豊作祈願

初SSです。
お目汚しかもしれません。
すみません。


春の初め、ある村のお兄さん達が村の近くの小山を登っていた。
山の中腹辺りの分かれ道でリーダーのお兄さんが他のお兄さん達に声をかける。

「じゃ、皆さんゆっくりの群れの様子と数の確認をお願いします。」

お兄さん達は頷くと方々に散っていった。
山の中の村営ゆっくりぷれいすの様子を見に行くためだ。
現在この小山の中に6ヶ所の村営ゆっくりぷれいすを作っている。
この村ではゆっくりのために住まいを提供しているのだ。



リーダーのお兄さんも山道を進み、20分ほどして一つのゆっくりぷれいすにたどり着く。
目の前には切り立つ崖があり、そこにゆっくりが住んでいる40個ほどの穴が開いている。
崖の前の広場があり、そこから一匹のゆっくりぱちゅりーがお兄さんの下に跳ねてくる。

「むきゅっ!。ゆっくりしていってね!」
「ぱちゅりーもゆっくりしてね。」

お兄さんもぱちゅりーに挨拶を返す。
目の前にいるぱちゅりーはこの群れのリーダーだ。

「何か変わったことは無いかい?」
「昨日旅のゆっくりがここに来て、いきなりお家宣言と「あまあまちょうだいね!」って言って来たから捕まえたわ!」

そういってぽよぽよ跳ねて広場の隅の穴に案内してくれた。



穴のまわりには群れのゆっくり数匹いて穴からゆっくりが出てこないように見張っているようだ。
穴はゆっくりでは跳ねて出れないほどの深さになっていて、底に傷だらけのゆっくりまりさとゆっくりれいむが居る。
おそらく群のゆっくりに余りにもゆっくりしてないんでボコられたんだろう。

「出すんだぜ!出したらゆっくり許してやるんだぜ!」
「美ゆっくりなれいむをここから出してね!今なら許すよ!」

状況を理解してないのかそんなことを叫んでいる。

「うーん、見事にゲスみたいだねえ。すまないなあ、ぱちゅりー。」
「お兄さん達との約束だもの。ゲスな子はここには居させないわ。」

そういってぱちゅりーは胸(腹?)を張る。
そんなぱちゅりーをお兄さんは沢山なでてやった。



ここのぱちゅりー達にはいくつか約束させてここに住まわせている。
内容は以下の通りで守れない場合はここから出て行ってもらうことになっている。
①ゆっくりを増やし過ぎないようにする事。植物性妊娠ではなく動物性妊娠で子供を生むこと。
②村には決して下りてこない事。
③群れの為にゲスな子は捕まえて村に引き渡すこと。

この約束はゆっくりを増やしすぎて山の食料を食い尽くさないようにしたり、村に損害を出さないために作られたものだ。
代わりに村はゆっくりにとって安全で快適な住まいを提供することを約束している。
崖には住まいとして加工場特性かまぼこ型のゆっくりハウスを崖に埋め込んである。
断熱・防音性に優れ水も通さない、ゆっくりには垂涎もののゆっくりぷれいす。
群れはこのゆっくりぷれいすを守るために約束をたがうことは無い。



「んじゃ、こいつらはいつもどおり連れて行くからね。またあったら頼むよ。」
そういってお兄さんはまりさとれいむを穴から掴み上げ袋の中に放り込む。

「だずんだぜぇぇぇぇ!ざっざどだざないどいだいめみるんだぜぇぇぇ!」
「ばでぃざはづよいんだよぉぉぉ!ざっざどだぜごのぐぞじじぃぃぃぃ!」
袋の中でじたばた暴れるので2、3回軽く踏んづけると「ゆ”っゆ”っゆ”っ」という声が聞こえ大人しくなった。

「むきゅ、りょうかいしたわ!おにいさんいつでもまたきてね!」

ぱちゅりーがそう言うと群れのゆっくり達もお兄さんが帰る事に気付き、送り出そうとまりさ、れいむ、ぱちゅりー、ちぇん等がわらわらと広場に集まってくる。
(うーん、結構な数になったなあ。親子合わせて200匹位か?大体予定数になったなあ。)
そう考えつつお兄さんは群のゆっくり達に挨拶する。

「ああ、わかったよ。またくるよ・・・・っとそうだ。」

「「「ゆっ?」」」


お兄さんが挨拶の途中で思い出したことをゆっくりたちに話す。

「もうすぐ村で祭りがあるんだ。みんなもここに来てもうすぐ一年だし、もしよかったらその時みんな村に来ないか?あまあまもでるぞ。」

「むきゅ、おにーさんたちのむらにいってもいいの?」
「おいしいあまあまさんもでるの?」
「まりさもいきたいんだぜ!」
「ちぇんもにんげんさんとあそびたいよー!」

群のゆっくりは村への招待にみんな色めき立った。
村に初めて行けることと、こんなに素敵なゆっくりぷれいすに居させてくれる村だから良い所に違いないと思ったのだ。
お兄さんはゆっくり達の反応に満足し、「それじゃ祭りの日に迎えに来るよ。」と言って挨拶して帰っていった。

「「「「ゆっくりまたきてねっ!」」」」
ゆっくり達は期待でいつもよりも5割増の声で挨拶をして見送っていった。



  • ・ ・ ・



村に帰ったお兄さんは他のお兄さん達と合流し、現在の個体数を確認する。

「うーん、大体あわせて1100匹位か・・・・。」
リーダーお兄さんがノートに各群の個体数を記していく。

「他の群のゆっくりも参加してくれるし、これで祭りは盛り上がりそうですね。」
坊主頭のお兄さんが嬉しそうに言う。
もちろん他のお兄さん達も嬉しそうだ。

「そうだな。これなら豊作祈願もばっちりだろう。」
リーダーお兄さんもにっこり笑い返す。

「それじゃ明日は会場の点検を頼むよ。」
「「「「わかりました!」」」」

会議は解散となりお兄さん達は自分の家に帰っていく。



「おーい!いつものもってけー!」

帰宅途中リーダーお兄さんが坊主頭のお兄さんを呼び止めて袋を放り投げる。

「「ゆぎゅっ!」」
「ああ、いつもすみませんねえ。」

坊主お兄さんが満面の笑みで袋を受け取る。
袋の中身はもちろん今日捕まえたまりさとれいむだ。

「それじゃ急いで帰りますんで!お疲れ様でした!」

嬉しそうに袋を抱きしめスキップして帰っていく。
(ああ、またあいつ徹夜だな・・・。)
嬉々としてゆっくりで遊ぶ坊主お兄さんともう二度とゆっくりできないまりさ達の事を想像しつつリーダーお兄さんは帰っていった。



  • ・ ・ ・



そして祭りの日、村人総出でゆっくり達を迎えに行った。
ぱちゅりーの群のところにはもちろんリーダーお兄さんが迎えに行った。

「ぱちゅりー。約束どおり迎えに来たぞー!」
「むきゅ!むきゅ!おにいさんゆっくりしていってね!」

ぱちゅりーは初めての祭りで興奮しているようだ。
もちろん他のゆっくりも同じように興奮しててワイワイ騒いでる。

「さーて、お兄さん達が台車でみんなを運んであげるからみんな二列に並んでね!こっちは大人の列でこっちは子供の列ね!」

村人たちは親ゆっくりと子ゆっくり、赤ゆっくりを別々の透明の箱に入れて運ぶようだ。
親ゆっくり達はどうして別けるのかと村人達に聞いたが「途中道が悪いから潰れないように同じサイズのゆっくりでまとめるんだよ」と説明して納得したようだ。
村人達はゆっくりが全部箱の中に入ったのを確認した。

「それじゃみんな、ゆっくり村に向かうから箱の中でゆっくりしていってね!」
「「「「ゆっくりりょうかいしたよ!ゆっくりつれていってね!」」」」
村人たちはゆっくり達を潰さないように山道を下っていき、祭り会場に向かった。



ぱちゅりーの群が会場に着くと沢山のゆっくりと人間が待っていた。
ぱちゅりーたちは会場のゆっくり達と人間達の数に驚いた。

「こんなにゆっくりとひとがいるなんておもわなかったわ・・・・むきゅうぅぅ。」
「すごいね!みんなゆっくりしていそうなゆっくりたちだよ!れいむかんげきしたよ!」
「こんなにたくさんいるなんて・・・、まりさたちのあまあまさんがあるかしんぱいなんだぜ。」
「すごいよーすごいよー。みんなたのしそうなんだよー。」

会場は川の近くの所で行っていて会場の真ん中に大きな穴があいていた。
穴は直径25m円状、深さ2m程で煉瓦でしっかりと作られており門のようなものが2箇所付いていた。
そして穴の中には600体ほどの成体ゆっくりがはしゃいでいる。
その周りには村の人間がいてお祭りの準備や料理の準備をしている。
その中をぱちゅりーたちの入った箱を穴の淵に持って行き、声をかける。

「ぱちゅりー、会場に着いたよ。」
「むきゅ!おにいさんすごいわね!こんなたくさんのにんげんさんとゆっくりをみたのはじめてだわ!」
「ああ。すごいだろう。ところでぱちゅりーたちにお願いがあるんだ。」

お兄さん達がゆっくりのいる箱のそばにしゃがんで話しかける。

「「「ゆっ?」」」
「穴の中に大人のゆっくりが沢山居るだろう。じつは大人のゆっくり達に儀式のお手伝いをしてくれるようにお願いをしているんだ。
 ぱちゅりーたちも一緒に手伝ってくれないか?」

「そんなことならおやすいごようよ!みんないいわよね?」
「「「ゆー!!!ゆっくりりかいしたよ!!!」」」

群のゆっくりが大きな声で手伝いに参加してくれることを承諾した

「子ゆっくり達はそのまま穴の淵でゆっくりまっていてね。」
「「「ゆっくちりきゃいしたよ!」」」

こっちも良い返事でお兄さんに答えた。

村のお兄さん達がぱちゅりーの群の成体ゆっくりが入った箱をゆっくりと広場の穴の中におろす。
そして箱を空け、順番に穴の中に放していく。

「「「ゆっくりしていってね!」」」

ぱちゅりー達の群を穴の中のゆっくりが大きな声で迎えてくれる。

「「「ゆっくりしていってね!」」」

ぱちゅりー達も大きな声で挨拶を返す。



リーダーお兄さんは穴の中のゆっくりの様子を見ながら神主さんを川と穴の間にある祭壇に案内した。
そして太鼓をドンっ!と叩くと会場のみんながリーダお兄さんに注目した。

「これから豊穣祈願の儀式を始めまーす。ゆっくりの皆も儀式が終わるまで静かにしてねー!」
お兄さんは会場のみんなに大きな声で伝える。

神主さんが豊穣祈願のための祝詞を上げている間ゆっくりたちも穴の中でゆっくりと終わるのを待っていた。
これが終わればあまあまを食べさせてもらったり遊んでもらえると思って嬉しそうな顔をしていた。

儀式が終わり、神主さんが会場を退場していくと村のお兄さん達や子供達が穴の中に入る。
ゆっくりたちは嬉しそうに村人達の足元に跳ね寄っていく。

「おにいさん!あまあまちょうだいね!」
「れいむたちみんないいこにしてたよ!」
「ぎしきがおわったんだねー。わかるよー。」
ゆっくりたちは口々にお兄さん達にお願いをしていく。

「ああ、わかったよ。すぐ準備するから待っててね。」
坊主頭お兄さんはゆっくりが足元に集まっているのを嬉しそう見ながら・・・踏み潰した。

「ゆ”っ?!!」

その瞬間別の方向から大きな悲鳴が会場中響き渡る。

「ゆぎゃああああああ!なにするんだぜぇぇぇ!」
「おにいさんゆっくりあしをどかしてぇぇぇぇ!いだああぁぁぁい!」
「おそらをとんでるみたいだよー!すごいよー・・・・・ぶぎゅっ!」

穴の中のゆっくりたちは何が起こっているのか判らなかった。
会場の中でいきなりゆっくりの悲鳴が聞こえ始めたかと思うと村のお兄さんや子供達がゆっくりたちを潰し始めたのだ。

「お”にい”ざんやべでぇぇぇぇ!なんでごんなごどずるのおぉぉ・・・・・!」
「ばでぃざだちなにもわるいごとじでないよぉぉぉ・・・ごばぁ!」

穴の中のゆっくりは何がなんだかわからないがこのままでは潰されてしまうと悟り、必死に穴の中を逃げ惑った。
逃げ回った先に棒を持ったおにいさんが待ち受けていて正面からフルスイングで振りぬかれてありすが飛んでいった。
子供達に持ち上げられたれいむが両頬を引っ張られ真ん中から裂けていった。
ちぇんが壁に追い込まれ「わからない!わからないよー!」と泣きながら蹴り殺された。

そんな地獄の光景の中を逃げ回っていると、ゆっくりたちに穴の外から我が子の悲鳴が聞こえてきた。
必死に逃げ回りながら穴の外を見上げると子ゆっくりたちが3匹づつ仲良さそうに並んで見える・・・がその表情は苦痛に顔を歪め悲鳴を上げていた。
穴の外のお姉さんが子ゆっくりに串を打って熱した鉄板に乗せているのだ。

「いぢゃああぁぁぁいぃぃぃ・・・・!」
「あ”あ”あぁ”ぁ”ぁ”ぁ”・・・・!あぢゅい”ぃ”ぃ”ぃ”ぃ”ぃ”!」
「あ”り”ぢゅのあ”ん”よ”がぁぁぁぁ!」

じっくりこんがり焼かれ村人にそのまま食されていっていた。
別のところでは赤ゆっくりをわしづかみにし、熱した油を張った鍋に放り込まれ狐色に揚げられていた。
また別のところでは中身のチョコやクリームを搾り出されこんがり焼かれたシュークリームに詰め込まれた。



穴の中でリーダーのぱちゅりーも脆弱な体をおして逃げ回っていた。
(なぜこんなことに?あんなにやさしいおにいさんたちがどおして?)
必死に逃げ回っているため頭が回らずぱちゅりーは答えにたどり着けない。
(なぜ?なぜ?なぜ?なぜ・・・?!)
考えながら逃げ回ってるところに奇妙な浮遊感がおそった。
ぱちゅりーの足が地面に着いてない。
ぱちゅりーはリーダーお兄さんに捕まったのだ。

「お”・・・お”にいざん、・・・・どおじでごんなごどになっでるの?」

ぱちゅりーは荒い息を吐きながら真っ青な顔でお兄さんに問い詰める。
お兄さんはぱちゅりーの顔をじっと見ながら教えた。

「何故かって?それは昔から害虫を燃やして肥料にする儀式だからさ。
 昔は虫だったから束ねた藁に住み着いて越冬している虫を燃やすだけだったんだが、
 ゆっくりが現れて畑を荒らすようになってから儀式の対象が変わったんだ」

ぱちゅりーはお兄さんの信じられない言葉と周りの光景で喉の奥から熱いものがこみ上げてくる。
ぱちゅりーは口からクリームを吐き出してしまった。

「むぎゅぐぎゅぎゅぅ・・・・・。」
「ああ・・・吐いちまったか。それじゃ一思いに楽にしてやるよ。・・・じゃあな。」
お兄さんの足が近づいてくるのを見ながら、ぱちゅりーの意識が途絶えた。



「ゆ”っ・・・!ゆ”っ・・・!ゆ”っ・・・!」
穴の中からゆっくりが瀕死状態に発する声が聞こえる。
穴の中は色とりどりの餡子、生クリーム、カスタードチョコレートが飛び散り、動けるものは居ない。
村のお兄さん達が束ねた藁を穴の中に放りこみ、ゆっくりたちが見えないくらいの量になったところで藁に火をつけた。
火はあっという間に燃え広がり中に居たゆっくりたちを焦がしていく。
まだ生き残っていたゆっくりは「ゆ”っ!ゆ”っ!ゆ”っ!」と断末魔を残して燃えていった。

藁が燃え尽きた後、穴の中には灰色の粉末と黒焦げの物体の混じったものが残っていた。
リーダーお兄さんは川のほうの水門を開け穴の中に水を張っていく。
他のお兄さんは水と残った物体をかき混ぜていき液体肥料にするのだ。
1時間ほど掻き混ぜ、十分に混ざったところでリーダーお兄さんは反対側の水門を空けた。
ここから村の田んぼや畑の近くの溜め池に流れていく。
(ああ、今年も豊作になるといいなあ・・・・。)
お兄さんは汗を手ぬぐいで拭いながらそう思った。



おまけ
祭りが終わった次の日、リーダーお兄さんはぱちゅりーが居たゆっくりぷれいすに来ていた。
一年間すごしたぱちゅりー達への感傷に浸るためではない。
ゆっくりハウスを掃除するためだ。
ハウスの中に居たゆっくりはもう居ない。
来年のためにきれいにしなくては。
日が真上に上がった頃、やっとハウスの掃除が終わった。

お兄さんは一息つこうと思い、腰をかけるのにちょうど良い石のところ向かうと近くの草むらが揺れた。
草むらに居たのはゆっくりありすとまりさだった。
お兄さんはありすたちに声をかける。
「ゆっくりしていってね!」
おっかなびっくりだがまりさたちも元気に返事する。
どこから来たのかと聞くと隣の村の近くから来たのだという。

「そうか。もし良かったらだけどここに住まないか?もちろんいくつか条件はあるんだけど・・・・。」
お兄さんはにっこりと笑って言った。

(おわり)

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最終更新:2022年05月22日 10:33