「へぇー、愛依ちゃんその年でアイドル? すごいな~」
「一応ね~。と言っても、ウチにも色々あったわけだけど」
雨雲が映し出す憂鬱な風景に負けじと、明るくもある会話が弾む二人の男女
薄麦色の髪に、怪しくも本人の気軽を表すかのように輝く黄金色の瞳を持ついかにもチャラ男という感じの男
その隣には色濃く焼いた褐色肌と髪色が美しく映る、所謂ギャルと呼ばれる種類の少女――283プロ所属アイドル、アイドルユニット『ストレイライト』の一人、和泉愛依
「そんな時でなんなのこれっていうか、最初はどっかの番組のドッキリに巻き込まれたって思ってたなんだけど……」
「この『ゲーム』の事?」
「そそ。それに神子柴っておばさんに見せられた映画。あれすんごい良かったんだけど、だからってあの二人をどうこうしてって言われても……」
愛依の脳裏に過るのは『ゲーム』説明の前に見せられた映画のことだ。こんな映画が存在しているのなら間違いなく愛依の友人たちが、同じ283プロ所属のアイドルの口コミやらで耳に入っているはず
と、映画の存在のことは置いといて、本題は中身の方だ。和泉愛依の視点からして映画の内容は惹かれるものがあり、異常な状況でありながらレイニー止めを喰らうまで見入ってしまっていた
だからこそ、選択をするには余りにも酷というものであった。どうしても、生き残る為には『森嶋帆高の死』が不可欠な要素として関わってくる
「ごめん、なんか弱気なとこ見せちゃって。冬優子に見られたら怒られそうかな。で、そっちはどうするワケ?」
「そうだねぇ……このゲームのタイムリミットは二日間。森嶋帆高が目的地に辿り着いて天野陽奈に辿り着いちまったらアウト。逆に俺たちが森嶋帆高をタイムリミットまでに足止めすれば俺たちは生還できる。しかも条件を満たした上で主催本部に先着五名でたどり着けばどんな願いでも叶えてもらえる。そして手っ取り早くみんなが助かる可能性として―――森嶋帆高を殺すこと」
男のそのセリフに、思わず愛依の目つきが鋭くなる。まさか彼はこのゲームに乗るつもりなのだろうかという疑いを向け。だがそんな愛依の視線を気にしたのが男はコホンと息を鳴らし
「待って待って。そうと決まったわけじゃない。どちらにしろ、愛依さんは放っておけないし。俺たちに何が出来て、何が出来ないか。それをはっきりさせないとさ。それに、愛依さんはどうしたいってのも聞きたいからさ? だから、俺は愛依ちゃんの方針に付き合わせてもらうさ」
と、愛依の心情をある程度汲んだ上での発言をする男。愛依にとってはある程度素性は明かしたとは言え、相手は見ず知らずの人間。少々胡散臭いのを感じるけどそれでもこの目で見て最低限信頼できると思えた相手
男の言ったとおり、自分たちに何が出来るか、何が出来ないか。もしかしたら自分のやることで彼に迷惑をかけてしまうかもしれない。だがそれは結局の所やり方次第でしか無い
「……帆高、探そっか」
そう。結局どのような選択であろうと、彼を探さない限りは何も拓けない。だけど、和泉愛依の選択は最初から決まっている
そもそもこんなおっかなくて犠牲を共用するようなやり方での脱出なんて認めない。そんな事をして帰った所でプロデューサーにも、家族のみんなや応援してくれるファンにも、それに冬優子やあさひに、面向かって顔なんて見せられない
舞台でのミステリアスな自分も、フリーでのいつもどおりの自分、そして今の自分も、紛れもない自分(ウチ)であることに変わりはない
そして――ストレイライトとして、こんな殺し合いに負けるつもりはない
「それが、愛依ちゃんの選択ってことでいいのかな?」
「うん。……こんなウチでも付き合ってくれる?」
「ああ、勿論さ。それじゃ改めてよろしくな、愛依ちゃん!」
「こっちこそよろしく――――貴信!」
○ ○ ○
(―――さて、と)
心の奥底で、崎村貴信は決意を秘めた愛依の傍らで邪悪に微笑んでいた
崎村貴信は『理不尽』が大好きであり、殺し合いを普通に許容できる狂人である
この『ゲーム』は、かつて彼が参加し死を持って『理不尽』と成り得た。あの後の結末を彼は知らないが、相応の結末となったとだろうと思いたいところだ
(……この様子だと、彼女はこのゲームを止める方向に、なるのかな? 森嶋帆高も、他のみんなも助けるつもりで)
だが、貴信にとって彼女の思いなど関係ない。森嶋帆高の事も。なぜならば―――
(ああ。いいじゃないか。だったら、俺は)
崎村貴信。前の『ゲーム』と同じ用に、『理不尽』と成りうる為、その思いも、心も、一切の容赦なく踏み躙るであろう
【和泉愛依@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:こんな殺し合いゲームには負けたくない
1:森嶋帆高を探す
【崎村貴信@
リベリオンズ Secret Game 2nd stage】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:皆にとっての『理不尽』そのものになりたい
1:当分は和泉愛依と共に行動。最悪切り捨ててもいい
2:森嶋帆高を探す
※参戦時期は死亡後
最終更新:2021年02月13日 05:38