正の項 a
n>0 からなる級数

を
正項級数と呼ぼう。
0<r<1 に対して、

より、
級数

は

に収束する。
このことをひたすら応用してゆく。
(1) 収束するものより小さければ収束。
(2) 収束するものより増え方が弱ければ収束。
命題 1.17

,

を正項級数、

は収束するものとする。
このとき、次が成立。
(1) すべての n について

ならば

も収束。
(2) すべての n について

ならば

も収束。
Proof.
省略
命題 1.18 (コーシーの判定法)
0<r<1 なる実数 r が存在して、
ある n
0 以上のすべての整数 n について
![\sqrt[n]{a_n} \le r](http://chart.apis.google.com/chart?cht=tx&chf=bg,s,ffffff00&chco=000000ff&chs=25&chl=%5Csqrt%5Bn%5D%7Ba_n%7D%20%5Cle%20r)
が成立すれば

は収束。
(注意)
1 より小さい r を固定して、
![\sqrt[n]{a_n} \le r](http://chart.apis.google.com/chart?cht=tx&chf=bg,s,ffffff00&chco=000000ff&chs=25&chl=%5Csqrt%5Bn%5D%7Ba_n%7D%20%5Cle%20r)
となるのが条件。
したがって、
![\sqrt[n]{a_n}](http://chart.apis.google.com/chart?cht=tx&chf=bg,s,ffffff00&chco=000000ff&chs=25&chl=%5Csqrt%5Bn%5D%7Ba_n%7D)
が 1 にどこまでも近づくときは使えない。
Proof.
条件より、n≧n
0 で a
n≦r
n
よって 命題 1.17 (1) より n
0 以降の級数は収束。
n
0 までは有限個しか項がないので、級数

は収束。 ∥
命題 1.19 (ダランベールの判定法)
0<r<1 なる実数 r が存在して、
ある n
0 以上のすべての整数 n について

が成立すれば

は収束。
Proof.
c
n=r
n とおくと、
条件より、n≧n
0 で
よって 命題 1.17 (2) より n
0 以降の級数は収束。
ゆえに級数

は収束。 ∥
命題 1.20 (ラーベの判定法)

なる実数 r が存在して、
ある n
0 以上のすべての整数 n について

が成立すれば

は収束。
Proof.
条件より、n≧n
0 では
m を n
0 以上の整数とし、
両辺 n = n
0, n
0+1, ... , m について足し合わせると、
r+1 が負であることに注意すれば、
n
0 から始まる級数の m までの部分和は単調増大かつ有界なので、この級数は収束する。
ゆえに級数

も収束。 ∥
(例)
演習のプリントを参照。
項の正負が交互に入れ替わる無限級数を交代級数という。
命題 1.21
各項の絶対値が単調減少し零に収束する交代級数は収束する。
Proof.
区間縮小法により容易に示せる。 ∥
最終更新:2013年09月01日 11:27