叫も残せぬままに、最後のうーぱっくは虐待おにいさんの両腕に引き裂かれた。

     ○

「えれえれえれえれえれえれえれえええれえれえれれれれれれれれれれれれれれれ」
「ちょっと、ぱちゅりー!! なにはいてるの!? しっかりしなさいよ!!」
 ホラ。やっぱり即死した。
 だから、面白みが無いというのだ。標準カメラの撮影動画で死なれたら、折角のSSCが役に立たないではないか。
 それにしても、このありすは精神的に強いのか、上映が終わるとすぐさまぱちゅりーの心配を始めた。セクシャルマシンはそういうものなのだろうか。噂に聞けば、ありす種もぱちゅりー種に及ばないものの中身の質がいいらしいので、この反応にもある程度納得がいく。
 他のゆっくりの様子はと言えば、今日連れてきたれいむとまりさは相当なダメージを受けたようで、ゆっゆっと呟いているだけだ。
 昨日から居るゆっくりは幾分慣れたようで、呆然と何かを呟くような状態まではいっていない。ただ、見方を変えれば、現実逃避をしているようにも見て取れる。どちらでも大差はない。皆さんが思ったほうで構わないし、俺はとくにその考えに固執しない。所詮、小事の前の大事である。

 さて、今日のテーマはもうお分かりのように《うーぱっく盗賊団の抹殺》だった。
 実のところ、今回のターゲットがうーぱっくたちになったのには、結構大きな理由が在る。
 撮影を手伝ってくれた虐待おにいさんは、その正確をカモフラージュするために、ゆっくり処理を副業としていた。今回おにいさんは、ビデオに出てきた畑の主である集落の長をゆっくり盗賊団から守るという役を拝命していた。それを耳に入れた私が、撮影の許可を得て、今回のビデオが完成したという筋書きだった。
 おにいさんも、自分の武勇伝となる記録映画ができたし、集落の長も畑も守ることが出来た。とりあえず、ゆっくりを除外して、皆が利益を得たというわけだ。

 どういった手段がとられたかは何となくわかるだろうが、ここでひとつ説明を挟みたい。
 まず、うーぱっくの隊列で最後尾を飛んでいた段ボールの中に、火の点いたマッチ棒を投げ込む。これは木の上に潜んでいた犬走椛ちゃんがやってくれた。何でも、今回の撮影で文ちゃんに依頼したときに、文ちゃんが半ば無理やり引き摺ってきたのだ。ちょっと申し訳なく思っている。
 最後尾のうーぱっくが墜落を開始したところで、れいむの乗っているのに直近を飛行するうーぱっくを攻撃する。これは、絶望感を煽ってパニック状態に引きずり込むための戦法だ。
 案の定れいむが混乱状態になったところで、今度は先頭のうーぱっくに小型合成樹脂爆弾を放り込む。薬剤の調合などは自前だ。
 本当なら、注意を逸らされたこのタイミングでまりさを攻撃する手筈だった。だが、先頭のうーぱっくにやたらと近いところを飛んでいたまりさのうーぱっくは、この爆風を直接的に受けてしまった。どうやらまりさは、れいむのみ被攻撃対象とし、自分はさっさと逃げようとしていたらしい。此処に来て、その根性の腐り具合が裏目に出たと言うことだ。
 爆風を受けたうーぱっくはバランスを崩し、完全に横倒し体勢になった。まりさはその(ゆっくりたちのレベルで考えて)急な動きを堪えることができず、運悪く真下に控えていた岩の塊(しかも都合よく一番尖ったところ)に落下し、その身体を砕いた。
 絶望感に包まれたれいむが乗るうーぱっくには、上空を飛んでいた文ちゃんから火の点いた藁の球体が投げ込まれ、あっというまに火の車。
 唯一生き残ったうーぱっくは、予定通りに、虐待おにいさんが破り捨てた。
 以上だ。

 うーぱっくというゆっくりについて、恥ずかしながら、私はこのビデオ撮影のときが初顔合わせだった。
 素材としては段ボール箱に羽と顔がついて、ゆっくりれみりゃのように頭のよろしくない種類だということを知識としていた程度で、実際どのようなものなのかという点では心許無かった。
 その弱点を補うべく、この撮影には文ちゃんに協力をお願いした。
 彼女もゆっくりを追跡する記事をいくつか書いていたらしく、あっさりと乗ってくれたので交渉はきわめてスムーズであった。
 なお、空撮もお願いできたので、今回SSCを持ったのは他ならぬ文ちゃんである。
 ブンヤの血が騒ぐのか、SSCの操作法を口頭教授しただけで完璧に使いこなしたのには驚いたが、そのおかげで決定的瞬間を間近で撮影することができた。

 虐待部屋は予想通りの大騒ぎだった。
 とくに部屋の中に居るまりさ、全四つが、揃いに揃って喚いている。もしかしたら、このまりさたちもうーぱっく強盗団の一味なのかもしれない。別な考え方をすれば、まりさたちの属するゆっくり集団がうーぱっくと仲が良いのかもしれない。
 最も、そんなことは関係ない。
 今から、もっと恐ろしい瞬間を目の当たりにするのだ。
 虐待部屋の餡子の処理が大変になればなるほど、ビデオが高評価を受けたということだから。

     ○

「ゆゆっ!?」
「わかるよー、でもわかりたくないよー!!」
「ぼうやべでえええええ!!」
 怒号の飛び交う虐待部屋では、加工後の映像とSSCで撮影された映像が映し出されようとしている。
 前回と同じく急激に画像が初期状態に戻されたのを見て、昨日から居るゆっくりにはこれから何が起こるのか理解が出来ているようだ。優秀なのは、このあたりで助かる。
 今日から入ったゆっくりも、この発言を受けて恐ろしいことが始まるということが分かったようだ。ゆっくり同士で助け合い(ゆっくりからすれば首の絞め合いだろうか。首なんか無いけど)をしてくれるのは好ましいことだ。
 ビデオの映像は、静止画面。うーぱっく五個とれいむ、まりさが、これから自分の身に降りかかる悲劇など知らぬように(実際知らなかったが)楽しそうな遊覧を続けていた。
 テレビの静止画像というのは、意外にも不安を煽るものだ。通常動いている映像が映るという先入観のようなものを持っている場合、よからぬことが起こっている、もしくは起こってしまうような気がするのだ。
 どうやらこのゆっくりたちも、そんな先入観を既に持ってしまったようだ。余計な先入観は視野を狭めるというが、まさか饅頭の世界にも起こり得るとは思わなかった。
 数秒間の沈黙の後、画像がゆっくりと動き始める。今回の映像は、スロー音声も重ねておいた。標準カメラで取った映像にしか対応していないのでまだ面白みに欠けるが、いくらかよいだろう。一回目の教訓を受けて、この映像を撮ったときは椛ちゃんにガンマイクを持たせていたのだ。
 壊れたカセットプレイヤーから出る声は気持ち悪い。今虐待部屋には、そんなゆっくりたちのきわめてゆっくりとした会話がかかっている。
「ほぉんとだぁねぇぇぇ、むぁりぃさぁ!! にぃんげぇんたぁちぃはぁ、れぇいいむぅたぁちぃのぉたぁめぇにぃたぁべぇもぉのぉよぉうぅいぃしぃてぇくぅれぇてぇいぃるぅなぁんてぇ、ほぉぉんとぉうにぃゆぅっっくぅりぃしぃてぇいぃるぅねぇ!!」
「ぃゆぅゆぅうぅぅ!! こぉれぇかぁらぁもぉぉ、よぉろぉしぃくぅたぁのぉみぃたぁいぃもぉのぉだぁぜぇぇ!!」
 いい加減、これはうざったい。
 だが、ゆっくりたちの恐怖心を煽るには充分らしい。先ほども見た画像で、これから何が起こるかなんて、あのインパクトの所為で餡子脳でもメモライズできている。早く終わって欲しい画像なのに中々始まらないのは、生殺しに近い。
 そして、ついに、恐怖の時間がやってきた。



「う……?」

 身体の中から、
 不意なる暑さ。
 経験し得ない、
 おかしな熱さ。

「う、うあっ!?」

 自分で見るのは、
 出来ないけれど、
 見なくてもわかる、
 この熱さ。

「う゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!??」

 身体の中から、
 広がる熱さ、
 気づいたときには、
 身体は明るく、
 火の玉のように
 なっていた。

「どうしたんだぜ、うーぱっく!!」
「しずかにしないとにんげんがくるよ!!」

 急に叫んだ
 うーぱっく。
 こういう行動、
 困るんだ。
 振り向き見たのは、
 悲劇の序章。

「ゆうううううううううう!!??」
「どおしでもえでいるんだぜ!!??」

 知らなければ良かった。
 でも、知らずにはいられない。
 一番子供のうーぱっく、
 火の玉になって消えてった。

「ううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!??」
「ゆううううう!! まりざあああ、あづいいいいいいい!!」
「ゆゆゆ!! うーぱっく、はやぐそいづからよけるんだぜえ!!」

 れいむの横の
 うーぱっく。
 今度はこの子が、
 叫びだす。
 さっきと同じく、
 身体が燃える。
 悲劇はまだまだ、
 終わらない。

「う゛あ゛っっっ!!!」

 一体何が、
 起こったの。
 先頭飛んでた
 うーぱっく、
 最初っから、最期まで、
 何がどうだか知らぬまま。
 身体は空気の
 塵になる。

「まりざっっ!?」
「ゆううううううううううううう!!! れいぶうううううう、はやぐまりざをたずげるんだぜえええええええええ!!」

 油断したのが、
 不味かった。
 急に倒れた、
 うーぱっく。
 いきなり横に、
 なるものだから、
 ゆっくり反応、
 できないよ。


「ばあああああありいいいいいいいいいざあああああああああああ!!」
「ゆううううううううううううううううううううう!!!!!」

 まりさは、お空を
 飛んでいる。
 最初は、箱の
 力を借りて、
 今度は、自分の
 力だけ。
 だけど、ホントは、
 お空を飛べない。
 まりさは、お空を、
 飛べないぜ。

「ぼっどゆっぐりぢいいいいいいいやああああああああああっ!!」

 ぶづぐじぃゃああ!!

「ゆうううううっ、ゆうううううううっ!!!!!」
「うーーーあーーーーっ!!」
「うあっ、うあっ、うあっ!!」

 仲間がみるみる
 減ってゆく。
 流れる涙は、
 増えてゆく。
 悲劇はますます、
 加速する。

「……ゆ? !!???」
「ううううううううううううあああああああああああああああ!!!!」

 またも燃えてく
 うーぱっく。
 今度はれいむも
 道連れだ。

「うーーーーうーーーーーーーーー……」

 最期に残った
 うーぱっく。
 最早、生きてる
 仲間も居ない。

「うあっ!!」

 もう、これ以上は無いはずだ。
 こんな悲劇は、無いはずだ。
 そう思っていたれど、





 ゆっくり中心の世界は、無い。




To be continued...?




あとがき。
 何となく。SSCで撮影したら、こんなのも面白いかなと思って、燃やしてみました。
 今度は、れみりゃを被写体に、おにいさんは大暴れする……、かもしれませんよ。


○過去作品リスト(ゆっくりいじめのみ)
  • 拳の歳末 (fuku1905.txt,fuku1908.txt)
  • SSCシリーズ 第一弾『握りつぶす』(fuku2196.txt)
その他、幻想郷キャラいじめを数作品(春巻リリーホワイト、人参と胡瓜の悲劇、放置プレイ、陰の薄い秋姉妹いじめ)

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最終更新:2022年05月21日 23:12