リーダーまりさの成長

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  • 今回のは今まで書いたので一番長いです。
  • その割には虐待描写が少ないです。
  • 良いゆっくりも罰を受けます。
  • 会話が異様に多いです。
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幻想郷の山の奥地にゆっくりと呼ばれる不思議なしゃべる饅頭たちが群れを作って暮らしていた。
人里からは遠く離れ、捕食種とよばれるゆっくりも動物たちもいないゆっくりたちの楽園。
それが「ゆっくりユートピア」である。

そのゆっくりユートピアにはある掟があった。
ユートピアを仕切るドスまりさの子供は大きくなったら群れを出て自分の群れを作らなければならないのである。



春の訪れを伝える妖精が幻想郷中を飛び回る季節。

「まりさはいいあいであがあるからだいじょうぶだよ!ゆっくりしんぱいしないでね!」

立派な大人ゆっくりになったまりさはそう言うと群れを作るため故郷を離れた。

そして道中色々なゆっくり達に出会い、
夏が近づいてくる頃には故郷の隣の山に小さな群れを作っていた。
そこでは出発前に考えていた「あいであ」を使った群れになっている。

20匹程度の小さな群れで大きな穴を掘り、みんな一緒に暮らしている。
もちろん番や子供のいるゆっくりもいる。
しかしみんな同じ場所に住み、狩りや子育ても協力し合ってやっていた。
基本的に役割は交代で行っている。
昨日狩りに行ったものは今日は掃除か子育て。
そういうルールでやるのでみんなが平等、子供もみんな自分の子供のようにかわいがられた。
また、公然とすっきりーもできなく数が増えることもそうそうなかった。

そんな群れの中に1匹だけ変わったゆっくりがいた。
それが虚弱れいむだった。
体はぱちゅりー種以上に弱く狩りができない。
しかし歌がうまく、近隣の山の中でも1番美しい外見。
そしてとてもやさしいれいむは大人からだけでなく子供にも人気があったので子育てと掃除はできていた。
まりさはそんなれいむに一目惚れをし、夏にはけっこんっした。
そして例外的にれいむの仕事は子育てと掃除のみとし、狩りの日は代わりにまりさが出かけて行った。
この群れに初めてにして唯一の例外だがしばらくすると反感を持つ者はほとんどいなくなっていた。



実りの秋になってから少し経ったころ

まりさ達は群れが迎える初めてのえっとうっに備えて餌を集めていた。

「きょうもごはんをあつめるよ!」

まりさが出発前に同じく餌集めに出かけるゆっくり達に張り切って言った。
みんなも張り切っている中、ぱちゅりーの顔だけが青ざめていた。

「ゆ?ぱちゅりーどうしたの?ぐあいがわるいならきょうはやすむ?」
「むきゅー…そうじゃないわ。まりさ、わかってるの?」
「ゆゆ?なんのこと?くわしくおしえてね!」
「ごはんのためこみりょうがよそういかなのよ。このままじゃえっとうっできないわ!」
「………さすがぱちゅりーだね。きづいてるゆっくりがいるとはおもわなかったよ。」

そう、まりさは知っていたのだ。
実りの秋にもかかわらず木の実が少ない。
夏が寒かったせいなのかもしれないがゆっくりにはわからないだろう。
しかし木の実以外は保存が効きにくく、虫や草花は保存の途中で腐ってしまう可能性があるので
ギリギリまで集めることができない。
そんな状況でどうしたらよいか、
まりさは少し前に気づき、誰にも言わず対策を考えていたのだ。

「むきゅ!みずくさいわよまりさ!
 りーだーなのはわかるけどまりさだけでなんでもできるわけないじゃない!
 たすけあうためにむれがあるんだからみんなにちゃんとそうだんしなさい!」
「ゆ………っ!ごめんね!まりさがわるかったよ!こんどからきをつけるよ!」

まりさは自分を恥じると同時に、それ以上にうれしかった。
自分はリーダーだけどまだまだ未熟。
でもみんなが支えてくれるんだ。

その日は全ての仕事がおやすみになり群れのみんなを集めて代わりに会議が行われた。
まりさは会議を始める前に先ほどの様に謝罪をした。
それを見ての群れのみんなのは、驚きはしたもののみんな笑顔で受け止めた。
こんなに頼りないけど自分の悪いところは正直に謝ってくれる。
そして、自分以上に群れのみんなを心配してくれるまりさ。
しばらく大変だろうがいずれは親のドスまりさのようなゆっくりになって楽園を作ってくれるかもしれない。
そう期待できる。
そして会議は進んでいった。

会議では、
  • しばらく掃除係を全て狩り係にすること
  • 狩りの時間を夜明けとともに狩りに出て、日が暮れるまでに延長すること
  • その際必ず1匹にならないこと
が決まった。

それからは毎日が忙しかった。
食事とすいっみんっ以外は子育て係の日しかゆっくりできなかったのである。
そんなある日、

「ゆふー……きょうもおしごとおわったよ!」
「まりさ、ゆっくりおつかれさま。」
「ただいまれいむ!」
「ごめんね、れいむのぶんもかわりにいかせて……」
「だいじょうぶだよ!まりさはむれでいちばんつよいんだよ!」

掃除の日が休止になったことで、まりさは他よりも2倍疲れていた。
しかしまりさは決して疲れた表情を見せないし弱音も吐かない。
確かにまりさの言うとおり、まりさは群れで一番強いだろう。
それでも苦しいのは変わらないはず……
そう思うとれいむは自分が情けなかった。

子育ては大事な仕事だ。
でも他の大事な仕事ができない自分。
そのせいで大切なまりさが苦しむことになっている。
全ては自分が弱いせいだ。
だからけっこんっしてから今まで1度もすっきりーしていない。
子供ができたら自分が耐えられなくて死んでしまうかもしれないとぱちゅりーにいわれたから。
だから迂闊にすーりすーりして労わることもできない。
歌だって朝早くや夜遅くしか機会がなのに寝てるゆっくり達に迷惑になるから歌えない。
自分はまりさに何もしてやれない………
れいむは最近、強くそう思っていた。

次の日

れいむはまりさ達を見送った後、妹のれいむと子育てをしていた。

「ゆぅぅ………」
「おねえちゃんどうしたの?」

妹は姉とは違って普通のれいむだった。

「れいむはまりさになにしてあげれるかな……ってかんがえてるよ…」
「……そう。」

そして姉がまりさを想う以上にまりさが好きだった。

「れいむじゃなにもしてあげられないよ………」
「…………そう。」

何もできない姉がまりさとけっこんっしたことが妬ましかった。

「もうどうしたらいいかわからないよ……」
「…………………そう。」

そしてそれ以上に、

そんな姉のせいでまりさが苦しんでいくのが許せなかった!


妹れいむは今を好機と考えた。
今は自分たち以外には子ゆっくりが数匹しかいない。
今なら姉に仕返しができる。
でも子ゆっくりにバレない様にしないと。

「…そんなんじゃまりさもたいへんだね!」
「ゆ!?」
「おねえちゃんのげんきのないかおみたらまりさはしんぱいするよ!」
「ゆぅー…」
「そんなになにかしたいならいいあいであがあるよ!」
「ゆゆ!?れいむ、ほんとう?」
「ゆっふっふ♪それはね……………」


日が暮れ始めたころ

「ただいまだよ!きょうはいっぱいごはんがとれたよ!」

狩り係のみんながたくさんの木の実を抱えて帰ってきた。
偶然部分的に木の実が豊作になっている場所を見つけのである。
おかげで食糧問題も解決し、早めに帰ることもできた。

「れいむー!これであしたからゆっくりつうじょうしふとにもどれるよ!………れいむ?」

こんな嬉しい時誰よりも先に、誰よりも分かち合いたいれいむの姿が見えない。

「ねえれいむ?まりさのれいむどこいったの?」
「ゆぅぅ…おひるころとつぜんおそとにでていってかえってきてないよ……」
「ゆゆゆ!?なんで!?なにがあったの!?」
「れいむはしらないよ!れいむはおねえちゃんがおちこんでるとまりさがしんぱいするっていっただけだよ!」

大声だったこともあり話はすぐに群れ中に広まった。
そしてまりさを先頭に捜索隊が結成され今帰ってきたばかりのゆっくり達がほとんどれいむを探しに出かけて行った。


もうすぐ完全に日が落ちようというころ

「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!れっ…れいむをみつけたよ!」
群れのゆっくりの声を聞き、まりさは急いで向かう。
なぜ悲鳴が?
まりさは嫌な予感を消すことができなかった。

「れいむ!」

既に他のゆっくりも集まってきていてれいむが見えない。
群れのみんなはまりさに気付くと無言で道をあける。

「……………」

そこには、いくつかの木の実と餡子を吐いて倒れているれいむがいた。

「………ば…り…」
「れいむ!よかったよ!いきてるよ!」

辛うじて生きていた。

「れいむ!れいむのまりさはここにいるよ!すぐたすけてあげるよ!」
「むきゅ!はこんだらあんこがでてきそうね!ここでおうきゅうしょちをするわ!」

まりさはれいむを元気付け、ぱちゅりーが応急処置を始める。
応急処置によりこれ以上餡子が出ることが無くなったのを確認するとみんなで慎重に、ゆっくり運んだ。
その後巣に帰ったみんなは、れいむと治療をするぱちゅりー以外で緊急会議を始めた。
真っ先に事情聴取を受けたのは妹れいむだった。

「さっきもいったでしょぉぉぉぉぉ!!でいぶはなにもしてないよぉぉぉ!?
 なにになんでごんだごどずるのぉぉぉぉぉぉぉ!!」

まるで裁判の被告席の様に周りをゆっくりで囲まれ、正面にはまりさがいる。

「れいむ…おちついてね!まりさはれいむになにかなかったかきいてるだけだよ!」
「だからいっでるでじょぉぉぉぉぉ!おでえぢゃんがいぎなりででいだっで!
 なんでわがっでぐれないのぉぉぉぉ!!」
「それはわかってるよ!ほかになにかなかったかしりたいんだよ!」
「じらないよぉぉぉ!でいぶはおしごとでいぞがじがっだんだよ!」
「ゆぅ……わかったよ……」

状況を一番知っていそうな妹れいむが何も知らない。
でも何もなかったならあのれいむが仕事を放り出して自分だけで外に出るなんて考えられない。
………………わからないことだらけでみんな沈黙し、会場には妹れいむの嗚咽しか聞こえない。
そんな中、沈黙を破ったのは一匹の子れいむだった。

「いもうちょしぇんしぇいはうしょつかにゃいでね!」

その予想もしない方向からの声にみな驚いた。

「ゆゆ?おちびちゃんどういうことなの?」
「れいみゅはきいちゃよ!いもうちょしぇんしぇいがおねえしゃんしぇんしぇいにいっちゃこと!」

そして子れいむはその時のことを話し始めた。


昼前

「ゆゆ!?れいむ、ほんとう?」
「ゆっふっふ♪それはね……………こっそりごはんをあつめてまりさにみせるんだよ!」
「ゆえぇぇぇぇぇぇ!?それはできないよ!れいむがしんじゃうよ!」

確かに以前まりさと一緒に狩りに出かけて瀕死の状態でまりさに担がれて帰ってきたことがあるので嘘ではない。

「そのあまえがいけないんだよ!だからずっとつよくなれないんだよ!」
「ゆゆゆ…それはそうだけど…」
「おねえちゃんがじょうぶになればぜんぶかいけつするんだよ!
 そんなこともわからないの!?ばかなの?しぬの?」
「ゆっぐ…ゆっぐ…」

あまりの正論に涙が出てくる。

「なにもいっぱいあつめなくていいんだよ!おひるころからまりさたちがかえってくるまでゆっくりさがすだけだよ!」
「でも…おちびちゃんたちのおせわがあるよ?」
「ゆっふん!それはれいむにまかせてね!おねえちゃんたちのためなられいむもきょうりょくするよ!
 げんきなところをまりさにみせてあげてね!」
「れいむ………」
「だいじょうぶだよ!おちびちゃんたちはいいこだしかずもすくないよ!」
「ゆあぁぁぁぁぁぁぁん!れいむ!れいむはれいむがいもうとでうれしいよぉぉぉぉ!!」

れいむは今日ほど自分の妹がこのれいむであることに感謝したことはなかった。
もちろんいままでもまりさの次に大好きだったし大切なゆっくりだった。
しかしここまでしてくれたのは今日が初めてだったのだ。

「おひるごはんたべたらゆっくりしゅっぱつしてね!」
「ゆっくりそうするね!」
「ゆぅ…ねんのためにおちびちゃんたちにはないしょでこそーりこそ-りいってね!
 おねえちゃんはにんきものだからついていこうとされてもこまるからね!」
「ゆっくりそうするね!れいむ!ゆっくりありがとうね!」
「ゆゆ!ゆっくりがんばってね!」


子れいむの話はそれで終わった。
周りからはザワザワとした声がしていた。

「みんなしずかにしてね!」

まりさの声にまた沈黙が訪れる。

「おちびちゃん、ありがとうね。」

そして少し間を空けてまりさが話し出す。

「れいむ?おかしいね?れいむのいってたこととおちびちゃんのいってることはちがうよ?
 どっちかがうそをついてるとしかかんがえられないね。」
「でいぶはう…うぞなんがづいでないよ!おぢびぢゃんがうぞづぎなんだよ!」
「ゆゆ!?ちぎゃうよ!いもうちょしぇんしぇいがうしょついてりゅんだよ!」
「おぢびぢゃんはゲスだっだんだよ!いままでおぜわじだりあぞんだりじであげだのにでいぶのぜいにするごはゲスにちがいないよ!」
「ゆあぁーん!れいみゅはゲシュじゃないよぉぉぉ!ほんちょだよぉぉぉ!」
「しずかにしてね!!」

しーーーん………

今まで聞いたことのない程のまりさの大声にまたもや沈黙が訪れた。

「さわがないできいてね!りょうほうにいうよ!うそがあるならいまのうちにいってね!
 いまならまだかるいおしおきでゆるしてあげるよ!」
「…………」
「…………」
「……ふたりともじぶんはただしいといってるとみるよ!」

群れのみんなは無言で判決を待った。
この状況はどうみても妹れいむが嘘をついてるのは間違いない。
今まで姉を妬んでいたのは少なからずみんな知っている。
だから妹れいむが有罪で間違い無い。
でも、証拠がない。

「ちょっとまちなさい!」

その時ぱちゅりーの声が響いた。
みんなぱちゅりーに注目する。

「ぱちゅりーどうしたの?れいむは?」
「もうだいじょうぶよ!れいむがいいたいことあるっていうからつれてきたの…むきゅ…」
「まりさ…みんな…しんぱいかけてごめんね…」
「れいむ!わかったからゆっくりしててね!」
「むきゅぅ…とめてもうごこうとするからつれてきたのよ。だいじょうぶだとおもうからきいてあげて。」

みんなが見守る中れいむがゆっくり話し出した。

「きこえてたけど…さっきのおちびちゃんのいったことはほんとうだよ。」

ザワザワザワ!!

どよめきが起こる。

「きいてね!でも!…れいむのいってることもほんとうだよ!」

ザワザワザワザワザワ!!

れいむはいったい何が言いたいんだ?
そんな声がさらに大きなどよめきを起こす。
そしてれいむの話を聞こうと一転静まり返る。

「おちびちゃんがいったこともほんとうだし、れいむのいったこともほんとう。
 これはれいむじしんがだめだったんだよ。」
「れいむ…」
「まりさ、みんな…れいむはれいむのせいでまりさがくるしむのがつらかったんだよ。
 それでれいむにそうだんしたらつよくなれっていわれてそうだねっておもったんだよ。
 ……でも、やっぱりつよくはなれなかったよ。…しんぱいかけてほんとうにごめんね。」

話が終わっても場は静まり返ったままだ。
誰も、何も言わない。
その中でまりさは考えを口に出した。

「まず、はじめにしょうげんをしてくれたれいむにはおわびをするよ。
 じじょうちょうしゅのつもりがさいばんになってごめんね。」
「ゆっぐ、ゆっぐ!」
「わるいけどげんじょうではれいむがようぎしゃだからそのままきいてね。」
「ゆゆ!?」
「それじゃあはんけつをいうよ!」

みんなまりさに傾注する。

「まりさはむれのりーだーだからむれのみんなしんじるよ!
 だからさんにんのいったことはしんじるよ!」

ザワザワザワ!!

「でもそうであったとしてもからだのよわいれいむにかりをすすめたれいむはとってもゆっくりできないよ!
 もしかしたられいむはしんでたかもしれないよ!そんなことむれのみんなならおちびちゃんでもしってるよ!」

妹れいむは蒼白で震えている。
群れのみんなはあまりに立派なまりさの言葉に何も言い出せないでいる。

「だかられいむをゆるすことはできないよ!れいむはまりさのぎりのいもうとだけどまりさはりーだーとしてのしょくむから
 おんじょうをだすこともしないよ!」

妹れいむは冷や汗としーしーが止まらなくなっている。

「はんけつだよ!ようぎしゃれいむはおりぼんのはくだつ!ぼっこぼっこされたあとむれからついほうするよ!」

妹れいむも群れのみんなも今の状況が信じられなかった。
つい最近まで頼りなかったあのまりさが、
優しさに溢れたいつも笑顔のまりさがこんな重い刑を下すなんて。
みんなその瞬間、まりさに対してとてつもない恐怖を感じた。
それと同時にれいむ姉妹以外はこの上ない頼もしさと成長した喜びに満たされていた。

「ちょっとまってね!まりさ!れいむをゆるしてあげてね!」
「それはできないよ!」
「おねがいだよ!ゆるしてあげてね!」
「れいむのおねがいでもきけないよ!それにれいむにもはんけつをいってないよ!」

ザワザワザワザワザワ!!!

なぜれいむにも罰が?
群れのみんなはわけがわからず混乱する。

「はんけつだよ!れいむはこんごひとりでのがいしゅつをきんじるよ!
 それからぱちゅりーのきょかがでるまでぜったいあんせいだよ!
 げんきになったらみんながゆっくりできるおうたをいっぱいうたってもらうよ!」

さらにこう続ける。

「れいむのざいじょうをいうよ!
 れいむはそうさくたいをださせるほどみんなをしんぱいさせたよ!
 それからじぶんのからだもかんがえないでかりにでていったよ!
 そのためにおちびちゃんたちのせわをほうきもしたよ!
 いじょうだよ!」

まりさが一気にまくし立てた後みんなはしばらくまりさの言ったことを反芻して考えていた。
それから、

わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

という大歓声が起きた。
妹れいむの判決の後の恐怖感はそのまま嬉しさへと変わった。
本来ゆっくりの中では裁判はゆっくりえーきがいる群れ以外ほとんど行われない。
なぜなら疑わしきは全て罰するという単純な方式を取るからだ。
にも関わらずここまで見事な裁判をしたまりさは最早誰もが頼れるリーダーにしか見えないのだ。

「はんけつはすぐにしっこうするよ!ぱちゅりー!はやくれいむをつれていってね!」
「むきゅ!わ…わかったわ!」
「まりさ……」

まりさは心を鬼にしてれいむを見送った。
あんなに悲しそうなれいむを見たのは初めてだったし、悲しむれいむ自体見たくは無かった。
でも、自分は群れのリーダーなんだ!
その強い思いが溢れ出しそうな涙を必死に止めてくれた。

「つぎはれいむだよ!なんにんかはれいむをとりおさえておそとにつれてってね!
 それからのこりはもうおそいからおちびちゃんたちとゆっくりやすんでね!」

まりさの指示通りみんなが動く。
まりさはれいむたちと共に外へ行く。

「どぼじでごんなごどにぃぃぃぃぃ!!でいぶなんにもじでないのにぃぃぃぃぃ!!」

外へ来ると妹れいむが騒ぎ始めた。
もちろん両脇から抑えられて身動きが取れないが。

「でいぶはばりざがぐるじみのがだえられながっだんだよ!おでえぢゃんのぜえでぐるじむのが!」
「……?なにをいってるの?」
「でいぶはおでえぢゃんがにぐがっだ!ぜっがぐでいぶがだいずぎなばりざをゆずっであげだのにばりざにめいわぐばっがりがげるがら!!」
「ふざけるのもいいかげんにしてね!」
「ゆゆ!?」
「いつまりさがくるしいっていったの!?まりさはれいむにめいわくかけられたことなんかいちどもないよ!
 まりさはれいむがだいすきだからいっしょにいてくれるだけでとってもゆっくりできるんだよ!」
「ぞんだ……ばりざ……」
「まずはおりぼんをとってね!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!でいぶのぶつぐじいおりぼんとらないでぇぇぇぇぇぇ!!」

シュルシュルと外されていくリボン。
ただのロングヘアーになったれいむにまりさは続ける。

「みんな!ひとりずつれいむをぼっこぼっこしいってね!でもころさないようにきをつけてね!
 まずはまりさがおてほんをみせるよ!」

抑えるゆっくりがいなくなって泣き崩れているれいむにまりさが突撃する。

「ゆげぇぇぇ!!」

れいむの顔面にクリーンヒット!

「さあ!みんなもつづいてね!」

言われるがままみんなも突撃する。

「ゆべ!ぶひゃ!べ!ゆぐ!ゆぼ!ぶ!…!…!」

四方八方からの突撃にれいむはされるがままだった。

「ゆぶじで…ぼねがひ…」
「……みんな!そろそろいいよ!さいごはまりさのいちげきでれいむをむれからついほうするよ!」
「ごべんじゃじゃい!ばんじぇいじばじだ!ぼうやべじぇ!」
「だめだよ!はんけつはぜったいなんだよ!」

まりさは距離を取る。
そして全力疾走のままれいむにぶつかっていった。
そのぶつかる瞬間れいむしか気づかないほど小さく、

「こんなことしたくなかったよ…」

と呟き涙を一滴流した。

「べびゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」

そのまま吹っ飛び地面に着くと勢いよく転がっていく。
見えなくなり声も聞こえなくなった後、

「ぜったいにもどってこないでね!!!きたらいのちはないよ!!!」

とまりさが大声で叫んだ。
その時のまりさの顔は先ほどまでの強気なものだった。



まりさは巣に戻ると真っ先にれいむのところへ向かった。

「むきゅ?まりさどうしたの?」
「ぱちゅりーごめんね、れいむとふたりっきりでおはなしさせてね。」
「わかったわ!」

ぱちゅりーは快く部屋を出て行った。

「れいむ……」
「ゆっぐ…いまさらなんのようなの?もうまりさなんてしらないよ!」
「ごめんね…ほんとうにごめんね……」
「なんでいまごろあやまるの!?それにあやまるのはれいむじゃなくていもうとにでしょ!?」

ここまで取り乱したれいむをまりさは初めて見た。
おそらくれいむ自身もはじめてだろう。

「それはちがうよ!あのこはやっちゃいけないことをしたからああなったんだよ!」
「なんなの?まりさはあやまりにきたんじゃないの!?」
「そうだよ…まりさは、まりさのれいむにあやまりにきたんだよ!」
「まりさがなにをいいたいのかわからないよ!」

れいむは完全に混乱していた。

「まりさはむれのりーだーだからあまさはすてなきゃいけないんだよ…
 だけどそのせいでれいむをきずつけることになってしまったよ…」
「そうね…それでなんなの?」
「れいむ、だけどまりさはこれからもみんなのまえではつよいりーだーとしてふるまっていくよ…
 でも、れいむには、だいすきなれいむだけにはまりさのよわいところをみてもらいたいんだよ!」
「……じぶんかってだね。」
「わかってるよ。かわりにふたりだけのときはうそをつかないことをやくそくするよ!」
「……」

下手な嘘で誤魔化したせいでこんなことが起きてしまった。
だかられいむにはこれからウソはつかない。
疲れたられいむにだけは疲れたと言う。
苦し時はれいむにだけは苦しいと言う。
歌って欲しかったら一緒に外に行って歌ってもらう。
リーダーとはいえ少しの時間なら一緒に外に出る時間だってあるんだから。

れいむは迷っていた自分を殺そうとしたとはいえ最愛の妹だった。
最愛のまりさはその妹を追放した。
でも、自分だってまりさを責められない。
さっき自分で言ったんだ。

「これはれいむじしんがだめだったんだよ。」

自分がもっと考えて動いていればよかったんだ。

「からだにさわるからあしたまたくるね。れいむ、ゆっくりおやすみなさい…」

れいむはその晩、眠れなかった。
落ち着けば簡単だった。

”悪いのは自分じゃないか!”

それがわかっても今の自分では動くこともできずただ泣くしかなかった。


翌朝

「れいむ!ゆっくりおはよう!」
「まりさ…ごめんね…」
「れいむ!?なんであやまるの!?」
「ひとばんかんがえたんだよ…あのこはれいむのせいでついほうされたんだね…」
「……そうだよ。」
「……ありがとうまりさ…きのうのやくそくまもってくれて。」
「あたりまえだよ!」
「れいむがのせいで……ゆ……ゆわぁぁぁぁぁん!ごめんねれいむ!ごめんねまりさぁぁぁ!」
「まりさもごめんね…まりさがもっとはやくみんなをたよっていたらこうならなかったかもしれないね…
 ゆっぐ…ゆっぐ…」

まりさとれいむはお互いに謝り合いそして許し合った。
そしてこう思った。

”これからはもっと支え合って生きていこう。妹もうれいむのような悲劇を起こさないために……”



今年もまた春の訪れを伝える妖精が幻想郷中を飛び回る季節がやってきた。

あれから何事もなく無事にえっとうっしたまりさたちは巣から出て通常シフトで動いていた。
瀕死だったれいむもすっかり良くなり、まりさも頼れるリーダーとしてがんばっていた。
みんなはこれからも頼れるリーダーの下幸せに暮らしていけることを願っている。


            • エピローグ


えっとうっする前まではこゆっくりだったあの証言したれいむも十分に育ち、
今日は幼馴染のありすと狩り係をしていた。

「ねぇれいむ?あれってなにかしら?ひかっててとてもとかいはだわぁ!」
「ゆゆ?こおりさんみたいだね?………ゆゆゆ!これって!!」


************************あとがき*************************************************************************
今回も最後まで読んでいただき本当にありがとうございました!
それから前回まで感想をくれた方ありがとうございます。

さて、今回はこれの半分以下の短いものを書こうとしましたが結果がこうなってしまいました……
鬱ENDが嫌だったので変えた結果がこれだよ!
本当はこれは2つ目に書こうと思っていたものでしたが途中で行き詰ったので没になっていたものです。
お兄さんが出なく幻想郷でゆっくり達だけの制裁物を目標にしたのですがあんまりそれっぽくないですね…
よく見ると主文後回しで重罪とかもやってますが司法はニュースで流れるほどしかしりません…

最後に繰り返しますが、今回は長くなってしまったものを読んでいただき本当にありがとうございました。


著者  ライトM制裁派お兄さん


************************過去作品*************************************************************************
  • 過剰愛でお兄さんの悲劇
  • 元祖ゆっくりとの遭遇

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最終更新:2022年05月22日 10:50