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かなりやばい資料見つけました - (2012/11/13 (火) 23:50:49) の1つ前との変更点

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* かなりやばい資料見つけました  ◆m8iVFhkTec ---- レストランには依然として、香ばしい匂いが漂っていた 皿洗いを済ませたマウンテンバイクは席について一息をつく ふと窓の外に目をやると、ラーメン屋二郎の看板が目に入った …そういえば、まだこの辺りの地理を把握していなかったなぁ 確か支給品に地図があったはずだ、少し周囲を確認してみるか… 紙の地図を取り出して「レストラン」の文字を探してみるが…見当たらない 百貨店や工場など、大規模なもの以外はほとんど明記されていないようだ 「川越さん、ちょっとこの辺りを探索しませんか? 周辺の状況を知っておいた方が、いざという時のためになりますし…」 「まぁ、それもそうだね。それじゃ、少し待ってて」 ちょうど食物の後始末を済ませた川越は、自分のデイバックから紙とペンを取り出した そうして、紙にさらさらと何かを書くと、それを店の前に張り付けておいたのだった 「これなら僕がいないときに人が来ても、ここで待っててもらえるはずさ」 『ただ今、シェフは場を離れております   料理をお求めの参加者の方は、どうぞお席についてお待ちください                        TATSUYA KAWAGOE』 と書かれていた 「…これは危険ではありませんか?僕達がここに戻る事を悟られて、待ち伏せされて襲撃されるかもしれませんよ?」 「はは、大丈夫さ。君をそうそう危険な目に合わせたりしないからさ」 僕が不安そうに尋ねると、川越さんは包丁を手の中でくるりと一回転させた やたら楽天的だけど、それだけ自信があるのかなぁ? それとも何か策を用意してるのか… 多少不安は残るけど、ここは川越さんを信用することにした そうして僕達はレストランを後にする この辺りの地域は下町の商店街といった感じだった 先ほどは恐怖と不安のせいか不気味としかいなかったが、落ち着いて眺めてみるとノスタルジックな感じだった ラーメン屋以外には文房具店や電気屋、パチンコ店、そして小規模なスーパーなどが並んでいる 店内の明かりは全て点いておらず、街灯だけが路地を照らしていた ただ、どの店も寂れており、例え電気が点いていても活気が無さそうな、そんな町並みだ でも僕は、個人的にこういう哀愁が漂った雰囲気は結構好きだ 確かにデパート一つあれば全て事足りるけど、こんな風にどこか懐かしさを感じる場所は他には無いだろう こういう旧市街の景色というのは、ずっと残しておくべきだと思う そんなことを考えながら数分ほど歩いていた ふと、街角に建てられたこじんまりとした図書館が目に留まった 大抵の図書館には、その地域に関する資料が纏められている事が多い もしかすると、バトルロワイヤルの会場であるこの街についての情報が得られるかもしれない それは上手くいけば殺し合いからの脱出する方法を見つけることにも繋がるはずだ 川越さんにその意を伝えて、僕たちは図書館を調べることにした ・∀・A・∀・A・∀・A・∀・A・∀・A・∀・A・ 館内の明かりは点いておらず、真っ暗で何も見えない ランタンを取り出して、おぼろ気な光を頼りに奥へと入っていった 地域に関する事柄は、『郷土史』の棚に纏められている…はずだが… 棚の様子を見てバイクはがっかりした そこに置かれているのは漫画本の束であった 『黒騎士物語』『ジョジョの奇妙な冒険』『デスノート』『ロケットでつきぬけろ!』 どれも名作揃いだが、残念ながらこの場所についてのヒントは得られそうにない 「参加者に余計な詮索をされないように、主催者が全てすり替えたのかな…」 「川越さんもそう思いますか?…ということは、ここには資料が無いんでしょうかね…」 と、僕がため息混じりに呟いた時だった 「資料ならここにある」 突然第三者の声が館内に響き、司書室の方から眼鏡をかけた凛々しい男が姿を現した 「君たちの様子は隠れて伺わせてもらったが、どうやらこの殺し合いについて調べに来たのだろう?」 「そうなんですけれども…あなたは?」 「申し遅れた。私は週刊少年マガジン編集部兼MMRのメンバー、キバヤシと言う者です。もちろん殺し合いには乗っていない」 「僕は…本名を思い出せないのですが、マウンテンバイクと呼んでください。僕も殺し合い反対です」 「僕は料理をやらせていただいてます、川越達也と申します。この殺し合いを、僕の料理で止めて見せるつもりです」 「へぇ、料理で殺し合いを止める、と…」 「そうです。後でレストランに来てください。あなたにも美味しい料理を振る舞いますよ」 川越さんは独特な笑みを浮かべてそう言った だが、キバヤシさんは首を横に振り、一言「いえ、俺は結構です」と答えた 川越さんの顔からスゥッと一瞬で笑顔が引いた 「何故です? きっとあなたのお口に合うものを作れると思いますが…」 「いいえ、味の話ではありません。この状況に置いて他人の作った料理を軽々しく口にするのが危険だと思ってるからですよ」 「…なんですか? 僕が料理に毒でも入れると思ってるんですか?」 「あぁ、申し訳ないが、その可能性も疑うほど慎重に行くのが俺のスタンスなものでね…」 「ふーん………あぁそう」 二人の間に険悪な空気が流れる キバヤシさんの言い分はもっともだろう この状況において、よほどの信用の足りない相手に対し慎重になるのは正解と言える だが、彼の言葉は川越さんのプライドに傷を付けるようなものだった このままでは仲違いしてしまうかもしれない 僕は話を逸らそうと、キバヤシさんに問いかけた 「…さ、さっき言っていた、資料について詳しく聞かせてくれませんか?」 「ん? おっと、そうだった…」 キバヤシさんは睨みを効かせている川越さんを気にも止めず、デイバックから真新しいクリアファイルを取り出した 『鮫島事件』と書かれた紙が何枚か入っている 「これは司書室で見つけた資料だ。君は『鮫島事件』について知っているか?」 「一応、2ちゃんねるで有名なネタですからね…。存在しない事件を、みんなしてタブーのように話して、初見の人を釣るって感じの…」 「あぁ、一般的にはそういう認知だろう。だが、その事件の内容についての諸説はおそらく知らないな?」 「いいえ…、内容に触れようとすると『おっと、誰か来たようだ』ですからね…」 「実は、この資料にその諸説が詳しく書かれているんだ。読んでみて欲しい」 まさか鮫島事件に内容が存在しているとは思わなかった それほど信用があるとは思えないが興味はある そうして、僕はキバヤシさんから紙を受け取り、開いてみた #aa(){{{ ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『鮫島事件』 2000年(平成12年)11月、5人の青年たちが鹿児島県沖鮫島において死亡しているのが発見された事件である 彼らは2000年5月、インターネット掲示板「2ちゃんねる」において知り合い、共に鮫島へ遊びに来ていた だが、ある時5人とも忽然と行方を晦まし、不審に思った家族の方によって通報された すぐさま鮫島周辺を調査するも、結局彼ら5人の姿はどこにも発見できなかったという それから半年が経過した2000年11月、ついに5人のうち4人の白骨死体が発見されたのである 死因は不明。そして最後の一人(公安関係者の身内)の死体だけは見つからなかった しかし、4人の遺骨がそれぞれの遺族のもとに届けられた翌日、2ちゃんねるにおいてある書き込みがなされた 『俺は今、鮫島にいる』 おそらく最後の一人による書き込みだと思われていたが、当時2ちゃんねるには投稿者のIPを記録するシステムが 実装されておらず、本人による書き込みかどうかを判断することができなかった そしてそれから数日後、改めて鮫島を調査したところ、新たな遺体が発見された 死体の損傷は非常に激しく、動物により食い荒らされていたが、おそらく最後の一人だと思われる 司法解剖による調査によると、中には人間のものと思われる歯型や、頸部を圧迫したような痕跡が残されていたという ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― }}} 読み終わって、僕は一息をついた 妙にリアリティーのある書き方だが、なんと言うか、普通の猟奇事件とも思える あれだけ語ってはいけない流れがあるわりには、拍子抜けする内容だと思った 「この事件とバトルロワイヤルが何の関係があるんですか?」 川越さんはそう疑問の声をあげた。それについては僕も感じていた するとキバヤシさんは真に迫った表情で言う 「まだ気が付かないのか…!?似ているとは思わないのか?この殺し合いと…」 そう言って彼は語りだした 「鮫島事件とバトルロワイヤルの相似点を挙げていこう まず、どちらも『社会と断絶された空間』で起きている…もちろん、鮫島事件の方は彼ら自身で赴いているという違いがあるが… 次に『一人だけが生き残っている』。おそらく5人で殺し合い、最後に生き残った一人が書き込みをしたのだろう そして書き込みをしたことによって情報が漏れるのを恐れた誰かに殺された…そう考えられないか? そして『2ちゃんねるとの関係が深い』。このバトルロワイヤルの主催者は管理人ひろゆき…ここまで来れば偶然では片付けられない…! ―――俺の仮説が正しければ、おそろしい事実が浮かび上がることになる…!それは…」 #aa(){{{     ,ィィr--  ..__、j    ル! {       `ヽ,       ∧   N { l `    ,、   i _|\/ ∨ ∨   ゝヽ   _,,ィjjハ、   | \鮫島事件とは   `ニr‐tミ-rr‐tュ<≧rヘ   >バトルロワイヤルの      {___,リ ヽ二´ノ  }ソ ∠前段階として行われた     '、 `,-_-ュ  u /|   ∠ものだったんだよ!!!       ヽ`┴ ' //l\  |/\∧  / --─‐ァ'| `ニ--‐'´ /  |`ー ..__   `´     く__レ1;';';';>、  / __ |  ,=、 ___    「 ∧ 7;';';'| ヽ/ _,|‐、|」 |L..! {L..l ))    |  |::.V;';';';'| /.:.|トl`´.! l _,,,l | _,,|  , -,     ! |:.:.:l;;';';';'|/.:.:.:||=|=; | |   | | .l / 〃 ))     l |:.:.:.:l;';';'/.:.:.:.:| ! ヽ \!‐=:l/ `:lj  7     | |:.:.:.:.l;'/.:.:.:.:.:.! ヽ:::\::  ::::|  ::l / }}} 「「な、なんだってーーーー!!!!!」」 全く関係のないと思われていた事柄が、見事に一つに繋がってしまった もしもこの仮説が正しいものであるとすれば、国によって隠蔽されているのも頷ける こんな狂った殺し合いが国ぐるみで行われていることが世間の明るみに出たら大変なことになるだろう 鮫島事件で生き残って、2chで書き込みをした人は、おそらく口封じに殺された…そう考えられる つまり僕たちの現状は絶望的…最後まで生き残ることが出来ても、未来は残されていないかもしれない… 僕の頭の中は混乱状態だった。嫌な汗が頬を伝っていく キバヤシさんも絶望的な表情を浮かべていた その時、川越さんが冷静な声でキバヤシさんに言った 「それで、この会場から脱出する術は見つかってるんですか」 「…いや、まだ調査中だ…。だがもう何もかも遅すぎたんだ…俺たちは…」 「…そう…、それでは僕はレストランに戻って、新しく料理を作ってきます」 「何を言っているんだ!こうなったからにはわずか48時間以内に全参加者は死亡する…もう無駄なんだ!!」 「だったら、そうやって腐っていればいいですよ。あくまで仮説程度でそんなになるなら、動かない方がマシでしょうね  あなたが何と言おうと僕は止めませんよ。僕は決めたんです、料理で殺し合いを止めるって。  僕は僕に出来ることをするだけです。…バイク君、先に行ってるよ」 そう言って川越はデイバックを背負い、図書館から出て行った その言葉は辛口だったが、希望を捨てておらず、彼の熱い気持ちが込められていたものであった キバヤシは目が覚めたような表情を浮かべて立ち上がる 「俺は何を弱気になっていたんだろう…あきらめない!!それがオレたちに出来る唯一の闘い方なんだ!!」 マウンテンバイクも我に返った。あくまで仮説じゃないか…勢いに押されて真に受けてしまった この人、ナチュラルに他人の不安を煽ってしまうタイプなのかもしれない…もっと冷静になるべきだった 「君はバイク、と言ったな。俺はもっと調査(リサーチ)を続ける。君も手伝ってくれないか?」 「えっ、でもレストランで川越さんが待ってるんですが…」 「ならば一旦川越を追いかけて、こっちを手伝うと伝えてくればいい。この図書館には真相が隠されているはずだ!」 キバヤシさんは僕の肩に両手を置いて、そう言ってきた 川越さんの手伝って他の参加者に呼びかけをするべきか、キバヤシさんを手伝ってこの殺し合いの情報を探すべきか… どうしようか…僕は一体どちらを手伝うべきなんだろうか? ―――今、僕に出来ることは… 【D-3 図書館/一日目 深夜】 【マウンテンバイク@オカルト】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、不明支給品×1~3 [思考・状況] 基本:殺し合う気はない 1:どちらの手伝いをしよう? 2:鮫島事件との関係は…あくまで仮説だよね? 【キバヤシ@AA(MMR マガジンミステリー調査班)】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品1~3 [思考・状況] 基本:バトルロワイヤルの謎を解明する 1:調査再開だ!! 2:バイクにも手伝ってほしい 3:バトロワは鮫島事件と何か関係があるはず… 【D-3 商店街道中/一日目 深夜】 【川越達也@ニュー速VIP】 [状態]:健康 [装備]:包丁@現実 [道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=01】)、不明支給品×1~3 [思考・状況] 基本:僕の料理の力で、殺し合いを止める 1:レストランへ戻り、もっと料理を作る 2:キバヤシはあまり気に食わない ≪解説≫ 【鮫島事件】 2ch界最大のタブー。映画「2ちゃんねるの呪い」の題材にもなったので、多分バトロワで持ち上げたくらいでは消されない…と思う… 事件について尋ねると誰もが「それを言ったら消される…!」と口を揃えて言う 一般的にはそういうネタだと知られているが、実際に証拠が抹消されている可能性も否めない 「歴史の節目において情報操作は必ず行われているんだよ!!」byキバヤシ 概要についても諸説が多く存在し、「鮫島」という人物が殺されるものや、今回のように鮫島で起きた事件というものなど、内容は様々である |sm24:[[この愛を、世界に]]|[[時系列順>第一回放送までの本編SS]]|sm:[[]]| |sm24:[[この愛を、世界に]]|[[投下順>00~50]]|sm:[[]]| |sm08:[[川越シェフがバトルロワイアル中に料理をしている画像下さい]]|マウンテンバイク|sm:[[]]| |sm08:[[川越シェフがバトルロワイアル中に料理をしている画像下さい]]|川越達也|sm:[[]]| ||キバヤシ|sm:[[]]|
* かなりやばい資料見つけました  ◆m8iVFhkTec ---- レストランには依然として、香ばしい匂いが漂っていた 皿洗いを済ませたマウンテンバイクは席について一息をつく ふと窓の外に目をやると、ラーメン屋二郎の看板が目に入った …そういえば、まだこの辺りの地理を把握していなかったなぁ 確か支給品に地図があったはずだ、少し周囲を確認してみるか… 紙の地図を取り出して「レストラン」の文字を探してみるが…見当たらない 百貨店や工場など、大規模なもの以外はほとんど明記されていないようだ 「川越さん、ちょっとこの辺りを探索しませんか? 周辺の状況を知っておいた方が、いざという時のためになりますし…」 「まぁ、それもそうだね。それじゃ、少し待ってて」 ちょうど食物の後始末を済ませた川越は、自分のデイバックから紙とペンを取り出した そうして、紙にさらさらと何かを書くと、それを店の前に張り付けておいたのだった 「これなら僕がいないときに人が来ても、ここで待っててもらえるはずさ」 『ただ今、シェフは場を離れております   料理をお求めの参加者の方は、どうぞお席についてお待ちください                        TATSUYA KAWAGOE』 と書かれていた 「…これは危険ではありませんか?僕達がここに戻る事を悟られて、待ち伏せされて襲撃されるかもしれませんよ?」 「はは、大丈夫さ。君をそうそう危険な目に合わせたりしないからさ」 僕が不安そうに尋ねると、川越さんは包丁を手の中でくるりと一回転させた やたら楽天的だけど、それだけ自信があるのかなぁ? それとも何か策を用意してるのか… 多少不安は残るけど、ここは川越さんを信用することにした そうして僕達はレストランを後にする この辺りの地域は下町の商店街といった感じだった 先ほどは恐怖と不安のせいか不気味としかいなかったが、落ち着いて眺めてみるとノスタルジックな感じだった ラーメン屋以外には文房具店や電気屋、パチンコ店、そして小規模なスーパーなどが並んでいる 店内の明かりは全て点いておらず、街灯だけが路地を照らしていた ただ、どの店も寂れており、例え電気が点いていても活気が無さそうな、そんな町並みだ でも僕は、個人的にこういう哀愁が漂った雰囲気は結構好きだ 確かにデパート一つあれば全て事足りるけど、こんな風にどこか懐かしさを感じる場所は他には無いだろう こういう旧市街の景色というのは、ずっと残しておくべきだと思う そんなことを考えながら数分ほど歩いていた ふと、街角に建てられたこじんまりとした図書館が目に留まった 大抵の図書館には、その地域に関する資料が纏められている事が多い もしかすると、バトルロワイヤルの会場であるこの街についての情報が得られるかもしれない それは上手くいけば殺し合いからの脱出する方法を見つけることにも繋がるはずだ 川越さんにその意を伝えて、僕たちは図書館を調べることにした ・∀・A・∀・A・∀・A・∀・A・∀・A・∀・A・ 館内の明かりは点いておらず、真っ暗で何も見えない ランタンを取り出して、おぼろ気な光を頼りに奥へと入っていった 地域に関する事柄は、『郷土史』の棚に纏められている…はずだが… 棚の様子を見てバイクはがっかりした そこに置かれているのは漫画本の束であった 『黒騎士物語』『ジョジョの奇妙な冒険』『デスノート』『ロケットでつきぬけろ!』 どれも名作揃いだが、残念ながらこの場所についてのヒントは得られそうにない 「参加者に余計な詮索をされないように、主催者が全てすり替えたのかな…」 「川越さんもそう思いますか?…ということは、ここには資料が無いんでしょうかね…」 と、僕がため息混じりに呟いた時だった 「資料ならここにある」 突然第三者の声が館内に響き、司書室の方から眼鏡をかけた凛々しい男が姿を現した 「君たちの様子は隠れて伺わせてもらったが、どうやらこの殺し合いについて調べに来たのだろう?」 「そうなんですけれども…あなたは?」 「申し遅れた。私は週刊少年マガジン編集部兼MMRのメンバー、キバヤシと言う者です。もちろん殺し合いには乗っていない」 「僕は…本名を思い出せないのですが、マウンテンバイクと呼んでください。僕も殺し合い反対です」 「僕は料理をやらせていただいてます、川越達也と申します。この殺し合いを、僕の料理で止めて見せるつもりです」 「へぇ、料理で殺し合いを止める、と…」 「そうです。後でレストランに来てください。あなたにも美味しい料理を振る舞いますよ」 川越さんは独特な笑みを浮かべてそう言った だが、キバヤシさんは首を横に振り、一言「いえ、俺は結構です」と答えた 川越さんの顔からスゥッと一瞬で笑顔が引いた 「何故です? きっとあなたのお口に合うものを作れると思いますが…」 「いいえ、味の話ではありません。この状況に置いて他人の作った料理を軽々しく口にするのが危険だと思ってるからですよ」 「…なんですか? 僕が料理に毒でも入れると思ってるんですか?」 「あぁ、申し訳ないが、その可能性も疑うほど慎重に行くのが俺のスタンスなものでね…」 「ふーん………あぁそう」 二人の間に険悪な空気が流れる キバヤシさんの言い分はもっともだろう この状況において、よほどの信用の足りない相手に対し慎重になるのは正解と言える だが、彼の言葉は川越さんのプライドに傷を付けるようなものだった このままでは仲違いしてしまうかもしれない 僕は話を逸らそうと、キバヤシさんに問いかけた 「…さ、さっき言っていた、資料について詳しく聞かせてくれませんか?」 「ん? おっと、そうだった…」 キバヤシさんは睨みを効かせている川越さんを気にも止めず、デイバックから真新しいクリアファイルを取り出した 『鮫島事件』と書かれた紙が何枚か入っている 「これは司書室で見つけた資料だ。君は『鮫島事件』について知っているか?」 「一応、2ちゃんねるで有名なネタですからね…。存在しない事件を、みんなしてタブーのように話して、初見の人を釣るって感じの…」 「あぁ、一般的にはそういう認知だろう。だが、その事件の内容についての諸説はおそらく知らないな?」 「いいえ…、内容に触れようとすると『おっと、誰か来たようだ』ですからね…」 「実は、この資料にその諸説が詳しく書かれているんだ。読んでみて欲しい」 まさか鮫島事件に内容が存在しているとは思わなかった それほど信用があるとは思えないが興味はある そうして、僕はキバヤシさんから紙を受け取り、開いてみた #aa(){{{ ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『鮫島事件』 2000年(平成12年)11月、5人の青年たちが鹿児島県沖鮫島において死亡しているのが発見された事件である 彼らは2000年5月、インターネット掲示板「2ちゃんねる」において知り合い、共に鮫島へ遊びに来ていた だが、ある時5人とも忽然と行方を晦まし、不審に思った家族の方によって通報された すぐさま鮫島周辺を調査するも、結局彼ら5人の姿はどこにも発見できなかったという それから半年が経過した2000年11月、ついに5人のうち4人の白骨死体が発見されたのである 死因は不明。そして最後の一人(公安関係者の身内)の死体だけは見つからなかった しかし、4人の遺骨がそれぞれの遺族のもとに届けられた翌日、2ちゃんねるにおいてある書き込みがなされた 『俺は今、鮫島にいる』 おそらく最後の一人による書き込みだと思われていたが、当時2ちゃんねるには投稿者のIPを記録するシステムが 実装されておらず、本人による書き込みかどうかを判断することができなかった そしてそれから数日後、改めて鮫島を調査したところ、新たな遺体が発見された 死体の損傷は非常に激しく、動物により食い荒らされていたが、おそらく最後の一人だと思われる 司法解剖による調査によると、中には人間のものと思われる歯型や、頸部を圧迫したような痕跡が残されていたという ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― }}} 読み終わって、僕は一息をついた 妙にリアリティーのある書き方だが、なんと言うか、普通の猟奇事件とも思える あれだけ語ってはいけない流れがあるわりには、拍子抜けする内容だと思った 「この事件とバトルロワイヤルが何の関係があるんですか?」 川越さんはそう疑問の声をあげた。それについては僕も感じていた するとキバヤシさんは真に迫った表情で言う 「まだ気が付かないのか…!?似ているとは思わないのか?この殺し合いと…」 そう言って彼は語りだした 「鮫島事件とバトルロワイヤルの相似点を挙げていこう まず、どちらも『社会と断絶された空間』で起きている…もちろん、鮫島事件の方は彼ら自身で赴いているという違いがあるが… 次に『一人だけが生き残っている』。おそらく5人で殺し合い、最後に生き残った一人が書き込みをしたのだろう そして書き込みをしたことによって情報が漏れるのを恐れた誰かに殺された…そう考えられないか? そして『2ちゃんねるとの関係が深い』。このバトルロワイヤルの主催者は管理人ひろゆき…ここまで来れば偶然では片付けられない…! ―――俺の仮説が正しければ、おそろしい事実が浮かび上がることになる…!それは…」 #aa(){{{     ,ィィr--  ..__、j    ル! {       `ヽ,       ∧   N { l `    ,、   i _|\/ ∨ ∨   ゝヽ   _,,ィjjハ、   | \鮫島事件とは   `ニr‐tミ-rr‐tュ<≧rヘ   >バトルロワイヤルの      {___,リ ヽ二´ノ  }ソ ∠前段階として行われた     '、 `,-_-ュ  u /|   ∠ものだったんだよ!!!       ヽ`┴ ' //l\  |/\∧  / --─‐ァ'| `ニ--‐'´ /  |`ー ..__   `´     く__レ1;';';';>、  / __ |  ,=、 ___    「 ∧ 7;';';'| ヽ/ _,|‐、|」 |L..! {L..l ))    |  |::.V;';';';'| /.:.|トl`´.! l _,,,l | _,,|  , -,     ! |:.:.:l;;';';';'|/.:.:.:||=|=; | |   | | .l / 〃 ))     l |:.:.:.:l;';';'/.:.:.:.:| ! ヽ \!‐=:l/ `:lj  7     | |:.:.:.:.l;'/.:.:.:.:.:.! ヽ:::\::  ::::|  ::l / }}} 「「な、なんだってーーーー!!!!!」」 全く関係のないと思われていた事柄が、見事に一つに繋がってしまった もしもこの仮説が正しいものであるとすれば、国によって隠蔽されているのも頷ける こんな狂った殺し合いが国ぐるみで行われていることが世間の明るみに出たら大変なことになるだろう 鮫島事件で生き残って、2chで書き込みをした人は、おそらく口封じに殺された…そう考えられる つまり僕たちの現状は絶望的…最後まで生き残ることが出来ても、未来は残されていないかもしれない… 僕の頭の中は混乱状態だった。嫌な汗が頬を伝っていく キバヤシさんも絶望的な表情を浮かべていた その時、川越さんが冷静な声でキバヤシさんに言った 「それで、この会場から脱出する術は見つかってるんですか」 「…いや、まだ調査中だ…。だがもう何もかも遅すぎたんだ…俺たちは…」 「…そう…、それでは僕はレストランに戻って、新しく料理を作ってきます」 「何を言っているんだ!こうなったからにはわずか48時間以内に全参加者は死亡する…もう無駄なんだ!!」 「だったら、そうやって腐っていればいいですよ。あくまで仮説程度でそんなになるなら、動かない方がマシでしょうね  あなたが何と言おうと僕は止めませんよ。僕は決めたんです、料理で殺し合いを止めるって。  僕は僕に出来ることをするだけです。…バイク君、先に行ってるよ」 そう言って川越はデイバックを背負い、図書館から出て行った その言葉は辛口だったが、希望を捨てておらず、彼の熱い気持ちが込められていたものであった キバヤシは目が覚めたような表情を浮かべて立ち上がる 「俺は何を弱気になっていたんだろう…あきらめない!!それがオレたちに出来る唯一の闘い方なんだ!!」 マウンテンバイクも我に返った。あくまで仮説じゃないか…勢いに押されて真に受けてしまった この人、ナチュラルに他人の不安を煽ってしまうタイプなのかもしれない…もっと冷静になるべきだった 「君はバイク、と言ったな。俺はもっと調査(リサーチ)を続ける。君も手伝ってくれないか?」 「えっ、でもレストランで川越さんが待ってるんですが…」 「ならば一旦川越を追いかけて、こっちを手伝うと伝えてくればいい。この図書館には真相が隠されているはずだ!」 キバヤシさんは僕の肩に両手を置いて、そう言ってきた 川越さんの手伝って他の参加者に呼びかけをするべきか、キバヤシさんを手伝ってこの殺し合いの情報を探すべきか… どうしようか…僕は一体どちらを手伝うべきなんだろうか? ―――今、僕に出来ることは… 【D-3 図書館/一日目 深夜】 【マウンテンバイク@オカルト】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、不明支給品×1~3 [思考・状況] 基本:殺し合う気はない 1:どちらの手伝いをしよう? 2:鮫島事件との関係は…あくまで仮説だよね? 【キバヤシ@AA(MMR マガジンミステリー調査班)】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品1~3 [思考・状況] 基本:バトルロワイヤルの謎を解明する 1:調査再開だ!! 2:バイクにも手伝ってほしい 3:バトロワは鮫島事件と何か関係があるはず… 【D-3 商店街道中/一日目 深夜】 【川越達也@ニュー速VIP】 [状態]:健康 [装備]:包丁@現実 [道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=01】)、不明支給品×1~3 [思考・状況] 基本:僕の料理の力で、殺し合いを止める 1:レストランへ戻り、もっと料理を作る 2:キバヤシはあまり気に食わない ≪解説≫ 【鮫島事件】 2ch界最大のタブー。映画「2ちゃんねるの呪い」の題材にもなったので、多分バトロワで持ち上げたくらいでは消されない…と思う… 事件について尋ねると誰もが「それを言ったら消される…!」と口を揃えて言う 一般的にはそういうネタだと知られているが、実際に証拠が抹消されている可能性も否めない 「歴史の節目において情報操作は必ず行われているんだよ!!」byキバヤシ 概要についても諸説が多く存在し、「鮫島」という人物が殺されるものや、今回のように鮫島で起きた事件というものなど、内容は様々である |sm24:[[この愛を、世界に]]|[[時系列順>第一回放送までの本編SS]]|sm:[[]]| |sm24:[[この愛を、世界に]]|[[投下順>00~50]]|sm26:[[寺生まれはスゴかった]]| |sm08:[[川越シェフがバトルロワイアル中に料理をしている画像下さい]]|マウンテンバイク|sm:[[]]| |sm08:[[川越シェフがバトルロワイアル中に料理をしている画像下さい]]|川越達也|sm:[[]]| ||キバヤシ|sm:[[]]|

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