14スレ目の74(ななよん)の妄想集@ウィキ内検索 / 「#11」で検索した結果

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  • 誓いの輝石~Avenge~/#11
    第11話「双対悪魔(ダーティデュオ)」 パートA パートB パートC パートD パートE 補足事項 エイン=R【ライアット】=シャルル ゲル・ドランの傭兵”双対悪魔(ダーティデュオ)”の姉。 幼い頃から傭兵として育てられたが本来は心優しく大人しい13歳ぐらいの少女。 紫色の髪で右側が長く目にかかる程度のアシンメトリーな中分け、耳ぐらいまでの長さの左サイドテールが特徴。 白い左目と黒い右目のオッドアイ。 アイン=R【ライアット】=シャルル ゲル・ドランの傭兵”双対悪魔(ダーティデュオ)”の妹。 幼い頃から傭兵として育てられ、傭兵として絶対の自信と誇りを持っている。 紫色の髪で左側が長く目にかかる程度のアシンメトリーな中分け、耳ぐらいまでの長さの右サイドテールが特徴。 白い左目と黒い右目のオッドアイ。 ハンドガン(アインの所持品) イメー...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#11/パートC
    しかし、エインの喜びは長くは続かなかった。 固唾を呑んで事の次第を見守っていた観客が、歓声で湧き上がったからである。 「あ・・・姉貴・・・あれ・・・・・・。」 「・・・う、うそ・・・。」 歓声の原因は至極単純。 あのまま気を失うはずだったネスが、荒く息をしながら立ち上がろうとしている。 その様子に二人は言葉を失った。 「――ひっ!?」 二人とネスの目が合った。 二人は歳相応の少女みたいな、情けない悲鳴を小さく上げて一歩後退る。 精神の奥底に幾重にも鍵を掛け閉じ込めていた、”恐怖”という感情が暴れ出す。 一つ、また一つと鍵が壊れ鎖が千切れ飛ぶ。 分厚い扉が全身を戦慄かせ、不規則に鳴る轟音に合わせて撓る。 「あ・・・あぁ・・・ぅ・・・ぁぁ・・・っ・・・ぁ・・・。」 扉の戦慄きは身震いという形で表に現れる。 隣に居る生き写しに助けを求めたくとも歯の根が合わず、まともに喋れない。 二人...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#11/パートA
    アスが眠りについたのを扉越しに感じ取ったネスは、石畳の通路を会場に向かって歩きだした。 それから間も無くのことである。 ネスの目に前方から慌てて走ってくる案内係の姿が映った。 彼はネスを見つけると大声で彼女の名前を呼びながら走り寄る。 「丁度良かった!!実は・・・」 「・・・試合だろ?大方、相手が棄権したとかで早まったってトコだな?」 「えっ!?・・・ええ、そうですが、なんで分かったのですか?」 自分の言おうとしていたことをずばり言い当てられ、案内係は驚きを隠せなかった。 ネスは彼の疑問に笑顔で答える。 「そりゃぁ、アンタの慌てぶりを見りゃ分かるぜ。それに・・・」 (あんなことまでやってきたんだ。当然、アスの回復を待つ時間はくれねぇよな。) 「それに・・・なんです?」 「・・・気にすんな。それより、急ぐんだろ?さっさと行くぞ。」 さっさと話を切り上げて走り出したネスの後を、案内係は...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#11/パートD
    陰気臭い石造りの建物の奥深く、少女の声が響く。 「いつまで閉じ込めて置くっすかぁ!!せめて、姉貴だけでも出してやれっす!!」 声の主、アインは分厚い鉛の板で拘束された両手を何度も扉に打ちつけて叫ぶ。 しかし、返ってくるのは扉の発する重低音とアインの叫び声のみだった。 「アイン・・・私達・・・このまま死ぬのさね?」 「姉貴!?」 エインは壁に寄り掛かりながら、呟くようにアインに問う。 アインは両足の重い枷【かせ】を引き摺りエインの傍へと向かった。 「姉貴、何言ってるっすか!姉貴は死なないっす!死なせないっす!」 「でも、あの後すぐ此処に連れて来られて、それから誰一人来ないさね・・・。」 「だいたい!なんであの時アタイを置いて逃げなかったっすか!どうして、捕まったっすか!?」 反則負けという形でネスとの試合を終えた直後、傭兵組織の者達があの場のどさくさに紛れて二人の元に現れた。 数...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#11/パートB
    「で、どーすんだ?諦めるか?」 ネスは口元に勝ち誇った笑みを浮かべて二人に問いかけた。 「・・・誰が!!」 アインがふらりと立ち上がりながらネスを睨みつけて叫ぶ。 そして、エインの制止の声も聞かず全力で地を蹴りネスへと襲い掛かった。 「そうそう、そうこなきゃなっ♪」 ネスはアインの全身全霊を賭けた連撃を笑顔で捌く【さばく】。 「でもまっ、なんだ。1対1なら確かに真価を発揮できるけどな・・・。」 「だぁぁぁーーっ!!」 ネスはアインが気合を入れて放った拳に合わせて反対側の拳を軽く引く。 「見よう見まねじゃ私の身体能力までは真似できねーだろーがっ!」 「うぐっ!!」 そして、アインの拳が届くよりも早く引いた拳を突き入れた。 アインはその場に蹲り、全身を小さく痙攣【けいれん】させながら何度も咳き込む。 「・・・あるんだろ?奥の手がよ。」 ネスは蹲ったままのアインにゆっくりと...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#11/パートE
    「――そろそろですわね。」 深夜、格闘大会の余熱が冷めた頃、ゲル・ドラン国境付近の路肩にアスは居た。 大きく緩やかな曲線を描く道の両側には、人気のない施設が軒【のき】を連ねていた。 アスが腕を組んで立っていると、一対の灯りが近づいてくるのが見えた。 灯りの主、ボックスカーゴがアスの目の前で停車する。 停車したボックスカーゴの運転席から降りてきたのはラスだった。 「お待たせしました。すみません、思ってたよりも準備に時間を取られまして・・・。」 「き、気にしておりませんわっ!わわ、私も今来たとこっ・・・!?」 「・・・えっ?」 「ななっ、なんでもありませんわっ!!」 (うわああーっ!何を言っているんですの私っ!『今来たところ』という台詞は待ち合わせの時の台詞ですわぁっ!!) アスは頭から湯気が出そうなぐらいに顔を真っ赤に染めて、ラスに背を向ける。 アスの不可解な行動に首を捻っているラスの...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#12
    第12話「追想の都で」 パートA パートB パートC パートD パートE パートF 補足事項 国立資料館 都の北東部中腹に位置する施設。 日出から日没までの凡そ12時間、30日に1回行われる書庫整理の時以外は毎日開館している。 館内には帳面に簡単に記入するだけで誰でも入ることができ、協会が監修したあらゆる書物を自由に閲覧することができる。 そして、館内中央には入室に許可証の必要な”中央資料室”があり、輝石や協会に深い関連のある書物の”写し”が保管されている。 許可証を取ること自体は協会に所縁のある者ならば容易に取れる。 しかし、発行窓口が1箇所しかない所に申請が集中するため、発行まで3日ぐらいは掛かる。 発行された許可証の有効期限は1年間。 なお、一度の申請で許可される入室は一度きりなので、如何なる理由があれど一度退室したら再び発行申請が...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#10
    第10話「その女、銃狂(トリガーハッピー)につき」 パートA パートB パートC 補足事項 本選試合について 直径凡そ20mの円形、高さは凡そ1m、土で作られた土台の上にタイル状に平石を敷き詰めた舞台で行う。 2名が同時に舞台に上がることも可能な時間無制限タッグマッチ戦である。 2名ともギブアップするか気絶して戦闘不能になるか待機スペースの外へ転落する、もしくは2名とも待機スペースに居てテンカウントを取られると敗北となる。 片方が既にギブアップか戦闘不能か転落している場合、残りの1名は待機スペースに落ちても場外扱いとなる。 禁止行為とそのペナルティは予選試合と同じである。 ガルン 本名はガルン=Y【ヨルン】=ベルン。短身で痩せ型のゲル・ドランの傭兵。 素早い身のこなしで敵を翻弄するのが得意。 また、体内に流れているある種の生体エネルギーを操ることで身体...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#13
    第13話「炎上の都で」 パートA パートB パートC パートD パートE パートF パートG パートH 補足事項 眩い光を放つ装置(オルグの所持品) 現実世界でいう所のペン型ライト。 しかし、非常に強力な光を放つことができる。 その代わり存在可能時間が非常に短く、一瞬しか照らすことができない。 ハンドボム(男達が使ってた物) 今回のイメージモデルはパンツァーファウスト。 ハンドカノン(男達が使ってた物) 今回のイメージモデルはM72LAW。 ハンドガン(ラスに突きつけられた物) 今回のイメージモデルはエンフィールドNo.2。 先端の尖った棒のような物(オルグの所持品) 見た目は現実世界でいう所のアイスピック。 持ち手の内部に超小型圧縮空気の入ったボンベの輝石が入っている。 発動させると底部に空けられた噴射口か...
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  • 誓いの輝石~Avenge~/#10/パートA
    その日、建国来の現象がゲル・ドランを襲っていた。 国一番の祭事、格闘大会が例年にない盛り上がりを見せたのだ。 当初、開催時期が変更されたことにより、興行収入の低下が懸念されていた。 にも拘らず格闘大会は例年以上の盛り上がりを見せ、国全体が嘗て【かつて】ない熱気に包まれていた。 「いやぁ~凄かったなぁ~!」 「ああ、惚れ惚れしちまったよ!」 「そうだな~、強かったし、それに美人だったもんなぁ・・・。」 酒場で机を囲んだ男達は口々に感銘の声を漏らす。 彼らは皆、格闘大会を観戦した帰りだった。 「これでもちょっとは眼に自信あったんだが、結局最後まで何が起きたのか殆ど見えなかったぜ・・・。」 「あの二人は強いなんてもんじゃねえ。化物だぜ。俺達が捉えようってのが土台無理な話なのさ。」 彼らの今宵の肴【さかな】、それは今年の格闘大会に旋風を巻き起こした女性二人組の話題だった。 始めは二人の眼に...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#10/パートB
    (・・・どうやら彼、身のこなし以外は大したことなさそうですわ。これなら、油断しなければ十分勝てますわね。) アスは意図的に隙を作ってある連撃で揺さぶりをかけ、目の前の小男の実力を量りつつ相手の出方を見ていた。 ガルンと呼ばれた小男は、少し狂気染みた笑顔のまま終始無言でアスの攻撃を避ける。 そして、時折小さく奇声のような掛け声を発しては反撃を行ってきた。 見た目こそ手数が多く強烈な印象のある連撃ではあるが、間に混ざる数発の本命打以外は我武者羅に放っているだけの見掛け倒しである。 恐らく彼は不用意に仲間に近づかれないよう、相手を自分に釘付けにするのが役割なのだろう。 反撃の仕方や後ろに控えている仲間、バランとの立ち位置も含めアスは彼の役割をそう推測した。 (でも、相方には不気味なぐらいに動きがありませんわね・・・。) アスはバランを一瞥する。 ガルンが執拗【しつよう】に陽動を仕掛け、彼に...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#13/パートA
    (・・・やっぱなぁ。) 窓から外を眺めていたタクトは、眼下の道にラスの姿を見つけ短い溜め息をついた。 (まったく、分かりやすいというか、なんというか・・・。) 辺りを見回して行き先を考えている彼を脇目に、タクトは荷物置き場へと向かう。 (ネスのことだもんな。どーせ、帰ってきて早々『ハラ減ったぁー・・・っ! メシぃーっ・・・!』って騒ぐんだろーな。) タクトはネスとラスが帰ってきた時のことを考え、荷物置き場から保存食を取り出しておくことにした。 (んでもって、ラスが『傷の手当ての方が先ですよっ!』とかなんとか言うに違いねぇーな・・・。) タクトはついでに治療道具も取り出し、其々がすぐに利用できるよう準備しておくことにした。 「・・・って、俺・・・なんか・・・”いらない子”、扱い・・・?」 タクトの呟きは、誰も居ない家の中を虚しく木霊するだけだった。 ~~~~ ラスはタク...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#12/パートE
    「・・・まだ、生きていたなんて相変わらずのしぶとさね、化物人間。」 「まぁなっ。」 薄暗い車庫で向かい合った二人は笑顔を見せる。 しかし、その笑顔はとても冷たく、殺気だっていた。 「コシヤの輝石密輸中継地の捜索及び撃滅と、ゲル・ドランの無許可傭兵施設の捜索及び撃滅だけでは足りなかったみたいね。」 「そーいうことになるな。」 「ついでに道中にあるダイア・スロンのアジトを潰して来てくれるなんて、助かったわ。」 ネスは車庫の壁に寄りかかって腕を組む。 そして、一度溜め息をついてから口を開いた。 「・・・それを見越しての報酬だったクセによく言うぜ。」 「あら、気付いてたのね。」 「たりめーだ。流石のマッチでも、ライトカーゴと旅支度一式を一夜で都合できるワケねーよ。」 「それだけで気付いたなんて凄いわねぇ、感心するわ。」 ハルの上辺【うわべ】だけの賞賛に、ネスは苛立ちを込めた視線を浴びせる...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#12/パートD
    「・・・と、まぁ、こんな感じでした。」 「ほぉー・・・。」 タクトはラスの話にゆっくり頷きながら相槌を打った。 「で、今に至るワケか。」 「そうです。」 「ふーん・・・。」 (本音の所は、まぁ、アレだろうけどな・・・。可哀想だからあえてスルーしてやるか。) タクトは腕を組んで、心の中で一度大きく頷いてから口を開く。 「にしても、あの回復力はその頃には既にあったんだな・・・。」 「はい。初めて見た時は流石に驚きましたよ・・・。」 「だろうな。アレを見て、驚かない方がおかしいと思うぜ。」 「なにを見て驚くんだ?」 「なにって、あの回復力・・・ってネスッ!?」 何時の間にか間に入り込んでいたネスの存在に、タクトは驚愕のあまり思わず飛び退いた。 「なんだ、ラスは驚かないのか。」 「ええ、貴女がそろそろ割り込んでくるような予感がしていましたので。」 「ちぇっ、つまんねーの・・・。」 「僕...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#13/パートH
    真っ赤な陽が地平線の彼方へと姿を消し、真っ白な月が姿を現し始めた頃である。 ”都”の北側にある出入り口付近で、ある男が治安部隊を集め挨拶を交わしていた。 黒い長髪に丸眼鏡をかけたその男は、出で立ちこそは治安部隊所属のリンカーではあるが、何処か周りとは違う雰囲気を醸し出していた。 彼が隊員達と挨拶を交わしていると、後ろから隊員の一人が走り寄って、彼になにかを耳打ちした。 「・・・時間通りか。・・・流石、ハイン隊長。」 彼は腕を組み、小さく頷いた。 「・・・作戦通り、適度に交戦して道を開けろ。・・・あくまで、’強行突破された’ようにな。」 男の言葉に周りに居た隊員達は一斉に頷くと、其々の持ち場へと素早く散って行った。 男はその中の一人を呼びとめ、口を開いた。 「頃合を見計らい、街道警戒を担当している部隊に緊急の巡回計画変更を伝えるんだ。」 「・・・副隊長の独自判断による物ということで...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#12/パートB
    「・・・お客、来ないですね。」 日没前、閉店時間も間近に迫った頃、一人きりの店内でラスは呟いた。 元々客の入りは悪いが、今日は雨のせいか余計に悪い。 ラスは街道に面したガラスを拭きながら、恨めしげに灰色の空を見上げた。 「・・・まぁ、かと言って沢山来られても、僕一人では捌ききれないのですが。」 ラスは失笑しながら、何気なく街道の方へと視線を流してみた。 その時である。 「・・・?」 ラスは街道を挟んだ向かい側の路地に、黒い塊のような物を見かけた気がした。 (・・・あれは?) 驚いたラスは一度外した視線を再び合わせ、その正体を探る。 ラスの見かけた黒い塊の正体は、真黒に汚れた人間であった。 服装の辛うじて原型を止めている部分から、ラスはそれが女性であると推測した。 彼女は千鳥足で此方へ向かってきている。 (彼女、今にも倒れそうですね。とりあえず、声を掛けた方が良いかもしれませ...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#13/パートG
    ネスは面倒臭そうな表情で問い掛ける。 ハルは小さく溜め息をつくと、これから説明しようとしたと言わんばかりに、淡々と答える。 「・・・治安部隊が駐留する全集落での無断外出禁止、及び主要な街道の交通規制が始まるのよ。」 「ふーん・・・。」 「それに併せて、治安部隊の緊急増員と戦闘用装備の緊急配備も行われているわ。」 「・・・私らにそれに入れと?」 ネスの気だるそうな問い掛けにハルは首を横に振った。 「・・・二人には、もっと別の仕事を頼みたいのよ。」 「別の仕事・・・ってどういうことですの?」 「そうね、一言でいうならば特殊遊撃隊って感じの仕事かしら。私の指示する戦場で、私の出す指令をこなして欲しいのよ。」 「それは別に構いませんが・・・。今から行くんですの?」 アスの問い掛けにハルはゆっくりと頷く。 「そうよ。勿論、現場までの移動手段や諸経費は、私が全て手配するわ。だから、貴女達は・...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#12/パートA
    ゲル・ドランを発ってから2日余りが過ぎた頃、一行は”都”近くにまで到達していた。 この辺りは協会の勢力が強力であるため、追手達は迂闊【うかつ】に手を出すことができないだろう。 ラスはそう考え、時折遭遇する治安部隊に一応の警戒をしつつ、大きな街道を直進していた。 「・・・しかし、ホント。アンタの回復力には驚かされるぜ。」 「まぁな♪ あんぐらい、少し寝てりゃぁ治るぜ♪」 最後部座席に座っていたタクトは、右隣のネスに話しかけた。 ラス曰く『息があるのが奇跡』の痛手を、ネスは殆ど自力で回復していた。 そして今や、道中に入手した包帯をアスと引き分けた時の傷跡に巻いている程度であった。 ネスは笑顔を見せて答える。 「寝てれば治るなんて、羨ましいくらいに単純なつくりですわね。」 タクトの左隣に居たアスが、相変わらずの棘のある言葉で割り込んだ。 「ふふふっ、羨ましいだろー? マネすんじゃねーぞ...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#13/パートF
    車庫に降りるなり、アスは近くの壁に手を突いて項垂れた。 そして、溜め息混じりに呟いた。 「・・・なにを、しているんですの。私は・・・。」 アスはゆっくりと額を壁に押し付ける。 (彼女・・・。誤魔化そうとしてましたわ・・・。) 彼女が共倒れの危険を冒した理由を誤魔化していることを、あの時既にアスは感付いていた。 アスは今まで知り得た情報から、彼女が滅多なことでは目的遂行を断念し、それに加えて危険を冒す人物ではないと思っていた。 そして今回の場合、アスの見立てでは彼女が目的遂行を断念してまで、共倒れの危険がある選択をする理由は特に見当たらなかった。 そんな選択をする理由があるとすれば、それは相棒である彼を助ける機会を窺うためであるからだ。 彼女の弁を採るのであれば、彼女にとって彼はそんなことをするほど、大切な存在ではない。 従って、彼女に目的遂行を断念する理由はないはずである。 しかし...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#13/パートE
    ネスの瞳にラスの姿が映る。 その姿は悔しさを噛み殺すように唇を締め、伏し目がちに俯いた物であった。 ネスは態と周りに聞えるように溜め息をつき口を開く。 「・・・私は、ちょっとアソびに行くだけだと言ったはずだ。違うか?」 ラスは俯き唇を締めたまま、なにも口にしようとしなかった。 ネスはそれに構うことなく淡々と問い掛ける。 「なのに何故、後をつけるような真似をした。挙句、足を引っ張りやがって、それでも相棒かよ。」 その様子を今まで腕を組んで静観していたタクトが口を挟む。 「おいおい、流石にソレは言いすぎだろ、ネス。」 ネスに冷たい視線を向けられタクトは思わずたじろぐが、大きく深呼吸をして口を開く。 「大筋のことしか聞いてねーけどさ、ラスはラスなりに精一杯やってたんじゃねーの?」 タクトは鼻先を軽く掻き、苦笑いを浮かべながら言葉を続ける。 「・・・それによ、ラスの心配性は今に始...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#10/パートC
    「――――『もう』、なんだ?」 今までにない森閑【しんかん】に包まれていた会場内に突如、怒声が響き渡る。 「『もう』、無理なのか?『もう』、戦えないのか?『もう』、堕ちるのか?」 声の主は舞台上で倒れている者へ向けて怒鳴る。 「アンタは『もう』!負けるのか!!」 (・・・・・・!?) 「アンタは『もう』!倒れていいと思ってるのか!!負けていいと思ってるのか!!」 (負け・・・・・・る・・・・・・わたくし・・・が・・・?) 「それでも、お前は私の相方か!!」 (ネ・・・ス・・・。) ネスは一旦言葉を切って大きく息を吸う。 そして、一段と大きな声で叫んだ。 「断言してやる!!お前は『まだ』!!戦える!!応えろっ!!アメリア=L=リリスゥゥッ!!」 ネスは自身に集まる驚愕の視線を気にすることなく力強くアスを見据えた。 (・・・『まだ・・・たたかえる・・・』そうだ・・・わたくしは・...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#13/パートD
    オルグはネスに飛び掛り、振り上げた剣を振り下ろそうとした。 その瞬間、ネスは口元に笑みを浮かべ、右手で剣の柄を握る。 そして掛け声と供に思い切り右方向へと剣を引っ張った。 鞘を固定していたベルトが勢いよく千切れ飛び、鞘が抜け落ちる。 しかし、ネスはそれに構うことなくオルグの剣を受けるように振った。 「――ちぃっ!!」 オルグは振り下ろしていた剣を寸での所で止めて飛び退く。 ネスの振った剣は、オルグの剣を普段と変わらぬ威力で斬り落とし、直前までオルグが居た空間を薙いでいた。 「何故・・・っ!?」 オルグの疑問はネスの飛び蹴りによって強制的に中断された。 オルグは仰向けに地面へと叩きつけられる。 「くっ・・・やってくれた・・・なっ・・・!!」 慌てて起き上がろうとした所に、ネスに切先を向けられ動きを止めた。 ネスは肩で息をしながら、勝ち誇った笑顔でオルグを見下して口を開く。 「ふ...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#13/パートB
    「――っしゃぁっ! ハデに暴れてやろうぜぇっ!!」 国立資料館の入口が遠くに見える大きな通りの真ん中で、頭に赤いバンダナを巻いている男が声高に叫んだ。 周りに居た男達がその声に応えハンドボムを周りの施設に打ち込む。 結果、次々と施設は倒壊し、至る所で火の手があがりだした。 「ハハハッ! 後は国立資料館をぶっ飛ばすだけだなっ! 治安部隊の連中は今頃この付近に居ねぇはずだし、楽勝だぜっ!」 赤いバンダナを巻いた男が国立資料館の方を向き、周りの男達と高笑いをしていた時である。 「――あれ? その前に、中央資料室から資料を持ち出さねぇといけねぇんじゃなかったけ?」 突然背後から聞えてきた女性の声に促され、男は今回の仕事内容について思い返してみた。 そして、仕事内容に資料の持ち出しがあったことを思い出して手を打った。 「おっと、いけねぇ、忘れてた! ったく、面倒なことを頼まれちまったぜっ...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#12/パートF
    タクトと別れたラスは一人、嘗ては自室だった部屋に入る。 出て行った頃と何一つ変わっていない光景に、ラスは少しだけ驚いた。 (義姉さん・・・。毎日忙しいはずなのに、ちゃんと手入れしておいてくれていたんですね・・・。) いつ、帰ってくるか分からない義理の弟の部屋をたった一人で、日々の激務の合間を縫って汚れ一つない状態に保つのは容易ではない。 ラスはハルの好意に、ありがたさと後ろめたさを感じずには居られなかった。 「ごめんなさい、義姉さん・・・。僕は、貴女から受けた恩を仇で返す、悪い義弟です・・・。」 ラスはぽつりと呟いた。 「両親に虐げられ棄てられた僕を拾って、此処まで立派に育ててくれたのは・・・貴女です・・・。」 ラスは背凭れ【せもたれ】のついた椅子に腰掛け、机に項垂れる。 机の上にはこの部屋に居た頃に読んでいた本が、名前順に奇麗に立てかけてあった。 「貴女は、僕がやりたいこと...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#12/パートC
    ラスが彼女を捜し回っている頃、集落の外れにある荒地に彼女は居た。 道中でひったくった前開きの服と布を身に着け、左手に剣を携え佇んでいた。 その彼女を囲うように男が3人。 (最後、前に2人・・・後ろに1人・・・。得物はナイフ、出で立ちからしてアサシンか・・・。) 彼女は彼らを一瞥する。 彼らは右手にナイフを持ち、攻撃の機会を窺っていた。 彼女は剣を握る手に力を入れる。 (――来たっ!) 「うおおおーっ!!」 前方の二人がなにやら目で合図をしてから、片方が雄叫びをあげて彼女へと突進した。 彼女は剣を構え、男の突進に合わせて懐を目掛けて飛び出す。 男が彼女の姿を目前に捉え、得物を振るうよりも早く、彼女の剣が男の腹を水平に薙【な】いだ。 彼女は倒れていく男の脇をそのまま通り過ぎながら、剣を振り切った時である。 (ちっ!! ホッピングスラスターかっ! 捨て身で囮たぁ、やってくれるっ!) ...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#13/パートC
    ネスはラスの言葉に笑顔で応えると、すぐに表情を不敵な笑みに変えてオルグを見据える。 「つーワケだ。どうとでもしてくれ。こうでもしなきゃ女ファイター一人、好きにできねぇアサシンさんよぉ・・・。」 ネスの言葉でオルグの眉が僅かに動く。 その直後、オルグは小さく咳払いをして余裕の表情を浮かべながら口を開いた。 「ふっ・・・それならば、まずは私の同志を通して貰おうか。」 (相棒君を出しに、アレの戦闘能力を試してみようと思っていたが・・・今ので気が変わった。) ネスはゆっくりと通りの真ん中を退くと、通りに面している施設の壁を背に立った。 オルグの傍らに居た男はその様子を見て小さく頷く。 そして、駆け足でネスの前を通り過ぎ、国立資料館へと向かった。 その様子を見送ったネスは壁を背にしたまま、オルグを見据えて問い掛ける。 「・・・でっ。お次は?」 オルグは首を捻り、態とらしく唸り悩む素振りを...
  • 誓いの輝石~Avenge~
    なんとなくタイトルロゴを自作してみました。 こんなイメージでシンプル&クールなタイトルロゴ募集中! はじめに メインキャラクター サブキャラクター 用語集 誓いの輝石~Avenge~本編一覧 第1話「輝石に契り奉げて」 第2話「ここは異世界」 第3話「その女、化物につき」 第4話「輝石人間」 第5話「此処で生きるために~化物人間と対狩人~」 第6話「迷い子」 第7話「機械仕掛けの獣」 第8話「その痕が詠う記憶の調べ」 第9話「格闘の祭典」 第10話「その女、銃狂につき」 第11話「双対悪魔」 第12話「追想の都で」 第13話「炎上の都で」 オマケ 次回予告集その1 次回予告集その2 次回予告集その3 テーマソング(仮)「Still」  原曲 DoLL - T...
  • 誓いの輝石~Avenge~/メインキャラクター/アス
    キャラクター名 アメリア=L【ラーク】=リリス(アス) イメージソング「DOG FIGHT」(m.o.v.e) イメージCV:川村万梨阿 クローク中に着てる服のイメージ 、 靴のイメージ キャラクターイメージサンプル キャラクターなんとか機にて作成しました。 ↑クロークデザイン、髪型、目付きはコレで確定。 キャラクター説明 蒼いショートヘアと蒼い瞳が特徴の”ジ・パンド”の女性。身長160cm程度、恐らく23歳。利き腕は左。 職業は”ブーストガンナー”で、二つ名は”疾風銃狂(ゲイルトリガーハッピー)”。 気品に溢れた立ち振る舞いや服装等からとある名家のお嬢様と思われる事が多い。 しかし実はかなりの毒舌家で負けず嫌い、思ったことは割とはっきりと言う。ただし、意外にも恋愛事には晩熟。 厄介事に首を突っ込んで引っ掻き回すのが大好きな、ネスに負けず...
  • 誓いの輝石~Avenge~/#05
    第5話「此処で生きるために~化物人間(ネス)と対狩人(クマ)~」 パートA パートB 補足事項 対狩人(カウンターハンター)(クマ) 成獣は身長2メートルを余裕で超える、現実世界で言うところのツキノワグマのような姿の獣。 深い森の奥に棲み、主に植物や果物を食べるが雑食のため肉も食べる場合がある。 その肉は最高級食材の1つ、その毛皮は最高級毛皮の1つとされる。 そのため乱獲され数が激減、今は”リンカー協会”の保護指定を受けている。 縄張りや自身の生存を脅かす相手に対しては、その巨体に似合わない素早い身のこなしで勇猛果敢に攻撃を仕掛ける。 しかし、敵意のない相手に対してはやたらに襲い掛かることはない。 ただし、幼獣を連れている雌は近付く相手を無条件で排除しようとしてくる。 ハンティングガン 現実世界でいう所の小銃、自動小銃、一部の散弾銃。 イメージモデルはレミ...
  • 誓いの輝石~Avenge~/次回予告集その2:第7話~第12話
    誓いの輝石~Avenge~ 次回予告集その2(第7話~第12話) 第7話「機械仕掛けの獣(オートマトン)」 例によって例の如く。旅に必要な物資、主に食料が底をついた俺達は小さな集落へと向かった。 そこに待っていたのは、不敵に嗤う彼女の怨敵と見慣れぬ鉄の塊だった・・。 次回、「機械仕掛けの獣」。って、ネス! 無謀だ! 第8話「その痕(きずあと)が詠う記憶の調べ」 10年前、私はあの人に出会った。何もかもを失い絶望の淵に立たされていた私を彼は救ってくれた。 彼との日々は幸せだった。こんな日々がずっと続けばいい。そう思っていた時だった。 あの男が現れ、私から全てを奪っていった。あの時の憎たらしい笑みは、今でも忘れられない。 次回、「その痕が詠う記憶の調べ」。そう、あの日から私は・・・! 第9話「格闘の祭典」 都も近づいてきた頃、俺達は『闘神の国』ゲル・ドランに立ち寄った。 そこでは毎年...
  • 妄想の断片/貴方のキャラに100の質問(イスラ編)
    ▽貴方のキャラに100の質問▽ Chapter 1自己紹介 Q1『こんにちわー』 ・・・フンッ。 Q2 名前をどうぞ。 イスラ=T=カイン。 Q3 あなたの登場する作品名を教えてください。 「ウエストパンクへようこそ。」。 Q4 ところで今日って何日でしたっけ? いつだって構わないだろ。 Q5 あなたの言葉で作品の概要を話してください。 知らん。 Q6 作品内での貴方のポジションは? 主人公、らしいな。 Q7 作品内の待遇には満足していますか? 興味ないな。 Q8 性別・年齢・血液型は? ・・・女だ。 それ以外は知らん。 Q9 身長・体重・スリーサイズは? 多分、身長170cmぐらいだ。 後は知らん。 Q10 あなたの外見をあなたの言葉で説明してください。 ・・・月よりも奇麗な銀色の髪の女と言われている。 Q11 自分のチャームポイントはどこだと思いますか? ・・・...
  • 妄想の断片/貴方のキャラに100の質問(アリン編)
    ▽貴方のキャラに100の質問▽ Chapter 1自己紹介 Q1『こんにちわー』 やぁ。 Q2 名前をどうぞ。 えっと、アリン。 アリン=T=カラットだよ。 Q3 あなたの登場する作品名を教えてください。 「ウエストパンクへようこそ。」。(・・・だったはず!) Q4 ところで今日って何日でしたっけ? ん? ・・・前の満月から2日ぐらい経ってたような。 Q5 あなたの言葉で作品の概要を話してください。 ウエストパンクっていう色んな生き物が歩いてる星で、あたしがカレらと歩く作品だよ。 Q6 作品内での貴方のポジションは? 主人公みたいだよ。 Q7 作品内の待遇には満足していますか? かなりアホのコっぽく書かれてるけど、あたしゃあんなにアホのコじゃないぞっ。 失礼しちゃうなーもぅ。 Q8 性別・年齢・血液型は? ・・・そういえば、あたし、何歳だったっけ? Q9 身長・体重・スリ...
  • 妄想の断片/貴方のキャラに100の質問(ウィン編)
    ▽貴方のキャラに100の質問▽ Chapter 1自己紹介 Q1『こんにちわー』 こんにちは、ご機嫌うるわしゅう。 Q2 名前をどうぞ。 ウィン=T=ラメントと申します。 Q3 あなたの登場する作品名を教えてください。 「ウエストパンクへようこそ。」という作品でございます。 Q4 ところで今日って何日でしたっけ? さぁて、何日でしたかしら? Q5 あなたの言葉で作品の概要を話してください。 荒廃した惑星で強く美しく生きる者のお話、ということにしておきますわ。 Q6 作品内での貴方のポジションは? 恐れながら、主役をやらせていただいております。 Q7 作品内の待遇には満足していますか? つか、出番まだかよっ?(ボソッ ・・・ま、満足しておりますわっ。 Q8 性別・年齢・血液型は? 18歳の乙女、でございますわ。 Q9 身長・体重・スリーサイズは? 身長160ぐらいでしたか...
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