実数 a, b, c に対して、
を
2次形式と呼ぼう。
右辺を2つ書いたが、意味は同じ。

は実対称行列であることに注意。
定義 2.19 (正値とは)
2次形式 f(x, y) が正値であるとは、
(x, y)≠0 ならば f(x, y)>0 となることと定める。
(例)
f(x, y)=x2+y2 は正値。
f(x, y)=xy は正値でない。
定義 2.20 (固有値、固有ベクトルとは)

に対して、ある実数 λ と
零でない実ベクトル

が存在して、

が成立しているとき、
λ を A の(実の)固有値、

を固有値 λ の固有ベクトルと呼ぶ。
命題 2.21 (固有値と特性方程式)
λ が

の固有値 ⇔ λ は

の実根
この det(A-λE)=0 を特性方程式という (ただし E は2次の単位行列)
Proof.
「→」

より、
もし(A-λE)が正則なら(A-λE)
-1を左からかけることにより

となって仮定に反する。
よって(A-λE)は正則でない。すなわちdet(A-λE)=0
「←」
det(A-λE)=0 のとき、det(A-λE)を計算した上の式を見れば分かる通り、

はどちらも

をみたす。
ただし、この(x y)が両方とも零ベクトルになるようなら(x y)=(1 1)などがこの式を満たす。
よって、

を満たし零ベクトルでない(x y)が存在する。 ∥
命題 2.22
実対称行列

の特性方程式の解は2つとも実数。
Proof.
ルートの中身は
よってλは実数。 ∥
一般の n に対しても、n 次の実対称行列の固有値はすべて実数。らしい。

に対して、
内積を

と定める。

とも書ける。
補題 2.23
実対称行列

に対して、

が成立する。
Proof.
もちろん成分を計算すれば示せるが、もっと楽にやりたいと思う。
と行列の転置を使って書ける。
tA=A に注意すれば、
よって、
∥
命題 2.24
Aを2次実対称行列とする。このとき、
A の固有値

の固有ベクトル

で、

の正規直交基底となるものが存在する。
つまり、

をみたす。
Proof.
省略。
命題 2.25
次は同値。
(1)

は正値。
(2)

の固有値 λ
1, λ
2 がともに正。
(3) a>0 かつ
Proof.
省略。
最終更新:2013年08月31日 19:53