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で、出たーww家から一歩も出ないでずっと隠れて奴wwwww - (2013/02/15 (金) 14:11:10) の1つ前との変更点

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*で、出たーww家から一歩も出ないでずっと隠れて奴wwwww  ◆m8iVFhkTec ---- #aa(){{{  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄」 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;+;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ―――――――――――――‐┬┘;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;+;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;+;;;;;;;;;;;;;;;;;;     .                 |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::+:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::+:::::::::::::::::       .               |::::::::::::::::+:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::+::::::::::::::::::::::::::::::::::        ____.____    |:::::::::::::::::::::::::::::::。::::::::::::::::+:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::      |        |        |   |:::::::::::::::::::。::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::。::::::::::::::::::::::::::::      |        |        |   |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :      |        |( ^ν^) |   |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :      |        |../U   ノ |   |/ ̄\__/ ̄ ̄\  / ̄ ̄ ̄\__/ ̄         ̄ ̄ ̄ ̄' ̄ ̄ ̄ ̄    |::::[][]::::::::::::::::::::[]::::[][]:::|_|:::[][]::::[]::::::::::::::::::::::::[]::::: }}} 住宅街にあるささやかな一軒屋の、二階の寝室、そのベッドの上に一人の男 電気の点いていない真っ暗な部屋、唯一光っているのはPDAの画面のみ。 ゆうすけはかれこれ1時間前からずっと「2ちゃんねる」を見続けていた。 たくさんのレスを流し読みして、時おりフフッと笑いを漏らす。 ……やっぱ2ちゃんねるって神だわ。ずーっとやってても全く飽きねぇわ。 そんな感想を抱く彼にとって、「2ちゃんねる」とは日常の一部であった。 雑誌やスナックの袋、丸めたティッシュが散らかった部屋の中で、ゲームやアニメ、インターネットをして過ごす毎日。 そのうち、インターネットは、彼の退屈を凌ぐために必要不可欠だったのは言うまでもない。 2ちゃんねるさえあれば、手頃に喜怒哀楽を味わうことが出来た。 今の政治がどれだけ腐ってるだとか。何々をした犯罪者がどれだけクズだとか。 あのアニメが原作の雰囲気をぶち壊してるだとか。どこぞの板で祭りが起きているだとか。 知りたい、見たいと思うような魅力的な情報が、マウスを動かすだけ。ただ、それだけでたくさん手に入った。 彼の心苦しく、悲しい現実を忘れるために、無くてはならない存在だった。 (……そういや、まだこの家の中すら回ってなかったな……) 幾分かリラックスした彼は、一息ついたところでPDAから目を離した。 そして、外の灯りでうっすらと見える部屋の中を見回した。 タンスや机、ベッドなどの家具から、本や洋服といった小物がキレイに収納されているシンプルな部屋。 白い壁に木製の天井。床にはベージュ色のカーペットが敷かれている。ベッドの上には(´・ω・`)のぬいぐるみ。 生活感が有り、清潔感の溢れる片付いた部屋だと思った。 ……いつも自分がいるような、雑誌の束やスナックの袋、丸めたティッシュが散らかった、小汚い部屋とは正反対である。 (つーかこの家、誰もいないみたいだけど、どうなってんだ) ゆうすけは立ち上がって部屋の外へ出る。 廊下はフローリングの床。向かい側にも部屋の扉。右側には下に降りる階段がある。 ギシッ、ギシッと音を立てながら階段を下る。 テーブルやテレビの置かれた畳の部屋、もう一つの寝室、そして台所、洗面所があった。 (雰囲気的に、以前誰かがここに住んでいたに違いない。……殺し合いのために退去したってことか……) #aa(){{{    _____   | |l´ ̄ ̄ ̄`l   | ||¶     |   | ||______|   | |┌─‐l'l ̄|   | | |二 /⌒ヽ   | | |  (ν^  )   | | |_ と  ヽ   └┴‐―し―J }}} とりあえず、彼は冷蔵庫の中を探ってみた。 果物が二つ、アボカドとバナナがある。 ……食うか。 最初こそ恐怖で食欲なんて沸かなかったものの、それが緩和されると今度は空腹を感じるものだ。 その辺の戸棚からお皿とまな板、包丁を取り出す。 そしてアボカドを縦にまっすぐ切り…… 切ろうとしてたが、その刃は途中で何かに引っかかって止まった。 (ん? この包丁、切れ味が悪いのか……いや、違った。確かアボカドには種が入ってたな) そして、彼の手は包丁を止めたまま、しばし考える。 (どうやって切ればいいんだ?) 彼が普段食べている一口サイズのアボカド、あれがどういう切り方なのか想像がつかなかった。 (いいや、無理やり切ろう) 両手で包丁を押さえ付け、無理やり種を突破することにした。 ミシッ、ミシミシベキベキ、ゴッ! 下の方が潰れつつも、なんとか真っ二つにすることが出来た。 ただ、片方が転がって切断面から床に落ちた。ゆうすけは舌打ちをする。 (……まぁいい、水で洗おう。次は皮を剥きと行くか……) とりあえず、左手でアボカドを押さえ、右手の爪の先でアボカドの皮を掴んで剥いていく…… ほう、俺もなかなか器用なもんだぜ。結構あっさりと剥けていくぞ。 二等分の状態で行っているため、必然的に抑える力がある程度必要となり、よってどんどん形が歪なものへと変貌していく。 どうにかこうにか皮を取ると、真っ二つになった種を取り、身を包丁で適当に切り分けていく。 身はかなり熟していたため、真っ白なまな板がどんどん緑色に染まっていくが、もう知らん。 適当なサイズに切ったところで適当に皿に盛り付ける。 そして棚からキッコーマソの醤油ボトルを探し出し、それをアボカドの上からかけた。 ……彼は失念していた。ボトル入りの醤油はそこそこ重いことを……。 案の定傾けすぎて、皿の上に湖のようにドップリとかけ過ぎてしまう。 「は? 何これ……ふざけんなよ……」 苛立った挙句悪態を呟き、さらに何度か舌打ちをした。 そして、溢れた醤油を流し台に捨ててから、アボカドとバナナをテーブルに持っていった。 (^ν^)「うめぇ」 暗い部屋で一人、アボカドを食す。 もはや原型をとどめておらず、醤油もベッタリと付け過ぎであり、母親に出されたら絶対に投げつけるほどの酷い出来である。 それでも、彼はそれなりの満足感を感じていた。それこそ彼は、十数年ぶりに自分で料理(?)をして作ったのだから。達成感もひと押しである。 そして、彼は思い知った。料理と言うのは、こんなに大変なのだという事を。 (思えば、家事の手伝いすらやってなかったな、俺……) 母親は毎日、当たり前のように食事を作ってくれていた。 朝昼晩、時間になるといつも扉の前に食事が置かれていて、何の疑問も持たずに食べた。 ちょっとでも気に入らないメシだったら全部残していた。母親は一生懸命作ったのにも関わらず…… #aa(){{{       ,, _  モパ  /     `、  グク /       ヽ ふと、彼の目から一筋の涙が溢れでてきた。 モパ./  ●    ●l グク l  U  し  U l 「俺はこのまま、親に感謝することも出来ずに死ぬのか……?    l u  ___ u l  殺し合いなんて物騒なことに巻き込まれなければ……     >u、 _` --' _Uィ   俺はきっと、この事実に気付いて、働く道を選んだに違いない……!   /  0   ̄  uヽ.  クソッ……、俺はなんて残酷な運命を与えられたんだ……」 . /   u     0  ヽ  テ==tニト / ̄) ̄ }}} 無駄にセンチメンタルになったゆうすけは、一人涙を流しながら、アボカドを頬張る。 口の中に広がる醤油の味が、何故だか懐かしく、愛おしく感じられた。 光のない部屋には、彼の静かな嗚咽だけが聞こえていた。 ……感傷に浸りながら彼はアボカドを完食し、バナナの皮を剥き始めた。 (ひろゆきは『どんな願いでも叶える』って言ってたな……。つまり、俺の人生を変えるチャンスはまだ残されてるんだよな……) そうだ、自分には"H&Kなんとか"があるんだ。生き残れる可能性はある。 うまくいけば、俺は死なずに済むし、願い……例えば一生遊べるだけの金を手に入れて、親孝行も出来るわけだ。 嫌味ったらしい親戚どもも、目の色を変えるに違いない。 ゆうすけは都合の良い想像を巡らせながらバナナを口にする。彼の妄想のように甘美な味がした。 (だったら最後まで生き残ってやろうじゃないか。そして、栄冠を掴み取ってやるよ!) そう決心した彼は、バナナを一気に口に含むと立ち上がった。 そして彼は玄関へと向かっていく。 今こそ、外の世界へ出る時なんだ。 自分を変える第一歩を踏み出すんだ、と……。 (靴を履くのも久しぶりだ……最後に外出したのはいつだっけな……) 玄関へ行き、靴箱からローファーを拝借する。 走るのに向いてるとは思えないが、彼はそこまで頭が回らなかった。 靴を履き、拳銃を握り直し、玄関の扉に手をかける。 その時点で彼の手はピタリと止まってしまった。 ……ここに来て、彼はやはり怖くなったのだ。 ドアノブに手をかけた瞬間に、全身からどっと冷や汗は溢れてきた。 ただでさえ「外の世界」を嫌がる彼に、この殺し合いの空間で外に出る勇気など到底湧いてくるはずがない。 さっきまで自身の中で盛り上げていた感情は完全に消え失せ、気がつけば『外に出なくて済む』言い訳を探していた。 (……こんな薄暗い状態で外に行くのは危険なんじゃないか? 誰かが隠れて狙撃してくるかもしれないし……) 外の世界に対して、ネガティブな想像を巡らせる。 (だいたい、誰かと戦う数が多いほど、自分が死ぬ可能性が高くなるじゃん。それだったらなるべくリスクは減らすべきじゃね?) 自分を正当化出来る理由が見つかる。……彼は扉から手を離す。 (最後の一人まで殺し合えって言っても、例えば残り二人の時にラス1を倒しても優勝じゃねぇか) 都合の良い展開を思いつく。……彼は靴を脱ぎ、廊下を歩く。 (こっちには拳銃があるわけだし、普通に誰でも撃ち殺せるわ。今、無理に出かける必要もないわけだ) 2階へ上がり、寝室のベッドに潜り込む。 そして…… #aa(){{{ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |みんなが苦労して殺し合ってる間に、俺はここで休み、 |最後に生き残ったボロボロの奴一人を殺す。これで俺の大勝利じゃん \    ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ( ^ν^)   _| ⊃/(___ / └-(____/ }}} 自己暗示に近いもので、この時の彼は心から悦に浸ることが出来た。 恐怖や心細さ、そんなものは、このひと時には完全に忘れていた。 これまでもそうやって『現実』から逃げおうせた彼にとっては、他愛のない事である。 ……きっとまた、不安に駆られることになるのは目に見えているが。 【C-3・民家/1日目・黎明】 【ゆうすけ@ニュース速報】 [状態]:健康、悦 [装備]:H&K G36(30/30)@現実 [道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、不明支給品×0~1、予備マガジン [思考・状況] 基本:今の所は、自分の身を護ることに専念する。死にたくない 1:あれ? 勝てるんじゃね俺 2:この家に篭り、殺し合いに生き残った最後の一人を撃ち殺す 3:死にたくねえよ…… 《支給品紹介》 【アボカド&バナナ@現実】 支給品ではなく、一軒家の冷蔵庫からの現地調達品。 もうね、アボカド、バナナかと……が元ネタ。 ゆうすけの腹の中に収まりました。 |No.45:[[カルネアデスの板]]|[[時系列順>第一回放送までの本編SS]]|No.:[[]]| |No.44:[[グンマーの大冒険 VS吸血鬼編]]|[[投下順>00~50]]|No.:[[]]| |No.21:[[命も賭けずに殺し合いとな!?]]|ゆうすけ|No.:[[]]|
*で、出たーww家から一歩も出ないでずっと隠れて奴wwwww  ◆m8iVFhkTec ---- #aa(){{{  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄」 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;+;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ―――――――――――――‐┬┘;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;+;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;+;;;;;;;;;;;;;;;;;;     .                 |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::+:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::+:::::::::::::::::       .               |::::::::::::::::+:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::+::::::::::::::::::::::::::::::::::        ____.____    |:::::::::::::::::::::::::::::::。::::::::::::::::+:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::      |        |        |   |:::::::::::::::::::。::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::。::::::::::::::::::::::::::::      |        |        |   |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :      |        |( ^ν^) |   |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :      |        |../U   ノ |   |/ ̄\__/ ̄ ̄\  / ̄ ̄ ̄\__/ ̄         ̄ ̄ ̄ ̄' ̄ ̄ ̄ ̄    |::::[][]::::::::::::::::::::[]::::[][]:::|_|:::[][]::::[]::::::::::::::::::::::::[]::::: }}} 住宅街にあるささやかな一軒屋の、二階の寝室、そのベッドの上に一人の男 電気の点いていない真っ暗な部屋、唯一光っているのはPDAの画面のみ。 ゆうすけはかれこれ1時間前からずっと「2ちゃんねる」を見続けていた。 たくさんのレスを流し読みして、時おりフフッと笑いを漏らす。 ……やっぱ2ちゃんねるって神だわ。ずーっとやってても全く飽きねぇわ。 そんな感想を抱く彼にとって、「2ちゃんねる」とは日常の一部であった。 雑誌やスナックの袋、丸めたティッシュが散らかった部屋の中で、ゲームやアニメ、インターネットをして過ごす毎日。 そのうち、インターネットは、彼の退屈を凌ぐために必要不可欠だったのは言うまでもない。 2ちゃんねるさえあれば、手頃に喜怒哀楽を味わうことが出来た。 今の政治がどれだけ腐ってるだとか。何々をした犯罪者がどれだけクズだとか。 あのアニメが原作の雰囲気をぶち壊してるだとか。どこぞの板で祭りが起きているだとか。 知りたい、見たいと思うような魅力的な情報が、マウスを動かすだけ。ただ、それだけでたくさん手に入った。 彼の心苦しく、悲しい現実を忘れるために、無くてはならない存在だった。 (……そういや、まだこの家の中すら回ってなかったな……) 幾分かリラックスした彼は、一息ついたところでPDAから目を離した。 そして、外の灯りでうっすらと見える部屋の中を見回した。 タンスや机、ベッドなどの家具から、本や洋服といった小物がキレイに収納されているシンプルな部屋。 白い壁に木製の天井。床にはベージュ色のカーペットが敷かれている。ベッドの上には(´・ω・`)のぬいぐるみ。 生活感が有り、清潔感の溢れる片付いた部屋だと思った。 ……いつも自分がいるような、雑誌の束やスナックの袋、丸めたティッシュが散らかった、小汚い部屋とは正反対である。 (つーかこの家、誰もいないみたいだけど、どうなってんだ) ゆうすけは立ち上がって部屋の外へ出る。 廊下はフローリングの床。向かい側にも部屋の扉。右側には下に降りる階段がある。 ギシッ、ギシッと音を立てながら階段を下る。 テーブルやテレビの置かれた畳の部屋、もう一つの寝室、そして台所、洗面所があった。 (雰囲気的に、以前誰かがここに住んでいたに違いない。……殺し合いのために退去したってことか……) #aa(){{{    _____   | |l´ ̄ ̄ ̄`l   | ||¶     |   | ||______|   | |┌─‐l'l ̄|   | | |二 /⌒ヽ   | | |  (ν^  )   | | |_ と  ヽ   └┴‐―し―J }}} とりあえず、彼は冷蔵庫の中を探ってみた。 果物が二つ、アボカドとバナナがある。 ……食うか。 最初こそ恐怖で食欲なんて沸かなかったものの、それが緩和されると今度は空腹を感じるものだ。 その辺の戸棚からお皿とまな板、包丁を取り出す。 そしてアボカドを縦にまっすぐ切り…… 切ろうとしてたが、その刃は途中で何かに引っかかって止まった。 (ん? この包丁、切れ味が悪いのか……いや、違った。確かアボカドには種が入ってたな) そして、彼の手は包丁を止めたまま、しばし考える。 (どうやって切ればいいんだ?) 彼が普段食べている一口サイズのアボカド、あれがどういう切り方なのか想像がつかなかった。 (いいや、無理やり切ろう) 両手で包丁を押さえ付け、無理やり種を突破することにした。 ミシッ、ミシミシベキベキ、ゴッ! 下の方が潰れつつも、なんとか真っ二つにすることが出来た。 ただ、片方が転がって切断面から床に落ちた。ゆうすけは舌打ちをする。 (……まぁいい、水で洗おう。次は皮を剥きと行くか……) とりあえず、左手でアボカドを押さえ、右手の爪の先でアボカドの皮を掴んで剥いていく…… ほう、俺もなかなか器用なもんだぜ。結構あっさりと剥けていくぞ。 二等分の状態で行っているため、必然的に抑える力がある程度必要となり、よってどんどん形が歪なものへと変貌していく。 どうにかこうにか皮を取ると、真っ二つになった種を取り、身を包丁で適当に切り分けていく。 身はかなり熟していたため、真っ白なまな板がどんどん緑色に染まっていくが、もう知らん。 適当なサイズに切ったところで適当に皿に盛り付ける。 そして棚からキッコーマソの醤油ボトルを探し出し、それをアボカドの上からかけた。 ……彼は失念していた。ボトル入りの醤油はそこそこ重いことを……。 案の定傾けすぎて、皿の上に湖のようにドップリとかけ過ぎてしまう。 「は? 何これ……ふざけんなよ……」 苛立った挙句悪態を呟き、さらに何度か舌打ちをした。 そして、溢れた醤油を流し台に捨ててから、アボカドとバナナをテーブルに持っていった。 (^ν^)「うめぇ」 暗い部屋で一人、アボカドを食す。 もはや原型をとどめておらず、醤油もベッタリと付け過ぎであり、母親に出されたら絶対に投げつけるほどの酷い出来である。 それでも、彼はそれなりの満足感を感じていた。それこそ彼は、十数年ぶりに自分で料理(?)をして作ったのだから。達成感もひと押しである。 そして、彼は思い知った。料理と言うのは、こんなに大変なのだという事を。 (思えば、家事の手伝いすらやってなかったな、俺……) 母親は毎日、当たり前のように食事を作ってくれていた。 朝昼晩、時間になるといつも扉の前に食事が置かれていて、何の疑問も持たずに食べた。 ちょっとでも気に入らないメシだったら全部残していた。母親は一生懸命作ったのにも関わらず…… #aa(){{{       ,, _  モパ  /     `、  グク /       ヽ ふと、彼の目から一筋の涙が溢れでてきた。 モパ./  ●    ●l グク l  U  し  U l 「俺はこのまま、親に感謝することも出来ずに死ぬのか……?    l u  ___ u l  殺し合いなんて物騒なことに巻き込まれなければ……     >u、 _` --' _Uィ   俺はきっと、この事実に気付いて、働く道を選んだに違いない……!   /  0   ̄  uヽ.  クソッ……、俺はなんて残酷な運命を与えられたんだ……」 . /   u     0  ヽ  テ==tニト / ̄) ̄ }}} 無駄にセンチメンタルになったゆうすけは、一人涙を流しながら、アボカドを頬張る。 口の中に広がる醤油の味が、何故だか懐かしく、愛おしく感じられた。 光のない部屋には、彼の静かな嗚咽だけが聞こえていた。 ……感傷に浸りながら彼はアボカドを完食し、バナナの皮を剥き始めた。 (ひろゆきは『どんな願いでも叶える』って言ってたな……。つまり、俺の人生を変えるチャンスはまだ残されてるんだよな……) そうだ、自分には"H&Kなんとか"があるんだ。生き残れる可能性はある。 うまくいけば、俺は死なずに済むし、願い……例えば一生遊べるだけの金を手に入れて、親孝行も出来るわけだ。 嫌味ったらしい親戚どもも、目の色を変えるに違いない。 ゆうすけは都合の良い想像を巡らせながらバナナを口にする。彼の妄想のように甘美な味がした。 (だったら最後まで生き残ってやろうじゃないか。そして、栄冠を掴み取ってやるよ!) そう決心した彼は、バナナを一気に口に含むと立ち上がった。 そして彼は玄関へと向かっていく。 今こそ、外の世界へ出る時なんだ。 自分を変える第一歩を踏み出すんだ、と……。 (靴を履くのも久しぶりだ……最後に外出したのはいつだっけな……) 玄関へ行き、靴箱からローファーを拝借する。 走るのに向いてるとは思えないが、彼はそこまで頭が回らなかった。 靴を履き、拳銃を握り直し、玄関の扉に手をかける。 その時点で彼の手はピタリと止まってしまった。 ……ここに来て、彼はやはり怖くなったのだ。 ドアノブに手をかけた瞬間に、全身からどっと冷や汗は溢れてきた。 ただでさえ「外の世界」を嫌がる彼に、この殺し合いの空間で外に出る勇気など到底湧いてくるはずがない。 さっきまで自身の中で盛り上げていた感情は完全に消え失せ、気がつけば『外に出なくて済む』言い訳を探していた。 (……こんな薄暗い状態で外に行くのは危険なんじゃないか? 誰かが隠れて狙撃してくるかもしれないし……) 外の世界に対して、ネガティブな想像を巡らせる。 (だいたい、誰かと戦う数が多いほど、自分が死ぬ可能性が高くなるじゃん。それだったらなるべくリスクは減らすべきじゃね?) 自分を正当化出来る理由が見つかる。……彼は扉から手を離す。 (最後の一人まで殺し合えって言っても、例えば残り二人の時にラス1を倒しても優勝じゃねぇか) 都合の良い展開を思いつく。……彼は靴を脱ぎ、廊下を歩く。 (こっちには拳銃があるわけだし、普通に誰でも撃ち殺せるわ。今、無理に出かける必要もないわけだ) 2階へ上がり、寝室のベッドに潜り込む。 そして…… #aa(){{{ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |みんなが苦労して殺し合ってる間に、俺はここで休み、 |最後に生き残ったボロボロの奴一人を殺す。これで俺の大勝利じゃん \    ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ( ^ν^)   _| ⊃/(___ / └-(____/ }}} 自己暗示に近いもので、この時の彼は心から悦に浸ることが出来た。 恐怖や心細さ、そんなものは、このひと時には完全に忘れていた。 これまでもそうやって『現実』から逃げおうせた彼にとっては、他愛のない事である。 ……きっとまた、不安に駆られることになるのは目に見えているが。 【C-3・民家/1日目・黎明】 【ゆうすけ@ニュース速報】 [状態]:健康、悦 [装備]:H&K G36(30/30)@現実 [道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、不明支給品×0~1、予備マガジン [思考・状況] 基本:今の所は、自分の身を護ることに専念する。死にたくない 1:あれ? 勝てるんじゃね俺 2:この家に篭り、殺し合いに生き残った最後の一人を撃ち殺す 3:死にたくねえよ…… 《支給品紹介》 【アボカド&バナナ@現実】 支給品ではなく、一軒家の冷蔵庫からの現地調達品。 もうね、アボカド、バナナかと……が元ネタ。 ゆうすけの腹の中に収まりました。 |No.44:[[グンマーの大冒険 VS吸血鬼編]]|[[時系列順>第一回放送までの本編SS]]|No.:[[]]| |No.45:[[カルネアデスの板]]|[[投下順>00~50]]|No.:[[]]| |No.21:[[命も賭けずに殺し合いとな!?]]|ゆうすけ|No.:[[]]|

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