第2話「雨あがりの決意」 - 20XX @ ウィキ

朝の光が湖面に反射してきらめく。
その景色の中で、甘衣かるあは生まれて初めてスワンボートに乗った。
カフェのテラスから見える穏やかな水面。
風を切るように漕ぎながら、かるあは少しだけ街に馴染んだ気がした。

狩人の教え

午後、かるあはガンライセンスを取得。
だよさんという優しい先輩に誘われ、
初めてのハンティングに挑戦した。
照準を合わせる指先はまだ震えていたけれど、
だよさん【黒羽 だよ】のアドバイスで少しずつ慣れていく。

「焦らなくていいよ、狙うより感じろ」

その言葉が、かるあの胸に静かに残った。

木こりの午後

ハンティングのあと、かるあはひとりで木こり作業へ。
森の中に響く斧の音と、落ちる葉の香り。
何気ない作業の中で、ふと心が澄んでいく。
そのとき――
「やっぱり、医者になりたい」
そう強く思った。

闇に揺れる想い

だが同時に、もう一つの道も頭をよぎる。
街の片隅で噂に聞く闇医者という存在。
正規のEMSとは違うが、誰かを救う手段ではある。
“正しさ”とは何か。
“助ける”とはどういうことか。
小さな体の中で、かるあの心は静かに揺れていた。

雨のあとに

夜、雨上がりの街。
タバコ屋に戻ると、２号店のフロアが冷えきっていた。
かるあはタオルで床を拭き、
DJブースのターンテーブルを点けて暖かく整える。
その姿を、雨の残り香がやさしく包んだ。

「今日も、ちゃんと頑張れたかな」

窓の外では、水たまりに灯りが揺れる。
それはまるで、彼女の未来を映す鏡のようだった。