※東方キャラが出ます嫌いな方はご注意ください。


■禁断★実験


場所:河童★技術開発室

「うーーーーーーーん」

青いワンピースを着た一人の少女が、作業机の前で椅子に座り込み腕を組んで、
うなり声をあげながら・・・・悩んでいた。

「なーんかいい方法ないかなー」

服と同色の髪をツインテールにまとめた河童の少女-河城にとり-は
眉間に深いシワを作り軽く呟く。

「どこから、生体実験の素体を持って来よう・・・」

エンジニアである彼女の目下の開発テーマは『機械による生体コントロール』
つまり、ラジコンの様にボタンで生物の動きをコントロールすることだった。
(ちなみに、このテーマは香霖堂で入手した外界のSF漫画から得た)

早速、永遠亭から生命に関する文献を片っ端から借りて読み
生物が体のコントロールに微弱な電流を使用している事を知り
その電流を制御できれば、挙動も制御できるのではないか?と、仮説を立てた。

そして開発の次のステップに進もうと思った矢先
思いがけない壁にぶち当たった。仮説を証明する実験ができない・・・・

機械実験だったら失敗しても、直せばすむ話だが
生命の場合失敗したら死ぬ。まして実験は1度や2度で終わるものでは無い
膨大な数の生命が犠牲になるだろう。

しかし、にとりにとって死に対する感傷や犠牲数は問題になら無い。
そんな事は彼女にとっては瑣末な問題だ。発明に失敗は付物だと割り切っている。
本当の問題は、近場の生命を大量に実験に使おう物なら
周辺の妖怪や上司の天狗から、即刻クレームが飛んでくる事だった。

にとりは、作業机の上に突っ伏し解決策を探し続けた

「山に居るカラスを使えれば良いんだけど、そんな事したら天狗に殺されちゃうだろうしなー」

と言うか、天狗が使役する生物全てにこの論法は
あてはまるので山にいる動物に関しては、初手から詰んでいた。

「永遠亭からウサギでも分けてもらおうかなー、えーりんを何とか説得できれば・・・」

かなり可能性の薄い案だった。

「虫で実験するしかないかなぁ。でもリグルが騒ぎそうだなぁ。それに虫じゃつまんないしなぁ」

もとより虫を素体にしたいとは思ってなかった

「そこそこ知性があって、かつ犠牲が多くても周りが騒がない生物なんて・・・・」

にとりの頭脳に電流が走る・・!!!

「ああ!!いるじゃん!!条件をクリアする素体!!」

転がる様な勢いで部屋を飛び出していった。


場面変わって山
にとりはリュックサックを背負って歩いていた

「えーっと、多分ここら辺に巣穴があると思うんだけど・・・・」

キョロキョロと辺りを見回す。
倒れた巨木の下に不自然に木の枝や葉が積み重なった箇所がすぐに見つかった。
「あ、みーっけ、でわ捕獲作戦開始〜」
その声はとても楽しそうな物だった

一方、ゆっくり一家の巣穴

「ゆゆ、きょうはおねーちゃんれいむのおたんじょうびだよ。みんなでおうたをうたってゆっくりするよ!!」
「まりさがゆっくりできるごはんをたくさんとってきたから、みんなでゆっくりすごすよ!!」
「「「「ゆっくりー!!!」」」」

母れいむと父まりさの呼びかけに満面の笑みで答える子供達
今日は姉れいむの誕生日、家族と一緒に心行くまでゆっくりできる日だ。
当事者の姉れいむはお祝いの言葉とプレゼントを一身に受け「しあわせ〜」と心底思っていた。
今この瞬間までは・・・

「はーい!!取り込み中ごめんよ!!みんなちゅーもーく」

突如、巣穴入り口のカモフラージュが蹴り飛ばされ
河城にとりが参上した

「ゆゆゆゆゆ!!!!おねーさんだれ!!」
「シャッタップ!!フリーズ!!河童印★捕獲ネットはっしゃー!!」

あまりの急展開に理解がまるで追いつかない一家は「ゆーゆー」鳴いてパニック状態。
そんなゆっくり達にワイヤーで編まれたネットが降りかかる。

「ゆゆ!!なにこれ、ぜんぜんゆっくりできないよ!!」
「ここはまりさたちのゆっくりプレイスだよ、にんげんはさっさとかえってね」
「「「「「こんなの、ゆっくりできないー」」」」

「あーうるさい、はい電流スイッチON」

「「「ゆベベベベッブギャ!!!!」」」

抗議の声には耳を貸さず、にとりが手に持ったリモコンスイッチを押すことにより
金属でできた網に電流が走り家族全員に凄まじい衝撃が行き渡る。

「はい終了ー、れいむ種が母、姉、妹。まりさ種が父、妹で5匹かな?
 まあ、初回だしこれで良しとするか」

痙攣してピクピクしているゆっくり達を確認する

「でいぶの・・でいぶのこどもがぁぁぁぁぁ」
「ゆっゆっ・・・ばがなにんげんはっざっざとじね!!」

体の大きな親ゆっくり達は電撃に耐え意識がまだ残っているようで
憤怒の表情でにとりを睨み付け、消え入りそうな声で叫んでいた。

「おや、まだ意識あるんだ。結構頑丈だね」

ちょっと困った表情になったにとりはリュックから
河童印★スタンガンを取り出し、親ゆっくりに押し付け

「な・・・なにずるの?」
「ゆっくりしていってね♪」
「「ゆぎゃん!!」」

残っていた意識を奪い去った。



再び河童★技術開発室

作業机の上にゆっくり一家が個別に押し込まれた透明な箱が5個並べられていた。
家族はまだ気絶状態から回復しておらず傍目には幸せそうに寝ているようにも見える。

〜♪〜♪〜♪〜♪
部屋奥の洗面所で河童の少女は、鼻歌交じりで手を洗い手術用手袋を慣れた手つきで装着した

「さて、どいつで実験しようかな。妹×2は体力的に耐えられない可能性があるし
 親は繁殖用に残しておきたいな・・まずは、姉れいむでやってみますか。」

にとりは好奇心が抑えられない表情で実験用の素体=姉れいむが入った透明な箱を手に取った。
傍らにはカラフルなコードが延びている細長い針が10本以上用意され、コードの先には幻想卿では
ここでしか見られないような用途不明な機械に繋がっている。その横にはゆっくり用の簡易手術台。
他にも手術用のメスやクーパー、剃毛用のバリカン、点滴パックに入ったオレンジジュース等が揃っていた。

「まずは頭皮を剥がさなきゃね♪髪の毛は剃らないと。バリカンで・・・」

箱から取り出した眠っている姉れいむを左手に持ち、
右手のバリカンでおもむろに後ろ髪を剃り始める

ブゥーーーーーーン

「ゆゆ・・・なんだかあたまがさむいよ」

不意な振動に半分寝ぼけて姉れいむは目を覚ます

「あ、起きちゃった。もうちょっとだからゆっくりしててね」
「ゆゆ、おねーさんだれ!?ここどこ?れいむのおうちは!?」
「はいはい、いいからゆっくりしててね」
「ぜんぜんゆっくりできないよ!!」

にとりの左手の中でジタバタと暴れだす姉れいむ
体の大きさはソフトボールぐらいだろうか、少女の手に余る大きさとは言え
柔らかい饅頭皮をしっかり掴まれれば早々抜け出せる物ではなかった。

「はい、もういいよ。箱におもどり」
「ゆべ!!」

急に体を抑える力が弱まりれいむは勢いあまって顔から箱の中に落下した。
狭い箱の中で顔の痛みに耐えつつ体勢を立て直し必死に何が起きたのか確認する。

ついさっきまで両親と妹達が祝ってくれたゆっくりできる家では無く
見た事も無いものばかりの変な部屋で自分は小さな箱に閉じ込められている。
餡子脳ながら姉れいむは直感で理解した。「ここはゆっくりできない」と。
泣き出したい衝動を必死に堪えて周囲の確認を続ける。
ふと目の前に黒い塊がある事に気が付いた

「ゆ・・・かみのけさん・・?があるよ?なんで?だれの?」

困惑。混乱。恐怖。不安。あせり。ゆっくりできない。混在した表情で呟く

「あーそれね君の後ろ髪だよ。悪いけど後頭部全部刈り上げたから」
「ゆっ!!うそだよ!!おねーさんなにいってるの!!れいむのかみのけさんはちゃんと・・・・」

にとりの軽い一言を必死に否定しようと、れいむは体を曲げて髪を振るしぐさ(屈伸運動っぽい)を繰り返す。
しかし、後頭部に何時もの重みや感覚がまるで無い。あるのは饅頭皮に直に触れる空気の冷たさだけだった。

「ん〜『ちゃんと』何かな〜れいむちゃ〜ん?おねーさんは嘘つかないよ〜何なら鏡見る?」
「うそだ!!うぞだよ!!でいぶのぉぉぉ!!でいぶのがみざんんん!!うぞだぁぁぁぁぁ」

姉れいむは真っ青な顔色で見開いた目から滝の様な涙を流し、事実を認めようとせずに絶叫した。
彼女にとって母れいむ譲りの綺麗な黒髪は自慢だった。父まりさがいつも褒めてくれるのが嬉しくてしょうがなかった
妹達が羨ましがってくれた自分の髪の毛が・・・前髪と頭頂部のリボン部分を残して後頭部はツルッパゲと言う
珍妙で不気味な姿になってしまった。

「ああ、もう煩いな。いいじゃん前髪残ってるしリボンも残してあげてるんだからさ」
「ゆあああぁぁぁぁんんん!!」

姉れいむは顔を涙と鼻水でグシャグシャにしながら泣き続けた。
ゆっくりの髪の毛は某戦闘民族のように生まれてから伸縮する事は無い。
従って一度切ってしまった髪は二度と生えてこないのである。
髪を失う事は女性的な感性が強いゆっくりにとって帽子を無くすほどでは無いにしろ相当ショックの強い事だった。

「ゆゆ・・うるさいよ。れいむはねてるんだからゆっくりしずかにしてね・・」
「・・・うるさくてまりさがゆっくりできないよ・・・ゆっくりしてね」
「「ゆ〜うりゅしゃいよ〜」」

と、姉れいむの悲痛な叫び声で今まで気絶していた残りの家族が気づき始めた。
しかし、河童印★透明箱は密閉すると遮音性能が結構高いので姉れいむの絶叫もそれ程箱の中には響かない。
所詮ゆっくり、遠くに聞こえる家族の絶叫よりも三大欲求を選択しているようでなかなか起きそうに無かった。

「あららら、ご両親ともまた寝ちゃったけどいいの?」
「おきゃーさぁぁん!!おとーさぁぁぁん!!ゆっくりしないでおきてね!!れいむをはやくたすけてね!!」
「はいはい、煩いよ。時間も押してるし巻きで行くよ。ゆっくり黙って動かないでね」
「ゆぎゃぁぁぁ!!!!はなじでね!!ゆっぐりでいぶをはなじでね!!」

にとりは再び暴れる姉れいむを透明の箱から取り出し、傍らの簡易手術台に乗せ手早く皮ベルトを体に巻き付け
結束部が頭頂に来るようにがっちりと台に固定した。これでもう身動きは全くできない。

当初にとりは暴れるゆっくりを見て「動くとめんどくさいから低部を焼こうかな?」とも思ったが
実験中に『運動に関する影響箇所』を見つけてしまった場合、正確な実験計測が難しくなると考え
なるべく健常体で実験を行うことにした。ちなみに煩いから「口を潰そうか?」とも思ったが
同様の理由で却下した。

一方、姉れいむにとって目の前に居る河童の少女は恐怖の対象でしかない。
何故こんなゆっくりできないことになってしまったのか?
何で家族は自分の事を助けてくれないのか?
自分をゆっくりさせないこのおねーさんは誰なのか?
様々な考えが餡子脳の中を回ったが結局行き着いた先は漠然とした『恐怖』でしかなかった。

そんな事お構いなしに、にとりはテキパキと実験の準備を進める
手術台を自分の手前に寄せ180度回転させて姉れいむの後頭部が目の前にくる配置にセットする
ちなみに、姉れいむの目線の先にはぐっすり眠る家族が良く見える。

「おぎゃぁぁぁさーーーん!!はやくおぎでよぉぉぉ!!でいぶがゆっぐりでぎないよぉぉぉ!!」

真っ青の顔で涙を流しながら必死にジタバタと体を動かそうとする姉れいむは
助けの希望を求めて振り絞るように必死の呼びかけを繰り返すが家族が起きる気配は一切無かった。
後ろからガチャガチャと何か準備をしていると音と、少女の気楽な声が聞こえる

「そろそろ諦めなよ。これでも挿せばちょっとはゆっくりできると思うよー」
「ゆびっ!!」

にとりは半狂乱の姉れいむに細い針を一本突き刺した。
その先にはオレンジジュース点滴パックが付いており、ポタポタと内容物が垂れ流れ始める。

「ゆふ〜・・・なんだかからだがゆっくりしてきたよ〜」

姉れいむはさっきまでのパニックはどこへやら、目を細め、口はだらしなく半開き、
下膨れな顎を突き出し、温泉にでも浸かっていい気分になっているような表情になっていた。
手術用具をセットし終えたにとりはその豹変ぶりを見てちょっと呆れた顔をする。

「本当にゆっくりっていい加減な生物だな・・・
 ま、何はともあれ準備完了。メーンイベントに入りますか」

にとりの右手に構えたメスがライトに当たってキラリと反射した。
ご満悦の表情でゆっくりしている姉れいむの後頭部に狙いを定める。

「ゆっくり覚悟を決めてね♪」
「ゆふぅ〜おねーさんなにをいってるの、のぉぉぉぉぉぉおぉおおお!!!!!」

にとりの迷いの無いメスが姉れいむの後頭部に突き刺さり、そのまま底部に向かって
縦一筋の切れ目を入れた。再び絶叫が始まる。

「ゆぐぐぐぐぅぅあギャyギャギャギャlkjlkjfdlsjgalk!!!!!!!!」

30秒前まで細めていた目を今度は眼球が飛び出さんばかりに見開き、
限界まで開いた口から言葉にならない絶叫が部屋中に響き渡る。まさに天国から地獄へまっ逆さまだった。
しかし、にとりの手は止まらない。すかさずメスを置きクーパーで切れ目を強引に開き、そのまま固定する。

ミチィ・・・

「っっっっっっ!!!!!!????????」

クーパーが饅頭皮にできた切れ目を強引に左右に押し開いた分上下に少し裂け目が入った。
饅頭皮にできた隙間から見える姉れいむの餡子は若いだけに小豆に瑞々しさがあり、濡れた様に黒く光っている。
持ち主の姉れいむは痛みのショックで最早言葉が出ていなかったが。

「ふふふ、これはいい餡子だ。貴様は最高の木偶になるぞ・・・」

河童の少女はノリノリで再び獲物をメスに持ち替え、筋肉に当たる外餡子にも切れ目を入れ
ゆっくりの中央部に存在する中枢餡を目指す。

「ゆぎゅぎゅぎゅぎゅくうううぅぅぅぎゃがや!!!!
 ゆっぐゆっぐやべでね!!でいぶのあんござんをかぎばわすのやべでね!!」

凄まじい激痛の中で見開いた目から涙、引きつった口からは涎をダラダラ垂らしながら
姉れいむは必死に懇願した。にとりは慎重にメスを扱いながら軽く答える。

「大丈夫致命傷になるような事はしないよ。実験結果がおかしくなるしね
 それにオレンジジュースの点滴をしてれば中枢餡を直接破壊しない限り大体生きてられるよ」

にとりの言う事は事実だ。
ゆっくり達にとって万能薬:オレンジジュースを点滴されていればそう簡単に死ぬ事は無い。
しかし、だからと言って痛みが無くなる訳では無い。むしろ体は健常状態を維持し続ける。
詰まる所、姉れいむは麻酔無しで頭部切開手術を受けると言う地獄の状況だった。
どこかから「ヒャア!!」と言う声が聞こえたがそれは幻聴だ。

にとりは別にゆっくりを虐待する趣味は無い。彼女にとってゆっくりは実験素体に過ぎない。
故に、今も単純に自分の実験に最適の環境をゆっくりに与えてるに過ぎない。

リボンを残してやったのは髪飾り喪失のショックで精神崩壊を防ぐ為。
麻酔を使わないのは実験結果に誤差が出るのを防ぐ為。
家族を目の前に置くのは希望を持たせ、絶望死させない為。

ただそれだけの事だった。

「・・・っと中枢餡に到達。フェーズ2に入ります。こっからは完全に未知の領域だね・・・」
「ゆーひゅー・・・ゆーひゅー・・」

姉れいむの後頭部はバックリと大きく開き、そのスキマは体の中心まで深まっており
最深部には固まった黒蜜のように艶のあるこし餡の塊がピクピクと動いている。
最早、姉れいむには言葉を発するだけの気力が無く涙を流し続ける目で
すがるように家族を見つめるだけだった。

「む、体力が大分落ちてるな。点滴を増加。」

一旦メスを置いたにとりは姉れいむの体力の低下を懸念して
点滴パックから流れるオレンジジュースの量を増加に調整する。
すると若干ながら姉れいむに気力が回復してきた。

「ゆっゆっゆ・・・おがーざんだずげてね・・・れいむゆっくりできなくなっちゃうよ・・・」

しゃべれる程度には回復した体力で、目の前に安眠する家族に小さな声で呼びかけ続ける。
にとりはそれを横目に、淡々と電極針と記録用のノートを準備する。

「ゆっくりの中枢餡組織研究なんて誰もやってないからね・・・
 こっからは本当に実験数こなして自力で解析しないと」

独り言を呟きながらチラリと箱の中のゆっくり一家に目をやる。

「ま、素体の件はクリアしたわけだから気楽に行きましょうか
 まずは適当に電極打って・・・その反応を見る!!てい!!」

プスッ

「ゆぐっ!!」

にとりは中枢餡の中心部目掛けて電極針を一本突き刺した
刺された姉れいむは一瞬ビクっと体を震わせたがそれ以上の反応は示さなかった。

「ふ〜ん、やっぱり中枢餡には痛覚神経が通ってない分痛みの追加は無いみたいだね。
 静かで良いね。・・・さてこのポイントに電流を流すとどんな反応をするかなぁ?」

にとりは「待ちに待った瞬間!!」と言えるような笑顔で
通電気のスイッチをONにし、ダイアルを慎重に操作した上で極低電流を電極針に流し始める。

効果はあっさりと出た。

「ゆひゅっ!?・・・・・なんだかおなかがすごいすいてきたよ」

姉れいむがすとっきょんな声を上げ空腹を訴え始めた。
にとりは様子を眺めながら慎重に、だが徐々に電流量を増やす。

「ゆぐぐぐ!!おながずいだーーーーがばんでぎないぃぃぃぃ
 おねーざんばがなの!!??でいぶにはやくごばんもっでぎでぇぇぇ!!!!!」

先程とは別の意味で叫び声をあげる姉れいむ。
彼女は今強烈な飢餓感に襲われていた。感覚上では飢死寸前といった所だろうか。
にとりはさらに慎重に電流量を上げる。

「もっどゆっぐり・・・・した・・・・・ゆゆゆ????
 なんだかきゅうにおなかがいっぱいになったよ????」

ゆっくり特有の遺言を言いかけた所で、今度はなぜか満腹感が襲ってきた。
姉れいむは自分の体に何が起こっているのかサッパリ分からず餡子頭に「?」を浮かべている。
にとりは冷静な瞳で姉れいむを見つめ症状の一部始終をノートに記録した。

「このポイントはいわゆる『満腹中枢』ってところかな?
 よしよし仮説はあってたし、いきなり分かりやすい症状も観測できた。幸先良いね」

小さくガッツポーズをする

「ゆ〜、れいむすっごくおなかいっぱいでしあわせ〜だよ〜」
「もっと電流量を上げたらどうなるんだろう?」
「ゆゆゆ、れいむのおなかがぐるじいよ・・・ぼうたべらべないよ・・・やべで・・やべで・・・」
「なるほど満腹感が異常に肥大するのか」

ゆひゅ〜ゆひゅ〜と辛く息をする姉れいむ。
実際は食事を一切取らせてないが、感覚的には口から中身をぶちまける寸前のものを味わってる

「よし、この調子で次行ってみよう」

流している電流を止め、一旦電極針を抜く

「ゆっ!!・・・????おなかがくるじいのがなおったよ???」

姉れいむの呆けた表情を無視して
にとりは、サラサラと結果をノートにメモすると
次のポイントに電極針を刺し込み電流を流す。

「ゆぐぅ!!・・・・ゆぶん!!ゆぶん!!なんで?なんで!?」
「ふむ、ここは運動を司るポイントみたいだね」

姉れいむは皮ベルトで固定された体で必死に『垂直に飛び上がろうと』していた
無論、その状態で飛び上がれる訳は無い。むしろ衝撃で後頭部の傷口から餡子が流れ始めた。

「ゆぎゅ!!ゆぎゅ!!いだいよぉぉぉ!!いだいよっぉぉぉ!!
 なんで!?なんで!?でいぶびょんびょんじだぐないよぉぉぉ!!いだいよぉぉぉ!!
 あじざんゆっぐりやべでね!!ゆっぐりやべでねぇぇ!!」

頭頂の皮ベルトの止具に頭を打ち付けるような行動を繰り返す姉れいむ。当然本人の意思とは無関係だ。
詳細をもらさないよう通電量と姉れいむの行動を記録するにとり。

「・・・電流をあげるとどうなるかな?」

カリカリカリッ────電流ダイアルを慎重に回す。

「ゆぎゅん!!ゆぎゅん!!ゆぎゅん!!いだいっ!!いだいっ!!いだい!!!
 でいぶゅん!!!!つびゅれっん!!ぢゃうっん!!おぎゃっ!!ざぁっん!!だずっぶぶぶ!!!」
「跳躍幅が垂直方向に増加と。おそらく電流量に比例・・・」

垂直ジャンプの幅が増えた分、姉れいむの体へかかる負荷も増加した
後頭部の傷口からは飛ぶ度に餡子が間欠泉の様に噴出し、
眼球は後2〜3回も飛べば圧力によって破裂するか飛び出すだろう。

パチンッ──にとりは通電を一旦OFFにし電極針を抜いた。

暴れていた姉れいむは糸の切れた人形のように動きを止める。
いや、よく見ると僅かに痙攣をしていた。

「点滴を増加」

にとりは無表情に流れるオレンジジュースの量を増加する。
ビクン!!と姉れいむが反応した。

「・・・おぎゃふぁふぁあああん・・でいううううっひゅふぃえふぃひゃいぃぃぃ」
「垂直運動中に叫んだから舌を噛み切ったか・・・君は実に馬鹿だなぁ」

意識を取り戻した姉れいむは目が半分白目を向き、意識があるんだか無いんだかはっきりしない
また、自身の舌が半分千切れてダラリと垂れ下がり何を喋っているのかも良く分からない。
そんな様子を見て、にとりは腕を組み考える

「さてどうしようかな・・・この個体、後何回実験に耐えられるやら・・」

姉れいむは「うひゅ〜うひゅ〜」と声だか何だか分からない音を出している。

「・・いや行く!!・・・まだまだ終わらせない・・・!地獄の淵が見えるまで!!」

実験は続行された。

あるポイントを刺激すると、
姉れいむは、化物に襲われたような恐ろしい叫び声をあげた。恐怖に関わる場所だった
あるポイントを刺激すると、
姉れいむは、意思とは無関係にうんうんを垂れ流し続けた。人間で言えば肛門括約筋を司る箇所だった。
あるポイントを刺激すると、
姉れいむは、突如発情し始めた。性欲に関わる箇所だった。

にとりは幾つかの新たなポイントを観測し、次は何処にしたものか?と考えていると

「・・・・よっひょ・・ゆっひゅりゅい・・や」

体力の限界となった姉れいむは息絶えた。
自分の誕生日。家族が祝ってくれていたあの時から3時間と経っていなかった。

にとりは軽く嘆息する。

「・・・オペレーションオーバー。最初にしては上出来だったよ」

にとりは皮ベルトを外すと姉れいむの遺体を作業台横の
見た目小さなポリバケツに放り込んだ。無論ただのポリバケツではない。

これは河童印★餡子マッシャー。放り込んだゆっくりを生死問わずに
粉砕し練りこみ、甘味物に変化させる大きめのミキサーだった。
にとりは蓋を閉じロックした事を確認すると装置のスイッチをONにした

ウィィィィン!!!ビチビチビチ!!

回るモーター音。切り刻まれた姉れいむの破片がブレードの遠心力で
装置の内壁に当たる音がする。あまり良い音では無い

(これ、もっと沢山詰め込んでからやるべきなんだよな・・・
 そうすれば、弾け飛ぶスペースの余裕が無い分音が鳴らない)

余談だが、これは元々加工場に依頼され河童が製造したものだが
個人にも結構需要があるらしい。きっと甘味好きが世間に多いのだろう。
再びどこかから「ヒャア!!」と言う声が聞こえたがそれは幻聴だ。

にとりは作業台の上
結局、最後まで苦しむ家族の断末魔に目を覚ます事が無かった饅頭一家に目をやる

家族揃って口角をニヘラと上げ、下膨れの顎を突き出し「ゆふ〜ゆふ〜」と惰眠を貪っている。
不愉快という文字を具現化したら多分こうなるんだろう、と思う。

「次は素体数を揃えて一気にやろう。一体一体じゃラチが明かない」

手術手袋を剥ぎ取りゴミ箱に捨てると、実験素体を繁殖させる方法を考え始めた。



──────あとがき─────
手術シーンを生々しく書きたいなぁと
思ったんですが無理でした。
後日談はアイデアがまとまったら書きます。

作:六人

  • 過去物
夏の庭先
町内の動物

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2022年05月22日 10:46